国の個人情報保護委員会はJR東日本の顔認証カメラ関連の文書をほとんど開示せず

JR東日本は、管内の駅、車両すべてに顔認証監視カメラを設置することを昨年7月に公表した。その際、JR東日本は、「顔認証技術の導入に当たっては、個人情報保護委員会事務局にも相談の上、法令に則った措置を講じています」として、顔認証監視カメラに問題はないと述べた。

そこで、JR東日本と個人情報保護委員会のあいだでいったいどのような「相談」が行なわれたのか、また、個人情報保護委員会はいかなる根拠によって、顔認証カメラにお墨付きを与えたのか、といった一連の経緯を把握するために情報公開の開示請求を行った。開示された文書の大半は黒塗りにされており、私たちが知りたい経緯の具体的な事柄などは一切開示されなかった。

公共交通機関は私たち皆が日頃利用せざるをえない必須の交通手段だ。こうした交通手段で、顔認証など生体認証技術が導入され、しかも、様々なデータベースと連携されることになれば、深刻なプライバシー侵害を引き起す可能性がある。私たち誰もが、この問題の当事者であり、生体情報は私たちに帰属する情報であって交通機関に帰属するものではない。私たちは、少なくとも、顔認証監視カメラの設置の経緯を知る権利がある。また、個人情報保護委員会が顔認証監視カメラにお墨付きを与えたのであれば、本来、私たちの個人情報の保護に責任をもつべき国の機関が、その責任を十分に果さないだけでなく、むしろ積極的に個人情報をリスクに晒すことに加担したことにもなる。しかし、今回の情報開示では、こうした私たちの疑問に答えているかもしれない箇所は全て黒塗りになっている。今後、黒塗りの箇所を改めて開示させるための取り組みが必要になっている。(市民連絡会・小倉利丸)

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