自治労音協通信

 3面  NO54号/2004.7.25発行

第25回自治労仲間の歌選考結果 ^*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~ 入選は「祈り」佳作は3曲

第25回自治労仲間の歌選考結果が、機関誌『じちろう』7月1日号3面に掲載されました。
入選は「祈り」詩=前田マユミ(徳島・うらら荘職労)曲=西藤安彦(滋賀・守山市職)、佳作は3曲で「アジアの風」詩・曲=磯野宏之(札幌市職)「春を待つ」詩・曲=山本英二(新潟県職労)「いいな」詩・曲佐伯薫(熊本・社会教育事業団労組)でした。
選考委員会は6月19日(土)午後2時より、自治労会館で開催され、日本音楽協議会から吉田隆さん、自治労音楽協議会から松本、小川、青年部から寺田常任委員、女性部から渡辺女性部長が審査にあたりました。今回は12曲の応募がありました。


応募曲の講評

日音協事務局次長 吉田隆

変わらぬ思いを
佐藤和宏(全道庁)
まず曲のリズムやスピードを表記しましょうね。このメロディだとゆっくり歌うと普通のバラードですが、はやく歌うと強烈なロックにもなります。ロックだとすると変化のないメロディもかなりインパクトをもったメッセージになりますし、バラードだとすると歌詞の平凡さとあいまってあまり印象のない曲となってしまいます。
バラードが本意だとすると「どんなに時代が過ぎて行こうと」というようなあたりまえなフレーズを冒頭に持ってくるとそれだけで「あ〜あ」となってしまいますので最も言いたいことを頭に持ってくるとかするといいと思います。それとやはり「サビ」をつくってくださいね。


解き放て、今
北山清喜(全道庁)
非常にシンプルに卒なくまとめていますが、歌詞が平凡なだけにインパクトに乏しいですね。この曲でいわゆるヒットを飛ばすというようなことはなかなか難しいと思います。
「シンプルイズザベスト」という言葉がありますが、この曲の場合長年歌い続けていってある時代に脚光を浴びるようになっていると思います。
今はその時代ではないですけれど…作曲のテクニック的に言うと譜面の一段一段で完全に完結していますので、いわゆるおいしいフレーズを寄せ集めたという感じなっています。おいしいフレーズを使うのは結構なんですが、その繋ぎ部分いわゆるブリッジを工夫して下さい。6小節目では2小節と違った音を使っていますが、そこを変える前に4小節目の終止を次に繋げるようにしてみたらどうでしょうか?
同様にサビの部分も「ぼくらは…」がサビだとすれば「いまこのおもい…」はもう少しおさえて、逆であればサビへのブリッジも同様におさえて、という工夫が必要だと思います。


ひとつぶの種
詩=榊原隆子、曲=桑野功(札幌市職)
語るように歌う部分と、ゆったりと言いたいことを言う部分とが交互に出てきて作曲としてはよくできていると思います。ただ歌詞が字数は多いものの全体としての発展性がないために注目を集めるには難しいでしょう。
細かいところでは6小節目でせっかくゆったりとした展開になったのに4分音符に2字をあてはめなければならないところが苦しいところです。
それにしても今回の選考は歌詞が皆似通って平凡と言うか、なぜ「青い空」「時代」「あらそい」「せかい」…なんでしょうかね。もっと個性的な響きはないのでしょうか。


アジアの風(佳作)
磯野宏之(札幌市職)
どこかで聴いたような感じですが、よくあるパターンなので今の世の中作曲とはこんなものでしょう。サビの部分はちょっとした工夫でスピード感を感じますのでうまい譜割だと思います。
ただサビのあとすぐに2番ではなく4小節ぐらいはもとの流れに戻る部分が欲しいですね。サビまでの間に十分ブリッジを使っているのでいきなり2番にいってしまうのは物足りないです。
今回は作曲に関してはみなさん及第点なんですが、歌詞にインパクトがなくて損してますね。



未来の町へ
山口 康弘(近江八幡市職)
応援歌、あるいはテーマソングとしては定番のスタイルですので一般的な評価よりも依頼主や取り上げる集団の評価如何でしょうね。ただサビの部分の3連譜は面白い使い方で新鮮味がありますね。譜面ではどちらか判明しなかったのですが、横文字の部分の冒頭は「oh」なのでしょうか・それとも「on」?

このまちが好きだから
井加田まり(高岡市職)
1、3番と2番の歌詞の大幅な違いはどうなんでしょう。2番が目的とすれば1、3番は聞き手を迷わせるだけだと思うのですが。これは何を目的に作った曲なんでしょうか?歌詞の内容とは違ったメロディラインもちょっと不自然。きれいな感じで高音部に持っていったものを低音の羅列で締めくくる、というような展開は聞き手を迷わせます。革命を起こしたければそれなりの鼓舞するメロディを作るべきで、メロディアスなオブラートで包み込むのはどうかと思います。


春を待つ(佳作)
山本英二(新潟県職労)
いわゆるフォークバラードで展開して行きますけど、最初に演歌風のこぶしを使たあと、その後そのニュアンスは全く出てきていません。もう少しあちこちで出てきてもいいのでは?同様にリフレインの部分も一音だけ上げるのではなく、全体的に裏メロ風にした方が映えると思います。
歌詞はもうひとつ言い足りないところがあるというより一番肝心な部分が抜け落ちているような感じを覚えます。


War is not the answer
松本敏之(栃木県職労)
カントリー風のかっこいい曲ですが、もっと洗練させて下さい。
「War is not theanswer」を繰り返すのはいいのですが、2回目のメロディはもう少し工夫が必要。
また横文字部分の譜割も自然な横文字になるように単純に4部音符で振り分けるのではなく発音に沿って自然な流れになるように、日本語は語をひとつひとつ発音しますので4分音符や8分音符に振り分けても自然ですが、英語の場合メロディにのせなくても発音してみると発音一つ一つに同等音符があてはまりません。それゆえに洋楽には昔からシンコペを多用した曲が多い訳です。他の部分は日本語ですが、同様に気の効いたところでシンコぺやタイを使うと見違えるようなかっこいい曲になると思います。


6年生を送る会のうた
山口真(自治労名古屋市職)
シンプルで唱歌的な響きがあって好感が持てますね。音階はかなり高いのでこれでは普通の人にはちょっと歌えないですが、特にサビの音の高いところは歌詞とあいまっていわゆる「泣き節」になっているので、この曲にとってかなり重要なファクターになってます。声の出るぎりぎりで設定するといいと思います。
歌詞は1番が「いつもいっしょに〜」のほうに修正となっていますが、このままのほうが歌詞としてインパクトがあっていいのでは?


祈 り(入選)
詩=前田マユミ(徳島うらら荘)曲=西藤安彦(守山市職)
軽快ないい曲だと思います。おそらく作曲者は「平和の火よ走れ」をイメージしているのでしょうが、歌詞との整合性にちょっと雑なところがありますね。例えば出だしの「くりかえす」の「くり」は8分音符2つにするのは不自然です。メロディ的に8分音符2つの響きが必要であれば歌詞も音2つにあてはめたほうが自然です。
韻を踏むということが良く言われますが、4小節目の「しょう」も1番と2番で歌詞のあてはめがずれているのも不自然です。音階が全体的に低いですね。サビの部分や最も言いたい部分がこの音階とスピード(表記してませんがバラードではないでしょう)では聞き取れないのでは。歌詞のほうでは「ように〜」で結ぶというのは最近はやりのようですが、使うなら文字どおり結びだけに使ったほうが効果的。「おだやかな眠りに落ちるように」は「死」を連想してしまいます。


勇気を出して
岩本良治(山口・小野田市職)
どう歌うのか考えてしまいました。総てを3連で歌うのと、3連表記の部分だけを3連で歌うのでは別の曲と言っていいほどの違いがあるからです。統べて3連だとすると途中の多用している4分3連はあまり意味がありませんし、8ビートとすれば使い過ぎです。また4分3連はかなりインパクトのある響きですから歌詞のあてはめもよく吟味して下さい。文字どおり3つの発音ですから前後を調整して「だにし」ではなく「むだに」のほうが効果的です。
いいな(佳作)
佐伯 薫(熊本市社会教育振興事業団労組)
唯一譜面がなかった曲ですが、MDを1回聞いただけで覚えてしまうような印象的な曲です。それははっとするメロディとか斬新な進行というのではなく、自然な歌詞との連係でしょうね。
まさにシンガーソングならではという感じです。「坂道コロコロコロコロ転がる〜」というように韻を踏むところがよくできています。
欲を言えば同じようなフレーズの他の部分も韻を踏む言葉で続けられればと思います。言いたいことも伝わってきます。頭でっかちで表現しようとすると、聞く方も頭で受け止めますが、体で表現すると聞く方はすんなり受け止められるようです。


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