TKOPEACENEWS
 3面 NO.33/02.12.1発行

爆音訴訟、静かな空を求めて!

 ・第3次厚木爆音訴訟団
・神奈川平和運動センター
●「基地被害」が断罪され−神奈川新聞社説から


 基地被害の現実に即した「いい内容」の判決と評価したい。16日横浜地裁で言い渡された第3次厚木爆音訴訟判決は、原告約4,900人の訴えを認め、基地騒音訴訟としては過去最高の27億円余にのぼる損害賠償を国に命じた。
 一次、二次訴訟と同様、将来の賠償は認めなかったものの、騒音被害を数値化したうるさい指数(W値)75以上80未満の地域の住民にも「受忍限度を越える被害を受けている」と判断。これまで80以上にとどまっていた救済範囲を広げやっと横田(東京都)小松(石川県)嘉手納(沖縄県)各基地の騒音訴訟と同じ水準とした。
 爆音を知っていながら周辺に転入してきた、とする国側の「危険への接近の法理」について「入居する前に、正確に把握することは極めて困難」として適用を退けた点も注目に値する。
 厚木基地周辺住民92人が「静かな夜をかえして」と、損害賠償と飛行差止めを求めて一次訴訟を提起したのは1976年。一次、二次と違い安保の是非論にも踏み込まざるを得ない「飛行差止め」を三次訴訟の訴えに含めなかったのは、それだけ騒音被害が深刻で救済をなによりも求める現実を踏まえたからに他ならない。
 硫黄島訓練施設が完成し、NLP(夜間離着陸訓練)の実施日数・訓練回数は大幅に減少したとはいえ、騒音状況をNLPの有無だけで判断することはできない。周辺住民の頭上に日常的に騒音が降り注ぐ実態は、昨年の米中枢同時テロ直後、無通告の訓練が繰り返されたことを考えてみても想像に余りある。その意味でも、「国の防音対策は抜本的な解決になっていない。国による厚木基地の設置管理には違法があるといわざるを得ない」と指摘した判決には、原告側住民は胸のすく思いだろう。
 一方で、判決が将来の賠償を認めなかったことで、住民は今後何度も提訴を繰り返さざるを得なくなるだろう。
 被告の国には抜本的な対策が求められている。司法の判断を率直に受け止め、米軍当局とも率直な協議を行い、基地被害の解消に向けて取組を始めるべきだ。判決も「日米合同委員会での協議・交渉という手段があり、国が被害の発生を回避する可能性が全くなかったということはできない」と「不作為」の責任に言及している。
 いうまでもなく、日米安保は国民の信頼の上に成り立っている。両国民の安全・安心、そして人権が保たれてこそ良きパートナーシップなのだ。両国政府が末永い同盟関係を望むなら、なおさらのこと、この異常な騒音被害を放置してはならない。


横浜地裁判決に際しての声明
・厚木基地爆音第3次訴訟原告団
・厚木基地爆音第3次訴訟弁護団


 本日10時30分、横浜地裁第1民事部において、厚木基地爆音第3次訴訟における第1審判決が言い渡された。
 厚木基地周辺にあって航空機騒音に苦しんできた被害地域のうち、われわれが救済を求めてきたWECPNL75以上の地域につき、航空機騒音の程度が受忍限度を越え、違法であることが、厚木基地訴訟運動史上始めて認められた。
 また、中途から騒音被害地域に転入ないし地域内移動をした原告には損害賠償を認めるべきではないという被告の「危険への接近」の主張はほぼ全面的に退けられ、住宅防音工事助成による減額も1室10%、2室目以降5%にとどめられた。
 今回の判決で救済を認められた住民数は4,951名中4,935名、損害賠償として認容された金額は約27億4,600万円にのぼる。
 判決においては、被告は過去2回にわたり厚木基地周辺の騒音被害につき違法判断がされるのに、防音工事助成等の周辺対策をするのみで、「厚木基地周辺の被害解消に向けて本腰を挙げて真摯な対応を取っているようにはうかがわれない」として国に対する厳しい弾劾もなされている。
 本判決は極めて精密な事実認定・理論構成をしめすものであり、この判決によって、騒音地域下において人が生きるに足りる環境として保障されるべき水準は示された。その事を率直に評価したい。
 しかし、われわれが何よりも望んでいるのは金銭補償ではない。厚木基地の騒音の解消であり、「静かな空」の回復である。40年以上にわたり厚木基地周辺は、厳しく変動する航空機騒音被害に苦しめられている。
 われわれはまず、本日の判決でも指摘された被害解消への真剣な努力を国に求めたい。いたずらに損害賠償につき姑息な争いを続けて住民らを苦しめることは直ちにやめ、原告らとの話し合いに応じることを我々は強く要求する。
2002年10月16日



被告・国が控訴!
三次訴訟、東京高裁へ

第3次厚木爆音訴訟、被告・国の控訴抗議とその撤回を求める声明


 被告・国は、第3次厚木騒音訴訟の横浜地裁判決を不服として、10月29日東京高裁に控訴した。
 今回の横浜地裁判決は、過去2回の厚木基地爆音違法判決にもかかわらず、国の爆音解消策の不誠実さ、不徹底さ・無為無策を厳しく指摘するものであり、被告・国の反省、自戒の糧にこそなれ、不服を申し立てることは言語道断である。基地周辺住民をいつまで爆音のいけにえに供し続けるのか!
 原告団は、裁判の繰り返しの愚をさけるため、小異を捨て、控訴回避を決断し、政府および関係機関に対して控訴断念を働きかけてきた。
 憲法の理念が生きた司法の判決を、行政府が抹殺するのは断じて許せない。ただちに控訴を撤回すべきである。
 被告・国は厚木基地周辺住民の40余年におよぶ爆音の痛みを理解していない。横浜地裁の示した、「厚木基地の爆音は違法である」との判決を真摯にうけとめ、行政府としてて厚木基地の爆音解消に全力を傾けよ。
 われわれは三次訴訟の早期確定を求めるとともに、厚木基地の爆音がなくなる日まで、多くの被害住民とともに不退転の闘魂と全精力をもって闘う決意である。
 以上声明する
2002年10月30日 第3次厚木爆音訴訟団

《反安保、自衛隊の北方機動特別演習反対!「浜大樹揚陸訓練」反対!

7・9全国抗議集会》

 1977年6月、全国初の自衛隊「多方面区演習(1,000名)が「矢臼別大演習場」で実施、これに伴い6月9日、大樹町「旭浜」で輸送艦LSTが「揚陸訓練」を強行したのが始まりで、過去4回自衛隊側の都合で中止になっているものの、昨年7月2日の軍事演習で21回目をかぞえています。
 1985年、7回目の「揚陸訓練」から現在の「浜大樹(町有地)」で実施、翌86年防衛庁と大樹町で年間賃貸し契約をしていた演習地を防衛庁が買い上げ恒常的な「多目的沿岸演習場」を設置する動きが強まり、翌年12月に町有地買収をおこない「浜大樹訓練場」を新設しました。以後、毎年のように軍事演習を強行し、1998年7月には輸送艦「おおすみ」を活用し、99年7月の演習から「エアークッション艇LCAC」が上陸演習に加わり、軍事演習は年々強化されています。
 1983年5月に行った抗議行動の際には、地区労議長ら6人が不当逮捕されるなどの弾圧もうけていますが、反対闘争は地区労時代から平和運動フォーラムにうけつがれ24年間、欠かさず現地における1,000人規模の全道的な抗議行動を続けています。
 沖縄や佐世保、岩国、神奈川、三沢など全国からと道内の参加者が今年も1,000人を越え、午前8時から午後の2時まで長時間におよぶ抗議集会を展開しました。
 浜大樹の海岸沖合に停泊している輸送艦「おおすみ」の艦艇から出撃したLCACは海水を空中高く巻き上げながら海岸にむけて猛烈な勢いで突進してくる。私たちのすぐそば有刺鉄線を隔てた10メートルくらいの海岸に猛然と上陸してきた。海水と砂と小石を巻き上げ抗議をしている私たちの頭や顔に降ってくる。LCACからは、戦闘用車両がつぎからつぎに吐き出され、緊張した隊員が銃器をかまえて砂浜に待機し、そうした物々しい警戒の中上陸は完了し、LCACは沖合の輸送艦に向かって行く。こうした演習の合間には武装したヘリが抗議行動をしている1,000人のすぐ上を飛行し威圧をかけてくるし、あたりは轟音が響きわたりいやがうえにも興奮してくる。
 このような軍事演習が2台のLCACによって午後2時ころまで30分に一回のわりで強行され、攻撃ヘリ・ブラックホークから自衛隊員の上陸演習も実施されるなど、まさにこの場所は間違いなく戦場であるとおもう演習でした。
 抗議行動に参加した1,000人は、CACが上陸するたびにシュプレヒコールで抗議し、その間は全国から参加した各県の代表者による決意表明をうけるなど。久し振りに気合いの入った集会となりました。参加者の口々から自衛隊はどこの国に侵略上陸するのか、戦争反対、有事法制反対、憲法改悪反対など反戦平和運動の強化をさらに継続することを誓いあった集会でもありました。

▲全国から北海道内から続々と仲間が結集する浜大樹海岸
▲LCACの上陸寸前に抗議のシュプレヒコール
▲浜大樹に上陸したLCAC
▲上陸したLCACが向きを変えている
▲三多摩平和運動センター川村議長も連帯のあいさつ

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