不戦へのネットワーク


総会資料1 不戦ネットのこれまでと今 (2014年12月21日)

はじめに 

 2014年12月は、2015年の敗戦70年=戦後70年を前にして、不戦ネットの活動開始20年に当たり、運動の再点検が必要となりました。
課題がなければ解散、あればもう1年やり続けるということで歩んできた20年です。30代が50代に、40代が60代に変わりました。課題は山積みです。ならばやり続けるしかありません。呼びかけに応じ、一緒に活動し、協力してくれた皆様ととともに課題を検討し、新たなる飛躍を一緒に追求していきたいと思います。代表は、水田代表の次を受け継ぐにふさわしい人として、飯島滋明さんにお願いしました。労働文化センターの都合により、事務所の移転の問題も出ています。ここでは、要約的にこれまでを振り返り、議論の足しにしてもらえればと思います。

1994年〜1997年(「95年問題」、沖縄を想う会)

 1994年6月に発足した村山首相の自社政権時代の1994年12月に不戦へのネットワークは活動を開始します。その直後の1995年、1月17日阪神大震災、3月20日地下鉄オウムサリン事件、そして9月3日沖縄少女暴行事件、12月8日プルトニウム原発のナトリウム爆発事件。これらの事件は、20年後の今に直接関係しています。95年問題とは、敗戦から50年、積み残しになってきた戦争責任問題と戦後補償問題の解決の年にすること、カンボジアPKO等をテコにした海外派兵の動きを止めることに集約されました。
 毎月の連続講座を続ける中で、9月3日の少女暴行事件に対する沖縄の動き、8万人が集まった10.21県民集会。私たちは「沖縄問題」の仕切り直しとして沖縄県人会やキリスト教の人々とともに「沖縄を想う会」を作り、翌1月14日の白川公園の集会で「1万人集会」の実現に集中しました。ここでの経緯がその後の不戦ネットの自信と確信の原点となりました。
 「戦争責任と戦後補償」の問題意識は、「旧日本軍による細菌戦の実相を明らかにする会」、ノーモア南京名古屋の会とともに、南京大虐殺60ヵ年に作った「南京メモリアルソサエティ」などの活動につながっていきました。98年から「平和のための戦争展」に参加を開始し、これは現在16年目になります。

1997年〜2000年(反戦平和運動、地域でできる戦争非協力)

 97年に日米防衛協力のための指針が改定され(日米新ガイドライン)、朝鮮半島に対する日米軍事協力の強化が進みます。有事法としての「周辺事態法」の準備に対し、不戦ネットは反戦平和団体としてネットワーキングを開始します。今につながる不戦ネットの成立と言えます。
 学習会を積み重ね、他団体への呼びかけ、集会デモへつなげていくという不戦ネットの活動のスタイルとなりました。周辺事態法成立後、私たちは「地域でできる戦争非協力」のスローガンで、改めて小牧基地、守山第10師団、春日井の施設部隊、県下の各軍需産業に注目し、申し入れ行動を繰り返しました。この活動がやがて9・11以降の活動に役立つことになります。
 人々の安保防衛問題への関心が低下するに比例して、私たちには必ず「引き続きの課題がある」ことを確認し、協力し支援をしてくれる人々がいることでもう一年続けるという結論が今まで続いてきました。

2000年〜2009年(ピ−スアクション)

 2000年の沖縄サミットに反対する共同集会で初めてピースアクションの名前を付けました。東海民衆センターの中心メンバーのふたりが、ネットの事務所を訪問してくれて、サミット反対の共同行動をやろうと呼びかけ、私たちは即座に賛意を表明しました。この共同行動がピースアクション運動として9.11以降につながっていきます。
 2001年9月11日のアメリカへのテロに対するアメリカによる戦争準備に対して、私たちはいくつかのグループや個人の集まりの中で「テロも戦争も反対ピースアクション」を結成します。ブッシュ政権を支持する小泉首相は、素早くテロ対策特措法を作り、インド洋での給油活動に海上自衛隊を派兵しました。ピースアクションの活動は、9月の下旬から始まり、休みなく毎週続け、この街宣活動は12月まで持続しました。
 翌年、小泉政権による有事法制作りに対応するために「有事法制反対ピースアクション」と名前を変え、関心はアメリアのイラク攻撃へと集中します。3月20日、攻撃開始の前後6週間にわたって毎週集会とデモを続けました。新聞にはカラー写真でレインボーフラッグのデモが記事になり、中日新聞は私たちの宣伝紙になってくれているとの声もありました。ブッシュ政権は一ヶ月で勝利宣言をし、それが敗北への第一歩になるとは誰も予想だにしませんでした。
 小泉政権は、ブッシュへの軍事協力を「イラク特措法」として成立させ、航空自衛隊と陸上自衛隊のイラク派兵を強行します。小牧基地正門前での抗議行動や人間の鎖行動、守山第10師団の派兵期日が迫るとピースアクションはまた基地周辺での街宣を繰り返し、派兵期日の2月5日に合わせて、正門前での2週間にわたる座り込み行動に入りました。宿営地サマワにはロケット弾が打ち込まれ、「戦地へ行くな」という私たちの声は切実でした。
 陸上自衛隊の撤退によって、輸送機C130を持つ小牧基地が唯一の派兵拠点となり、繰り返しの申し入れ行動や人間の鎖行動などで反対の意思を隊員に伝えました。
 不戦ネットのメンバーも事務局として加わった「自衛隊イラク派兵差し止め訴訟」は、2008年4月17日、名古屋高裁で、航空自衛隊のイラクでの活動は憲法違反という判決を勝ち取りました。イラク反戦の締めくくりの集会は、白川公園で「攻撃6周年集会」として、ピースアクションと名古屋YWCA、自衛隊イラク派兵差し止め訴訟の会の共催で行いました。イラク反戦行動の終了とともに、ピースアクションは事実上の解散となりました。
 海外派兵としては、「海賊対処法」により、今もジブチには海上自衛隊のP3C対潜哨戒機と、護衛艦2隻が活動し、南スーダンでは約500人の陸上自衛隊隊員がPKO部隊として派兵されています。

2010年〜現在(日韓連帯、沖縄、反原発、改憲問題)

 この年から「金曜シネマ」をはじめました。日米安保50年ということでいろいろ企画を組み、やはり沖縄の問題も中心課題でした。2011年3月、東日本大震災と福島原発事故を受けて「未来につながる・東海ネット」に参加し、反核という立場で関わっています。

日韓連帯
  1910年にいわゆる「韓国併合条約」を強要し、朝鮮半島を植民地支配した「韓国併合」から100年に当たる2010年、「良心と誠意をもって韓国朝鮮民衆と向きあい、真の友好と和解、平和的な関係構築の年にしたい」との思いで「韓国併合100年」東海行動の結成に参加し、集会やフィールドワーク、映画会など企画しました。
  当初1年で解散のつもりでしたが、3月(3.1独立記念日)と9月(日朝平壌宣言)の2回は最低企画をするということで現在も継続しています。
そして、来年は日韓条約の締結から50年です。15年に及ぶ交渉の末締結されたこの条約は当初から多くの問題を含んでいると指摘されていました。日本と韓国の歴史的な問題と今を規定するこの問題を中心に取り組んでいく予定です。

沖縄
  沖縄の問題は不戦ネットの一貫した課題です。2006年に辺野古でのTさんの逮捕をきっかけに、緊急の抗議行動を呼びかけその延長で辺野古の新基地建設反対と普天間基地撤去を課題に愛知の地で活動するグループがゆるやかにつながっていこうと言うことになり、紆余曲折を経ながらも現在の「あいち沖縄会議」につながっています。
今年11月16日の沖縄知事選の勝利は、名護市長選挙に続く沖縄民衆の闘いの大きな一歩です。何としても新基地建設を断念させることが必要です。キャンプシュワブゲート前の座り込みと車両の搬入・搬出に対する阻止行動は続いています。毎朝8時から60mのテントを設営し、ゲート前行動が終われば完全に解体する。この二つの作業だけでも大変ですが、沖縄の民衆はこれをもう何ヶ月も持続しています。地元の人々と全国からの人々の協力作業です。不戦ネットの中心軸の一つはやはり沖縄です。

改憲状況
  そして、2012年12月に成立した第2時安倍政権のもとで、「改憲」の動きが加速される中、改憲問題は現在中心課題になっています。第2次安倍政権は、改憲への積極的な動きを見せています。2012年4月に出された自民党の改憲草案は、現憲法の中心である、平和主義、国民主権、基本的人権を破棄し、立憲主義を否定する内容です。当初憲法改正の手続き法である96条改憲を目指しそれが頓挫すると、立法改憲(国家安全保障基本法)や閣議決定での憲法解釈の変更を目指しました。同時に、武器輸出禁止を解禁し、秘密保護法の制定など、「戦争ができる国家」づくりに邁進しています。
  今年7月1日の集団的自衛権行使容認の閣議決定、来年5月と予想される10月の新ガイドライン中間報告に基づく新ガイドラインの改悪、それを受けての有事諸法制の改悪、これらの変化により海外での自衛隊はより危険な任務を背負わされます。もはや「9条が自衛隊員の命を守っている」とは言えなくなります。しかも12月10日を持って「秘密保護法」が施行されました。集団的自衛権行使容認と秘密保護法は「戦争をする国」にとって両輪であると強くアピールしていく必要があります。
  不戦ネットにとって、約10年間のピースアクションの経験は今も財産であり、教訓は山ほどあります。これからの事態に対して、この10年間共に活動をしてきた人々とさらに協力し合い、よその国のために海外でドンパチ(戦争)など絶対にさせない国づくりを目指しましょう。
  そのために、不戦ネットでは学習会を積み重ねてきました。また、戦争をさせない1000人委員会や秘密保全法に反対する愛知の会の活動に積極的に関わるとともに、不戦ネットの運動の強化を目指していきたいと思います。

(参考:不戦ネット行動日誌、 ピースアクション行動日誌

総会資料2 今後の運動方針について (2014年12月21日)

 不戦へのネットワークの設立にあたって以下の運動方針と取り組みを目指しました。
残念ながら、というべきか20年経った今もこの課題は取り組まざるを得ないものになっていると考えます。

1.今までのテーマと具体的な取り組み  
(1)会のテーマ
1.侵略の実態を明らかにし、政府等にその責任をとらせるとともに、日本近代史を通じた戦前・戦後の歴史認識を問う。
2.戦争や紛争を生み出す差別や抑圧・収奪をなくすため、日本の政治のあり方を問い、憲法9条の可能性をさぐる。
(2)具体的な取り組み
1.各課題で講演会や学習会などを企画する。
2.沖縄やこの地域から見えてくる基地・軍隊、平和・人権の問題に取り組む。
3.戦後補償・戦争責任の問題を明らかにしていく。
4.歴史をねじ曲げるような日本人・日本社会の歴史認識を質していく。
5.以上の事柄を進めるために、地域でのネットワークを進めていく。
6.ニュースを発行し、情報を提供・交換していく。
7.事務所を維持し、交流の場としていく。
8.全国・各地で志を同じくする他団体と情報を交換し、交流していく。
9.平和・人権の関わる問題で納得できることなら積極的に関わっていく。

2.重点及び今後取り組んでいきたいこと
(1)小牧基地の基地機能強化反対の取り組み
昨年は航空祭でのブルーインパルス参加反対の取り組みを行ってきたが、現在具体的には休止中。小牧基地は、空の派兵拠点として機能を続け、C130輸送機の他、空中給油輸送機の導入などもすすめ、機能強化をすすめています。昨年出された防衛大綱の下での中期防衛力整備計画の中で、新空中給油輸送機2機の導入も盛り込まれています。小牧基地のさらなる機能強化反対の取り組みも進めていきたいと思います。
(2)憲法=集団的自衛権行使容認に向けての反対運動
   新ガイドラインや派兵状況・・・独自の学習会や戦争をさせない1000人委員会への参加。
   具体的な運動目標・・・集団的自衛権容認に向けた法改正に対しての反対運動を強化する。
(3)沖縄
   あいち沖縄会議へ参加し、辺野古の新基地建設、高江のヘリパット建設反対、普天間基地撤去の運動をしていく。
   辺野古の非暴力の闘いや、知事選・衆議員選挙の結果でも明白になったように、沖縄の民意は、辺野古の新基地建設反対である。沖縄の問題は優れて日本政府、本土の民意のいかんにも関わっているということを意識し、沖縄会議とともに目標に向かって取り組んでいく。
(4)日韓問題(戦争責任・戦後補償なども含めて)
  韓国併合100年東海行動実行委員会への参加。
  具体的な目標・・・現在、日韓国交回復50年(日韓条約50年)、敗戦70年に向けてどのような組立にするのか検討中。日韓の関係を中心に据えているが、朝鮮半島全体の関係改善は、安倍政権の歪んだ歴史認識や、改憲への動きと密接に関連していると認識し、取り組みを進めていく。
(5)反原発・脱原発
   未来につなげる・東海ネットへの参加。
   具体的な目標・・・原発再稼働反対と福島原発事故の責任追及と賠償のことなど
(6)名古屋NGOセンター
   団体加盟として継続していく。
(7)平和のための戦争展や、サマーセミナーなど平和の問題を訴えていく場に積極的に参加する。
(8)全国的なつながりについては、反基地全国交流会が行なわれていたが、現在は休止中。
  MLなどで緩やかなつながりは継続中。
   来年2月には許すな!憲法改悪市民連絡会全国集会を名古屋で開催準備中。

総会資料3 運営 (2014年12月21日)

(1)会員制度にする:当事者意識・会員意識を育てる第一歩。
  @不戦ネットの趣旨に賛同する人からなる会にする。
  @会員は、総会での決定に参加できる。 
@会費は、年間1口:2000円。1口以上。他に、事務所維持費カンパを募る。
  @年1回総会をする:会計年を1月から12月とし、2月頃に総会を行う。
・活動経過を確認し、今後の方針や運営委員を決める。
   ・同日に講演会・交流会なども行う。

(2)メーリングリストについて
  @会員・カンパの人を中心にしたMLとする。
  @可能な範囲で運営委員会の報告をする(運営の透明性の確保)。
@会員間の情報提供や意見交換。

(3)運営委員
  @日常的な運営を行う。会議の決定事項等は、可能な範囲で会員に報告する。
  @運営委員以外で運営のサポートを行っている人を含めて、拡大運営委員メーリングリストをつくり、意思疎通を行う。を設ける(運営委員会参加も可)。
@運営委員の増員を図る。
  @役割分担(一人の人に負担がかからないようにする)
   ・代表:飯島さん
   ・会計:一般会計、事務所会計      
   ・ML担当 
   ・書記
   ・学習会担当
   ・ニュース(会報)担当(内容の提案、発行の計画))
   ・ホームページ担当

(4)ニュースについて
   わかりやすく読みやすい会報を目指す。
   会員・読者の「ひとこと」欄を設ける
   現在、発送部数は430部。整理をしていく。
   年3〜4回の発行を目指す。

 (5)事務所について
    引き続き事務所を維持するために新事務所を探す。
    他団体の事務所利用について
    会議使用の場合は月5000円 連絡先のみの場合は月2000円の事務所維持協力費をお願いする。

(※サイトアップにつき個人名、および一部省略させていただいた部分があります。)


不戦へのネットワーク