『亜空間通信』760号(2004/04/24) 阿修羅投稿を再録

911-イラク米連邦委審議の火種の暴露本訳し沖縄選出赤嶺政賢(共)議員国会質問の議事録抄と評価

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『亜空間通信』760号(2004/04/24)
【911-イラク米連邦委審議の火種の暴露本訳し沖縄選出赤嶺政賢(共)議員国会質問の議事録抄と評価

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転送、転載、引用、訳出、大歓迎!

 私は、4月1日に発行した季刊『真相の深層』創刊号で、3名の民主党国会議員の質問の抜粋を紹介し、論評を加えた。所属政党の評価とは別に、その質問の意義を認めたからである。

 今後も、その方針を貫く。この亜空間通信でも、同様の紹介、論評を継続する。今回は、日本共産党の比例代表による当選議員であるが、私は、この赤嶺政賢議員を、日本共産党員としてと言うよりは、ほとんどが米軍基地の島、沖縄県の選出議員として評価し、以下の質問を抜粋紹介し、その後に論評を加える。

http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kaigiroku.htm
国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別委員会
第10号 平成16年4月1日(木曜日)

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 昨年の三月二十日、アメリカのイラク侵攻が起こりまして、ちょうど一年を過ぎたところです。それで、よく、この戦争はテロとの闘いだ、このように言われてまいりました。そのテロとの闘いで、アメリカ政府の内部で、文字どおりテロ対策担当の大統領特別顧問のクラークさん、前テロ対策担当大統領特別顧問ということになっておりますが、このクラークさんの発言が問題になっております。アメリカのまさにテロに対する態度をめぐって、どうであったか、こういう議論が起こっているわけです。

 この方が先日、「すべての敵に対抗して」、こういう本を出しておりますが、私のスタッフに大急ぎできょうの質問に間に合わせて中心部分を翻訳してもらいました。それで、ちょうど九月十一日、あのテロのときの翌日の様子がこの本の中に書かれているんです。

 九月十二日の夕刻という書き出しで始まりまして、ブッシュ大統領が、その九・一一テロをめぐって、サダムがこれをやったか、やったのかどうか、サダムがどんな形であれ関与しているのかどうかを調べてほしい、このようにクラークさんに発言している。クラークさんは非常にあっけにとられる。あっけにとられて、そして大統領に、これをやったのはアルカイダです、このように言った後に、ブッシュ大統領が、わかっている、わかっているけれども、サダムが関与しているかどうかを見てほしい、見るだけでいい、どんな断片でもいいから知りたい、こう言っているわけですね。それで、クラークさんは、私たちはアルカイダに対する国家の支援を何度も見つけようとしてきたのですが、イラクとの連携の事実は何も見つけられなかったのです、このようにブッシュ大統領に申し上げたら、ブッシュ大統領は、イラク、サダムを調査しろ、こう言った。こういうくだり、こういう描写がこの本の中にあるんですね。

 テロがあった当初から、テロをこの地球上から撲滅する、テロというのは許されないことですから、これはもう本当に国際社会が力を合わせて追い詰めていかなきゃいけない、こういうときに、テロが起きたその瞬間、サダムとの関係を調べろ、担当官が戸惑う中で、何でもいいから調べろ、こう言っていた。だから、九・一一テロのときからブッシュ政権がイラク攻撃を模索していた、こういう事実は何度も今まで言われてきたわけですが、特に、ここに来て本当に、大統領のテロ対策特別補佐官として任務についていた方がこういうことを言い出した。

 この点について、外務大臣、どのように考えますか。

○川口国務大臣 おっしゃったその本の著者のクラーク前米大統領特別顧問が、さまざまなインタビューに答えて発言をしたり、あるいはその中で、その本の中で記述をしているということは承知をいたしておりますけれども、その発言に関連いたしまして、ライス大統領補佐官は、ブッシュ大統領は同時多発テロ発生直後からすべての可能性のあるリンクについて調査をするように指示したが、九・一一とイラクに関連性がないという報告を受けて、アルカイダ及びタリバンを目標とすることになったということを説明しているというふうに承知をいたしています。

 いずれにしても、米国は一貫して、イラクとの関連でいえば、達成すべき目標はあくまでもイラクの武装解除、すなわち、累次の安保理の決議に従っての義務の履行がされていない、そういうことであるということを述べているわけでございまして、ブッシュ大統領のイラクに対する武力行使の決断、これにつきましては、二〇〇二年の九月の国連での演説の以降、さまざまな国際協調についての努力を行った後で、その上での決断であったというふうに私は考えております。

○赤嶺委員 やはりライスさんもブッシュ大統領からすべての可能性について調べろということを言われていて、ブッシュ大統領のそばにいたクラークさんは、サダムについて徹底して何でもいいから調べろと言ったことに極めて戸惑いを持ちつつ、その日の様子というのをこの本に出しているわけです。それは九・一一テロのときでした。

 今度は一年前の問題です。三月十八日にブッシュ大統領は最後通告の演説を行っています。この最後通告の演説を読み返してみたんですが、こう言っているんですね。フセイン政権は、イスラム過激派のアルカイダを含むテロリストたちを支援し、訓練し、基地を提供した。テロリストたちは、イラクから入手した生物化学兵器あるいは核兵器を使い、これまで表明してきた意図を達成し、米国や他の友好国の何百、何十万人もの罪もない国民の命を奪うかもしれない。恐怖の日が来る前に、行動が遅過ぎる事態となる前に、危険は取り除かなければならない。このように強調しているわけです。

 フセイン政権が持っている大量破壊兵器がテロリストの手に渡って、幾百万、幾千万の人たちが犠牲になるかもしれない、恐怖の日が来る前に危険を取り除く、このように最後通告を行ったわけですが、三月十八日です。これについて、今振り返ってみて、外務大臣、いかがですか。

○川口国務大臣 私は、その演説を今ちょっと手元に持っておりませんので、全体について記憶をしているということではございませんが、それにつきまして私が記憶をいたしておりますのは、国連憲章との関連で、イラクの義務不履行、それについてきちんと述べていらしたというふうに私は記憶をいたしております。

 いずれにしても、アメリカが武力行使を行ったということについては、アメリカの国連大使やイギリスの国連大使が安保理に対して報告をしているように、国連の憲章第七章のもとにおける累次の決議についてのイラクの義務不履行、その結果としての行動である、それに基づく行動であるということを、アメリカ、イギリスは述べていると私は承知しております。

○赤嶺委員 あの戦争をアメリカが何を根拠にして始めたかということもるる書いております。同時に、この大量破壊兵器がテロリストに渡ったら大変だという、ここの部分もきちんと大統領は演説の中に使っているんです。それで、皆さんはそういう大統領の宣言や最後通告を支持したわけです。

 その件についてもクラークさんがこの本の中に書いているんですが、テロの対策特別補佐官としてずっとそのとき一緒にやっているわけですから、こう言っているんですね、クラークさんはこの本の中で。

 イラクにテロリストの訓練キャンプを持つアルカイダの関連組織があるのか。ある、サダム・フセインの統制外にある地域、サダムの敵対者によって統制されているイラク北部に。アルカイダの訓練キャンプ、どこにあるか。フセインの統制外にある北部の地域にある。このようにクラーク氏は言っているわけです。そして、イラクとアルカイダの間にある潜在的な可能性のどれも注目すべき援助や支援のレベルではなかった、どんな潜在的な可能性をとってみても、イラクがアルカイダを支援するというようなレベルではなかった、こう言っているわけですね。

 そこで、振り返って、政府は、イラク戦争の開始の時点で大量破壊兵器の保有を断定しました。一方で、アルカイダとフセイン政権の連携については正面から認定してはいなかったように思います。これも一年前の議事録を読み返してみました。ならば、一年たって、アルカイダとフセインの関係を言い、そして側近がそれは全く関係なかったと言われている。

 やはり私は、今振り返ってみると、あのブッシュ大統領の当時の最後通告の演説は誇張があったんじゃないか、誇張だったんじゃないかと思いますが、外務大臣、いかがですか。

○川口国務大臣 先ほど申しましたように、いずれにしても、米国は、武力行使をしたということについては、国連憲章第七章のもとで採択をされた六七八、六八七、一四四一、それに基づいて武力行使の権限を与えられているということを説明しているというふうに承知をいたしております。

○赤嶺委員 いずれにしてもということは、これは結構です。

 いわゆるそのときの最後通告の演説に、アルカイダとイラクとの結びつきについて、ブッシュ大統領の誇張、誇張の表現があったんじゃないか、こういうことを聞いているんです。

○川口国務大臣 大事なことは、米国がどういう権限に基づいて武力行使を行ったかということでございます。
 今おっしゃっている演説、私、手元に持っておりませんので、おっしゃったことについて直接コメントできませんけれども、その演説においても、あるいはその他の場所でも、米国は、武力行使をしたということの根拠は、先ほど申し上げましたように、国連憲章第七章のもとで採択をされた決議六七八、六八七、一四四一、それによって武力行使をする権限を与えられているという説明をしているわけでございまして、それがその武力行使の根拠であるというふうに考えております。

○赤嶺委員 結局、この誇張については、外務大臣、触れることができません。このくだりは、一年たった今でも我々には生々しく思い起こさせる出来事であり、政党によっては、テレビ討論等で、スプーン一杯でどれだけの人が犠牲になるかと盛んに言われたものであります。そのことについて答えていないというのは、国民に対しての誠実さが足りないと言わざるを得ません。

 それで、私は、さっき外務大臣は国連憲章第七章に基づいてと言いましたが、実は、このアメリカの戦争というのは、今、有志連合という形で展開をされているわけです。イラク戦争に至る過程では、国際社会と国連は、戦争ではなく査察を継続するように求めていました。求めていたにもかかわらず、ブッシュ大統領は、これも今生々しくよみがえる発言でありますが、安保理はその責任を果たさなかった、こう言ったわけですね。そして、そのアメリカのイラク戦争に賛成する国だけで戦争に突入した。

 国際社会の中で戦争に至る場合に、それが本当に武力行使が必要なのか、あるいは武力行使なくして問題を解決することができるのか、こういうことが本当に国際社会では強く問われると思うんです。私は、そういう意味で、有志連合というのは、国際の平和の秩序、これに対して真っ向からそれを踏みにじるものであり、政府としてこの点をやはり見直すということを強く求めたいんですが、いかがですか。

○川口国務大臣 いろいろなことをおっしゃっていらっしゃるわけですけれども、これは、先ほど申しましたように、国連憲章の、六七八、六八七、一四四一、それによって与えられた権限に基づいて武力行使を行ったということでございます。国連の決議によって権限を与えられているという意味において、これは正当であるというふうに我々は考えておりますし、現に湾岸戦争においても同じようなことであったわけでございます。

○赤嶺委員 このような国連決議の解釈に立っている国々がまさに有志連合であり、少数の国々であります。国連安保理は責任を果たさなかったというような言い方で国際社会を踏みにじったこの一年の経過は明白だろうと思います。

 それで、今、有志連合の中に亀裂が起こっております。スペインがイラクからの撤退を決める。ホンジュラスも撤退を決める。そして、あの有志連合の中の中心的な存在であったポーランドでさえ、大量破壊兵器問題でアメリカにだまされたと言っている。

 結局、この一年間、アメリカがテロとの闘いだと言い、小泉総理がテロにひるむなと言ってきたけれども、国際社会にはテロが激発し、そしてイラクの中でも、アルカイダがいなかったイラクの中にテロリストを呼び寄せ、治安を混乱させ、アメリカは、テロとの闘いで手段も考え方も国際社会に対する態度もすべて間違っていた、テロを拡大させていた、こういう指摘をされても仕方がないと思いますけれども、いかがですか。

○川口国務大臣 今、多国籍軍がイラクに展開をしている。(赤嶺委員「多国籍軍じゃないでしょう、あれは」と呼ぶ)多国籍軍と日本、あるいは幾つかの国は行っていませんけれども、みんな、この多国籍軍というのは、国連の決議によって多国籍軍というふうにオーソライズを今しているわけでございます。そういった国々が、イラクの復興支援、そして治安安定のために協力をしているからこそ、イラクにおいて、政治プロセスについてのカレンダーが決まり、今、主権の移譲に向けて着々と動いているということであって、国際社会がこれに協力をしていくというのは、国連の決議にあるように、これは加盟国としての責務であるということであるかと思います。

 個別の国についてコメントをいたしませんけれども、例えばポーランド、これにつきましては、ポーランドは、安定化任務が成功裏に終了してからイラクを撤退するということを大統領が言っているわけでございまして、これは、何らかの形で委員のおっしゃるように分裂があるということではないということだと思います。

 きょう、四月の一日でございますけれども、六月の終わりに主権の移譲が行われるように、まさに今、各国が頑張っていかなければいけないときであるというふうに考えます。

○赤嶺委員 終わります。

 私は、911事件とアフガン・テロ特措法に関する日本共産党の対応振りについて、小泉純一郎首相、自民党総裁と並べて、季刊『真相の深層』創刊号で、以下のように批判した。

『日本経済新聞』(01・10・24夕刊)2面の左上の隅っこの2段。

「国内の刑事裁判みたいな証拠は確かにない」。小泉純一郎首相は24日午前のテロ対策特別措置法案に関する参院合同審査で、米同時テロへのウサマ・ビンラディン氏の関与について、国内裁判に十分耐えるだけの証拠は明示されていないことを示唆した。民主党の佐藤道夫氏への答弁。

 首相は同氏の関与が濃厚なテロ事件が頻発している点を指摘。「(国際社会の忍耐の)限界を越えたということだ。証拠がないから何もしないという態度は日本として取り得ない」と強調した。

 首相はこれまでビンラディン氏の関与を裏づける「説得力のある説明」を米側から受けていることを強調する一方、「情報の中身は明らかにできない」としていた。(了)

 この短い記事の主役は、小泉純一郎である。いかにも白痴同然の首相、自民党総裁の答弁なのだが、これに対決すべき立場の野党の日本共産党委員長、志位和夫も同様の白痴同然で、これに先立つ10月10日、「CS朝日ニュースター」に出演し、朝日新聞政治面編集長、峰久和哲の質問に答えて、各所で放映されたアルジャジーラ発の怪し気なヴィデオに関し、「まさにビンラディン自身の口によって、強い容疑が裏づけられたと思います」との主旨で語り、それをさらには、翌11日付『しんぶん赤旗』5面の全面特大記事として発表していたのである。

 上記のような沖縄県選出の赤嶺政賢議員の質問は、911以後の日本共産党の「同時多発テロ」糾弾とは、趣を異にしている。今後の展開に注目する。

 なお、赤嶺政賢には、この通信を印刷し、季刊『真相の深層』創刊号と一緒に「謹呈」し、次号で掲載すると告げる。

以上。


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