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2012年12月30日

第28回人権と報道を考えるシンポジウム 憲法から見た実名報道主義の欺瞞性

 人権と報道・連絡会主催の第28回人権と報道を考えるシンポジウムが12月8日午後、東京学院(水道橋)で開かれ、約50人が参加した。テーマは「憲法から見た実名報道」。
 昨年5月、憲法学者の飯島滋明さんが旅行中の広島市内で痴漢冤罪事件に巻き込まれ、実名犯人視報道された。この体験から犯罪報道の現状・実名報道に疑問を持った飯島さんは、仲間の若手憲法学者と「憲法から見た実名報道」の共同研究を始めた。
 シンポジウムはその研究仲間のうち、表現の自由を専門とする長峯信彦さん、スイス憲法が専門の奥田喜道さん、飯島さんをパネリストに迎え、「匿名報道主義」の提唱者である浅野健一さんが司会を兼ねて討論。表現の自由は何のためにあるか、犯罪情報の公共性とは、自己情報コントロール権、忘れられる権利、社会復帰の権利などとマスメディアの報道・とりわけ実名報道の関連、その「違憲性」などをめぐり、実り多い議論を展開した。飯島さんたちは今後、「実名報道と憲法」の問題を憲法学界に広く提起していくことにしており、「実名原則」に凝り固まったマスメディア業界にも無視できない刺激を与えてくれそうだ。

投稿者 jimporen : 2012年12月30日 10:00