TKOPEACENEWS
 2面 NO.33/02.12.1発行

10・31寺尾差別判決28カ年糾弾!狭山再審要求!
特別抗告審闘争勝利!中央集会
・10月31日
・日比谷野外大音楽堂


 部落解放中央本部、中央共闘会議、地方共闘会議の主催により、今年も日比谷公園に4,000人結集して開催されました。現在、狭山闘争は最高裁判所において特別抗告として闘われています。
 デッチ上げ逮捕から39年も闘っているのは世界でも例がない差別、人権侵害事件として国際人権自由権規約委員会においても全証拠の開示を勧告するなど、日本の裁判制度そのもに対して世界的な批判が続いています。狭山事件においては証拠が開示されておらず、石川さんは今日まで見えない手錠がかけられていることに変わりはありません。最高裁判所における闘いの勝利とともに証拠を開示させる司法の改革も求められています。その基本的な方針について部落解放中央本部は以下の考えをもとにあらゆることを想定しての闘いの先頭にたっています。

◎えん罪・誤判を教訓にした司法改革の必要性
 司法制度改革審議会の中間報告に対する意見においても、日本においてはえん罪・誤判事件がこれまであり、誤認逮捕、えん罪事件がおきている実態を直視し、このようなえん罪事件の原因を考え、教訓にしていかなければならないと指摘したところです。誤認逮捕やえん罪にまきこまれ、誤った有罪判決をうけた人達の長期に渡る人権侵害を考えるとき、誤判からのむこの救済こそ迅速に行われなければならないものと思います。

◎えん罪防止・誤判救済のための証拠開示確立の必要性
 わが国においては、免田、財田川、松山など死刑再審事件をふくむ過去の多くの再審・無罪事件において、開示された検察官手持ちの未提出証拠が真実発見と無実の人を誤判から救済する大きなカギとなりました。
 また、1963年に無罪が確定した有名な松川事件では、死刑判決をうけた被告人のアリバイを証明する第3者のメモが検察側によって隠されていたという恐るべき人権侵害がありました。こうした事実は、えん罪を防止し、誤判から無実の人を救済するために証拠開示が不可欠であることをしめしています。そもそも、検察官が不利な証拠を隠して有罪判決をえようとするなどということは著しく正義に反することで許されません。

◎狭山事件再審請求における証拠不開示の不公平な実態
 一方、39年にわたってえん罪を叫び再審請求を続けている狭山事件では、東京高検にある膨大な未開示証拠へのアクセスを弁護側は求めていましたが、その要求が入れられないまま再審請求がしりぞけられています。東京高検は、積み上げれば2〜3メートルという未開示証拠があることを認めていますが、狭山弁護団がくりかえし検察官と折衝し、具体的な証拠開示請求、あるいは手持ち証拠の内容を知らせる事を求めているのにもかかわらず、証拠開示は全く行われていません。こうした現実に対して、再審請求における証拠開示につき、「裁判所、検察側の対応のバラツキもまた、請求審での証拠開示の明確なルールがないことが原因だ」(1/28読売新聞)と指摘されています。
 あるいは、狭山事件の再審請求では、専門家の鑑定書などの新証拠が多数出されていますが、28年間にわたって一度の事実調べ(鑑定人尋問、証人尋問や現場検証)もおこなわれていません。こうした手続き上の不公平こそ司法改革で是正されなければなりません。

◎誤判を教訓に証拠開示確立した諸外国の例と国連の改善勧告
 80年代に誤判があきらかになったイギリスでは、一連の司法改革のなかで、1996年に再審請求審査のための独立した機関を設置し、協力な証拠開示命令権を認めて、再審を準備する弁護側の証拠収集、未開示証拠へのアクセスを保障しています。
 また、国際連合の国際人権自由権規約委員会は、すでに1998年に「法律および実務において弁護側が検察官手持ち証拠にアクセスできるよう保障する」事を日本政府に勧告しています。しかし、いまだに検察官の証拠開示の実務の改善がみられていないことは、さきの狭山事件のケースなどが示しています。

◎司法改革において証拠開示の公正・公平なルール化を
 以上のことから、わが国においても、通常の裁判手続き、再審請求手続きともに、証拠開示に関するルール整備は急務といえます。先般の司法制度改革審議会最終意見においても、「証拠開示のルール化」が指摘されました。現在進められている司法制度改革推進本部の検討作業において、ぜひ、過去のえん罪、誤判の現実を教訓にし、証拠開示の公正・公平なルール化、弁護側の検察官手持ちの未開示証拠へのアクセスの保障を確立する必要があります。


10・31中央集会によせられた
石川一雄さんのメッセージ
【10・31寺尾不当判決28ケ年糾弾集会参加ご一同様】
必ず、本審で無罪を
・石川 一雄

 寺尾不当判決28カ年糾弾集会に決起されたすべての皆さんに感謝の一文をおとどけ致します。
 すでに皆さんもご承知のように確定判決以降も弁護団は、次々と無実の証拠を積み上げ、そして、支援者各位においては、何百回も裁判所に足を運ばれ、「事実調べを行え」という要請活動に取り組んでいただいている訳ですが、これまでの各裁判官は、悪意と、差別意識をむき出しにした態度でただの一度も事実調べをおこなわなかったのみか、弁護団よりの科学的な鑑定書や、証拠資料などに対し、「独断に過ぎない」、「推測の域をでない」、と難癖をつけ、正当な心理をする事なく、棄却し続けていることに腹らわたが煮えくり返る思いであります。とくに高木、高橋にかかわる決定なるものは、新証拠の内容に一切触れようとせず、しかも、脅迫状いたっては、「…他家に奉公に行き、工場勤めなど社会経験もある程度積んでいたから、文字を書くことについて、いくら学校に行かなくても書けたはずだ」などと、部落差別により、学校教育から排除され、文字を奪われていた現実を直視せず、教育は社会生活の中で自然に身につくものと、だから「石川は脅迫状が書けた」と決定文に書いてはばからないのであります。
 こうまで居直られれば、もはや、裁判所は自らを「人権の砦」といっていますが、そんなものは真っ赤な嘘であり、詭弁としかいいようがありませんが、でも、私は、司法の府である、最高裁判官の良心に訴え続けていきます。
 自分は無実であり、そして、事実調べをおこなってくれさえすれば必ず真相は明らかになることを、今後も「えん罪であった」と認めさせるまでは、司法を厳しく追及して参るつもりです。
 当然、皆さん方も28年前の今日の不当判決に対し、怒りを持って本日の糾弾集会にのぞまれたはずですし、一方においては、最高裁は、私の特別抗告の申立てを即刻受理し、先の高木、高橋両裁判長の不当な棄却を取り消し、自らの手で、再審開始決定を行わせるための集会として参加いただけたと思いますが、気になるのは検察庁が隠し持つ証拠リストを開示させる闘いのほうであります。もとより最高裁の手によってすべての証拠を全面開示勧告、命令をさせるための運動も必要と思いますが、私個人の考えとしては、直接法務省、法務大臣に対して要請行動をおこすのも一つの手段ではないか、と思います。また、司法改革のなかで証拠開示のルール化を求めていくことが狭山を前進させ誤判ををすくなくさせていくことにつながっていくと思います。これまでの私は、自分の無実をはらし、権力の差別犯罪をあばくことこそがえん罪をなくす中心軸と思っていましたが、現在は、どちらかといえば、狭山再審の実現よりも、司法改革の方が先になってしまいそうです。
 当然のことながら、部落解放同盟、あるいは支援者達の要請行動の方針として「最高裁は検察庁への証拠開示命令を行え」「検察庁は証拠を開示せよ」と迫っていくことに重きをおいていくだろうし、それもまた、もっともでありましょうが、とにかく、狭山再審勝利に向けた取組は、どんな手段でも、必ず、本審で無罪を勝ちとっていただきたいと願っている次第です。
 私も最高裁に命を賭して再度闘いを展開しているので、どうか皆さんも何時までも「殺人者」の汚名を着せたままにおかぬよう可能なかぎり、ご協力賜りたく、心よりお願い申し上げるものであります。
 私は前述のように私自身における闘魂はいささかも衰えることなく、むしろ司法の暴挙に対しますます怒りとともに闘争心が沸いてきます。皆さんの更なるご支援を頂きたくお願いして、右、お礼と決意のほどをおつたえしてご挨拶に変えたいと思います。
                        
 ◎法切れや 有事法制を 憂慮しつつも 正義の使者を 呼び込まん

●タイトル頁に戻る ●目次頁に戻る ●機関紙頁に戻る ●1頁に戻る ●3頁に進む