Hajarna

ハジャルナー

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☆ 当サイトの掲載物を資料としてお使いになる場合は出典の明記をお願いいたします。軍令集の引用には、かならずエルサレム・メディア・コミュニケーションズ・センター(JMCC)のクレジットを入れてください。

What's New 

2003年
・軍令集 軍令45−59までの翻訳(高田)をUP (4月1日)
・軍令集 軍令127−156までの翻訳(鶴見)をUP (2月10日)
・軍令集 軍令152−175までの翻訳(中野)をUP (2月3日)
・軍令集 軍令23−44までの翻訳(高嶋)をUP (2月3日)
・軍令集 軍令60−80までの翻訳(高野)をUP (1月23日)

2002年
・軍令集 軍布告1−軍令22までの翻訳(高坂)をUP (11月8日)
・映画『パレスチナ パレスチナ』の紹介のページをアップ、今後まだ内容は増えます (10/28)
・11月29日午後7時から『パレスチナ、パレスチナ』の上映会を下北沢近くで行ないます・
・翻訳プロジェクトに、「はじめに」と「序章」をUP (10.19)
・とりあえず、サイトをつくってみました (10.18)
 



上映会の予定
2002
11/29
会場は、下北沢近くの酒場、GARIGARI(京王井の頭線池ノ上駅、改札を出てすぐの踏み切りをわたった左角)で、午後7時開場。 上映後に映画監督の足立正生さんのトークとディスカッションがあります。料金は1000円 定員35人の狭いところですので、満席になればそこで締め切りです。
GARIGARI 世田谷区代沢2−45−9 飛田ビルB1F Tel 03-3481-6997


フランス人ドミニック・デュボスクが西岸地区のドキュメンタリー映画『パレスチナ、パレスチナ』を作成したきっかけは、占領地で施行されているイスラエルの軍令集を読んだときのショックからでした──「特別の許可なく地上および地下の水を汲んではならない」、「許可なくしてトラクターその他いかなる農機具も輸入・使用してはならない」、「果実、野菜、工業製品、石材、改造、郵便切手、古美術品を輸出してはならない」、「軍当局はあらゆる地域を封鎖しまた交通を遮断することが出来る」等々、そこには人間社会の活動を全面否定するような条項が1300以上も並んでいたのです。

軍令に基づくイスラエルの占領
1967年6月、ヨルダン川西岸地区とガザを「安全と治安維持のために」占領したイスラエルは、以後35年におよぶ占領支配を「軍令」に基づいた厳格な律法主義で行なってきました。土地の収奪や経済活動の妨害などは、すべてこの軍令に基づいています。これによって、移動や商業活動の制限、水などの天然資源の恣意的配分など、占領地における経済、社会、文化的な開発を意図的に阻害するような行為に、「合法性」のみかけを与えてきたのです。

これらの軍令のほとんどは、ジュネーブ第四条約をはじめとする国際法に違反しています。国連安保理決議242は、西岸地区とガザを占拠地と認定し、イスラエル軍の撤退を要求していますが、イスラエルはそれを無視してきました。これらの土地が占領地であることを認めず、軍令や規則によって現実をつくり変え、既成事実化することによって事実上の併合を進めています。

この軍令を研究することは、イスラエルの占領の性格の変遷(最初は和平によってイスラエルの存続が保証されれば返還すべき土地だったが、後には神聖な権利に基づいたイスラエル国土の一部とみなされる)や、それがパレスチナ住民に与えた影響を理解する手段として非常に有益なものです。

JMCC(エルサレム・メディア・アンド・コミュニケーション・センター)はそのような研究の手引きとして英語で編集した軍令集を出版しています。1967年から92年までの西岸地区における軍令の集成(Israeli Military Orders in the occupied Palestinian West Bank: 1967-1992)の95年版が入手できたので、これを皆で日本語に翻訳し、内容について話し合い、また上記の映画の上映の際に資料として紹介しようというプロジェクト「ハジャルナー」を立ち上げました。

9・11事件以降、パレスチナの占領地ではイスラエルによる破壊と殺戮がエスカレートしていますが、その口実に使われているのがブッシュ政権の対テロ戦争に便乗した「テロリストの掃討」という言葉です。マスコミはパレスチナ人の自爆攻撃をイスラエルの正規軍による民間人攻撃と対置させ、「報復の連鎖」と呼んで双方を非難していますが、そこには一方が他方を軍事占領下におき、絶え間なく土地の収奪を続けているという事実が抜け落ちています。自爆攻撃が止まない背景には長年の占領がもたらした生活の破壊や将来への絶望感があるのですが、「自爆テロ」は「幹部殺害への報復」とされるばかりで、イスラエルの占領政策と結び付けて説明されることはありません。日常の抑圧や、経済破壊はニュースではないし、35年も続いている占領そのものも、もはやニュースではないらしいのです。

問題の一つは、死傷者の発生や建物の破壊という「事件」と違って、日常的な抑圧の構造は報道の対象となりにくいことでしょう。だからこそ、占領の実態を浮かび上がらせる具体的な資料の提示が重要と考えます。経済指標、地図、人口統計、そして占領行政の根拠となる法規、こうした厳然たる事実が提示されれば、「テロ」という言葉が加害者と被害者をすり変える呪文であることが明らかになるはずです。

また、「ハジャルナー」では翻訳作業と平行して、パレスチナについての映画も鑑賞し、「軍令集」に示される占領の実態が、映像のなかにどのように表れているかを検討していきたいと思っています。これを通じて、簡潔な法令文に記されたことが、実際の生活のなかではどのような重みを持ってのしかかってくるのかを、具体的に理解したいと思うからです。

ハジャルナーはアラビア語で「わたしたちの石」という意味です。ささやかながら、これがわたしたちのインティファーダとなればと思います。