TKOPEACENEWS
  2面 NO.6/01.3.5発行

沖縄駐留米海兵隊第3海兵師団第12連隊申し入れ書

▲米軍海兵隊第3隊ジョーン・オーヘイ大隊長あての「申し入れ書」を抗議集会の決議のうえ手交する。受け取るのは防衛施設庁幹部


在沖縄駐留米海兵隊第3海兵師団第12連隊第3大隊 ジョーン・オーヘイ大隊長 殿

申し入れ書


 貴官指揮下の第3大隊が、2月8日から、当日出生台演習場において、3年連続して砲撃演習を行うことに対し、私たちは砲撃演習に強く反対している立場から、強く抗議するとともに、演習の即時中止を始めとする以下の申し入れをいたします。誠意ある回答を期待いたします。


1.米国陸海軍は、日米安保条約の「日本および極東の平和と安全のため」という目的のため、日本国内の施設および区域を使用することが許されています。貴隊ら沖縄駐留米海兵隊が、関係自治体、住民の強い反対の声を押し切ってまで、本土の5箇所の演習場で砲撃演習を繰り返しているのも、日本と極東の平和と安全のため、という大儀名分に基づいています。即ち、日本と極東の平和と安全に、脅威が存在していることが、演習移転の根拠になっていました。
  しかしながら21世紀を目前にして、地球上で唯一、冷戦構造の残滓が残っていた北東アジア・朝鮮半島で、昨年6月、南北朝鮮両首脳が固い握手を交わし、貴国の国務長官も北朝鮮を訪問し、北朝鮮の軍トップが軍服を着用して貴国の大統領を訪問した事など北東アジア、朝鮮半島では、緊張緩和に向けた劇的な動きが始まっています。世界の多くの国々がこれを歓迎し、相次いで北朝鮮との国交を正常化していますし、貴国も我国も、北朝鮮との国交正常化をめざしています。
  このような国際情勢の劇的な転換を踏まえ、貴国の本国政府に対し、日出生台演習場を始め各地の自治体、住民が強く反対している移転演習を直ちに中止し、必要ならば米国領土内で実施されるよう要請されたい。
2.本土移転に際して、日米両政府は、関係自治体と住民に「沖縄での演習と同規模・同一水準」と公約されたが、今回で15回目を数える演習は、沖縄では実施しなかった夜間演習に重点が置かれ、砲撃回数も回を追う度に増えています。私たちは、日本政府はもとより、貴国の政府及び軍部に対して、深い不信感と怒りを覚えています。地元住民がもっとも不満を持っている夜間砲撃演習を直ちに取りやめていただきたい。
3.約1カ月間にも及ぶ演習期間中、周辺住民が被る生活被害は、十分ご承知のことと思います。その原因は、3年前の少女暴行事件に象徴される、米軍兵士により頻繁に繰り返される凶悪事件、事故、不祥事に他なりません。
  旧日本軍が、貴国をはじめアジア諸国、そしてヨーロッパ諸国の人々に対して繰り広げた蛮行について、我国は未だ国として完全な謝罪、補償をしておりませんが、それでもなお、貴国の兵士による蛮行は許されません。従って地元住民の生活被害を鑑み、演習期間、滞在期間の短縮、演習場外への外出の中止を強く要請します。

全国基地ネット代表・古川 隆之
日出生台対策会議議長・浜田 博


民間人実弾発射問題 被疑者不詳で告発へ
大分県平和運動センター「責任明らかにする」

 ハワイ・オアフ島沖で米原子力潜水艦グリーンビルと衝突沈没した実習船えひめ丸は、その後の乗員や同船に同乗していた民間人の証言などで、衝突したのは民間人が操縦していたことが判明しています。これと同じような事件が日本でも米軍海兵隊によって引き起こされています。重大事故にはなっていませんが事は重大です。
 在沖縄米軍による日出生台演習場での実弾砲撃訓練で地元自治体関係者に訓練を公開した際、海兵隊が玖珠町議らに155ミリ榴弾砲を発射させた問題で大分県平和運動センターは15日「関係者の刑事責任を問うべき」として大分県警に告発する方針をきめました。(別紙) 
 同日、大分市内で開いた常任幹事会で決定しました。告発の中身については別紙の通りです。
 日米地位協定第16条(日本法令の尊重義務)と第17条(刑事裁判権)の規定に基づき、「銃刀違反」の疑いで告発する方針。発射させた海兵隊員や発射した自治体関係者が特定できないため、被疑者については「氏名不詳」とする。告発人については同センターだけでなく日出生台対策会議や地元住民なども加わる。
 対策会議岩崎議長は「対策会議として防衛施設庁、県、県警に事実関係を明らかにするよう要請したが、前向きな対応は得られなかった。できるかぎり早く告発し、事件の経過と関係者の責任を明らかにしたい」と話している。
 今回の事件は地元住民が145戸も生活しているなかにあって、このような民間人に実弾を砲撃させるなど断固と許されるものではありません。実弾砲撃演習の中止をもとめて戦い抜こう!

告 発 状


   平成13年2月19日  
   大分県警察本部長 須貝 俊司 殿

   告発人  別紙記載の通り
   被告発人 住所及び氏名不詳(但し複数)

告発の趣旨
 被告発人らの後記所為は、爆発物取締罰則、銃砲刀剣類所持等取締法、火薬類取締法の各法違反に該当すると思料するので、厳重に捜査するよう求める。
(犯罪を構成する事実)
 平成13年2月9日、大分県下の陸上自衛隊日出生台演習場で、在沖縄海兵隊の実弾射撃訓練の際、同海兵隊所属の被告発人が訓練を見学していた被告発人に対し155ミリ榴弾砲の拉縄を引くように勧め、勧められた被告発人が拉縄を引いて砲弾を発射させたものである。

告発の理由
1 告発人らは、米国海兵隊が沖縄県で県道を封鎖して実施していた155ミリ榴弾砲射撃演習が、日出生台演習場など本土の5カ所に分散移転された際、分散移転は沖縄の基地の整理縮小にはつながらない。逆に、沖縄では実施できなかった夜間演習に重点が置かれていることでも明らかな通り本土の沖縄化、基地化が進むと主張し、一貫して射撃演習に反対してきた。
  特に本年は、2月4日から5日にかけ大分県別府市で開催された「基地ネット全国交流集会in大分・日出生台」に参加した7百余名の総意として、朝鮮半島の劇的な緊張緩和を踏まえ、日出生台演習場をはじめ各地の自治体、住民が強く反対している移転演習を直ちに中止するよう海兵隊指揮官に申し入れたところである。
2 ところが、新聞などの報道によれば、本年2月9日の午前、湯布院町・玖珠町・九重町の三町に跨がる陸上自衛隊日出生台演習場において、在沖縄米海兵隊の実弾射撃訓練が行われた際、同海兵隊が訓練公開に招待した自治体関係者の前で、155ミリ榴弾砲に砲弾を装填し、拉縄を引いて発射させるにあたり、海兵隊員が見学していた自治体関係者に拉縄を引いて砲弾を発射させるように勧め、勧められた自治体関係者がそれに応じて拉縄を引き砲弾を発射させたとのことである。しかも、勧めた海兵隊員も、拉縄を引いた自治体関係者も、いずれも複数の可能性が報じられている。
3 ところで、155ミリ榴弾砲は銃砲刀剣類所持等取締法第2条1項の「銃砲」に該当し、その砲弾は爆発物取締罰則第1条の「爆発物」及び火薬取締法第2条の「火薬類」に該当する。
 よって、上記自治体関係者が拉縄を引いて砲弾を発射させた行為は、銃砲刀剣類所持等取締法第3条1項及び火薬類取締法第21条が禁止している「所持」、爆発物取締罰則第1条の「使用」、火薬類取締法第25条1項の「爆発」に該当するものと思われる。
 まず、「所持」は、銃砲や火薬類を自己が支配し得べき状態におくこと(最高裁昭和23年9月21日判決)である。時間的継続性は、支配し得べき状態の一判断要素ではあるが、それ以上のものではない。したがって、短時間であったとしても支配し得べき状態にあったと認められる限り、「所持」に該当するのである。
 次に「使用」とは、爆発物を爆発すべき状態におけば足りるというのが判例学説の一致した見解である。したがって、拉縄を引いて砲弾を発射させたことが「使用」に該当することは明白である。ところで、爆発物取締罰則第1条は「治安ヲ妨ケシ目的」が要件となっているので、これについて言及する。ここで「治安」とは、公共の安全と秩序を守ることである。したがって、155ミリ榴弾砲を発射することが「治安」を妨げることは明らかである。よって構成要件該当性を充足するものであり、民間人である自治体関係者に違法性阻却事由も責任阻却事由もない。
 更に、砲弾を発射することが「爆発」に該当することはいうまでもない。
4 告発人は、上記所為は日本国憲法を踏みにじる極めて悪質な行為であるとともに、最近たて続けに起こっている米軍による事故、不祥事とあいまって、日米関係に大きな影響をもたらすものであると考えている。
 このような立場から告発人らは2月12日に、福岡防衛施設局、大分県そして貴職に対して、本件は日本国の主権にかかわる深刻な問題であるので、事件の究明、責任の明確化、演習の中止などを要請した。
 更に昨2月18日は、日生台演習場前に県内各地より5百余名が駆けつけ海兵隊指揮官に「地元住民、自治体に謝罪し、事件の経過と責任の所在を明らかにするように」求めたが、面接を拒絶された。やむなく告発人らは、本日2月19日正午を期限として文書回答を求めたが、これに対しても全く誠意を見せない。
 したがって告発人らは、貴職が厳正に捜査することが我が国の主権を確保する上で不可欠であると考える。
 また、例え海兵隊員である被告発人について国内法を適用することが困難であったとしても、日本国民である被告発人に対して国内法を適用するのに障害はなく、日本国民である被告発人への捜査上、共犯ともいうべき海兵隊からの事情聴取等は不可欠であると思料する。

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