ピース・ニュース学習会資料

在日米軍再編「沖縄の負担軽減」は全くのゴマカシ!
 
狙いは日本の財政負担で米軍再編推進、日米軍事一体化 (その2)

この記事はピース・ニュース学習会の資料用にまとめたものです


在日米軍再編は「沖縄の負担軽減」のためではない - 日米軍事一体化を進めるとんでもない計画

  2006.5.1に行われた日米安保協議会(通称2プラス2)で合意された在日米軍再編に関する「最終報告」の内容は、米軍を全世界でより機動的・効率的に運用するための米軍再編を日本の財政負担で行い、「対テロ戦争」の名の下に世界中で侵略戦争をしかけ覇権を強めようとする米の軍事戦略に日本の自衛隊を米軍と一体化させて参加させるとんでもない計画です。

 前回(その1)に続き後半をアップします。



キャンプ座間を「対テロ戦争」の司令部に 米第一軍団のキャンプ座間への移転


 グアムの再編強化と並んで今回の在日米軍基地再編におけるもう一つの重要な狙い目が、米第1軍団司令部のキャンプ座間への移転と、陸上自衛隊中央即応集団司令部のキャンプ座間への移転です。

 米第1軍団はイラクでの占領部隊としても派遣されているように、世界中で「対テロ戦争」に名を借りた侵略と占領支配を行う役割を持っています。更に米第1軍団は海外への「殴り込み部隊」とも言われる、輸送機で搬送でき、通信・IT技術を装備した機動・戦闘能力に優れる最新鋭の装甲車両を中心とした「陸軍ストライカー旅団」を擁しています。


 また座間に配備される第1軍団司令部は米軍再編の中で、「作戦運用司令部(UEx)」と位置付けられる役割を持つとされています。まさに米が海外で行う侵略戦争の司令部の役割をキャンプ座間が持つことになります。  

 また自衛隊の中央即応集団とは緊急時に海外派遣される部隊として2007年度から新たに創設される部隊です。この中央即応集団司令部が前述した米第1軍団司令部と共にキャンプ座間内に設置され連携をとることになります。それだけでなく、相模総合補給廠内には「戦闘指揮訓練センター」まで創設されます。


ストライカー旅団
  これらを総合すれば、キャンプ座間を「対テロ戦争」に名をかりた、米の侵略戦争、先制攻撃部隊の司令部にすること、日本の自衛隊を一体化してそれに参加させるための司令部をつくり、普段からその戦闘指揮訓練を行いいつでも実戦を行えるようにしておくという、極めて危険で有害な役割を持つことになるのです。


ストライカー部隊の訓練風景
後方に輸送機が見える


異常な速さで進められるミサイル防衛(MD)の強化
横田へのミサイル防衛司令部設置 北朝鮮への先制攻撃態勢づくり



  「最終報告(ロードマップ)の中で特に注目すべきことは、異常とも言える速さで日本でのミサイル防衛(MD)態勢の強化が行われようとしていることです。

 2010年度には横田基地への航空自衛隊航空総体司令部移転が明記され、又新たに横田基地に設けられる統合作戦調整センター(統合運用調整所)で米軍司令部と一体となった形で航空自衛隊がミサイル防衛の作戦運用を始めようとしています。


 ミサイル防衛システムの中枢となるXバンドレーダーシステムは青森県つるが市にある自衛隊車力分屯基地に2006年夏までに運用が可能となることが明記されています。また、ミサイル防衛の矛先となるパトリオット地対空ミサイルPAC-3は在日米軍基地内で「可能な限り早い時期に運用可能」とするとしています。

 ミサイル防衛システムは相手から飛来するミサイルを発射直後に感知・補足し着弾する前に打ち落とすことを可能にするシステムです。これを日本列島に配備することは、北朝鮮からのミサイルによる反撃を受けずに先制攻撃を仕掛けることが可能になります。

 国連や国際世論を押切って「大量破壊兵器保有」というデタラメな理由でイラクへ先制攻撃を仕掛けた米と、それを無条件に指示した日本がこのようなシステムを配備することは、戦争の緊張状態を人為的に作り出す極めて危険な戦争準備です。



防衛庁のXバンドレーダ設置の説明資料より



「沖縄の負担」の全国展開
米軍と自衛隊の一体化 共同訓練を全国の自衛隊基地で 

  「沖縄の負担軽減」の名目で、米軍と自衛隊の一体化を全面的にすすめようとすることも今回の在日米軍基地再編の狙いの大きな柱となっています。この一体化を日本全国の自衛隊基地で日米共同訓練を頻繁におこなうことで実現しようとしています。日米政府がやろうとしていることは「沖縄の負担軽減」ではなく日本全土の「沖縄化」、「沖縄の負担」の全国展開です。



 嘉手納、三沢、岩国の米軍が「訓練の移転」と称して、千歳、三沢、百里、小松、築城及び新田原の自衛隊基地を使用して自衛隊との共同訓練を行うことになります。

 自衛隊基地毎に日米共同訓練の年間回数、一回あたりの訓練日数、年間の日数の上限が定められていますが、これまでは共同訓練はわずかな回数しか行われてこなかったのが実態です。

 今回はその制限一杯まで日米共同訓練を行うため、従来あった訓練回数についての制限が取り払われます。そしてその訓練のために必要な自衛隊施設のインフラ整備をすることが決められました。

 共同訓練の費用について「適切に分担」することとしていますが、これまでの経緯からみれば日本が大幅に負担をすることは目に見えています。





 厚木基地の米軍空母艦載機の岩国基地へ移転がうたわれていますがこれは岩国基地周辺での夜間離発着訓練(NLP)場所を確保するための措置と見られます。厚木基地では騒音問題のため、NLPは厚木基地から1250Kmも離れた硫黄島で行うことになっていますが米軍にとっては帰りの燃料の計算をしつつ訓練するなど不便です。

 実際に硫黄島でのNLPが行われるようになっても、厚木基地において「通常訓練」と称してMLPと同じ「タッチ・アンド・ゴー」(航空機が一瞬着陸した後すぐにエンジンを全開にして離陸する訓練)が行われ騒音問題は解消していません。このため岩国周辺にNLP可能な空域を設定してそこで訓練を行うことを目論んでいると見られます。




  米空母艦載機部隊が岩国へ移転したとしても、米軍が厚木基地を使用しなくなるわけではないことに注意が必要です。横須賀を母港とする空母はいつでも出港可能な戦闘状態にあるとされ、そのためには横須賀に近い厚木基地は米軍にとっては手放したくない場所です。ロードマップでも、岩国からの自衛隊部隊の厚木移転に関して「継続的な米軍の運用の所要を考慮」して「受入れ施設の整備」がされるとしており、米軍が厚木基地の使用を止める計画が無いことをはっきり表明しています。



住宅地の上空すれすれに飛ぶF/A18Eスーパーホーネット
(厚木基地爆音規制同盟のHPより)