木村愛二の生活と意見 2000年10月 から分離

アラファト議長の事務所を爆撃したイスラエルはアメリカそこ退け虐殺集団

2000.10.19(木)(2019.6.12分離)

 このところ、わが家で唯一宅配の『日本経済新聞』にも、読者から送られてくる『朝日新聞』と『しんぶん赤旗』の切抜きにも、パレスチナ内戦の記事が多い、しかし、すでにこの欄にも記したことだが、各紙とも、「挑発者」のアリエル・シャロンの人物紹介を欠いていた。私は、自家撞着、傲慢、官僚的なヒステリー患者の多い『しんぶん赤旗』は無視して、『日本経済新聞』と『朝日新聞』にだけ電話で注意して置いた。そのせいかどうか、その後、『日本経済新聞』(2000.10.19)の連載「中東/薄氷の合意」(上)に、「かつてレバノンでパレスチナ人虐殺事件のきっかけをつくったといわれるシャロン氏」という表現が出てきた。

「敗軍の将」が兵を騙って極右の牙城を維持

 まあまあ、の出来だが、当然、まだまだ、不満足である。

 周知の重要な歴史的事実を指摘すると、そのレバノン侵略自体が、20年の虐殺の歴史を経て、「敗走」に終わっているのだ。総指揮官だったシャロンは、「敗軍の将」なのである。そのシャロンには、「兵」(戦争)を語る資格がないのに、今、騙っているのだ。

 また、今、「中東和平の仲介者」を装うアメリカの正体の暴露っも重要だ。「アメリカは連合国[安保理]で1972年から1996年の間に、イスラエルに対するあらゆる非難決議に反対して30回もの拒否権を行使した」(拙訳『偽イスラエル政治神話』p.47)のである。にもかかわらず、イスラエルは、自らが育成したレバノンの傀儡軍を見捨てて「敗走」したのである。シャロン自身も、彼が党首を継いだ極右政党、ヒトラーとの協力者たちの系譜、史上最悪の政治的シオニストの虐殺集団、リクードが生き残る道は、内戦の挑発以外にないのだ。今こそ、「ヒトラーとの協力」と「ガス室の嘘」の暴露が、最も有力な極右退治の手段なのである。この事実は、アラブ諸国には急速に浸透し始めているのだが、極右に反対と称する日本の自称左翼には、極めて傲慢な癖に、薄ら馬鹿が多いのである。

「ガス室の嘘」の暴露を恐れるイスラエルは、自国が世界で最も危険な極右国家なのに、石原慎太郎程度の人気取り政治家、オーストリアのハイダーを、「極右」と罵って、欧米の世論を煽った。ハイダーとその仲間は「ガス室の嘘」を語っていたのだ。だから、イスラエルにとっては、最大の敵だったのだ。しかし、この詐術も長くは続かず、最近、オーストリアへの経済制裁は解除された。真の極右の牙城は、今、無理やり維持されているだけなのである。

 最近の米軍放送傍受によれば、アメリカでは今、西部侵略時代に原住民を騙した歴史の発掘が続いている。私は、戦後の映画好きの悪餓鬼なので、いかに「インディアン」が残虐であり、白人のアメリカ人の騎兵隊が紳士的であったかというデタラメ西部劇映画を、何度も何度も見てしまった。だから逆に今、アメリカ人と、その仲間でもあり頭脳支配者でもあるユダヤ人が、自分の敵を悪魔化し、嘘を付き捲る構図の裏を、すぐに理解できるのである。ところが、行儀の良い優等生だった自称左翼たちは、きっと、下らないハリウッド製映画などは見なかったのであろうから、かえって、現実の裏を見抜く目を鍛える機会を逃したのであろう。

イエメン政府は米駆逐艦爆破を「テロではない」と表明

 もう一つ、私が急遽、疑問を発して置いたのは、10.12.発生、イエメンのアデン港におけるアメリカの駆逐艦爆破の犯人探しである。もちろん、長年の恨み骨髄からアラブ人が決死の覚悟で行った作戦の可能性もある。私は、自称「嘘発見」名探偵だが、この件では、まだ情報不足で、断定はできない。

 だが、実に面白いことに、米軍放送傍受情報によると、米軍当局は、まだ、テロと断定していない。現地のイエメン政府は、直後に、「テロではない」と声明したそうである。私の手元の日本の活字情報には、この声明は載っていない。だが、その後、『日本経済新聞』(2000.10.16)の下段ベタ記事に、「イエメン政府当局は15日までに容疑者数十人を逮捕」とあった。さらに同紙の本日の夕刊には、「イエメン大統領がカタールの衛星テレビ『アルジャーラ』のインタビューに答えた」とする伝聞の「カイロ」発情報が載った。「ボートを運んだ車やエンジンを組み立てたと見られる作業場、実行犯らが住んでいた家などを発見した」そうである。

 同じく同紙の本日の夕刊には、意地っ張りで仲の悪いアラブ諸国の独裁者たちが「呉越同舟」の状態に至ったとの観測も載った。今回の内戦挑発に関してアラブ諸国の連帯強化が急速に進む状況下に、「テロではない」と声明した当のイエメン政府が、自国内での事件だから当然、捜査権を持つにしても、なぜか熱心に捜査し、「実行犯ら」に迫っているのである。私は、もしかすると、「モサドの謀略」と睨んでの捜査活動ではなかろうかと期待し、当たらなくてもドキドキしただけ得と心得え、「ベタ記事恐るべし」の無料独自捜査を続けている。

 少なくとも、この件では、米軍の鑑定結果もなしに、アメリカのメディアが、こぞって、テロと断定し、お定まりの悪役ラディンの介在を疑い、「明らかに」(apparently)と力んでいることを、指摘しなければならない。この「明らかに」という形容に関して、私は、面白い経験を持っている。私の不当解雇事件の裁判の東京地裁での最終準備書面作成の際、この表現を使った若手の弁護士に対して、老練の弁護士が、「立証が不十分な時ほど、明らかに、と書いてしまうんだよね」と諭したのである。

「スラップスチック」(どたばた喜劇映画)並の鬼婆外交

 これも米軍放送傍受の情報のみだが、失敗に終わったパリでの和平工作について、国務長官の鬼婆、ユダヤ人、オルブライトの必死の形相が伝わってきた。アラファトが席を蹴ってアメリカ大使館の会議室から出ると、オルブライトが追っ掛けて、叫び、門番に扉を閉めるように命令し、アラファトを閉じ込めたのだそうである。

 現地では、イスラエルの兵隊がパレスチナ人に殺されると、即座にイスラエル軍は、アラファトの事務所をミサイルで爆破した。アラファトは、連合国[国連、United Nationsの正しい訳]で元首の扱いを受けている。このミサイル爆撃の場所を、かつての日本に置き換え、さらに最近流行のSF風に、そこがアメリカの軍事占領下にあると想定すると、そこでアメリカの兵隊が日本人の少女を強姦して殺し、その種の行為の連続に怒り心頭に発した日本人が、アメリカの兵隊を捕らえ、報復の処刑をしたら、アメリカ軍が、いきなりヒロヒトの仮住まい、あの江戸城跡(私は現在の通称を使わない)を爆撃するようなことになる。(この段落の記述は、深夜の怒りに満ち、疲れ果てたわが頭脳の中で状況設定に誤りが生じていたので、2000.10.20.7:30.やや冷静に改訂)。

 相手が弱ければ、何をやっても平気なのは、別にアメリカ人に限ったことではないが、実に野蛮極まりない。途端に、なぜか、「スラップスチック」という英語が頭に浮かんだので、辞書を引いてみた。slap-stick.先の割れた打棒(道化芝居用)とある。叩く音はビシャリと響くが、それほど痛くないのであろう。それがcomedyに続くと、「どたばた喜劇映画」になる。私は、その方を知っていたのだが、辞書には「どたばた(道化)芝居」に意味もあって、そちらには、(knockabout)とある。そちらを見ると、「騒々しい」の意味から発展したようである。

「騒々しい」「どたばた喜劇映画」は、アメリカ文化の下品さの象徴のようだが、その映画の世界はユダヤ人支配である。映画だけなら許せるが、現実に、鬼婆外交、半世紀を超える虐殺の歴史として展開されるのは、許すわけにはいかない。糞!婆!