『亜空間通信』675号(2003/10/07) 阿修羅投稿を再録

911謀略説急上昇で足下反乱に似非紳士朝日もバスに乗り遅れぬ方向転換図るか否か秒読み開始

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『亜空間通信』675号(2003/10/07)
【911謀略説急上昇で足下反乱に似非紳士朝日もバスに乗り遅れぬ方向転換図るか否か秒読み開始】】

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 転送、転載、引用、訳出、大歓迎!

 911事件から、早くも2年が過ぎ、3年目に入った現在、目まぐるし勢いで、911自作自演謀略説が急上昇である。私は、今から3ヶ月とちょっと前に、911謀略を暴こうとする動きに対して、事件直後からしきりと、「よくあるユダヤ陰謀説」として腐し続け、実質的に、体制側の言論弾圧の手先を勤めてきた似非紳士こと、朝日新聞における足下反乱の可能性の予兆を捕らえ、以下の通信で、軽く、からかった。

---------- 引用ここから ----------
http://www.jca.apc.org/~altmedka/2003aku/aku617.html
http://www.asyura.com/0306/war35/msg/924.html
『亜空間通信』617号(2003/06/20)
【日本メディアの米追随「不掲載」認めた朝日書評の一部を評価し関連減点あり2点】

[中略]
朝日新聞書評欄、[中略]
『金で買えるアメリカ民主主義』という訳題の本の書評
[中略]
 書評は以下のように始まる。

「著者パラストは、アメリカの政官財界に嫌われ、アメリカのメディアから敬遠されているアメリカ人記者である。やむなく彼は、イギリスのガーディアン、オブザーバー両紙とBBCテレビを数々の特ダネを発表する場としてきた。
 その調査報道は当然、米メディアにはほとんど転載されない。米メディアを大きなよりどころとしている日本のメディアにも当然、ほとんど載らない」

 はいっ、まさに、その通り、「米メディアを大きなよりどころとしている日本のメディアにも当然、ほとんど載らない」、これは見事な正解なのだが、その「日本のメディア」の「自他ともに認める」代表格の朝日新聞の紙面に、こう書かれていたので、私は、あえて、「うむっと、膝を打った」のである。「不掲載」批判の「不敬罪」かな。よく書いた。良い度胸である。書評欄担当者の朝日新聞記者は、特に気にしなかったのか。内心忸怩たるものはなかったのか。しかし、ともかくまずは、興味津々、誰が、こう書いたのか。見ると、[評者]栗田亘(コラムニスト)とある。
[中略]
(栗田亘は)65年朝日新聞社に入り、岐阜、札幌、東京などで勤務。主として社会部畑の取材を担当した。86年、社会問題や世相、教育のあり方などの社説を執筆する論説委員となる。95年から2001年までの5年8カ月、朝日新聞朝刊1面の「天声人語」を担当。
[後略]
---------- 引用ここまで ----------

 以上の「からかい」のネタは、まだまだ、間接的な「反乱」でしかなかった。主題は、911謀略でもイラク「戦争」でもなかった。それでも上記の筆者には、朝日新聞そのものの論説委員の経歴があったから、一応の「評価」をしたのである。

 ところが、今回は、朝日新聞の印刷物の紙面ではないのだが、その電網版だけに掲載される仕組みのasahi.comに、面白い記事が出現したのである。以下の電網記事の特に推奨すべき点は、似非紳士朝日新聞がこれまでの2年間に取ってきた紙面政策を、直接の名指しこそしないものの、既成メディアによる「陰謀論バッシング」として批判している部分である。ともかく、全文を紹介する。なお、テレヴィ番組の「スパイ大作戦」の台詞を真似ると、この電網記事のURLは、一週間で「消滅」する。だから、発見次第、即座に保存して置かないと、「証拠隠滅」されてしまうのである。

---------- 引用ここから ---------- 
http://www.asahi.com/column/aic/Tue/d_tan/20030916.html
「欧州どまんなか」 September 16, 2003
陰謀論と「裸の王様」

美濃口 坦
ミノクチ・タン
1970年から京都ドイツ文化センター勤務。1974年ミュンヘンに移住。1980年から1991年まで書籍販売業。人生の大部分を通訳、翻訳、教師等で日銭を稼いで生きてきた「フリーター」先駆者。この数年来、日独のメディアに寄稿。訳書「比較行動学」(アイブル=アイベスフェルト)
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「欧州どまんなか」 September  16, 2003

陰謀論と「裸の王様」

もう一月ぐらい前のことだと思われるが、ドイツを代表する週刊新聞「ツァイト」に世論調査の結果が発表された。それによるとドイツ国民の19%、五人に一人が「9.11テロは米政府がやらせた」と思っているそうである。また30歳以下ではこの割り合いが31%に増え、ほぼ三人に一人になる。

次に「テレビや新聞が9.11について本当に真実を報道したと思うか」という質問に対しては、そう思わない人がドイツ国民全体では68%、30歳以下になると78%も占める。

ということは、ドイツ国民の大部分は、ビン・ラディンの陰謀でハンブルク工科大学元学生のエジプト人・モハメッド・アタのグループが9.11のテロ行為に及んだという通説をそのまま受け取らず、この事件には何か裏があると思っていることになる。

いつもそうではないが、この場合は通説を信じないことが「陰謀論者」の烙印を押されることになるようだ。(これもよく考えれば奇妙なことで、どのような条件を満たしたらある事件がこのような特別扱いを受けるのだろうか)。次に「陰謀論」となると、自分には良識が備わっていると思うメディア関係者は、フリーメーソンから「シオンの議定書」まで連想し、ヒットラーの影におびえてしまうところがある。

そのために、彼らにとっては、国民の大部分が9.11の通説を信じなくなり、陰謀論者の本がベストセラーになることは我慢できないことだ。この「ツァイト」の世論調査があってから、主要新聞やテレビでこの現象を嘆いたり、この種の本の著者を槍玉にあげて批判したり、またこの「陰謀論」を世界中に広めるインターネットを批判する記事や番組がめだつ。これは既成メディアによる「陰謀論バッシング」である。

でも、この批判・攻撃はどこか本末転倒で無理なところがある。ここまで通説が多くの人々から信頼されなくなったのは、被害国・米国が早い時期に捜査を打ち切って事件解明に努力しないで情報の開示を怠ったからである。このテロ事件の衝撃があまりに大きく被害国に対する配慮・同情から、当時たいていの人が米国のこの態度にあまり気にしなかった。

私は今回はじめて知ったのであるが、米国には33年前の自国宇宙飛行士の月面着陸を事実として認めない人がいるという。またダイアナ妃の死が単なる交通事故でなくアラブ人富豪との関係を苦々しく思う英王室と諜報機関の陰謀であると信じている人々が少なくないという。

でも、9.11事件をこのような事件と同列に置くのは適切であるだろうか。米国の説明を胡散臭いと思う人がこれだけ増大したのに、パラノイア(偏執病)を患っていると思うのも傲慢ではないか。だいいち、あの事件がきっかけですに二度も戦争があった。米国がイラクで泥沼状態に陥ったことは明白で、国際社会は一連托生のところがあるので、「ざま見ろ」で済ますことができない日がいつか来る。

当時は気にならなかったことも後から事件の推移を見るうちにヘンに思われることはよくある。9.11の公式見解を胡散臭く思う人が増大したのはイラク戦争のためである。人々に、米現政権担当者が細かい事実をあまり気にしない人々であることが明瞭になったからだ。

英国の「ガーディアン」の9月6日オンライン版に1997年から2003年6月まで環境相をつとめたマイケル・ミーチャーが寄稿している。この英政治家は2000年9月のネオコン・シンクタンク「新アメリカ世紀プロジェクト」のドキュメントに描かれた「米一極支配」の青写真にさかのぼり、9.11やその後の米国の対応に触れている。

この人の眼にも、事件前の米警備体制が犯行容疑者を泳がせ、また事件が起こってから米国がそれを阻止しようとしなかった行動も、事件後アフガニスタンにいるビン・ラディンを本気で引き渡してもらおうとしなかったことなども、不自然なことに映る。彼の結論は「対テロ戦争とは、、、世界ヘゲモニー確立の道ならしをするために宣伝されたもっともらしい神話」ということになる。

飛行訓練学校に通っただけのアラブの若者たちがあのような操縦のできたことを疑う人も、また旅客機の突入で破壊された国防省建物の写真を見て得心のいかない人もいる。本当のところよくわからない以上、当時世界貿易センターに突入した飛行機が遠隔操作されていたと主張する人がでてきてもしかたがないように思われる。王様が裸なら「裸だ」と叫ぶ子供たちのほうが私は昔から親近感を覚える。

「陰謀論者」と呼ばれる人々の書いたものを読むと、既成メディアが報道して、そのままほったらかしにしたことに固執し、そのような小さなニュースをジグソーパズルのように張り合わせた論法が多い。目の前の話題ばかりを追いかけて忘れっぽい傾向がある既成メディアの眼には、このジグソーパズルがパラノイアに見えるだけではないのか。こう考えると、今回の「ツァイト」の世論調査は、大多数の人が忘れっぽいよりパラノイアのほうがマシと思ったことなる。
---------- 引用ここまで ----------

 以上は、最近の記事だが、私は、この自称「フリーター」先駆者、美濃口坦に注目し、彼の1年と5ヶ月前の電網記事を、わが編著『9・11事件の真相と背景』(副題:「テロ」か? 自作自演の戦争挑発謀略か?アメリカ=イスラエル=世界支配構想の核心を突く)の「はしがき」の中(p.7-8)で、以下のように抜粋引用して置いた。

---------- 引用ここから ----------
「欧州どまんなか」 May 07, 2002
陰謀論が陰謀論をひきおこす

 日本に、アンドレアス・フォン・ビュロー(64歳)というドイツ人など知る人はいないと思われる。彼は25年間連邦議員をつとめ、ヘルムート・シュミット首相の下で1970年代国防政務次官、1980年から1982まで科学省大臣にまでなった社民党の政治家である。今は政界から引退して弁護士をしている。

 「9月11日」のテロ事件以来、ウサマ・ビンラディンを黒幕とする国際社会の通説に対して、異説が次から次へと生まれ、世界中を駆け回る。過去の人ビュロー元大臣が時の人になったのは通説、インターネットに異議を申し立てたからである。 多くの疑問が「陰謀論」として抑えられて世論操作されていることにビュローさんは憤慨する。

 陰謀論は複雑な現象を単純化するので、欧米社会では評判が悪い。またこれは反ユダヤ主義と結びつくので、特にドイツのメディアは陰謀論を極端に警戒する。それでもビュローさんのインタビューが新聞に掲載されるのは地味で誠実な政治家だったというイメージが彼にあるからである。

 彼は容疑者がたくさんの足跡を残していることに「象の群れがジャングルを歩いたよう」と皮肉る。これも、彼が長年議会の諜報活動監視委員会にいた経験から、プロの秘密情報機関ほど国家の不法活動の痕跡を消すために、偽の証拠をたくさん残すことを知っているからである。[後略]
---------- 引用ここまで ----------

 今回の美濃口坦の論調は、上記よりも、かなり強くなっている。状況の反映である。しかも、同人は、別の独立系電網宝庫、萬晩報にも寄稿している。この電網宝庫の管理人は、自ら共同通信の大阪支社勤務を名乗っており、他の記事の内容も、かなり水準が高い。以下は、そこからまた阿修羅戦争40掲示板に転載された記事である。一応、確かめたが、内容は同じである。ここでの美濃口坦の論調は、さらに強まっている。

---------- 引用ここから ----------
「陰謀論」の利用のしかた-9・11テロについて・ 美濃口坦(萬晩報より転載)
http://www.asyura.biz/biz0310/war40/msg/297.html
投稿者 シジミ 日時 2003 年 10 月 06 日 08:59:20:1VmSkkGasXps6

http://www.yorozubp.com/0310/031006.htm

2003年10月06日(月)
ドイツ在住ジャーナリスト 美濃口 坦

 2003年9月11日、暇なときによくするように、私はインターネットで色々な国の新聞記事を走り読みした。たいていはタイトルと最初の一節を読むというより眺めて次の記事に移る。そのうちに偶然次の文章が眼にとまる。

「730日もたった今、なぜ私たちはあの日に起こったことについてろくろく知らないのだろうか」

 こう書いたのは米国・フィラデルフィア・デーリー・ニューズのウィリアム・バンチ記者で、あの日とはハイジャックされた旅客機がニューヨークの世界貿易センターとワシントンの国防省に突っ込んだ二年前の9月11日のことである。彼と同じように感じている人々は米国で少数派であるかもしれない。でも、大西洋を隔てた欧州では事情が異なる。

 ●裏に何かがある

 今年の夏、ドイツを代表する週刊新聞「ツァイト」に世論調査の結果が発表された。それによると「テレビや新聞が9・11について本当に真実を報道していたと思うか」という質問に対しては、そう思わない人がドイツ国民全体では68%、30歳以下になると78%も占める。また「9・11テロは米政府がやらせた」とまで思っている人は19%、5人に一人を占め、また30歳以下ではこの割り合いが31%に増え、ほぼ三人に一人になるという。ということは、ドイツ国民の大部分は「ビン・ラディンに操られた19人のアラブ人が9・11テロをひきおこし、米国政治指導者が不意打ちをくらって仰天した」という国際社会の通説をそのまま受け取らず、裏に何かがあると思っていることになる。

 米政府がここまでドイツ国民の信用を失ったのは、イラク戦争があって事実を曲げることを厭わない米政治家を目の当たりに見たからである。その結果、9・11テロ直後、米国のいうことを鵜呑みにしていた人々も不信感を抱くようになった。この米国観は、西ドイツ国民が親米的であった冷戦時代と比べて今昔の感がある。

 ●「パールハーバー」との類似

 この傾向はヨーロッパの中でドイツに限らない。例えばドーバー海峡のむこうでも、2003年6月まで6年間も環境相をつとめたマイケル・ミーチャーが「ガーディアン」に「対テロ戦争は偽レッテル」というコメントを寄稿している。

 この英政治家は、イラク戦争について論議が起こったのに「対テロ戦争」の端緒になった9・11テロに充分な関心が向けられなかったことを残念がる。彼は、米国が「ネオコン・一極支配」の実現のために同時多発テロを利用しただけでなく、(更に一歩踏み込んで、)米国がテロ事件発生を前もって知りながら拱手傍観したとまで主張する。例えば、米国が事件前に11カ国の諜報部からテロの警告を受けていたこと、テロ容疑者を泳がせていたこと、またハイジャック発生後(通常あるべき)戦闘機の緊急発進もろくろくなかったことに触れ、

「この無為無策は、責任者が状況を正確に洞察できなかったりうっかりしたりした結果であったのだろうか。それとも、9月11日に意図的に防空を放棄したためであろうか。もしそうなら、なぜそうなり、誰の命令でそうなったのだろうか。」

と疑問を投げかけて、「パールバーバー」のときのルーズベルト大統領との類似を指摘する。日本で「真珠湾攻撃」と呼ばれるこの事件で、国内世論を参戦に仕向けるために、米指導者は暗号の解読ができて攻撃を予知しながら2467人の自国兵士を死なせてしまった。ミーチャ‐英前環境相のこの発言に対して、駐ロンドン米大使館のスポークスマンが憤慨して抗議したのはいうまでもない。

 ●「陰謀論」という烙印

 9・11テロについて通説を疑問視することは欧米社会では「陰謀論」とされている。陰謀論は欧米社会でフリーメーソンから「シオンの議定書」まで、社会内の少数派の差別や迫害をひきおこした悪しき伝統とむすびつく。

 前世紀1980年代から、アウシュビッツのユダヤ人虐殺・ホロコーストは欧米人の意識の中にどっかりと腰をおろし、「ホロコースト史観」というべきものができあがってしまった。ジャーナリスト同志では「論敵に対して最初にアウシュビッツを持ち出したほうが勝つ」といわれる。これは、相手に「反ユダヤ主義者」のレッテルをはり胡散臭い存在にみせることで社会的孤立に追い込み黙らせることができるからである。このあたりの事情は日本から見えにくいかもしれない。

 アラブ世界に友好的なドイツの政治家が昨年パレスチナ問題でイスラエルのシャロン首相を非難しているうちに「反ユダヤ主義者」のレッテルをはられてしまう。この結果、コール政権下副総理をつとめたこの政治家は今年に入って党から追放されて自殺してしまった。イスラエル批判をするためにメディアにとって安全な道はユダヤ系の知識人に書かせるしかないのも、このためである。欧米は、パレスチナ問題である程度まで公平な立場をとり、そこから出発して政治的な解決をもたらすことができない。この残念なこともこの事情と無関係ではない。

 ブッシュ大統領は2001年11月に国連で演説した。その中の次の箇所もこの背景を考慮して理解されるべきである。

「、、、我々はテロについて真実を語らなければいけない。我々は9・11テロに関して放埓(ほうらつ)な陰謀論をぜったい許してはいけない。それは真の罪人、テロリストの責任をごまかすための悪辣な嘘だからである」

 米国の事件説明が「我々が語らなければいけない真実」、国際社会の通説に昇格したのは、世界中の多くの人々が超大国の剣幕の押されたり、事件の凄まじさに仰天したためだけではない。「陰謀論」と呼ぶことによって反ユダヤ主義と重ねて、論敵を黙らせることができるメカニズムがここで決定的に重要である。この結果、通説に疑問を投げかける厄介な人々は、「テロリストの責任をごまかすための悪辣な嘘」をいいふらす「陰謀論者」として扱われる。これが、ミーチャー前環境相も嘆いたが、9・11について議論を起こさせない口封じの仕組みである。

 9・11の数日後、「世界貿易センターで働いている4000人のユダヤ人は前もって警告を受けていて当日出勤しなかった」といううわさが生まれて、またたくまに世界中に広がり、イスラエルを憎悪するアラブ世界の通説になった。誰がさいしょにいいはじめたかは別にして、このうわさで見え透いた反ユダヤ主義的陰謀論を9・11テロにリンクさせることになり、欧米社会の内部では口封じの仕組みの機能強化を結果としてもたらした。私にはそう思われてしかたがない。

 火事があったら消防車が出動するように、どこの国でもハイジャックをはじめ、空で不可解な事件があればスクランブルのために戦闘機が出撃するのはあたりまえのことである。ミーチャ-前環境相も指摘しているが、2000年9月から翌年の6月まで間に米国でこの目的のために67回も戦闘機が出撃した。それなら、なぜ2001年9月11日にそれがろくろく起こらなかったのか。この疑問は陰謀論とも反ユダヤ主義とも関係ないはずである。

 ●赤いハチマキと「陰謀論の罠」

 町の中で誰かの家が燃えているのに消防車が車庫から出動しなけれ問題である。普通なら問題にされる国なのにそうならないのは、米国がその後「対テロ戦争」に突入し臨戦状態になってしまったからである。その結果、「今そんなことを話す時ではない」という雰囲気になった。このような事情は、「9・11調査委員会」を制限しようとするチェイニー米副大統領の次のような発言から読み取れる。

「・・・副大統領は、9月11日に起こったことの調査が『対テロ戦争』からその遂行能力と人力を奪うことを憂慮した・・・」

 次に戦争になったのは、9・11を「21世紀のパールハーバー」と当時米大統領が呼び、米国民にもそう思うようになったからである。

 私は、今年の9月11日前後、ドイツのテレビで「9・11、UA93便物語」というドキュメンタリー風劇映画を見た。これは当時ハイジャックされてペンシルベニアで墜落した飛行機の中で抵抗する乗客を描く。映画には乗客が携帯電話でした証言をもとにして製作されたという宣伝文句がついている。

 映画を見ながら奇異な感じがした。というのは、ハイジャックをしたアラブ人は赤いハチマキをしている。この扮装が私に9・11の前に封切りされた米国映画「パールハーバー」に出てくるゼロ戦の操縦士を思い出させたからである。興味を覚えてインターネットで調べると、飛行機の乗客ジェルミー・グリックさんにはハイジャッカーが本当にそう見えたことが確認できる。でもアラブ人テロリストは本当に赤い鉢巻をしていたのだろうか。文化的違和感を覚える人は少なくない。

 このような瞬間である、自分も「陰謀論者」になりそうになると私が思うのは。というのは、9・11直後、携帯で家族に別れを告げた乗客の話が世界中のメディアに報道されて、私たちの涙を誘った。(当時報道されたものは直接というより第三者、例えばFBIの担当者の話から記事にしたものが多いといわれる。)

 これに関して、昔シュミット政権の80年代に科学相だったアンドレアス・フォン・ビュローは「CIAと9・11」という本の中で高い空を時速800キロで飛ぶ旅客機から携帯電話を使用できたことを疑い、「700メートルの高さからでは市販の携帯電話のほとんどが、また2000メートル以上になると完全に使用不可能になる」という実験結果を指摘している。

 でもここまで来ると、技術に弱い文科系出身の私は判断に困ってしまう。冷戦時代に肥大化した諜報活動が議会のコントロールされていない点に大きな危険があると指摘するビュローさんに私は賛成する。でも本当にCIAは何もかも完璧に組織し実行できるのであろうか。これはCIAを過大評価し「全知全能の神」に似た存在に昇格させてしまうことである。でもこの組織も官僚的で硬直してとんまな失敗をすることだってあるのではないのだろうか。今夏、日本から来たヘーゲル哲学の研究者の友人が陰謀論に熱中する私に警告して、「歴史からすべての偶然を放逐し万象の背後に『神の反対存在』の作為を見ることが陰謀論の罠である」といったのこのことである。わからないことはわからないとか、不思議だとか思っているいるのが精神衛生上よいことになるのかもしれない。

 ●陰謀論的世論操作

 イラク戦争では米国と欧州が対立したが、これは大西洋をはさむ両大陸では大きな認識ギャップがあったからである。同じ現実が異なって見えていることに欧州の住人が気づいたのはブッシュ大統領が「悪の枢軸」といいだした頃からである。というのは、これも陰謀論で、皮肉なことに(政治家を含めて)多くのヨーロッパ人には薄気味悪くなってきたからである。 

 最近、米国民の69%がサダム・フセインも9・11テロにかかわったと思っているという世論調査の結果が発表された。これも見新しいことでなく、米国民は、ハイジャックをしたアラブ人がフセインから派遣されたとずっと思っていて、だからイラク攻撃を賛成した。このように考えることは、アラブ社会主義のバース党とイスラム過激主義とが頭の中でむすびつかないヨーロッパ人には理解できない。このような奇妙な考え方を米国人の多くがもつのは、米政府が欧米社会全体での「口封じ」のためだけでなく、自国内の世論操作に「陰謀論」を利用していることなる。

 少し前、ブッシュ大統領が記者にむかって「フセインが9・11をやらせたという証拠は米政府にない」と認めた。国民の69%が反対のことを信じ、米政府関係者もそのように仕向けたのに、このブッシュ発言は米国で大ニュースになると思うのが普通ではないのか。ところが現実はそうならないで、主要新聞では誰も読まないような後ろのページに追いやられてしまったといわれる。

 こうなってしまうのは、すでに述べた米国内の愛国的臨戦状態ムードと関係がある。(この状況は、大統領選が本格化すると変化するといわれる。)でもニュースのこの扱い方はメディアに関係する者には理解できないことではない。この業界では日々起こる事件が商品で、それを早くお届けすることが重要である。事件とは起こったことであり、その意味づけは二次的である。またそこではたらく者も忙しく事件の意味を考えたり判断したりする習慣を失う危険がある。

 よく指摘されることであるが、この点で古いニュース記事がいつまでも読めるインターネットに重要な是正機能が期待される。この事情をしめすために、いつもの私の習慣に反して今回は索引をもうけた。

□引用・参考

■フィラデルフィア・デーリー・ニューズの記事
 http://www.philly.com/mld/dailynews/6742902.htm
■「ツァイト」世論調査 
 http://www.zeit.de/2003/31/Umfrage
■「ガーディアン」のマイケル・ミーチャーの寄稿   
 http://www.guardian.co.uk/comment/story/0,3604,103657100.html
■駐ロンドン米大使館のスポークスマンの反応
 http://politics.guardian.co.uk/iraq/story/0,12956,1036591,00.html
■欧米人のホロコースト史観について
 http://www.yorozubp.com/0104/010419.htm
■ブッシュ大統領は2001年11月国連で演説
 http://www.cafe.tg/ustogo/wwwhlmesppb.html
■ユダヤ人が出勤しなかったうわさがどのように生まれたか
 http://slate.msn.com/id/116813/
■9・11に戦闘機が出撃しなかったことについては日本で田中宇氏が書いておられた。
 http://www.tanakanews.com/c0128wtc.htm
 その他の疑問点といっしょに本として出版され  
 http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9975664512
■チェイニー米副大統領の発言
 http://www.cnn.com/2002/ALLPOLITICS/01/29/inv.terror.probe/index.html
■ジェルミー・グリックさんの電話証言
 http://www.freewebz.com/jeffhead/attack/heroes.htm
■アンドレアス・フォン・ビュローの本
 http://www.perlentaucher.de/buch/14783.html
■携帯電話の実験
 http://feralnews.com/issues/911/dewdney/project_achilles_report_2_030225.htm
■「世界とアメリカで広がる情報ギャップ」については萬晩報の
 http://www.yorozubp.com/0304/030406.htm
■この陰謀論が「陰謀論」をよびおこすことについては筆者コラム
 http://www.asahi.com/column/aic/Tue/d_tan/20020507.html
■世論調査の結果
 http://www.washingtonpost.com/ac2/wp-dyn?pagename=article&node=&contentId=A32862-2003Sep5¬Found=true
 それに対する論評 
 http://www.gopusa.com/news/2003/september/0908_hussein_911.shtml
■ブッシュ大統領の告白
 http://www.boston.com/news/world/articles/2003/09/18/bush_puts_distance_on_a_hussein_link_to_911
■告白が大きなニュースにならなかったことについて米人ジャーナリストの論評
http://editorandpublisher.printthis.clickability.com/pt/cpt?action=cpt&expire=&urlID=7602639&fb=Y&partnerID=60

 美濃口さんにメールは mailto:Tan.Minoguchi@munich.netsurf.de
---------- 引用ここまで ----------

 ここには、田中宇の通信が、資料として挙げられている。田中も、元共同通信記者である。テレビ朝日のワイドのコメンテーターにもなった。つまりは、彼も、大手メディアの仲間である。これが面白い。田中は、911当初には、自作自演説を取っていなかったのだが、段々と近寄ってきた。

 美濃口の上記の文章の中で、特に論評を必要とするのは、以下の部分である。

---------- 引用ここから ----------
 9・11の数日後、「世界貿易センターで働いている4000人のユダヤ人は前もって警告を受けていて当日出勤しなかった」といううわさが生まれて、またたくまに世界中に広がり、イスラエルを憎悪するアラブ世界の通説になった。誰がさいしょにいいはじめたかは別にして、このうわさで見え透いた反ユダヤ主義的陰謀論を9・11テロにリンクさせることになり、欧米社会の内部では口封じの仕組みの機能強化を結果としてもたらした。私にはそう思われてしかたがない。
---------- 引用ここまで ----------

 私は、この「4000人のユダヤ人」問題を、911事件直後から重視し、徹底調査し、わが編著『9・11事件の真相と背景』(副題:「テロ」か? 自作自演の戦争挑発謀略か?アメリカ=イスラエル=世界支配構想の核心を突く)「第3章 イスラエル秘密情報機関モサド・アメリカ軍部・極右の自作自演説」の中で、以下(p.90-93)のように簡略に記した。

---------- 引用ここから ----------
●モサド関与説の根拠「行方不明のイスラエル人」はイスラエル外務省発表!

 私が最初に、その事実を知ったのは、アメリカの独立系の電網宝庫の掲示板の議論を見た時なのだが、何と、その情報源はイスラエルの外務省だったのである。[中略]

 取り込んだ次の題名の英文、Unreported News
Evidence of Mossad Treachery in the WTC Attackは、
以下のわが通信記録としてわが電網宝庫に保存されている。

http://www.jca.apc.org/~altmedka/akuukan-01-11-110.html
『亜空間通信』110号(2001・11・25)
【9・11世界貿易センター攻撃に関するモサドの欺瞞の証拠・敵性証拠による立証】

 問題の用語は「ユダヤ人」(Jews)ではなくて「イスラエル人」(Israelis)だった。アメリカのユダヤ人またはユダヤ系アメリカ人は、ほとんどイスラエルと二重国籍のようである。公式のデータは見ていないが、イスラエルは、それを国策として奨励しているのである。

 アメリカのユダヤ人、特に最大の商業都市のニューヨークに住み、働くユダヤ人の多くは、世界貿易センターのような商業の中心地区に通勤している。ニューヨークはユダヤ人の人口比率が最も高い都市だから、ニューヨークをふざけて「ジュウヨーク」と呼ぶ人もいる。これも正確な数字は見ていないが、おそらく万単位のイスラエル人が、あの双子ビルに職場を持っていたと考えられる。

 当然、事件発生と同時に、二重国籍を含むイスラエル人の安否に関しての緊急調査活動が開始され、わけてもイスラエルの外務省および現地の領事館は、奮闘したに違いない。

 そこで話を戻すと、イスラエル外務省発表として、世界貿易センタービル「周辺」の「4000人」に関して「行方不明」と報道したのは、事件の翌日、9月12日付のイスラエルの英字紙、『エルサレム・ポスト』だったのである。 1年有余を経て、2002年9月24日現在、私自身の確認によると、この記事は、以下のURLに存在し続けている。

http://www.jpost.com/Editions/2001/09/12/LatestNews/LatestNews.34656.html
Thousands of Israelis missing near WTC, Pentagon

 この記事の核心部分は以下の通りである。拙訳とともに原文を添えておく。

 「エルサレムにある外務省は、これまでに、攻撃時にWTCとペンタゴン周辺にいたと信じられる4000人のイスラエル人の名前を受け取った。このリストは、いまだ友人や家族と連絡が取れていない人々からなると、軍の放送は報道した」

(The Foreign Ministry in Jerusalem so far received the names of 4,000 Israelis believed to have been in the areas of the World Trade Center and the Pentagon at the time of the attack. The list is made up of people who have not yet made contact with friends and family , Army Radio reported.)

 前記のアメリカの独立系の電網宝庫の掲示板には、この記事を掲載する紙面の電網リンクがあったので、私は、直ちにたどって到達し、色刷り複写を確保した。

 ところが、このことが広く各種の電網情報で流れているにもかかわらず、また、私自身が直接、何度も随時教えているにもかかわらず、日本の大手メディアはいまだに、まったく、そのことを報道していないのである。[後略]
---------- 引用ここまで ----------

 わが徹底調査の結果に、美濃口や、田中や、または萬晩報が、追い付くことができるのか否か、さらには、それを似非紳士どもが、以下に取り込み、「バスに後遅れ」せず、ジャンケンの「後出し」の子供でも批判する欺瞞の連続で、「常に真実を速報」などの偽看板を掛け続けることができるか否か、これが、これからの見所である。

 私は、湾岸戦争の時期の経験に基づいて、今回は、すでに1年と3ヶ月前に、以下の警告を発して置いた。

---------- 引用ここから ----------
http://www.jca.apc.org/~altmedka/aku297.html
http://www.asyura.com/2002/war13/msg/483.html
『亜空間通信』297号(2002/07/10)
【911テロ呼ばわりした言論人は戦争屋ウィルスを自覚せよ、わが反攻の秋近し】

[中略]
 911事件をテロと表現した者をすべて「ブッシュの手先」とか「戦争屋の手先」と言い切ると、またもや敵を増やすことになるが、相手の職業によっては、やむを得ない。意識的か否かを問わず、「ジャーナリスト」とか「メディア論」とかの肩書きで「言論人としての発言をしている者に関しては、影響力を自覚しているはずだから、当然、責任を問わざるを得ない。今後の彼らの「言論活動」の評価にもかかわるので、やはり、「手先」になったことには間違いがないと言わざるを得ないのである。

 私は、あえて断言するが、911をイスラエルまたはアメリカの自作自演の謀略と見抜けなかった者は、相当な懺悔なしには今後、言論をなすべきではない。懺悔するまでは、許してはならない。気軽に許すと、またもや、世論誤導の誤りを繰り返す可能性が高いからである。
[後略]
---------- 引用ここまで ----------

 なお、蛇足の付言をすれば、情報の出所を調べもせずに、誹謗中傷するのは、元朝日新聞記者の本多勝一がしでかした「南京攻略戦の百人斬り競争」問題と同工異曲である。これは、朝日新聞の得意芸なのかもしれない。

 以上。


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