「南京大虐殺65年 2002年東京集会」
に参加と賛同を!

福田昭典
(ノーモア南京の会)



  南京大虐殺65周年を迎えようとしている。今から65年前の1937年12月、南京の街々と付近の村々では、日本軍による無差別殺戮と強奪、そしておぞましい強姦が繰り広げられた。そこはまさに、阿鼻叫喚の地獄絵の様相であった。しかもだ、殺戮、強奪、強姦の下手人たちは、誰あろう私たちの父であり、祖父だったのである。
  日本軍による南京での蛮行は、直ちに世界に打電され、広く世界に知られることとなった。また一方、日本軍による南京攻略戦の「様子」は、従軍記者からの打電で、刻々と日本の新聞紙上を賑わしていた。12月16日の東京朝日新聞には、「南京一帯掃蕩の戦果 敵六萬を捕虜・撃滅す 皇軍なほ掃蕩を續く」「江岸で一萬五千捕虜」「なほ潜伏二萬五千 敗残兵狩り續く」という見出しが踊る。「敵の屍六、七萬」という見出しの記事には、「現に城内に遺棄されてゐる敵死體だけで六、七萬の夥しい数に上り城外周囲戦及び江上においてこれが海軍及び空襲によって殲滅された敵兵の死傷を通算すれば、恐らく十数萬に上るだろう」と記している。12月16日の東京日日新聞では「捕虜續出す 敵の死體山を築く」と見出しの記事が載っている。向井、野田両少尉の「百人斬り競争」を連日報道したのも東京日日新聞であった。南京での日本軍による惨劇の一端は日本でも報道され、相当数の日本人は南京で何が起こっていたかを実のところ予想することができたのである。
  従軍記者の一人であった石川達三氏は、従軍した時の見聞を基にした作品「生きてゐる兵隊」を翌1938年3月中央公論に発表した。だが、同誌はただちに発禁処分を受けたばかりでなく、石川氏は起訴され、「皇軍兵士の非戦闘員殺戮、掠奪、軍紀弛緩の状況を記述したる、安寧秩序を紊乱する」として有罪判決を受けた。「生きてゐる兵隊」が刊行されたのは、敗戦直後の1945年12月のことであった。ようやく日本軍の南京での蛮行が赤裸々に日本で公けにされた。

  南京事件から65年、日本の敗戦から57年の歳月が経過した。しかし、日本人はこの恥ずべき歴史事実をどこまで真摯に受けとめようとしてきたのであろうか。それを考えると甚だ心さびしい。今なお歴史健忘症が日本に蔓延している。忘れてはいないが “昔のことは水に流してもよかろう”という独りよがりな思い込み症候群も蔓延している。ともに、歴史改竄派と罪深さにおいて変わるところはない。仮によしとしても、人間として我慢ならないことが、目前で繰り広げられている。「拉致問題」報道である。
  もとより、朝鮮民主主義人民共和国による日本人拉致問題が許し難い醜悪な国家犯罪であることは言うまでもない。謝罪・補償・真相究明・責任者処罰の要求が被害者家族から出るのはあまりにも当然であろう。しかし、9月以降、連日の洪水のような拉致報道に接するうちに、ムラムラと怒りが込み上げてきた。この国は、かつての日本の国家による大規模な拉致連行事件の被害者の補償要求には冷淡であり続けているにもかかわらず、日本人の被害者問題となると、かくも激しく反応するのであろうか。  山のような正義を背負ったつもりで“拉致問題”を報道するマスメディアよ!。そこには、日本の36年間の植民地支配が、問題の根幹にある朝鮮半島の南北分断に深く関わっていることになど関心の片鱗すらも見ることはできない。
  日本人拉致被害者の家族が24年間苦しんできたことについて、戦時中、日本に拉致強制連行された4万人の中国人と、100万人を超えると言われる朝鮮人の家族が苦しんでいたということについて、この国は想像力を働かせることができない。そしてまた、冷ややかに拉致問題を見るアジアの人々の視線を感じ取ることもできない。
  一方、「拉致報道」の加熱と比例して、朝鮮人学校やその生徒たちへの脅迫やいやがらせの事件が続発している。この国に根深く存在し続けている朝鮮人をはじめとするアジア人蔑視、排外の思想が拉致報道により強く刺激を受けている。私はそこに、戦前戦後を貫いて脈々と生きる日本の精神風土の活断層を見る思いだ。

  「拉致問題」と「36年間の植民地支配」が、ある種の対置関係に置かれ、「36年間の植民地支配」を語ることが、「拉致問題」を相対化するものと非難される。まさに歴史の歯車が逆転したかのような状況下で、南京大虐殺65周年を迎える。
  今年も例年通り、南京から生存者をお招きし、紅蓮の炎に焼かれた南京の街で、自らが目撃した日本軍の蛮行の数々を証言していただく。今年ほど私たちは、証言から発せられる日本の国家犯罪に真摯に向かい合うべき時はないのかもしれない。底深い日本の民族排外主義に立ち向かうために、特別に!
  私たちは、来る12月14日、南京から招請した被害者の証言を聞く集会を持ちます。是非とも、皆様の参加と賛同をお願いします。



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