TKOPEACENEWS
  3面 NO.22/01.11.30発行

テロにも、報復にも反対、戦争を支援する新法を許さない!
全国各地の闘い

 10月29日、参院本会議で、「テロ対策特措法」「自衛隊法改正」「海上保安庁法改正」の3法案が賛成多数で可決・成立してしまいました。3法案は極めて数多くの問題点を抱えているにもかかわらず、衆参両院で小泉首相が認めているように「本格的な憲法論議をすると、いっそう混乱するので避けた」なかで、手続き上の形だけをつくろった異例の猛スピード審議で成立させました。
 私たちは、この強行成立に際して厳しく抗議します。
 同法が成立したいま、政府による基本計画の策定、自衛隊の出動という日程で事態は進められていくことになります。私たちは、憲法の平和主義の立場から、米国内を含め世界各地で広がる報復戦争反対の運動と連携しながら、基本計画や自衛隊の出動に対して、「許すな自衛隊の戦争参加!報復戦争反対11・29東京集会」などを成功させ、全国の仲間と共に全力で闘い抜きたいと考えます。

この間の中央、地方の闘いを紹介します。



▲東京平和運動センターも10月26日・JR有楽町駅前で街宣行動

▲デモの先頭で、市民に訴える江橋崇平和フォーラム代表

◆平和フォーラム(中央)
  10月8日の米英両国のアフガン軍事報復という事態をうけて、平和フォーラムは10月10日、軍事攻撃開始緊急抗議集会を開きました。平和フォーラム代表の江橋崇・法政大学教授は、テロ対策特措法案を「憲法9条停止法案とも言うべき緊急事態法制である」と厳しく批判しました。
  続いて10月12日には、平和フォーラムは東京港区の三河台公園で緊急集会を開催し、約400名が集い、米大使館に向けてデモ行進し、「テロにも報復戦争にも反対」をアピールしました。
  また、10月15日には、日本消費者連盟や、許すな!憲法改悪・市民連絡会などで作る「テロにも報復戦争にも反対!市民緊急行動」との共催で「報復戦争を許さない!『報復戦争支援法』制定に反対集会」を開催、国会請願・米大使館への抗議デモを行いました。
  そして10月18日には参議院会館内で平和フォーラムが主催して緊急院内集会を開催。民主党の神本美恵子、大橋巨泉参院議員や社民党の福島瑞穂参院議員、今川正美、金子哲夫衆院議員、無所属の中村敦夫参院議員など多くの国会議員の参加がありました。
  同夜開かれた「テロ・軍事的報復、日本の戦争支援に反対する中央集会」(平和フォーラムなどが呼びかけ)には、会場を埋めつくす約8,000人が参加しました。
  法政大学教授の五十嵐敬喜さん、作家の澤地久枝、森村誠一さん、弁護士の海渡雄一さんや辛淑玉さん、など各界各層の方々が呼びかけ人や賛同人に加わりました。賛同人に名前を連ねたお一人でもある俳優の近藤正臣さんは、「自分の良心にだけ従ってここに来ました。この良心のためだけに皆さんと一緒に歩きます」とアピールし、会場は沸きました。(近藤さんは最後までデモ行進をしました。)
  10月24日には、審議の焦点が参院に移る中、芝公園で緊急集会を開き(1,500人)、衆参両院に国会請願をおこないました。



◆北海道平和運動フォーラム
  アフガンでの冬季攻撃を準備するため、11月12日〜26日にかけて北海道大演習場(島松)で自衛隊11師団と米第3海上師団(沖縄)の合同実働演習が実施される。北海道を戦場に見立て米軍の軍事拠点、前進基地にかえようとする合同演習に反対し、道民への平和への訴えを一層強めるため、11月10日(土)恵庭市民会館において1,000人の抗議集会を成功させました。

◆青森県平和推進労働組合会議
  米軍三沢基地は、F16戦闘機などが配備されかってはロシアに対峙していたが現在は北朝鮮、中国をにらんだ戦闘配置に付いているといわれています。そのため連日飛行訓練がおこなわれ市民生活に重大な支障を与えている。また、基地の北10キロには原子力施設(六ヶ所村)があり戦闘機の墜落事故やテロなど市民の不安はつのるばかりといわれています。基地の撤去を求めて週一回の座り込み行動などで闘っています。    

◆群馬県平和運動センター
  レーダーに探知されにくい低空を飛んで対地攻撃を訓練する目的で急降下、急上昇するためそのときの衝撃波で人家の窓ガラスが割れたり、牧場の牛や馬が暴走したり、木材搬出用のワイヤーが切断されるなどの被害が全国各地で起きています。とりわけ群馬県と新潟県の山中は低空飛行訓練空域と訓練ルート(ブルー)があるため被害が集中しています。県平和センターはこうした訓練をやめるよう米軍や県知事などに要請を繰り返し行っています。1994年10月には低空飛行訓練中の米空母艦載機が高知県北部の早明浦ダムに墜落、乗員2人が死亡した事故もあり、高知県など四国4県とも連帯した闘いを組織しています。

◆埼玉県平和運動センター
 テロ・軍事的報復・日本の戦争支援に反対する埼玉県集会は、10月11日さいたま市民会館おおみやホールに会場一杯の350人が結集して集会を成功させました。集会では厚木基地爆音防止規制同盟副委員長・相模原市議金子豊貴男さんより、「同時テロ事件と在日米軍、自衛隊」を中心にした基地の実態について報告をうけた。


◆三多摩平和運動センター
  テロも軍事報復もNO!
  横田基地を報復の基地にさせず、米軍基地の撤去を求める10・22三多摩集会は、激しい雨にかかわらず500人が結集して集会を成功させました。
 ◎集会のスローガン
  ・横田基地をはじめ全ての米軍基地の整理・縮小・撤去!
  ・静かな夜と空を返せ!
  ・集団的自衛権行使・有事立法・憲法改悪反対!
  ・沖縄名護市への新基地建設反対・那覇軍港の浦添移設反対!
  ・原子力空母横須賀母港・艦載機のNLP訓練反対!
  ・北東アジアの非核地帯化実現!

市民の生活を脅かす米軍横田基地の概要
  立川市、福生市など6市町にまたがり、面積714万平方メートル。在日米軍指令部、米第5空軍指令部、米空軍第374空輸航空団などが駐屯している。この基地のため、東京都西部から神奈川、静岡、長野、新潟など1都8県の上空を最大7,000メートルまですっぽり覆う広大な空域。このため羽田から西へ向かう航空路はこの空域のため大きな制約をうけている。今年1月31日午後3時55分ごろ、静岡県焼津市の上空で羽田発那覇行きの日航機(乗客乗員427人)と韓国・釜山発成田行きの日航DC10型機(250人)空中衝突寸前のニアミスを起こすなど、横田基地があるがため民間機への被害が続出しているなど非常に危険な空域になっています。また、横須賀に空母が入港すれば艦載機による夜間飛行訓練が実施されるなど、市民生活を脅かしています。

▲激しい雨の中、決意表明の三多摩平和運動センター川村議長



◆新潟県平和運動センター
  テロも報復戦争にも反対!
  平和憲法をまもり、戦争協力に反対する新潟県民行動は10月21日、当日は日曜日にもかかわらず1,500人が結集して開催された。
 ◎集会スローガン
  ・いかなるテロにも反対!
  ・報復戦争反対!
  ・自衛隊の海外派兵反対!
  ・国連による平和的解決を!


◆神奈川県平和運動センター
  「違法な爆音を止めろ!厚木基地はいらない!」大行動
  最高裁は厚木基地の爆音を違法と判断を示したにも関わらず、いまだ解消されないまま、6年目を向かえています。周辺住民5,000名が提訴した「第3次厚木爆音訴訟」がまもなく結審となり、来年秋に判決がだされようとしています。
  加えて、米国同時多発テロ事件後、厚木基地周辺は大変な爆音被害にさらされ、墜落など事故の危険性が高まっています。このような状況のなか神奈川県内の米軍基地撤去を求める団体が3,600名を結集して大行動を展開しました。
 ◎大行動スローガン
  ・市民の怒りと力で、違法な爆音をとめよう!
  ・原子力空母の横須賀母港化をとめよう!
  ・不平等、不公平な日米地位協定を見直そう!
  ・無差別テロにも軍事報復にも反対しよう!
  ・自衛隊の海外派遣をやめさせよう!

40年間地域住民を苦しめ続ける厚木基地の概要
 神奈川県大和市と綾瀬市にまたがる、面積510ヘクタール余の航空基地。米国海軍と自衛隊が管理使用している。2002年開催されるワールドカップ決勝戦の会場「横浜国際競技場」が80個も入る広さ。
 3000m滑走路を有し、日夜、米軍機(主に横須賀を母港とする空母の艦載機)と海上自衛隊(主にP3C対潜哨戒機)が離着陸訓練をおこない基地周辺におびただしい爆音をまき散らしている。
 基地の周辺には150万人が居住し、全国でも類をみない人口過密都市のなかにある軍事飛行場である。
 神奈川県平和運動センターは、1973年米海軍の空母ミッドウェーの母港となり今日まで続いています。現在の「キティ・ホーク」が引退すれば原子力空母になる予定で、そのための12号バース延長工事が続けられています。横須賀市民は原子力空母は港のなかに浮かぶ大型原子力発電所となり、事故と放射能による市民生活を脅かすものとして、また、米軍基地を標的としたテロの不安と、核戦争の標的としての危険性に怯えなければならない状況にあり、粘り強い基地撤去の闘いが繰り広げられている。

▲韓国から米軍基地撤去を闘う仲間も参加(11月18日厚木基地正門のゲート前での抗議)


◆山梨県平和センター
  11・18米軍北富士演習場における実弾砲撃訓練に反対する集会在沖縄米海兵隊の実弾砲撃演習の本土移転は、97年7月の北富士以来、北海道矢臼別、宮城県王城寺、静岡県東富士で各4回、北富士・大分県日出生台で各3回強行され、沖縄で行われてきたよりも夜間で行う、発射弾数の増大などのほか、地元の約束違反などの問題を引き起こしています。
  今回は11月5日から山梨県北富士で4回目の演習が行われます。米軍がアフガニスタンへの「報復戦争」の真っ最中におこなわれるもので、文字通り「戦争のための訓練」です。
  平和センターは、11月18日富士吉田市内の公園で抗議の集会を開催します。

◆静岡県平和・国民運動センター
  「在沖縄米海兵隊県道104号線越え実弾砲撃演習東富士移転に抗議する県民集会」
  東富士演習場の全面返還・平和利用を求める県民の声を無視しての実弾砲撃演習に反対する集会を、御殿場市民会館に1,000人結集して開催。この集会の2日のち米国中枢同時多発テロが発生。

◆山口県平和運動フォーラム
  米軍岩国基地は、世界に7カ所ある米海兵隊専用航空基地の一つ、第2海兵航空群指令部と攻撃、戦闘攻撃、電子機の各航空隊が駐屯している。常駐航空機はF/A18戦闘攻撃機、AV−8B攻撃機など50機。このほか米空母の艦載機も訓練のため頻繁に飛来する。
  現在の面積は570万平方メートルだが、約2,000億円に上る米軍への「思いやり予算」で滑走路の沖合移転工事が進んでおり、10年後の完成時には783万平方メートルと約1.4倍に広がる。
  県平和フォーラムは、市民の安全を守るため積極的に基地撤去を求めて粘り強く闘っている。

◆平和運動センター中国ブロックの闘い
  「STOP!自衛隊の海外派兵」
  日本の戦争荷担を許さない11・25中国ブロック・呉集会
  軍港呉市で2,000人規模の決起集会と3.5キロのデモで市民に日本の戦争荷担反対!自衛隊の海外派兵反対!平和憲法を守ろう!と訴える。

◆平和運動センター九州ブロックの闘い
  「自衛隊の海外派兵反対!有事法制化反対!」
  九州ブロック総決起集会
  10月21日雨のなか、3,200人が結集して総決起集会を成功させました。

◆沖縄平和運動センター
  嘉手納基地を中心に日本に駐留する米軍基地の75%が集中する沖縄。
  嘉手納基地は、極東最大の米空軍基地、嘉手納町と北谷町、沖縄市にまたがり、面積2,000万平方メートル。4,000メートルの滑走路を2本もち、第18戦術戦闘航空団を中心に各部隊が駐屯。常駐航空機はF15戦闘機KC135空中給油機、E3早期警戒管制機など100機。
  沖縄の米軍基地からこれまでベトナム戦争など世界各地でのアメリカの戦争の中心的役割をにない、そのため、テロ事件発生後、日本政府は警察機動隊を400人緊急に派遣しその防衛にあたらせている。沖縄県民は異常なまでの警戒に大きな不安を抱いている。その後、沖縄観光の激減につながっている。
  県平和センターは、米軍基地の撤去と現在進行中の普天間基地の名護市への移設反対と、浦添市の軍港建設反対に重点的に闘っています。



▲韓国から米軍基地撤去を闘う仲間も参加(11月18日厚木基地正門のゲート前での抗議)
▲さあーデモに出発だ!
▲厚木基地撤去を闘う市民グループもデモに参加
(基地正門ゲート前で)


「テロ対策特措法」などの強行成立に抗議する声明


 本日10月29日、参議院本会議は「テロ対策特措法」「自衛隊法改正」「海上保安庁法改正」の3法案を賛成多数で可決、同法を成立させました。
 これらの法案はきわめて数多くの問題点をかかえているにもかかわらず、衆議院・参議院とも小泉首相自身が認めているように「本格的な憲法論議をすると、いっそう混乱するので避けた」なかで、手続き上の形だけをつくろった異例の猛スピード審議で成立させました。私たちは、以下の点から、同法の強行成立に対して断じて抗議します。
「テロ対策特措法」は、@2年期限とはいえ、憲法の禁じた集団的自衛権の行使に踏み込むものであること、APKO法などでは必要とされた国連決議や当事者間の停戦合意などの「歯止め」がなく、無制約のまま自衛隊を海外派兵できること、B自衛隊の派遣地域は「戦闘が行われておらず、かつ活動期間中に戦闘行為が行われることがないと認められる地域」というきわめて主権的判断に基づくものであること、C自衛隊の活動範囲に対する制限もあいまいであること、D自衛隊派遣について国会による事前承認を必要とせず、活動について定めた政府の基本計画の事後承認を受ければよいとしていること、Eそもそも立憲主義国ならば常識であるはずの財政措置についての規定すらないことなど、シビリアンコントロールの基本さえまったくないまま、政府に対して自衛隊運営の白紙委任状を与えるに等しい法律です。
 また、「自衛隊法改正」は、@従来の「治安出動」と「防衛出動」の他に「警護出動」を新設し、武器を携行した自衛隊が、自由な市民生活を脅かすものであること、A治安出動に先立ち、武器を携行した自衛隊部隊による情報収集活動を新設するなど、市民の生活に重大な影響を及ぼすものであること、B「防衛秘密」という新たな概念を創設し、それを漏らした者に対し5年以下の懲役を科すという「防衛秘密漏洩罪」を規定するなどを盛り込んだことなど、まさしく火事場泥棒的に緊急事態法制を整備したものです。とくに「防衛秘密」に関する重大な罪の新設を、個別法ではなく、自衛隊法の改正によって果たそうとすることは、法治主義に対する重大な侵害行為にほかなりません。
 以上のように、「テロ対策特措法」「自衛隊法改正」は緊急時に憲法第9条をはじめとする基本的な憲法秩序を停止するための「非常事態法」「憲法停止法」ともいえる法律であり、そもそもの点で違憲の立法といえるものです。しかも、この重大な法律を、短期間の審議で採決したことは、国権の最高機関であり、日本の民主主義の要であるべき国会が自らその役割を喪失させていることを白日の下にさらしたといわざるをえません。
 同法が成立したいま、政府による基本計画の策定、自衛隊の出動という日程で事態は進められていくことになります、私たちは、憲法の平和主義の立場から、米国内を含め世界各地で広がる報復戦争反対の運動と連携しながら、基本計画や自衛隊の出動に対して、今まで以上に大規模な抗議の取り組みを進めていくことを表明します。
2001年10月29日
フォーラム平和・人権・環境  代表 江橋 崇

●タイトル頁に戻る ●目次頁に戻る ●機関紙頁に戻る ●1頁に戻る ●2頁に戻る