東京地方争議団共闘会議「独占と権力の対応」

総行動11年の原点に立ち返って教訓を学ぶ

[1983.12.10-12.東京地方争議団共闘会議:第22回総会議案書]
[第3章(続)私たちをめぐる動き:副議長・法廷闘争対策担当・木村愛二執筆]

一、生コン弾圧事件にあらわれた総行動敵視、三井訓示の実践

2000.11.4 WEB雑誌『憎まれ愚痴』60号掲載

 昨年(注:1982年)末に運輸一般生コン支部の三役が逮捕されて、二〇〇日を越える拘禁という異常事態になりました。結果的には、東京地評を軸とした共闘体制の確立により、六月一〇日の一回の霞ケ関昼デモと7.14.東京総行動の間に保釈をかちとり、生コン支部は東京争議団の一員として無罪確定への闘いを広げています。

 この事件は、最近の独占と権力の対応振りと、それに立ち向う闘い方を考える上で、極めて特徴的な教訓をはらんでいます。


 首都東京のド真中を赤旗立ててゾロゾロ歩かれたり、抗議行動をワイワイやられるのは、国際信用にもかかわる。あんなことはモスクワかワルシャワでやれ。


 というのが、生コン三役への訊間に際しての警察官の放言です。つづいて、


 使用者概念の拡大なんてのは許さん。


 というのですから、「総行動」=「背景資本抗議」=「使用者概念の拡大」という争議解決の根本問題を、頭から敵視してきていることは明らかです。この生コン事件は、背景資本に組合つぶしの不当労働行為の責任をとらせ、解決金と覚え書をとって終結(横山生コン事件)したのに、九ケ月もたってから突然逮捕という経過でした。だが、この逮捕の前段には、鈴木生コン分会のピケット闘争で五名の現行犯逮捕がありました。一昨年の六月一六日のことです。そして、その直前の六月四日に、三井警察庁長官の訓示があり、治安対策のなかでも大衆闘争の盛り上りを警戒すべしとし、つぎのように述べたと伝えられています(要旨)。


 関係法令を積極的に活用し、現行犯逮捕を原則とした厳正な警察措置を徹底し、事案の早期鎮静と拡大防止に努められたい。


 これは対外発表用の要旨ですから、実際はもっとエゲツなく、具体例を含む強烈なものだったのでしょう。さらに今年の春以来、宣伝カーの許可条件改悪、ビラまき、デモ、抗議行動への圧迫が目立っています。違法を承知の上で、「有楽町ビラまき事件」の判例にそむく「厳正な警察措置を徹底し」ようとしているのです。さらには、


 総行動を三年で絶滅する。


 と豪語した当局者もいるとのことですが、問題の背景資本攻めに開しては、浜田精機争議の際の三菱銀行本所支店での計画的刑事弾圧事件が、いま最高裁で争われています。最高裁を頂点とする司法権力の動向についてはのちにふれますが、浜田精機の一円玉振り込み闘争への弾圧が、独占に直接迫る抗議行動への介入として、意図的になされ、しかも裁判所がこれを最大限にバックアップしている状況は重大です。警察の違法・不当な捜索・押収の例もふえており、労働組合事務所への侵入は、昨年四月の日航労組・羽田空港立看板音事件、前述の生コン事件、今年の三月一九日の国労東京地本・ステッカー事件と相次いでいます。国労の場合は、「ピケット要員」を含めて百名前後の警察官が動員され、事前に連絡をしたテレビ局取材班まで同行するという、謀略的性格を強めています。国鉄民営分割・行革路線がマスコミを最大限に活用している現状にかんがみ、弾圧と謀略への警戒心を強め、こちらからの宣伝攻勢をも工夫しなければならなくなっています。拘禁二法、スバイ防止法と、矢つぎ早やに繰り出される反動立法攻勢にも、機敏な対応が求められています。

以上で「一」終わり。「二」に続く。


二、労働行政反動化の背後に独占の「血みどろ」の魔手

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