TKOPEACENEWS
  1面 NO.22/01.11.30発行

憲法理念の実現をめざす第38回護憲大会

活動報告その1
「人間の安全保障」を21世紀の指針に

・2001年11月3日〜5日
・伊勢市・三重県営体育館

▲憲法理念の実現をめざす 第38回護憲大会参加者(11/3 三重県営体育館)




 第38回護憲大会をとりまく情勢について
(1)この報告をまとめている頃はすでに、憲法が違憲としてきた「集団的自衛権」を無視して海上自衛隊の護衛艦2隻と補給艦1隻が11月9日午前7時すぎ、長崎県佐世保基地を、戦場であるアフガン攻撃の米軍出撃拠点インド洋のディエゴガルシア島に向けて出港した。憲法第9条「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」とした憲法を乗り越えて、この56年間日本の軍隊は他国を侵略せず、殺さず、奪わずと世界からも高い評価を得てきたにもかかわらず、米国に従属し米国の復讐とする戦争に荷担し日本は何を目的に自衛隊を戦場に送り出すのか国民が不明のまま戦争に引きずり込まれそうである。

(2)小泉政権の許すことの出来ない政治姿勢は、テロ問題のどさくさ紛れに武器をもった自衛隊が軍隊内にとどまらず、警護出動として自由な国民生活を脅かす。防衛秘密を新設し企業、民間人まで罰則を強化するなど、日本を武装した自衛隊によって治安を維持する国にしようとした「自衛隊法改正」を非常に短時間の審議で成立させました。
  小泉政権はこれまで、教科書問題、靖国神社公式参拝など偏狭なナショナリズムの台頭をうながすような政治から日本の軍国主義に一歩踏み込んだ危険な内閣として私たちは警戒しなければならないと思います。

(3)また、自民党は「テロ対策特措法」「自衛隊法改正法」など違憲立法といってもおかしくない法律が登場したなかで、実態にあわせて憲法9条をかえろとか、一国平和主義ではあってはならない、国連安全保障理事会の常任理事国となり、軍事的にも世界平和に貢献しなければならないとかの主張・論調が強くうちだされ平和憲法の改悪に一直線に進むことも私たちは警戒しなければならないと思います。
「人間の安全保障」の確立に向けて、国から人へ21世紀の憲法擁護運動
(1)1980年代後半の冷戦構造の崩壊以後、もっとも冷戦構造が残されているいるとされてきた北東アジアでも、昨年の南北朝鮮首脳会談の実現後、世界各国が相次ぎ朝鮮民主主義人民共和国と国交をむすぶなど、明らかに緊張緩和が進んできました。そして、世界では、各地の民主化と人権確立、脱原発をはじめ環境保護運動の高まりなど、戦争と殺りく、環境破壊の20世紀を脱し、「平和・人権・環境」の新世紀を築こうとする努力を強めてきました。一方で、民族宗教紛争の続発など紆余曲折した状況もありますが、差別撤廃こそ平和の基礎とした「世界人権宣言」の具体化をはじめ、「人間の安全保障」を軸とした取組が広がっています。

(2)「人間の安全保障」という考え方は1994年に国連開発計画が打ち出したものです。従来、安全保障とは国家の安全保障とされ、領土偏重、軍備重視でしたが、それを人間重視、「持続可能な人間開発」によるものへと変えようという取組です。
  冷戦時代までの従来の国家間安全保障では人々の生活の安全は守れない、すべての国々の平和的な国際強調をいっそう高めるとともに、もっと市民が、人間中心に、世界共通となった問題に対して、国境を越えた総合依存関係を踏まえて、早期に予防し、恐怖と欠乏からの自由を保障することが重要になっています。

(3)今回のテロに対しては、軍事的報復では無く、地球規模での環境破壊や貧困、差別の問題を克服し、国際テロを含めた地球規模の脅威に対処する「人間の安全保障」の取組に、すべての国々と協力し、世界の人々ともに歩むことが重要です。時間がかかるようでも、この取組が憎悪の悪環境をとめ、テロ行為を根絶させる力になります。


写真はシンポジウムで問題提起の江橋崇平和フォーラム代表

第38回護憲大会スローガン
@テロ行為の糾弾とともに、米国の軍事的報復・日本の戦争支援に反対しよう
A憲法違反の集団的自衛権を許さず憲法の平和のメッセージを世界に広げよう
B日朝国交回復を実現し、日本・アジアの非核・軍縮をすすめよう
C日本の戦略戦争への反省を明確にし、戦後補償でアジアとの和解を
D内外のあらゆる差別とたたかい、人権確立をめざそう
E地球市民として、平和・人権・環境の国際協力をすすめよう
F教育基本法を生かし、21世紀を担う若い世代を育てよう


オープニングアトラクション
 11月3日(土)13:00〜13:30
 三重県営体育館
 さだひこ太鼓(猿田彦神社敬神青年会)

開会総会
 11月3日(土)13:30〜14:20 県営体育館

□総合司会
 全水道中央執行委員   岡崎  徹
 三重県実行委員会    田中 千尋
□主催者あいさつ
 実行委員会代表     江橋  崇
             (平和フォーラム代表)
□地元 あいさつ
 フォーラム平和三重議長 前島 徳男
□基 調 提 案
 実行委員会事務局長   佐藤 康英
             (平和フォーラム事務局長)
□連帯のあいさつ
 連合総合局長      阿部 道朗
 民主党副党首      千葉 景子
 社民党         金子 哲夫
□来賓 あいさつ
 三重県知事・伊勢市長・鳥羽市長

シンポジウム
 11月3日(土)14:30〜17:00 県営体育館

■テーマ
 「人間の安全保障」を21世紀の指針に
「平和・人権・環境」の課題
【趣 旨】
 紆余曲折しながらも国際化をすすめてきた世界。そのとき、発生した世界を震撼させた同時多発テロ事件のなかで、ブッシュ政権は軍事的報復・戦争へとすすみ、日本は機に乗じて集団的自衛権行使に踏み込もうとし、他方で、内外の排他的傾向を強めようとしている。そのなかで、私たちは21世紀を「平和・人権・環境」の世紀をするために世界で取組がすすめられてきた「人間の安全保障」を指針とすることが重要。
 以上の世界とりわけアジアと日本の平和、人権、環境をめぐる状況と課題について提起をうけ、討議する。
◎司 会
   大林 ミカ
   (環境エネルギー政策研究所副所長)
◎パネリスト・コーディネータ
   江橋  崇 
   (平和フォーラム代表・法政大学教授)
◎パネリスト
   内海 愛子(恵泉女学園大学教授)
   櫻井 宏之(軍事問題研究会事務局長)

分 科 会
 11月4日(日)9:30〜13:00 鳥羽市内

総テーマ
 「人間の安全保障」を21世紀の指針に
−憲法調査会の問題点を洗う

第1分科会
 非核・平和・安全保障
 「集団的自衛権」問題、同時多発テロ問題など
 問題提起・助言者
   藤井 治夫(軍事問題評論家)
   大脇 雅子(参議院議員)

第2分科会
 歴史教育と戦後補償
 「教科書」「靖国」問題など
 問題提起・助言者
   君島 和彦(東京学芸大学教授)
   神本美恵子(参議院議員)

第3分科会
 人権確立
 「人権救済制度」問題−人権擁護審、司法改革審
 問題提起・助言者
   山崎 公士(新潟大学教授)
   植田 至紀(参議院議員)

第4分科会
 地球環境
  地球温暖化と自然エネルギー問題など
 問題提起・助言者
   大林 ミカ(環境エネルギー政策研究所副所長)
   松下 和夫(京都大学大学院教授)

第5分科会
 民主政治(地方政治)
  定住外国人の参政権実現に向けて
 問題提起・助言者
   近藤  敦(九州産業大学助教授)
   富野暉一郎(龍谷大学教授)

★11月4日午後は「原発問題」「教科書問題」「女性交流集会」「全国基地問題ネット交流集会」などが開催された。
★全体の参加者は3,000人、東京からは74人が参加しました。
★別途、大会報告集は各団体、労組に一部郵送します。ご希望があれば平和フォーラムへ注文して下さい(有料1,500円)

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