ニュース第74号 01年11月号より

山里の町おこしに燃える中高年パワー
〜「さるかに共和国」訪問記

 「森づくり三重」事務局長 山田俊雄

 

 「さるかに共和国」を訪ねることのなったのは、四日市の会員、国保明さんから、「第4回グリーンカレッジの同窓会が、広島で行われるが、行きませんか」と誘われたからである。これまで、グリーンカレッジは、5回行われているが、同窓会開催は、第4回のメンバーのみが、なぜか、しつこくやっている。今回で2回目とか・・
 さるかに共和国の行事参加と併せて、同窓会をやるという。なんだか、面白そうだ、僕も第1回の卒業生だということで参加した。

●出発から到着まで
 平成13年10月6日、朝7時に、津の自宅まで、国保明さんが車で迎えに来てくれる。伊勢自動車道、西名阪道、阪神高速、山陽道と乗り継ぎ、福山東インターチェンジで出て、新市町に向かう。
 「さるかに共和国」とは、どこだろうか、近くで聞けば、判るだろうと、国道沿いの酒屋で聞いたが、店員は知らぬという。されば新市町には、どう行けばよいかと尋ねると、この道を戻って曲がってと教えられ、やれやれだ。同窓会のまとめ役をしてくれた、「ひょうご森の倶楽部」の樋口嬢に携帯電話を掛けたところ、宮崎の図師さんを迎えるため、大阪の小橋さんと新市駅に行くと聞き、我々も、駅に向かった。図師さん、外前田さん、を迎え、皆でさるかに共和国、官房長官を名のる笹山さん宅へ、到着したのは14時45分、予定の到着時間を1時間も過ぎていた。本日の行事は、すでに開始されているだろうが、「まーいいか」と横着していたが、なにやら、おかしい。現地に到着したのに、行事をやっている感じが無い。
●挨拶、自己紹介
 笹山家では、応接間に案内され、笹山さん及び、、地元の人から、「よー来たのー」と広島弁で迎えられ、さるかに共和国メンバーの紹介などあり、次第にうちとける。しばし歓談後、水車設置場で仕事をするので、一緒に行きましょうと、言われ、笹山家を出る。山道に入り、水車のあるところに到着。3班に分かれ、水路設置、丸太作品作り、土方作業、に取り組開始。日の暮れるまで、ここで作業を続けた。山口県から参加の斎藤さんはチェーンソー扱いの達人だ。
 温厚な無口な紳士藤原副大統領、対照的に雄弁な笹山官房長官、ほか、さるかに共和国の肩書き付き面々、地元の御夫人達、皆さん愉快で、やさしい方ばかりで、我々訪問者も、心いく歓待に、感激した次第である。 
宿泊は、男性陣は、築ん十年の木造住宅「さるかにの館」でシェラフに潜り込んでの雑魚寝・・。暗い山道を、車に乗り、登る事しばしで到着・・。
●朝市・陶芸教室・餅つき・講演会
 毎週日曜日に県道沿いで開かれる『とれとれ市』もすっかり名物になっている。「生きがいができたと、喜んでくれる地元の出荷者がおられる。やりがいがありますよ」。大蔵大臣の美人主婦・日下文香さん、農林大臣の梅沢和士さん、重西寛子さんたちが、今朝も生き生きと朝市の仕事をしていた。新鮮・安い、その通りだった。
 陶芸教室では、参加者全員が童心に還って、作品作りに頑張った。モンゴルのアラタさん、ラクダの作品はすばらしい出来。共和国のメンバーの一部が、今年の6月「日中友好緑化植樹」参加、内モンゴルの緑化に協力してきたそうである。
 講演会(竹内論説委員)は、盛況だった。地元の人、我々外部から来た人で会場が一杯に埋まったのには正直言って驚いた。講演会後、交流会が開催され、地元の御夫人の手料理はじめ南京玉簾の芸などが披露され、楽しい歓談のひとときを過ごすことが出来た。
●風車見学・関所の飾り取り付け・水車への水路づくり・地元見学
 町を一望できる殿山の頂上に展望砦があり、風車が設置されている。出力は小さいが夜になるとタイマーによって明かりがつく。山頂までの道も延べ150人の協力を得て3ヶ月で造ったという。
 作業では、さるかに共和国の入り口に設けられた関所に竹で作った大きなカニを取り付け、一段と立派になった関所。また、水車をまわすために樋で水を引くための水路づくりを昨日に引き続いて行った。完成までにはまだまだかかりそうだ。
●「さるかに共和国」で新しいボランティア活動のあり方を見た
 当地でのボランティア活動は、生き生きと進められている。この理由はなんだろうか。
 地域ぐるみの活動として、そのユニークな企画と、地元民の協力が極めてうまく行われているという事が挙げられる。担当者は、責任を持たされ、肩書きも与えられ、工夫と実行力を尊ぶことが成果を生み出している原動力だろう。今後のボランティア活動でもこうした点を学び、各地で取り入れ進めることが出来たらキット素晴らしい町や村ができることだろう。
 さるかに共和国は、町おこしに新しい切り口で、迫る行動集団として、確かな手ごたえを掴んでいるなと強く感じながら、この地を去った。 地元の暖かいもてなしにも、感謝したい。特に笹山さんのお母さんが、全体をあたたかく包んでおられたのも印象に残る。
 もう一度訪れたいと思って・・・筆を置く。

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