コメント

 石原正一さんの件についていえば、当然のことながら、裁決書は、那覇防衛施設局長の主張を、建設大臣の立場で言い替えたものにすぎない。読めば読むほど、この国(の政府)がたてまえとする法治主義が、「安保」という「極めて高度な公共の利益」の前には、あってなきが如きものであることがよくわかる。

 石原さんに関する処分取り消しの裁決では、収用委員会の権限は、「総理大臣の高度の政策的、技術的な裁量」に比べてきわめて限定されている――たとえば、使用認定が間違っていてもそのことに言及してはならない――が、土地所有者が収用委員会の審理に不服を申し立てた1992年の審査請求に関しては、逆に収用委員会の「広範な裁量権」が認められている。いわば、法の恣意的解釈・運用が行われている、といっていいだろう。

 だいたい、1992年3月の審査請求と、97年6月の審査請求に対して同時に結論を出すというのは、どういうわけか。まるで、在庫一掃的やり方である。中味を読んでも、審査に6年以上かけなければならなかった理由は見当たらない。審査請求という制度そのもの、行政不服審査法による国民の権利保護ということに、この国の政府がいかに不誠実であるかが証明されている。もはやこの国では「法は死んだ」というべきだろう。

                  一坪反戦地主会・代表世話人 新崎盛暉



沖縄県収用委員会・公開審理][沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック