イラク戦争劣化ウラン情報 No.2      2003年5月25日

アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局 吉田正弘


アフガニスタンにおける高濃度ウラニウム汚染の第二次調査結果が出る! カナダの研究機関UMRCが[速報]を発表。

■ 私たちが今年2〜3月にかけて皆さんにご協力を頂いた「アフガニスタン劣化ウラン被害調査カンパ・キャンペーン」で、資金援助の対象となったカナダの研究機関UMRC(ウラニウム・メディカル・リサーチ・センター)の“第2次調査”の分析結果が、まずは[速報]として出ました。結論から言えば、やはりより広範な地域でウラニウムによる汚染が確認されたようです。私たちのカンパ・キャンペーンがこのような形で結果を引き出したのです。詳報は後日出されます。ご注目下さい。

■ 以下に二つの資料を紹介します。初めのものはUMRC(ウラニウム・メディカル・リサーチ・センター)のホームページに5月21日付で公表された要約です。アサフ・ドラコビッチ氏がアル・ジャジーラに話して放送された内容のメモと思われます。
 2番目のものは5月22日付けBBCニュース・オンラインがこの調査報告について紹介したものです。

■ “第2次調査”の結果からは、ジャララバードだけでなくカブールやトラボラでも高濃度のウラニウム汚染が確認されました。これらはすべて米軍の爆撃と関連して発生している事は“第2次調査”の報告抜粋(注)からも明かです。米軍がウラニウムを含んだ誘導爆弾などの兵器を使用しているという重大な疑惑は“第2次調査”の結果からも裏付けられました。

 ただし、発見されたウラニウムは劣化ウランの組成ではなく、ジャララバードの最初の調査結果と同じく非劣化ウランの組成でした。これらの爆弾に劣化ウランではなく非劣化ウランが使われているのかどうかという問題に引き続き問題提起が行われています。しかも今回まだ分析を続けているということですが、ウラニウム236[天然には存在せず原子炉などの中でしか発生しない]が検出されていることから、再処理された使用済み核燃料のウラニウムが含まれている可能性まで出てきました。

 UMRCからのメールによれば、さらに詳しい報告は近いうちに公表できるという事なので、引き続き注目し、紹介を続けたいと思います。

(注)第2次調査報告抜粋(邦訳)
http://www.jca.apc.org/stopUSwar/UMRC/afghan_trip2.htm


アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局 吉田正弘
事務局ホームページ http://www.jca.apc.org/stopUSwar/
吉田eメールアドレス masayo@silver.ocn.ne.jp





私たちの最新の研究成果を読んで下さい:
2003年5月21日付 UMRCホームページに公表
http://www.umrc.net/index.asp

UMRCの国際研究ディレクター[訳者注;アサフ・ドラコビッチ氏]によって5月21日にアルジャジーラ放送で国際放送としてリリースされた最近の調査結果についての要約[1]。

□ 2003年5月のUMRCの最近の調査結果は、アフガニスタン市民におけるより広い範囲の人体汚染と環境汚染を明らかにし、2002年11月のジャララバードについての結果を確証するものである。

□ ジャララバード地域:サンプルと対照群の最新の収集に基づいた新しい参照レベルは、ジャララバードの結果を正常レベルの45倍のウラニウム数値に上方修正する。

□ 新しい生物学的検定法による研究は、スピンガル(トラ・ボラ)地域とカブールの市街におけるウラニウム体内汚染が、被ばくしていない人たちの参照レベルの200倍にもなることを確認する。

□ 爆撃地点に近接しこれを取り巻く地表水、水田、集水溝(catch-basins)は正常レベルの27倍に達する高いウラニウムの値を示している。

□ レベルは低いけれども、まだ解釈について結論を出せていないウラン236(U236)が何人かの尿から(分析を行った)研究所によって確認された。再処理された使用済み核燃料を含む「商業用天然ウラン」も考慮に入れて、ウラニウムの冶金学的な起源を決定するためにさらに分析が行われている。

□ 「不朽の自由作戦」(OEF作戦)での爆撃のクレーターと爆撃目標地点の内部で収集された土と破片の分析は正常レベルの3倍から6倍のウラニウムの値を示している。

□ 爆撃地点周辺および爆心地から風下側の表土は参照レベルの3倍近くに高められている。

□ 現地および研究所でのデータは、ウラニウム・レベルの高いサンプル、市民の健康問題、兵器への被ばくの履歴が、OEF作戦で使われた兵器に空間的にも時間的にも対応している事を示している。

[注1] この情報のリリースに関係する研究の詳細は、これからの報告に発表されるだろう。




アフガニスタン人のウラニウム・レベルは警報を発する
(2003/5/22 BBC)
アレックス・カービー:BBCニュース・オンライン環境問題通信員

Afghans' uranium levels spark alert
By Alex Kirby
BBC News Online environment correspondent
http://news.bbc.co.uk/go/pr/fr/-/2/hi/science/nature/3050317.stm

 アフガニスタン市民の少量のサンプルが、尿中の「驚くばかりの」水準のウラニウムを示していると、独立系の科学者は言う。

  彼は、これらのアフガニスタンの人々が1991年の湾岸戦争の何人かの帰還兵と同じ症状を示していると語った。
 しかし、彼は、何人かの科学者が湾岸戦争症候群と関係があると信じている劣化ウラン(DU)のいかなる痕跡も発見しなかった。
 他の研究者たちは、新しいタイプの放射性兵器がアフガニスタンで使われたかもしれないことを示唆している。
 この科学者は、カナダを本拠地とするウラニウム医療研究センター(UMRC)のアサフ・ドラコビッチ博士である。
 ドラコビッチ博士は、元アメリカ陸軍の顧問で、今は医学教授である。彼は2000年に、彼が検査した湾岸戦争帰還兵17人のうち3分の2から「重大な」レベルの劣化ウランを検出したと言った。
 2002年5月に、彼はアフガニスタンに調査団を派遣し、そこで市民の聴き取りと検査を行った。
 UMRCは、「兵器のタイプと攻撃システムについての独立した検討によると、放射性で有毒なウラン合金と硬化目標ウラン弾頭が連合軍によって使用されたことを示している」と言う。この主張に対して、いかなる公式の支持も他の科学者達からの支持もない。

 衝撃的な結果
 
 UMRCによれば、ナンガハル州がアフガニスタン戦争の間、新しい世代の深度貫通用の「洞窟破壊」、激震弾頭の配備の戦略的なターゲット・ゾーンだった。
 UMRCは、彼らの現地調査チームが湾岸戦争帰還兵の症状に類似した疾患や健康状態に苦しむ数百人の人々を確認した、たぶんこの人たちはウラニウムのほこりを吸い込んだのだろうと言う。
 何らかの形態のウラニウム兵器が使われたという仮説を確認するために、UMRCは17人のアフガニスタン人の尿サンプルをイギリスの独立系の研究所に分析のために送った。
 UMRCによれば、「尿試料を提供してくれたすべての人は例外なくウラニウムによる体内汚染のテストで陽性の結果が出た。」
 「その結果は、どぎもをぬくようなものでした。このドナーたちは、有毒で放射性のウラン同位体の濃度が1999年に検査された湾岸戦争帰還兵の100倍から400倍を示したのです。」
 「もし、UMRCのナンガハルでの調査結果が、アフガニスタン中の他の共同体でも確証されるなら、この国は深刻な公衆の健康被害に直面していることになります。・・・次の世代の誰もが危険にさらされます。」
 アフガニスタンで戦った兵士たちやアフガニスタンを本拠地とする援助団体のスタッフ達も同様に危険な状態であると、UMRCは言う。

 科学的な承認

 ドラコビッチ博士のチームは、対照群としていかなる汚染の兆候も見せなかった3人のアフガニスタン人を使った。彼らの測定値の平均は、尿1リットル当り9.4ナノグラムのウラニウムだった。
 彼によると、「無作為に選ばれた」17人の患者の平均は、315.5ナノグラムだった。何人かはジャララバードから、そして他の人たちはカブール、トラボラ、そしてマザリシャリフから選ばれた。カブールの近くに住む12歳の少年は、2031ナノグラムだった。
 ドラコビッチ博士によると、アメリカで公衆に許容される最大レベルは、1リットル当たり12ナノグラムである。
 2002年9月のUMRCのアフガニスタンへの第2次調査は、「はるかに広い地域と大きな人口が汚染されている危険がある」ことを発見した。第2次調査ではさらに25の尿サンプルが集められた。それは第1次調査で収集されたグループからの結果の証拠となるものである。
 ドラコビッチ博士は、自分が発見した結果に「どぎもを抜かれた」と述べた。その結果はいくつかの科学雑誌で間もなく公表されることになっている。

 一致する結果

 彼はBBCニュース・オンラインに対し、「アフガニスタンでは、油田火災もなかったし、農薬もなかったし、予防接種を受けた者もなかった−−これらは全部湾岸戦争帰還兵の健康状態悪化の説明のために持ち出されているものです」と語った。
 「しかし、人々は全く同じ症状を示しました。確かに私は、アフガニスタンが新しいウラニウム兵器を使った広範な実験だったとは言いません。しかし、あなたの常識で判断してください。」
 イギリスの国防大臣は、イギリスがアフガニスタンではいかなる劣化ウラン兵器、あるいはどんな形であってもウラニウムを含む兵器を使わなかったと述べている。
 アメリカ国防総省のスポークスマンもBBCニュース・オンラインに、アメリカはアフガニスタンでは劣化ウラン兵器を使っていないと述べた。
 彼は、アフガニスタン市民の間でウラニウムの汚染レベルが高くなっているというドラコビッチ博士の結果についてコメントすることはできなかった。

http://news.bbc.co.uk/go/pr/fr/-/2/hi/science/nature/3050317.stm
Published: 2003/05/22 15:51:47 GMT