TKOPEACENEWS
  3面 NO.6/01.3.5発行

新しい世紀! 狭山闘争勝利を! 決意も新たに頑張ろう!
☆狭山事件の再審を求める東京集会

・2001年2月9日・千代田公会堂

▲検察が隠し持つ証拠を開示させる闘いが重要だと力説する。松川事件で無罪を勝ち取った 佐藤 一さん

▲狭山事件は権力によるデッチあげであり、権力による犯罪でもある。完全無罪獲得まで何年かかろうが闘いぬくと決意表明する  石川一雄・早智子さん

★集会スローガン

1.狭山差別裁判糾弾,石川一雄さんは無実だ
2.東京高裁の再審棄却糾弾
3.東京高裁は異議審で新証拠の
  事実調べをおこない再審を開始せよ
4.東京高検は隠し持つ全ての証拠を開示せよ
5.反差別共同闘争の発展を勝ち取るぞ
  石川さんと連帯して、狭山事件の再審を勝ち取るぞ


●狭山事件の再審を求める東京集会基調


1.第2二次再審請求に対する不当な棄却決定

 1999年7月8日、東京高等裁判所・刑事第4部(高木俊夫裁判長)は、狭山事件の2度目の再審請求に対して「棄却決定」を出しました。
 再審請求に対する審理としては異例ともいえる13年間もの時間を費やしながら、東京高裁は結局一度も証拠調べを行いませんでした。まともに調べもせずに棄却するというのは、あまりにも横暴な理屈です。こんなことは断じて容認できません。
 今回の決定の背景には、司法・政治の反動化という大きな流れもあります。「日米ガイドライン関連法」「国旗・国歌」「盗聴法」「住民基本台帳法改正法」の成立、有事法制や靖国問題の検討、憲法改悪論議など最近の政治反動の流れと「再審を認めない」「白鳥・財田川決定を死文化する」司法の動きとは同一線上にあるものです。このような動きに対して反撃の闘いを作っていくことが、狭山に勝利するためにも是非とも必要です。
 石川さんと狭山弁護団は「高木決定」を許さず、東京高裁に「異議申し立て」を行ないました。私たちもこの異議審の闘いで勝利するため、これまで以上の闘いを東京の地で作り出して行きましょう。


2.これまでの闘いの成果と課題

 私たちは、1994年に狭山東京実行委員会を結成して以来、都内の闘う仲間たちとともに全力で再審を求める闘いを展開してきました。当初30団体でスタートしました実行委員会も、2001年1月現在45団体となり、その形態も労働組合から宗教団体・民主団体など、幅広い組織の集合体となっています。
 1997年には部落解放中央共闘会議や部落解放同盟中央本部から呼かけのあった「事実調べを求める新100万人署名」を実行委員会として取り組み、当初割り当てのあった2万人をはるかに越える4万6千人分を集めることに成功しました。また、毎年2・7東京集会に向けて取り組んできた「再審開始を求める団体署名」「全証拠開示を求める団体署名」も、実行委員会結成前からのものをあわせて、7年間でのべ1万団体をこえる数となっています。狭山東京実行委員会の繰り広げてきた幅広い共同闘争がこうした成果をあげてきたことを、皆さんとともに再確認したい思います。
 また一方で、ここ数年徐々にではありますが各種集会や取り組みへの参加が減少する傾向にあるなど、今後闘いを進める上での課題も明らかになっています。

3.新証拠の事実調べと全証拠の開示を実現しよう

 現在、早期に異議審で実現すべき課題は2つです。
 まず第1は、東京高裁に書面審理だけでなく証拠調べ=事実調べを行なわせることです。昨年高橋裁判長は、弁護団が提出した最新の証拠について、鑑定人から直接説明を聞きました。これは「説明を聞いた」ということであって「証拠の事実調べを行なった」ということではありません。しかし大きな一歩です。私たちは今後、裁判長が正式の事実調べに踏み切るよう強くもとめていきます。
 第2の課題は、東京高検に隠し持っている全ての証拠を開示させることです。東京高検は国際人権規約委員会の正式な勧告、刑法・刑事訴訟法学者たちによる「狭山事件の証拠を開示すべき」との署名の提出など、国内外の強い働きかけにもかかわらずかたくなに証拠開示を拒否しています。担当の検察官によれば、狭山事件に関して開示していない証拠文書の総量は、段ボール箱で3〜4箱にもなるといいます。過去のえん罪事件の多くにおいて、検察が被告人の無罪を証明する証拠を隠し持ってきた事実があり、被告・弁護人の努力でこれらが開示されたとき、再審無罪の扉が開いてきました。狭山事件においても、証拠開示が決定的な役割を果たすことは疑いがありません。私たちは、検察を包囲する世論を盛りあげ、証拠開示を実現する闘いを強めます。

4.創意工夫した闘いを作り、異議審で勝利しよう

 私たちは、昨年のこの集会で、異議審の闘いを進めるにあたって、つぎのような視点・方向性を確認しました。
 まず、中期的な展望をもって、地道に闘う体制をつくる事です。私たちは、異議審闘争が少なくとも数年の期間を要する闘いになるものと考え、また、過去に著名な再審開始決定が「異議審」で出たことなども学んだ上で、「異議審闘争」を全力で闘う体制を作り、「高木決定」を破棄させるために闘おうと確認しました。
 また、成果の見える、達成感の共有できる取組み、東京の特色ある狭山の闘いを作り出すことも確認しました。高裁・高検・マスコミなどへの「ハガキ」「手紙」活動を参加団体に呼びかけて取り組んだり、集会の中身についてもこれまでやってこなかったような工夫をこらして取り組んでいこうということです。
 こうした今後の闘いの方向については、1年が経過した現在、実現できている点もあり、まだまだ実現できていない点もあります。しかし、私たちは、本日の集会を通じてこうした方向を再確認し、これまで以上の積極的な取り組みを、地域や職場・教会など、それぞれの現場から積み上げ、石川さんとともに再審無罪を勝ち取ることを決意したいと思います。
 異議審の闘いはこれからが本番です。21世紀を迎えた今年、この集会を契機に私たちは、狭山再審を求める大きな世論を作り出します。そして一日も早く石川さんが完全無罪を獲得できるよう全力で闘います。


狭山東京実行委員会本郷議長あいさつ


 ご紹介いただきました狭山東京実行委員会の議長をやらさせていただいております、自治労東京都本部委員長の本郷です。
 本日は、お勤め帰りでお疲れのところ狭山東京集会にお集まりいただき大変ご苦労さまです。狭山東京実行委員会を代表しまして、一言ごあいさつと決意の一端を述べさせていただきます。
 一昨年7月8日、東京高等裁判所・高木裁判長は、第2次再審請求を不当にも棄却し、すでに1年が経ちました。第2次再審請求から14年がたとうとしています。世間一般では「早いもので」というところですが、石川さんにとっては不当逮捕以来38年というあまりにも長い長い闘いであります。20世紀中に解決を、という私たちの願いも踏みにじられました。
 しかし、後ほど石川さんご本人から決意表明がございますが、不屈の闘志で元気に闘っておられます。また、異議審後も新しい証拠や証言、先端技術の進歩による発見も続出しています。私たち狭山東京実行委員会は、昨年12月4日に定期総会を開き改めて異議審闘争への闘う決意を固めあったところで、東京高裁、東京高検への要請署名を取り組んできました。本日の集会に結集されました皆さんと共に闘う決意を固めあい、闘いを前進させたいきたいと考えておりますのでよろしくお願い致します。
 異議審後の動向などについては、この後基調提案や中山弁護士から詳しく報告が行われますが、本日の集会にあたって松川事件で不当逮捕され冤罪事件として無罪を勝ち取った佐藤さんにご講演をお願いしました。1949年という半世紀以上前の事件で若いかた達には知らない方もいらっしゃるかも知れませんが、証拠開示や事実調べの結果、最高裁で差し戻しとなり無罪を勝ち取った事件です。
 司法の反動化が進んでいる今日とは状況が違っているかも知れませんが、私たちが狭山事件の事実調べと全証拠開示を求めている立場から参考に姿態と佐藤さんをお招きしました。佐藤さんにおかれましては高齢でしかも遠くから本日の集会のため来ていただきまして本当にありがとうございました。 狭山事件の勝利、石川さんの完全無罪を一日も早く獲得するためさらにご協力をお願いしまして集会の主催者と一言ごあいさつ申し上げました。


狭山事件の再審を求める東京集会決議


 1999年7月8日、東京高等裁判所・刑事第4部(高木俊夫裁判長)は、狭山事件の再審請求に対して不当な棄却決定を出しました。私たちは、この決定を決して許すことができません。現在同裁判所刑事第5部(高橋省吾裁判長)に石川さんの異議申し立てが提出されていますが、裁判所がこの申し立てを真剣に受けとめ、この間提出されている新証拠の事実調べを行なうとともに、再審を開始するよう強く求めます。
 高木裁判長は決定において、1度の事実調べを実施することもなく石川さんの訴えをしりぞけました。十分な時間があったにもかかわらず証拠調べすらせずに請求を棄却した東京高裁の行為は、司法の責務はもちろん、民主社会の原則である市民的良識にも反するものです。証拠認定にあたって最高裁が過去に判例として示した「白鳥・財田川決定」に違反する理論をもちいている点とあわせて、高木裁判長の決定は裁判所に対する信頼と期待を裏切る重大な背信行為と言わざるを得ません。
 また東京高等検察庁は、事件発生から38年になろうとする今もなお、狭山事件に関する数々の証拠を隠し持ったまま開示していません。私たちは今日、佐藤一さんを講師にお招きし「松川事件」の真相についてうかがいました。この中で私たちは、「松川事件」において佐藤さんたちの無実を証明する証拠が検察によって隠されていたこと、このために佐藤さんたちが無実を証明するためにどれほど困難な闘いを強いられたかを改めて知りました。「松川事件」や「狭山事件」の事実が示すように、この国の検察は自分たちに不利になる証拠を隠す体質を持っており、そのことがえん罪を生み出す一つの原因となっています。このような日本の検察のあり方については、国際社会も厳しく指弾しています。1999年11月、国際人権〈自由権〉規約委員会が、「重大な人権問題である」として、改善を勧告しました。これは、委員会の討議の中で具体的に「日本では狭山事件で証拠が充分開示されていない」事実が問題となったうえでの結論です。
 法の定めるところによれば、検察官の任務は弁護側との係争に勝利して被告人を有罪に導くことではありません。公共の利益の代表者として、あくまで真実解明の一端を担うことです。検察官の証拠隠しは絶対に許されることではありません。東京高等検察庁は、狭山事件にかかわる全ての証拠をすみやかに開示すべきです。
 石川一雄さんは再審棄却決定を受けた記者会見で、「裁判所を信じていたのに無念だ。しかし私は真実が認められるまで何十年でも闘い続ける」と声明を発表しました。私たちの気持ちも同じです。狭山事件の真実が認められないかぎり、基本的人権の確立もありえません。私たちも今日の集会を起点として、石川さんとともにこの異議審で事実調べと再審を勝ち取るために全力で闘います。
 上決議する。
2001年2月9日
狭山事件の再審を求める2・9東京集会

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