(集会報告)札幌3月4日「私たちはどのようにウラン採掘計画を止めたのか?―カナダ・先住民族クリーの若者たちからの報告

主催::NPO法人さっぽろ自由学校「遊」

「私たちはどのようにウラン採掘計画を止めたのか」

ーーカナダ・先住民族クリーの若者たちからの報告ーー

カナダ・ケベック州に暮らす先住民族クリーのショーン・アイザ―ホフさんによるクリー族の若者による、ウラン鉱山の開発計画反対運動についての講演会でした。

 現在3500人のクリーが住んでいるケベック州ミスティッシニは美しい森と湖に囲まれた自然豊かな土地で、クリーは魚を捕り、ムース(ヘラジカ)を獲って、暮らしてきた。

 湖の水はコップで直接汲んで飲むことができるほどの水源で、この水を生み出す自然環境を先祖代々受け継いできたこと、そして未来の子どもたちに受け渡していくことがどれほど大切なことか、クリー族の人々はよくわかっている。

2006年、ストラテコ社から【ウラン鉱山開発計画】がもたらされ、ストラテコ社からは、経済的な発展がコミュニティーにもたらされるという楽観的な説明がなされた。これに反対の声を上げたのは、その地に住むクリー族の若者たちだった。

その当時Youth Council(若者協議会)代表だったショーンさんのもとに高校生たちが話に来た。

 若者たちは専門家を招いて勉強会を開き、ウラン開発は彼らにどんな影響があるのかについて学び

開発によって祖先から受け継いできた彼らの土地が汚染され、コミュニティの生活が壊される非常に大きなリスクあるのに、ストラテコ社はそれらを隠してこの開発を進めようとしている、ということがわかってきた。

   そこで、若者たちは、地域住民への聞き取り、アンケート調査など対話を中心に反対運動を進め、次第にクリー族の長老たちにも開発の危険性が認知され、一致団結で開発計画中止を求める長い法廷闘争を行った。

 運動は次第に認知された。

 周辺の他民族だけでなく、国内へ、そして海外まで大きなうねりとなって広がった。

若者たちは、SNSも使って運動を推し進めた。

2012年のアースディでは環境系のデモ集会でケベック州過去最大の人数が結集し、

同年11月には15人の若者たちがクリー族の反対の声を届けるためにミスティッシニからモントリオール市まで850kmをウォーク、カナダ政府による公聴会の最終日に声明を手渡した。

2015年カナダ最高裁は「開発計画の恒久的な凍結」決定を下す。ストラテコ社はこれに上訴。

しかし、2017年にも「この開発計画は社会的受容性に欠ける」、とし最終的に2020年、最高裁はストラテコ社の上訴を棄却し、現在もクリー族の地は守られている。

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 ショーンさんは前回の来日で沖縄・広島・東京で講演されたそうだが、どこでも関心の的は若者たちの感性の良さと情熱と戦略による行動だったそうだ。

広島でショーンさんは、ウラン採掘は核の入り口、原爆は核の出口としてつながっていると感じたとのことだった。ケベック州の隣のサスカチュワン州は、先住民族の土地の権利は認められず、ウラン採掘がどんどんされてそこに住むクリー族は、健康被害に苦しんでいるという。(七尾寿子)