シリーズ<マスコミが伝えないイラク戦争・占領の現実>その4
人権無視の象徴、「現代の強制収容所」=グアンタナモを閉鎖せよ!
−−アブグレイブ・スキャンダルから一年。次々と明らかにされるブッシュ政権による国家ぐるみの拷問・虐待・虐殺システム−−

「グアンタナモは閉鎖されなければならない。
アブグレイブは閉鎖されなければならない。
米国によって運営されている全ての違法な収容施設と監獄は、
閉鎖されなければならない。」(米国の反戦団体“ United for Peace and Justice”)


============= 目  次 =================
[1]はじめに−−コーラン冒涜事件をきっかけにグアンタナモの拷問・虐待・虐殺が再び暴かれる。
(1)アブグレイブ・スキャンダルから一年。イラク戦争・占領の出口のない「泥沼化」が再び国家的な拷問・虐待スキャンダルを明るみに出す。
(2)きっかけはコーラン冒涜事件。大きな役割を果たす人権擁護団体アムネスティーと全米市民自由連合。
[2]コーラン事件は氷山の一角−−ブッシュ政権、「対テロ戦争」を口実に全世界の米軍収容施設・監獄で大規模で組織的な人権侵害。
(1)ニューズウィーク誌が暴露したコーラン問題。ブッシュ政権の政治圧力で返って問題が拡大。
(2)警告を無視し続けたブッシュ政権−−コーラン冒涜は以前から国際赤十字などによってすでに指摘されていた。
[3]ウソと開き直り、苦境に陥るブッシュ政権−−アムネスティー攻撃で墓穴を掘る。
(1)「アムネスティー報告」の衝撃。ブッシュ政権の狼狽と開き直り。
(2)「拘束者たちは楽園で暮らしている」−−相次ぐ閣僚の暴言。
(3)国連人権委員会も真相解明に乗り出した。
[4]「対テロ戦争」とは“現代の強制収容所”−−“アムネスティー報告書”が克明に記したブッシュ政権による拷問・虐待・虐殺の犯罪記録。
(1)全世界に広がる米軍の収容施設・監獄における違法な拘束、違法な拷問・虐待・虐殺の全体像−−初めて暴かれたその全容。
(2)アブグレイブは今も続いている。
(3)アムネスティーもグアンタナモを初めとする違法拘束施設の閉鎖を要求。
(4)国際世論や人権擁護団体の警告に逆行。米占領軍、イラクで収容施設の拡大計画を発表。
[5]米反戦団体“ United for Peace and Justice”が「グアンタナモを閉鎖せよ!」のスローガンを前面に押し出す。
(1)「グアンタナモ閉鎖」が米反戦団体の中心スローガンに。
(2)“ダウニング・ストリート・メモ”の暴露と結び付けられ、“イラク戦争の大義”のねつ造が改めて暴かれる。

2005年7月5日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局



[1]はじめに−−コーラン冒涜事件をきっかけにグアンタナモの拷問・虐待・虐殺が再び暴かれる。

(1)アブグレイブ・スキャンダルから一年。イラク戦争・占領の出口のない「泥沼化」が再び国家的な拷問・虐待スキャンダルを明るみに出す。
 イラクのアブグレイブにおける米軍の組織的な拷問・虐待・虐殺が明らかになってから、早一年以上が経過した。私たちもアブグレイブ・スキャンダルに関心を寄せ、まさにこの事件がブッシュ政権の「対テロ戦争」政策と不可分に結び付いていること、それは現場の末端兵士の個人的な犯罪行為ではなく、ブッシュ大統領とその法律顧問が公然と指図し、国防長官や国防事務次官、統合参謀本部議長などペンタゴン全体が関与したブッシュ政権の国家ぐるみの第一級の戦争犯罪であることを糾弾した。またアブグレイブの拷問・虐待・虐殺の責任を追及することがすべての米軍施設における同様の行為を止めさせることにつながること、将来の米軍の無法な行動を制約することになることを訴えてきた。(1-1)
※(1-1) 『アブグレイブ:ブッシュ政権の中枢の第一級の国家戦争犯罪』(署名事務局 パンフレット)

 しかし、このおぞましい事件は徐々にマスコミ、報道機関の関心から遠ざかり、拷問・虐待・虐殺に加わった末端兵士の一部を訴追することで忘れ去られるかのように思われた。ところが今、米軍による拘束者拷問の真相究明と追及は、形を変えて再び表舞台へと現れてきた。ニューズ・ウィーク紙が報じたコーラン侮辱問題は、アフガニスタンやパキスタンで多くの死者を出す大規模な反米抗議行動に発展し、突如国際政治の焦点のひとつに浮上した。その後の展開は、米軍による広範な拘束者拷問、とりわけグアンタナモにおける拘束者拷問に注目が集まっている。そして、「グアンタナモを閉鎖せよ!」の声が公然と上がるようになった。

 なぜ事態はこのような展開を見せ始めたのか。一年前は、アブグレイブ・スキャンダルとグアンタナモの関係があれほど問題視されたにもかかわらず、米国のマスコミ、政治家たちは、グアンタナモの閉鎖を求めなかった。まさに、一年前のアブグレイブ・スキャンダルとは異なる政治状況が現出しているのである。図1[イラク戦争への米軍派遣の是非を巡る世論調査]を見てみよう。賛成が減少し反対が増加するのは2003年であり、2004年は一年を通じて拮抗が続いたのである。しかし今年に入ってからは、その状況が一変する。最新の6月の調査では、反対は賛成を大幅に上回る事態となっている。明らかに米国世論は、イラク侵攻は失敗であったと感じており、撤退を求め始めているのである。


図1[イラク戦争への米軍派遣の是非を巡る世論調査](ギャロップ社調査)

 その原因は明白である。反米武装抵抗運動の持続・拡大、反米感情の増大、傀儡政府の機能麻痺、出口のない駐留の長期化、イラク治安部隊再建の異常な困難、増大する米軍兵士の犠牲等々、まさにイラク占領支配の破綻、「泥沼化」である。もはや占領支配の破綻は取り繕うことが出来ないまでに深刻化している。ブッシュ大統領は、「テロリストがイラクに終結している」ことを「テロとの戦争」の成果と強弁しているが、しかしこれが詭弁であることに誰もが気が付き始めている。

 さらに最近、そこに“戦争の大義”をめぐる新たな疑惑が加わった。いわゆる“ダウニング・ストリート・メモ”(1-2)漏洩事件である。2003年3月の開戦の約8ヶ月前、2002年7月にイギリスの首相官邸で開かれた会議における「内部メモ」が暴露されたのである。ブッシュ政権はイラク侵略を正当化するために、根拠が薄弱な大量破壊兵器問題、アルカイダとのつながりを利用しようとしている。このようなブレア首相周辺の見通しを語ったメモの存在が明らかになったのである。しかもその後ブレアは、このウソとでっち上げを知りながら、結局はブッシュに付き従って侵略戦争に参戦することとなった。いわばこの“メモ”は、“侵略の謀議・陰謀”の決定的証拠なのである。ブッシュ政権は沈黙を決め込んでいるが、議会の中から追及の声が上がり始めている。ブッシュ政権のイラク政策への不信感が増大しているのである。
※(1-2)ダウニング・ストリート・メモについては以下のサイトを参照 http://www.japana.org/peace/japana/secret_documents.html

 これまでイラク戦争を支持してきた勢力からも、イラク占領支配の破綻の責任を問う声が出始めている。共和党からも「泥沼化」の懸念、撤退期限を明示することを求める声が上がり始めている。マスコミや議会の間でこれまで「テロとの戦争」の前に封殺されてきたブッシュ政権批判が、再び急速に高まりつつある。(1-3)
 まさにその最大の焦点の一つが、グアンタナモ基地閉鎖要求なのである。グアンタナモ基地閉鎖をめぐる声が、海外から、また人権擁護団体からも根強いことも、その動きを後押ししている一つの要因である。(1-4)
※(1-3)イラク情勢で応酬 米軍事委員会公聴会(産経新聞) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050624-00000029-san-int
※(1-4)Guantanamo fuels hatred, boosts al Qaeda - report http://www.alertnet.org/thenews/newsdesk/L0143064.htm


(2)きっかけはコーラン冒涜事件。大きな役割を果たす人権擁護団体アムネスティーと全米市民自由連合。
 グアンタナモにおけるコーラン冒涜事件が米軍の拘束者拷問問題に再び火を付けた。グアンタナモにおける拘束者拷問問題は、アブグレイブ・スキャンダル以後も度々マスコミにも取り上げられてきた。しかし、政治問題として浮上することはなかった。まさに、イラク占領支配の破綻、ブッシュ政権の軍事外交政策の行き詰まりが明白になりつつある今だからこそ、政治的問題化し、閉鎖要求といった形で浮上したのである。

−−米軍施設における拘束者拷問を訴え、その責任追及に大きな役割を果たしてきたのが、アムネスティー・インターナショナルをはじめとする人権擁護団体である。彼らは、全世界の米軍施設、とりわけグアンタナモにおけるブッシュ政権の深刻な人権侵害を追及している。(1-5)
−−また全米市民自由連合(ACLU)はFBIの機密解除の記録を公開させ、人権侵害では済まされない拘束者に対するおぞましい米軍による拷問・虐待・虐殺行為を次々に人々の前に明らかにしている。(1-6)
−−そして今、その追及が国連をも動かし、米議会内では「グアンタナモ基地の閉鎖もやむを得ない」との声が上がり始めるようになっている。この拘束者に対する人権侵害は、ブッシュ政権の軍事外交政策の根幹である「テロとの戦い」の是非をめぐる、非常に政治的な問題である。人道問題であるだけではなく、ブッシュ政権の軍事外交政策を厳しく批判するものとなっている。当然のこと、ブッシュ政権側からの必至の巻き返し、恫喝や脅迫も巻き起こっている。
※(1-5)United States of America Guantanamo and beyond: The continuing pursuit of unchecked executive power (アムネスティー・インターナショナル) http://web.amnesty.org/library/Index/ENGAMR510832005
※(1-6)全米市民自由連合(ACLU) 「FBI記録」 http://www.aclu.org/torturefoia/released/052505/

 アブグレイブ・スキャンダルが全世界に知れ渡ってから1年以上が経過したが、触れられるこの無かったアブグレイブ・スキャンダルの原点、国家ぐるみの拷問政策の出発点であるグアンタナモに今もう一度、メスが入ろうとしている。アブグレイブ・スキャンダル糾弾の矛先を巧みにかわしてきたブッシュ政権ではあるが、何の罪もない人間を、自己弁護の権利も裁判の手続きも認めずに一方的に拉致・拘束し、グアンタナモをはじめとする全世界の米軍施設に不法に収容してきたブッシュ政権のやりたい放題の振る舞いに再び非難が集中している。アブグレイブの亡霊が再び蘇ったのである。亡霊は、ブッシュ政権の首謀者たちを苦しめるだけではなく、健忘症にかかった世界中の人々に警鐘を鳴らしているのである。



[2]コーラン事件は氷山の一角−−ブッシュ政権、「対テロ戦争」を口実に全世界の米軍収容施設・監獄で大規模で組織的な人権侵害。

(1)ニューズウィーク誌が暴露したコーラン問題。ブッシュ政権の政治圧力で返って問題が拡大。
 米軍施設に長期にわたって拘禁された拘束者への尋問過程においてコーランが便器に投げ込まれるなど不当に扱われた。このような記事が掲載されたニューズ・ウィーク誌(2005年5月9日号)が発売されるや否や、アフガニスタン、パキスタンをはじめとするイスラム諸国において、猛烈な反米抗議行動が沸き起こった。この事件を通して、米軍施設に拘禁さている「テロとの戦争」の拘束者への処遇に再び注目が集まった。
 しかし5月16日、コーラン冒涜を報じたニューズ・ウィーク誌は、「情報源を確認できない」という理由に基づき謝罪と共に記事の取り下げを決定した。(2-1)ブッシュ政権の圧力に対して同誌は屈したのである。
※(2-1)米誌ニューズウィーク、コーラン冒涜記事取り消し(日経新聞)http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=STXKC0022+17052005&g=MH&d=20050517

 しかし同誌が取り下げた直後、全世界の米軍収容施設でコーランの冒涜が広範に行われていた事実が明らかになった。米の人権団体・全米市民自由連合(ACLU)が5月25日、秘密解除となったFBIによるグアンタナモ基地における拘束者からの聞き取り調査記録を公表したのである。(2-2) その結果、ニューズ・ウィーク誌が取り消した米軍関係者による尋問の手法の一部としてのコーランの冒涜が、実は広範に行われていたことを隠せなくなった。そしてその調査記録は、コーランの冒涜以外にも、グアンタナモをはじめ全世界の米軍収容施設において、非常に深刻な人権侵害、尋問の名目による拷問・虐待行為が繰り返されていた事実を明らかにした。表1 グアンタナモ拘束者へのFBI聴取(FBI報告書−秘密解除文書)はそのごく一部である。
 コーランの冒涜は、広範に、普通に見られた行為であった。しかしそれ以外にも、殴打は言うに及ばす、素っ裸にする、性的暴行、冷凍庫に閉じ込める、精神的に追い詰める、親族との連絡を絶つ、そして注目すべきケースとして米国以外の諜報・治安要員と協力して不当な尋問を実行する等々、アブグレイブで明らかになった行為がグアンタナモ、世界の米軍収容施設において繰り広げられていたのである。
※(2-2)「聖典冒涜」とFBI報告 米人権団体が入手(U.S. FrontLine News,)http://www.usfl.com/Daily/News/05/05/0526_005.asp

 これらは全てFBIの公式記録である。コーランの冒涜問題ではニューズ・ウィーク誌を黙らせることに成功したブッシュ政権であるが、もはや米国は開き直ることができなくなった。国防総省は、キューバのグアンタナモ基地におけるコーランを不適切に取り扱ったケース5件を盛り込んだ内部調査結果を6月5日に発表し、沈静化を図ろうとした。(2-3) あれほどニューズ・ウィーク誌に噛み付いたにもかかわらず形勢が不利と見るや、ブッシュ政権はコーラン冒涜問題について一切コメントしなくなった。しかも国防総省の調査結果は、あまりにも過小評価したものであった。表1を見ると明らかであるが、多くの拘束者たちが尋問過程において米軍関係者がコーランを不当に、冒涜するかのように取り扱ったことを告発している。コーラン冒涜問題をめぐる国防総省の内部調査結果もまた、氷山の一角だったのだ。
※(2-3)5件が不適切と最終報告 コーランをめぐり米国防総省(共同通信)http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050604-00000050-kyodo-int

 いったん解き放たれた情報の流れを止めることはできない。6月13日のタイム誌は、グアンタナモ基地に拘束されている「アルカイダ・メンバー」の尋問の極秘記録を公表した。犬のまねの強要、トイレや睡眠制限、これらアブグレイブ・スキャンダルにおいて、ブッシュ政権が国防総省、CIAなどの諜報機関に実行させた尋問手法が、グアンタナモで広範に行われていた事実が報道された。(2-4)
 米政府は昨年、アブグレイブ・スキャンダルをめぐって全世界から強烈な非難を浴びた。しかし、その最高責任者であるブッシュ大統領とラムズフェルド国防長官をはじめ関与した閣僚たちは、末端兵士にすべての罪を押し付けることで、アブグレイブの責任を逃れようと画策した。すでに現場で手を下した兵士たちの多くに判決が下された。ブッシュらは幕引きが成功したと思ったに違いない。今回のグアンタナモ事件の発覚は、そんなブッシュ政権を再び直撃している。
※(2-4)犬のまね強要、トイレや睡眠制限=テロ容疑者の尋問記録−米紙(時事通信)http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050613-00000283-jij-int


表1 グアンタナモ拘束者へのFBI聴取 (FBI報告書−秘密解除文書)
(一部を抜粋、記録記述については摘出)
拘束者番号 記録日 記録記述
3836-3838 2002/04/06 MPは拘束者に対して、独房の中の屑入れバケツの周辺に押し倒したりそれを投げつけたりし、・・・・時には、コーランを蹴ったりした。
3855-3854 05/02 他人の前で素っ裸にされた。
3855-3859 06/07 X-ray収容所にいた数週間前、意識を失うまで殴られた。
3879 07/23 十分に眠ることが出来ずに、気が狂いそうだった。拘束者は、PTSDとうつ状態にあると診断された。
3878-3881 08/01 看守はひどく取り扱った。・・・5ヶ月前、看守は彼をひどく殴った。彼らはコーランをトイレに流した。看守は、拘束者が祈りを捧げている間、その周辺で踊っていた。今も続けている。・・・
3882-3883 08/02 米軍兵士に殴られた。・・・ヘリコプターで別の場所に運ばれて、殴られた。
3892-3893 08/28 米軍兵士があごを蹴った。・・・
3896-3899 09/06 二日間にわたり拷問を受けた・・・しかしその後、治療を受けることが認められなかった。
3906-3907 10/03 蹴られ、冷水を浴びせられた。
3908-3909 10/07 自殺をちらつかされ、非常なストレスを受けた。
3913-3914 10/12 ・・・一日に1000mlにも満たない水だけだった。この6日間、食事も摂っていない。
3923 10/21 米国は手紙を取りあげる。拘束者は反抗的になり、殺すように看守に求めた。
3926-3927 10/22 家族からの連絡を絶たれ、非常なストレスを感じている。・・・今も家族からの手紙を待っている。それがきっちりと配達されるのかどうかに悩んでいる。
3937-3838 11/20 人権が侵害されている。・・・奴隷のよう取り扱いである。
3953 12/12 鎖に繋がれて動き回る動物のような処遇である。
3959-3960 2003/01/08 しばしば拘束者は、毛布もなく数日間、冷凍庫の部屋の中に押し込められた。・・・コーランを報酬や懲罰に利用することは正しくない。それはコーランを冒涜することである。
3962 01/21 ある拘束者がひどく殴れら殺されたとことを耳にした。コーランの取り扱いの件で、看守と激論になった・・・。
3966 0204 看守はコーランを独房の床に投げつけ、コーランを侮辱の手段に利用した・・・。
3972-3973 03/17 大量の自殺が計画されているという話を耳にした。・・・数百人にものぼるとも聞いた・・・。
3973-3976 03/18 コーランが、拘束者への武器として利用されている。・・・
3982-3984 03/28 コーランへの取り扱いが、協力したくない理由となり続けている。・・・コーランは特別な、重大な問題なのである。
3987 04/08 インタビュールームにおいて性的暴行を受ける。股間を検査されたり、男性看守に性的な嫌がらせを受けた。・・・
3988 04/08 ポルノ画像を見せられた。
3992-3995 04/08 コーランが、規則を破った際の懲罰のための手段として利用されている・・・。
3996-3997 04/09 看守がコーランを床に投げつけた。
3998 04/10 パキスタン警察は電気ショックを与え、米軍は殴った。
4008-4010 04/21 尋問から戻ってきた拘束者は、顔、頭が血まみれだった。
4017-4018 04/28 バグラムにおいて拷問を受け、一人あるいは二人が死亡したと聞いたことがある。
4042-4043 05/19 看守が拘束者をからかっている。彼の鼻は、殴られ変形しているのである。(意訳あり)
4047 05/31 昼夜関係なく尋問を受け、殴られている。
4056-4059 07/19 バグラムで拘束されたときにはひどい扱いを受け、キャンプデルタに移送された。
4062-4963 07/24 尋問担当者は、コーランを冒涜した・・・。
※全項目については、http://www.aclu.org/torturefoia/released/052505/ 参照のこと。


(2)警告を無視し続けたブッシュ政権−コーラン冒涜は以前から国際赤十字などによってすでに指摘されていた。
 コーラン冒涜問題はいきなり世間を騒がせるようになったが、しかしこの問題は以前から国際赤十字によって警告が発せられていた。6月のはじめ、国際赤十字は2002年の時点においてすでに、グアンタナモの拘束者から米当局者がコーランを粗末に取り扱っているとの報告を受け、それを国防総省に伝えていたことを暴露した。国防総省は自らが調査を実施し、計5件の該当行為が見られたと厚顔無恥にも発表した。しかし彼らは、外部団体から指摘を受け、事前に事実を知っていたのである!

 国際赤十字の主張をさらに詳しく検討してみると、すでに2002年から2003年初め頃、複数回にわたって、国防総省にそのことを伝えたという。しかも米軍は基地内部のガイドラインとして、「コーランを床やトイレ、・・・等の場所に絶対置かないこと」とする指令を出していたことが分かっている。コーランを不当に扱う行為、冒涜行為が、広範に行われていたこと、拘束者から、あるいは国際赤十字からクレームが寄せられていたことからこのようなガイドラインを策定したことは明白である。なぜブッシュ政権は、ニューズ・ウィーク誌に噛み付き、否定しようとしたのか?世論の目から真実を隠し通せると思ったからに相違ない。万事がそんな調子だ。かつてのアブグレイブ・スキャンダルと同様の構図である。



[3]ウソと開き直り、苦境に陥るブッシュ政権−−アムネスティー攻撃で墓穴を掘る。

(1)「アムネスティー報告」の衝撃。ブッシュ政権の狼狽と開き直り。
 今年5月、アムネスティーは、世界各地の米軍収容施設における人権侵害の実態を公表した。直後ブッシュ政権は、この報告書に慌てて憎悪をむき出しにした。ブッシュ大統領、チェイニー副大統領は、アムネスティーに対する公然たる批判・反撃を開始した。
 「テロリストは人権団体を利用している。」これがブッシュ政権の一貫した主張である。閣僚のそれぞれが何を述べているのか、アムネスティーへの憎悪の深さが反映しており滑稽である。親玉のブッシュ大統領は、「私は、アムネスティー・インターナショナルの報告書を知っている。それは、馬鹿げた代物だ。米国は、世界全体に自由を推進する国である。ワシントンは現在、捕虜に関する一切の問題を調査している。・・・(報告書の)内容は、拘禁された人々、米国人を憎んでいる人々、米国をバラバラにしようとしている人々の言葉と主張に基づいているように思えるが、真実を語っていない。馬鹿げた報告書だ。」と語っている。

 影の官房であるチャイニー副大統領は次のように語っている。「米国が人権を侵害していると主張したいアムネスティー・インターナショナルに対して、私はそれらを深刻には受け取っていない。・・・率直に言って私は怒っている。私は、実際問題として、米国が、自由という大義をさらに前進させてきたし、世界史上において今日にまでその他の国家以上に、20世紀を支配してきた圧制から人々を解放してきた」と。そして、拘束者への不当な取り扱いについて言及されるや、「解放された者たちは、どのように処遇されてきたのか、嘘をつくだろう」と語った。(3-1)
 ライス国務長官もまた同様に、アムネスティーの報告書を「馬鹿げたもの」と断じた。統合参謀本部議長のマイヤーズも「無責任極まりない」と、報告書の批判を展開した。右派の論客であるウォール・ストリート・ジャーナル紙のネオコンの代弁者は、「アムネスティー・インターナショナルのモラル低下の一つに過ぎない」と応じた。
※(3-1)Bush,Cheney Attack Amnesty International http://www.commondreams.org/headlines05/0601-01.htm

 ブッシュ政権と右翼論壇は、アムネスティーに的を絞り、ありとあらゆる誹謗中傷を集中している。。政治的恫喝や脅迫によって黙らせようとしている。(3-2) しかしそれに対してアムネスティーは、「テロとの世界戦争とは、現代における強制収容所」と反論、あくまでもブッシュ政権の責任を追及する姿勢を堅持している。ブッシュ政権からの反撃は、アムネスティーの主張がどれほど彼らにとって手痛いものなのかを証明するものである。
※(3-2)グアンタナモ基地巡り非難の応酬 米政府と人権団体(朝日新聞)2005/06/03
http://news.goo.ne.jp/news/asahi/kokusai/20050603/K2005060300970.html?C=S
「グアンタナモ以外にも隠れた収容施設」 人権団体が批判(CNN)2005/6/6
http://cnn.co.jp/usa/CNN200506060013.html


(2)「拘束者たちは楽園で暮らしている」−−相次ぐ閣僚の暴言。
 コーラン冒涜問題の発覚、人権擁護団体からの拘束者への人権無視の実態告発に揺れ動くブッシュ政権は、その最大の象徴であるグアンタナモの閉鎖をめぐり、右往左往している。カーター元大統領が主宰する人権団体からも閉鎖を要求する声が上げられていることに象徴されているように、議会民主党や大物議員からも公然たる閉鎖主張の声が徐々に高まっているのである。(3-3)ブッシュ大統領は、「あらゆる代替策を探っている」として、追及をかわそうとした。(3-4)しかし直後に強硬派のチェイニー副大統領は、閉鎖を強く否定した。(3-5)
 この問題をめぐりブッシュ政権は、非常に神経質になっている。グアンタナモの閉鎖をめぐる問題は、「テロとの戦争」を掲げたブッシュ政権の軍事外交の基本政策をめぐる論争を内に含む非常に政治的な問題だからである。この面での譲歩は、これまで掲げてきた「テロとの戦争」路線を後退させかねない。「対テロ戦争」路線と拘束者拷問システムは、そこまで密接不可分に結び付いているのである。
※(3-3)グアンタナモの収容施設閉鎖を=カーター氏設立の人権団体(時事通信) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050608-00000508-jij-int Bush resists Carter call to shut Guantanamo (ガーディアン)2005/6/9  http://www.guardian.co.uk/guantanamo/story/0,13743,1502481,00.html
※(3-4)グアンタナモ基地の閉鎖を求める声 大統領も可能性を示唆(CNN)2005/06/09
 http://www.cnn.co.jp/usa/cnn200506090002.html
※(3-5)国防総省、グアンタナモ基地の刑務所閉鎖を拒否(Excite)2005/06/07
 http://excite.co.jp/News/main/20050607144805/JAPAN-178918-1_story.html

 そんな中、チェイニー副大統領から驚くべき暴言が飛び出し非難が集まっている。グアンタナモの拘束者は「楽園の中で暮らしている」「望む物すべてが与えられている」と言い放ったのだ。しかもこの発言は、軍関係の医師が、拘束者のストレスを高める方法や恐怖を与える方法が有効だとして、尋問へアドバイスした証拠が発覚した直後の発言であった。これに対するアムネスティー報道官は、「重大なことを失念している。・・・どんな環境か、何を食べているのかといったことが問題なのではない。問題なのは、正義(justice)への疑念なのだ」と語った。(3-6)
※(3-6)Cheney’s resort comment rebuked(ガーディアン)http://www.guardian.co.uk/usa/story/0,12271,1514444,00.html

 共和党、民主党の中からも、閉鎖を訴える声が高まっている。最近の公聴会では「収容者は良い物など食べていない。・・・良い処遇など、受けていない。決して快適な生活など送っていない。」このように、ブッシュ政権を批判する発言が共和党議員からも沸き起こっている。身内からの批判にもさらされ、ブッシュ大統領の「レイムダック化」がこの面でも明らかになっている。

 グアンタナモにおける人権を無視した尋問への医師の関与の証拠が浮上している。この問題は、公聴会においても取り上げられた。「New England Medical Journal」6月号には、収容者への医療上の処置の記録には、弱点を探し出すことを目的に日常的に医師が関与してきたことが指摘されている。グアンタナモにおける人権を無視した尋問には、米軍の主導の下、医師団が協力していたというのである。またここに、ブッシュ政権の国家犯罪に、新たな項目が付け加わった。(3-7)
※(3-7)「Doctors and Interrogators at Guantanamo Bay」2005/6/22 http://content.nejm.org/cgi/content/short/NEJMp058145
「ペンタゴンの文書を含む多くの情報源に基づく証拠は、グアンタナモにおける軍による尋問が、拘束者に協力を促すために、抵抗力を奪い去る体系的な、厳しい手法が利用されてきたことを明らかにしている。報道されているそれらの手法には、睡眠の剥奪、長期にわたる隔離、肉体に苦痛をともなう姿勢の強制、窒息寸前にまで追いつめること、殴打、等が含まれている。その他のストレスを導く方法として、性的挑発やイスラム教のシンボルへの冒涜、等も含まれていた。……(中略)…… そして2002年以来、精神科医と心理学者は、重要な情報を引き出すことを目的として、・・・極度のストレスを利用する戦略に従事してきた。」


(3)国連人権委員会も真相解明に乗り出した。
 6月23日、国連人権委員会の専門家4人が、米国がテロ容疑者を拘束しているグアンタナモ海軍基地における人権状況について合同調査を始めることを明らかにした。この4人は、昨年の6月から米政府に対して現地調査を要請したが、米国政府が認めなかった。しかし、人権擁護団体と世論からの強まる批判を受け、改めて動き出したのである。(3-8)
 最新の動向として、米政権の一部からは、イラク、アフガニスタンにおける米軍による拷問行為の一部を肯定する発言も現れている。国連の人権委員会の言い分を、一部であるとはいえ、認めようというのである。しかしブッシュ政権の中枢は、断固して自らの言い分、すなわち米国は「テロとの戦争」に則って正しい行動を取ってきたとの主張を貫き通そうとしている。(3-9)(3-10)
※(3-8)国連人権委 グアンタナモ米軍基地 合同調査開始へ 6月24日(毎日新聞)
※(3-9)US admits torture at Guantanamo, Iraq Afghanistan
※(3-10)UN reveals prisoner abuse at Guantanamo  6/23/2005 2:00:00 PM GMT http://www.aljazeera.com/cgibin/news_service/middle_east_full_story.asp?service_id=8723



[4]「対テロ戦争」とは“現代の強制収容所”−−“アムネスティー報告書”が克明に記したブッシュ政権による拷問・虐待・虐殺の犯罪記録。

(1)全世界に広がる米軍の収容施設・監獄における違法な拘束、違法な拷問・虐待・虐殺の全体像−−初めて暴かれたその全容
 アムネスティーは5月13日、海外の米軍収容施設・監獄における違法な拘束実態、違法な拷問・虐待の実態を報告書の形で発表した。PDF版で110ページにものぼる膨大な報告書である。(4-1) この報告書がブッシュ政権の逆鱗に触れたことは、すでに述べた通りである。
 ブッシュ政権は、2001年の9・11以後、「テロとの戦争」が開始され、まずはアフガニスタン、次いでイラクと、次々と「容疑者」を捕らえては、国際法の届かない「ブラック・ホール」=米軍施設に送り込み、尋問=拷問・虐待・虐殺を全世界の米軍施設で繰り広げてきたが、この報告書はその全体像を取り上げている。これまで、米軍による拘束者拷問・虐待・虐殺の事実については、一部分が取り上げられることはあったものの、ここまでまとまった形の全体像が記録されたのは初めてである。
※(4-1)United States of America Guantanamo and beyond: The continuing pursuit of unchecked executive power http://web.amnesty.org/library/Index/ENGAMR510832005

 報告書の情報は膨大なこともあり、詳細にその内容を紹介することはここではできない。ブッシュ政権による拘束者の拷問・虐待・虐殺の全体像が非常に分かりやすく整理されている表を中心に見ていきたい。まずは、“テロとの戦争”によって拘束された人々についてまとめられた表2[“テロとの戦争”による拘束者]を見てみよう。グアンタナモ基地、アフガニスタンのバグラム空軍基地等々の悪名高い収容所には、今なお(2005年4月時点)数百人を大きく越える人々が拘束されている。そしてさらに驚かされることに、イラクの巨大収容所であるキャンプ・ブッカ、アブグレイブには、今なお数千人もの人々が拘束されているのである。

 これまであまり指摘されてこなかった点として、米軍が拘束した人を第三国へと極秘に移送する手法である。この手法が拘束者への脅しとして、しばしば実行されていたらしい。本文中で指摘されている事例として、ウィグル自治区出身の「容疑者」が中国政府関係者から尋問を受けた例、リビア出身の容疑者がリビア警察から尋問を受けた例、等々が記載されている。米軍以外の第三国による違法な尋問手法を拷問として利用することに、ブッシュ政権は躊躇しなかったのだ。

表2“テロとの戦争”による拘束者 2005年4月
(approximate totals/estimates)
米国:海軍基地 南カリフォルニア チャールストン 2 “敵性戦闘員”
キューバ:グアンタナモ湾 海軍基地 520  (234 releases/transfers)
アフガニスタン:バグラム空軍基地 300
アフガニスタン:カンダハール空軍基地 250
アフガニスタン:その他の米軍施設(前線基地) Unknown: estimated at scores of detainees
イラク:キャンプ ブッカ 6,300
イラク:アブグレイブ収容所 3,500
イラク:キャンプ クロッパー 110
イラク:その他の米軍施設 1,300
世界全体:CIA施設、非公開の場所 Unknown: estimated at 40 detainees
世界全体:米国の要請によるその他の政府の元に監禁 Unknown: estimated at several thousand detainees
世界全体:第三世界への秘密移送 Unknown: estimated at 100 to 150 detainees
米国外で拘束され有罪とされた外国人 4
米国外において米国に拘束された公判中の外国人 0
テロとの戦争”の期間における米国によって国外で捕らわれた拘束者総数 70,000


(2)アブグレイブは今も続いている。
 アブグレイブ・スキャンダルが明らかになった2004年5月以降も米軍は、あらゆる手法を用いて拘束者を拷問・虐待・虐殺していた! 表3 [アフガニスタンとイラクにおいて米国に拘束された一部の死者]はその記録である。左の空欄には、犠牲者の暴行の傷跡が残されていたことが記されている。2004年入ってからも、特にイラクにおいて拘束された収容者の多くが、尋問=拷問によって虐殺されたのである。

 表 4[(拘束者から)訴えられた拘留と尋問手法]は、拘束者からの聞き取りによって明らかにされた尋問に際しての行為の一覧である。アブグレイブと同様の行為も数々あるが、それ以外にも様々な虐待行為が尋問の名目によって繰り広げられていたのである。その対象となったのも成人男性だけではなかった。女性、時には子供に対しても、このような行為が実行に移されたことが報告されている。

表3 アフガニスタンとイラクにおいて米国に拘束された一部の死者
拘束者 死亡日時 場所
Mohammad 2002/8/28 Sayari Near Lwara, (A)
Name unknown 2002/11 Kabul, (A)
Mullah Habibullah 2002/12/4 Bagram, (A)
Dilawar 2002/12/10 Bagram, (A)
Name unknown 2003 /1 Wazi village, (A)
Jamal Naseer 2003/3 Gardez, (A)
Nagem Sadun Hatab 2003 /6/6 Nasiriya, (I)
Dilar Dababa 2003 /6/13 Baghdad, (I)
Abdul Wali 2003 /6/21 Asadabad, (A)
Obeed Hethere Radad 2003 /9/11 Nasiriya, (I)
Manadel al-Jamadi 2003/11/4 Abu Ghraib, (I)
Abdul Wahid 2003/11/6 Gereshk, (A)
Abd Hamad Mawhoush 2003/11/26 Al Qaim, Baghdad, (I)
Abu Malik Kenami 2003/12/9 Mosul, (I)
Zaidoun Hassoun 2004/1/3 Samarra, (I)
Abdul Jaleel 2004/1/9 Al Asad, (I)
Naser Ismail 2004/1 Balad, (I)
Mohammed Munim al-Izmerly 2004/1/31 Baghdad, (I)
Muhamad Husain Kadir 2004/2/28 Near Taal Al Jal, (I)
Name unknown 2004/4 Mosul, (I)
Hamaady Kareem and Tahah 2004/4/15 Mahmudiyah, (I)
Ahmead Hanjil 2004/4/15 Mahmudiyah, (I)
Karim Hassan Abed Ali al-Haleji 2004/5/21 An-Najaf, (I)
Qasim Hassan 2004/8/18 Sadr City, (I)
Name unknown 2004/8/18 Abu Ghraib prison, (I)
Thaher Khaleefa Ahmed 2004/10/25 Balad, (I)
Name unknown 2004/11/11 Mosul, (I)
Name unknown 2004/11/13 Fallujah, (I)
http://web.amnesty.org/library/Index/ENGAMR510832005中のAppendix1に対応)
 (A):アフガニスタン (I):イラク

表 4 (拘束者から)訴えられた拘留と尋問手法
・ 外転
・ 有刺鉄線、裸足で歩くことを強要
・ 目隠し
・ 握る−拘束者が息をできないように口と鼻を塞ぐ
・ 独房に連れ出す、手荒い、厳しい手法
・ 化学薬品/胡椒スプレー、不正使用
・ タバコの火
・ 閉所隔離-他の手法と併せて 例えば、寝袋の中に頭から締める。ロッカーの中に閉じこめる。
・ 殺害の脅し
・ 食事の操作
・ 犬による恫喝
・ 冷水に漬ける
・ 電気ショック、電気ショックによる脅し
・ 極端な外気やエアコンの極端な高温の空気にさらす
・ 旗、尋問の間、イスラエル国旗、米国旗にくるむ
・ 食料と水の剥奪
・ 剃毛の強制、例えば、頭、身体、あるいは顔
・ 力ずくの挿入、分けの分からない物を含む
・ 寝転がらせる、エージェントが背面、あるいは足下に立っている間中、裸で寝かせる
・ フードを被せる
・ 誘拐、例えば、親族をまいらせるために拘束する
・ 侮辱、例えば、這わせる、動物の鼻にする、排尿させる
・ 水死するまで水の中に漬ける
・ 隔離拘禁
・ 窒息やasyphxiation の恐怖を与える
・ 光を奪う
・ 大音響の音楽、騒音、騒ぎ
・ 模擬処刑
・ 虐待のための写真やビデオのの撮影
・ 肉体的攻撃、例えば、パンチ、キック、手、ホース、棒、銃などを使い殴る
・ 肉体的にいじめ抜き疲弊させる、岩を持たせた“立ち座り”
・ 杭打ち、例えば、拘束者は一人であるいは多くの人々の中に並べられる、(“犬/ブタパイル”)
・ 延々と続けられる尋問、例えば、20時間も
・ 人種的、宗教的愚弄、侮辱
・ 親族との面会拒否、過度な検閲、
・ 宗教上の不寛容、例えば、コーランと宗教儀式への冒涜、
・ 秘密拘禁
・ 極秘移送
・ 感覚剥奪
・ 性的侮辱
・ 性的暴行
・ 拘束と手錠、それらの過剰な使用、“短時間の拘束”を含む、
・ 睡眠の加減
・ 睡眠剥奪
・ 長期間にわたる独房監禁、例えば、数ヶ月から一年以上の、
・ 緊張を強いられる姿勢の強要、例えば、中腰や立ち姿勢の強要
・ ストリップ、裸にする、辱めを与える手法
・ 裸にしての身体検査、辱めを与える手法
・ 光を当てる
・ 縛りあげる、手錠/縛り上げる手法
・ レイプの脅迫
・ 親族に対する報復をちらつかせる
・ 拷問や死の恐怖を与えることを狙い第三国への移送をちらつかせる
・ グアンタナモへの移送をちらつかせる
・ 拷問あるいは不当な取り扱いをちらつかせる
・ 24時間、明るいライトのもとに放置
・ “安らぎの物”(例えばコーランか?)を取りあげる、宗教的な物を含む
・ 情報に触れさせない、例えば、どこに居るのかを伝えない薬を与えないトイレを使わせない、排便や小便まみれにする
http://web.amnesty.org/library/Index/ENGAMR510832005中のAppendix3に対応)


(3)アムネスティーもグアンタナモを初めとする違法拘束施設の閉鎖を要求。
 このようなあまりにもひどい人権無視のやり方に対する唯一の回答、それはグアンタナモ、アブグレイブをはじめとする海外の米軍収容施設を閉鎖することである。それがブッシュ政権の主張する「テロとの戦争」への、反戦平和、人権擁護の立場からの回答である。
 アムネスティーは人権侵害の象徴としてのグアンタナモに対する見解を次のように述べている。(4-2)(“グアンタナモ湾−人権スキャンダル”から)
偽善、高く掲げられた戦争思考、そして人権と国際法に基づく義務への軽視は、米国の「テロとの戦争」に刻み続けられている。重大な人権侵害は、その不可避の結末である。キューバのグアンタナモにある米海軍の拘束キャンプは、2001年9月11日の残虐行為に対して人権と法の支配を対置することへの米政権の拒絶の象徴である。35カ国にまたがる数百人もの人々が、無法なブラックホールの中に拘束されており、多くの人々がいかなる裁判、法的対処、家族の訪問を認められていない。
拷問の証拠と残虐な、非人道的、劣悪な処遇が積み重なるとともに、米政府は海外にあるグアンタナモ湾キャンプとその他の施設を国際法と国際的基準に合わせることを強く求められるようになっている。そして唯一の選択肢は、それらを閉鎖することである。
※(4-2)Guantanamo Bay - a human rights scandal http://web.amnesty.org/pages/guantanamobay-index-eng


(4)国際世論や人権擁護団体の警告に逆行。米占領軍、イラクで収容施設の拡大計画を発表。
 これほど多くの人々が米軍によって違法に拘束されているにもかかわらず、ブッシュ政権は現在、大規模な掃討作戦を首都バグダッドとスンニ派三角地帯で展開し、大量の不当逮捕・拘束者を生み出している。そこで米占領軍は、最近新たにイラクにおける収容施設を拡大する計画を打ち出したのである。(4-3)1年前と比べて収容者が急膨張し、現在の規模では収容能力の限界だというのだ。ブッシュ政権は、アムネスティーの警告をあざ笑うかのように、掃討作戦の名目に多数の無実の住民を拘束し、尋問という名の拷問・虐待行為をさらに拡大しようとしているのである。しかも新施設はクルド人自治区のスレイマニアになる計画である。おそらく拘束者の大半が、スンニ派の住民あるいは米軍の占領支配に抵抗した人々である。新収容所がクルド自治区内に設置されるということは、クルド人勢力の民兵「ペシャメルガ」の影響力に入るということである。極めて危険なことだ。民族間の憎悪を利用し、拘束者を恫喝・脅迫しようというのである。事実、イラク治安部隊が拘束者を拷問・虐待するケース、例えば尋問時において、公然と暴力を振るうケースも珍しくない。(4-4)
※(4-3)イラクに新収容施設建設へ 米軍拘束の武装勢力増加(共同通信)http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050628-00000032-kyodo-int
※(4-4)Senior U.S. Military official confirms detainee abuse by Iraqi security forces http://www.wtnh.com/global/story.asp?s=3546236&ClientType=Printable



[5]米反戦団体“ United for Peace and Justice”が「グアンタナモを閉鎖せよ!」のスローガンを前面に押し出す。

(1)「グアンタナモ閉鎖」が米反戦団体の中心スローガンに。

           Shut Down Guantanamo


"The best thing Washington can now   do about this national shame is to   shut it down." Editorial in The New   York Times, Sunday,June 5, 2005

※「Shut Down Guantanamo」United for Peace and Justice http://www.unitedforpeace.org/article.php?id=2901

 グアンタナモ基地閉鎖を求める声が米国内で高まりつつある。反戦運動も力強く動き始めた。米国内の世論の微妙な変化、議会での米軍撤退論の再浮上などを踏まえて、米国の反戦団体“ United for Peace and Justice” は、「グアンタナモを閉鎖せよ!(Shut Down Guantanamo)」のスローガンを掲げ、米世論に呼びかけている。彼らは次のように主張する。(5-1)

 “この国家的な恥辱に対してワシントンがなし得る最上のことは、(グアンタナモを)閉鎖することである”と2005年6月5日のニューヨーク・タイムズ紙は主張する。しかしそれは違う。彼らはホワイトハウスのことを指摘していない。彼らが言及している国家的恥辱とは、米国がグアンタナモ湾にある囚人キャンプを運営しているということだ。グアンタナモは、全世界におけるブッシュ政権の最も基本的な人権の傲慢な軽視の象徴であった。
 いわゆる、彼らの主張するテロとの戦争の一部として、ブッシュ政権はグアンタナモに拘束者を移送し、彼らを法律外に置こうとしてきた。拘束者は、無期限に、弁護士と接見することもない。(人権団体である)“憲法に基づく権利のためのセンター”(Center for Constitutional Rights)が収容所において弁護士が拘束者に接見することを認める最高裁判決を一年前に勝ち取ったにもかかわらず)。虐待と拷問は日常的な出来事であり、そしてコーランは冒涜された。
ここ数週間、収容所の閉鎖を求める要求は高まっている。“United for Peace and Justice”はこの要求を支持する。グアンタナモは閉鎖されなければならない。アブグレイブは閉鎖されなければならない。米国によって運営されているすべての違法な収容施設と監獄は、閉鎖されなければならない。そして、日常的に拷問が行われている国への拘束者を移送するやり方(彼らがrendition policyと呼ぶもの)を止めさせなければならない。
今こそ行動の時である。あなた方にできることとして、次のようなことがある。…(行動予定が続く)
※(5-1)United for Peace and Justiceのホームページよりhttp://www.unitedforpeace.org/article.php?id=2901

 また欧州各国、人権擁護団体からは、グアンタナモをはじめとする国際法を無視した収容施設における拘束者尋問、虐待、拷問が逆に反米傾向を拡大しているとの指摘も公然となされ始めている。(5-2) ニューズ・ウィーク誌のコーラン冒涜の記事に激昂したイスラム諸国の民衆は、中東やアジアや欧州において、そして世界中で、米軍当局による新たな拷問や人権侵害の事実が明るみに出るたびにその怒りを高めている。
※(5-2)Guantanamo fuels hatred, boosts al Qaeda - report AlertNet  http://www.alertnet.org/thenews/newsdesk/L0143064.htm


(2)“ダウニング・ストリート・メモ”の暴露と結び付けられ、“イラク戦争の大義”のねつ造が改めて暴かれる。
 ブッシュ政権による人権蹂躙の追及、グアンタナモ基地閉鎖の要求は、ブッシュ政権のイラク戦争政策、「テロとの戦い」路線との闘いと結び付けられている。ブッシュ政権の爆弾である“ダウニング・ストリート・メモ”を追及する動きが新たに付け加わっている。これらの問題は、議会の公聴会でも取り上げられ、新たな波紋を広げている。米マスコミの取り上げ方はまだ小さいが、しかしこれらの声を無視できなくなっている。“ダウニング・ストリート・メモ”は「イラクの大量破壊兵器の脅威」のウソを暴露し“イラク戦争の大義”を改めて打ち砕こうとしている。“グアンタナモ”は「イラクの解放」というもう一つの“イラク戦争の大義”の化けの皮をはぎ取ろうとしているのである。ブッシュ政権でこの問題と無縁な者など一人もいない。反戦団体“Military Families Speak Out”は “ダウニング・ストリート・メモ”を議会で取り上げる働き掛けを強め、ブッシュ政権の戦争犯罪追及を開始した。(5-3)(5-4)
※(5-3)52 House members file FOIA request seeking documents related to Downing Street minutes http://rawstory.com/news/2005/52_House_members_file_FOIA_request_seeking_documents_related_to_
Downing_Street_minut_0630.html

※(5-4)Military Families Speak Outの声明  June 12, 2005 http://coastalrain.tripod.com/wmfso/id33.html
親愛なる皆さんへ
イラク戦争が嘘を基にしていた、この証拠がますます積み上がっています。最近の“ダウニング・ストリート・メモ”と呼ばれる記録は英国の報道機関によってまとめられ、米国の報道機関がそれを報じています。
そのメモは、www.downingstreetmemo.com/www.afterdowningstreet.org/ において参照することができます。多くの行動と活動がその中で紹介されています。ミシガン州上院議員のジョン・コンヤーズ氏から6月16日の火曜日にでも手渡されるでしょうが、ブッシュ大統領に宛てた署名入りの手紙もあります。この手紙の中において、ブッシュ大統領が戦争に向けて根回しをした証拠につていの極めて具体的な疑念に答えることを要求しています。
“平和のための金星章(注:戦死者へのメダル)家族”(Gold Star Families for Peace)の共同設立者でMilitary Families Speak Outのメンバーでもあるシンディー・シーハンさんは、6月16日の“ダウニング・ストリート・メモ”に関連した議会公聴会において証言する予定です。
…中略
軍人家族としての私たちの声は、これまで以上に力強いものとなっています。私たちはさらに声高く、力強く、日々前進したいと思っています。
In Peace and Solidarity,  Nancy Lessin and Charley Richardson
For Military Families Speak Out  www.mfso.org  www.bringthemhomenow.org
注)その後の証言内容の詳細については、http://coastalrain.tripod.com/wmfso/id33.html の中の“My Testimony for the Downing Street Memo Hearings”(Cindy Sheehan)にあり。