− パンフレット案内 −

アブグレイブ:ブッシュ政権中枢の第一級の国家戦争犯罪

――「対テロ戦争」=先制攻撃戦略に組み込まれた組織的虐待・拷問・虐殺システム――


 イラクのアブグレイブ監獄で撮影されたあのおぞましい写真が世界を駆けめぐり、拷問・虐待・虐殺の一大スキャンダルが発覚した4月末から間もなく半年が過ぎようとしています。暴露された画像の数々は多くの人々に衝撃を与えました。イラク戦争の侵略的本質はこれで一層鮮明になりました。しかし8月末、今回の事件に関する陸軍及び特別調査員会の2つの最終調査報告書が出され、ブッシュ政権はこれで「幕引き」をしたがっています。
 なぜ今アブグレイブか。事件から半年後の現在、私たちはあえてもう一度この問題を取り上げるためにこのパンフレットを緊急に作成しました。
 まず第一に、このブッシュ政権による「幕引き」を批判するためです。拘束した大量の人間に対する拷問・虐待をジュネーブ条約の適用外にするため躍起となって「新解釈」を練り上げ政策化し、戦略として「対テロ戦争」=先制攻撃戦略の一部に組み込んだのは、政権と軍のトップです。この張本人たちが平然と責任逃れをし、米国の若い兵士たちに全責任を負わせる、こんな卑劣で無責任なことがまかり通ることなど断じて許してはなりません。
 第二に、アブグレイブは過去の問題ではなく現に今も続く問題だからです。
 現在の米軍の作戦は、米軍が立ち入れなくなっている「解放区」「半解放区」を、11月の米大統領選挙、来年1月のイラクでの議会選挙まで徹底的に叩き潰すことです。再び米軍による“人間狩り”と拘束者が急増しており、間違いなく拷問・虐待がエスカレートしています。
 第三に、大統領選挙でブッシュが勝てば言うまでもなく、仮にケリーが勝ったとしても、アブグレイブの責任を取らせなければならないからです。米の先制攻撃戦争=「対テロ戦争」を基本戦略にする限り、拷問・虐待をジュネーブ条約の適用外にしたいという衝動力はなくならないからです。
 その意味で、私たちのアブグレイブ批判は、個々の大統領や政権を越えた、ペンタゴンと米軍、CIA、軍産複合体という、アメリカ帝国主義の血と暴力と陰謀で汚れ切った軍事機構の最もおぞましい“恥部”を暴くためのものであるのです。
(2004年10月)

 A4判102ページ
 頒価 1部700円+送料


 お申し込み、お問い合わせは署名事務局まで。e-mail: stopuswar@jca.apc.org
      *パンフレットご希望の方は、宛て先と希望冊数をお知らせください。
         パンフレットと振り込み用紙をお送りします。代金は後払いで結構です。




 パンフレットの構成・目次 

●はじめに ペンタゴンの2つの調査報告書で「幕引き」とさせないために
T.なぜ今アブグレイブか。――アメリカ帝国主義の血と暴力と陰謀で汚れきった軍事機構 の最もおぞましい“恥部”を暴く。
U.軍・政権上層部への“免罪符”としての2つの報告書。
V.ウソとデタラメで塗り固められた「組織的関与の否定」−−指揮命令系統の「逆転」が示す厳然たる「軍上層部の組織的関与」。
W.事件を最初にスクープし暴き出した『ニューヨーカー』とセイモア・ハーシュ記者。
X. ブッシュ政権は今なお、世界で虐待行為を繰り返している。責任者を免罪させてはならない。

●第1部 実態編 暴かれた映像:白日の下にさらされた国家戦争犯罪
T.はじめに−−口火を切った2人、勇気ある内部告発者ジョセフ・ダービー、メディアで告発したセイモア・ハーシュ。
U.タグバ報告書が明らかにした米軍の虐待・拷問・虐殺行為の数々。
V.虐待・拷問・虐殺が劇的にエスカレートした背景−−反米・反占領闘争の攻勢とイラク占領支配体制崩壊の危機。
W.赤十字国際委員会(ICRC)、アムネスティなどの人権諸組織の警告を無視し、組織的な虐待・拷問を継続。
X.イスラエル、民間軍事会社の虐待・拷問への関与。
Y.米のイラク占領支配破綻の“決定的転換点”となったアブグレイブの衝撃。今なお続くイラク現地と欧米での調査と告発。

●第2部 責任問題編 政府・軍総掛かりでジュネーブ条約適用除外、拷問の組織化
T.はじめに――責任追及の“カギ”は軍・情報機関の指揮命令系統。
U.政府・軍上層部の関与の証拠:アブグレイブにおける指揮系統のねじれ・逆転。
V.アブグレイブの原点はグアンタナモ――「拷問の戦略化」。ジュネーブ条約適用除外を組み込む「対テロ戦争」と先制攻撃戦略。

●第3部 翻訳資料編
〔翻訳資料1〕
指揮命令系統――イラクにおける拷問はホワイトハウスに結び付くか?
テロとの戦争で抑留された人々からより多くの情報を引き出そうとするブッシュ政権の努力の結末という構図が浮かび上がってくる。
エドワード・アルデン、ピーター・シュピーゲル、デメトリ・セバストプロ
英フィナンシャル・タイム紙6月17日号
〔翻訳資料2〕
大統領へのメモ  2002年1月25日
差出人:アルベルト・R・ゴンザレス
主題:アルカイダおよびタリバンとの戦闘への戦争捕虜についてのジュネーブ条約の適用に関する決定
       『Newsweek』オンライン版 2004,5,19号