不戦へのネットワーク 有事法制反対ピースアクション

朝鮮民主主義人民共和国軍の延坪(ヨンビョン)島攻撃と、それに引き続く、米・韓の軍事演習にかかわる菅首相あての「要望書」(2010年11月30日)

要望書  総理大臣 菅直人様

戦争の危機を全力で回避してください。

 私たちは、平和を願い、行動を続けている市民運動団体です。私たちは朝鮮半島における戦争の危機に大きな不安をいだいています。この戦争の危機を全力で回避してください。11月23日に起きた朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)軍による延坪(ヨンビョン)島砲撃はけっして許されるものではありません。この時期、米・韓による威圧的な軍事演習がなされていたとはいえ、民間人も住まう地域へ砲撃を加えるというような、無謀で挑発的な行為が許されるはずがありません。「戦争」をもてあそぶ「外交」と言わざるをえません。二人の兵士、二人の民間人の人が犠牲者となってしまいました。これに対して、米・韓は、11月28日より、横須賀基地から空母「ジョージ・ワシントン」を出港させ、大規模な軍事演習を行っています。

 今は、戦争の危機を回避することに全力で努力することが、日本政府がなすべき最優先課題だと思います。この地域で戦争が始まれば多くの人が死にます。人的、物的被害は想像もできません。だれもが北朝鮮の行動に驚愕しつつも、戦争を望んでいないというのが現実です。私たちは、戦争の危機を回避するために、米・韓で今なされている北朝鮮軍にむけた軍事演習、また、12月3日から10日に予定されている日・米による演習を中止することを強く要望します。そのことは「弱腰」外交でもなく、相手を利することでもないと私たちは考えます。軍事演習を中止することが、日本国民にたいする、東アジア地域にたいする責任ある、戦争抑止への努力だと思います。今、演習をおこない、威圧しても、それが戦争の抑止力となるとは思えません。もとより、北朝鮮と米・韓では軍事力に絶対的な力の差があると思われます。もし、「力」で北朝鮮をおさえこむことができるのであれば、今回のようなことはそもそも起きないのではないでしょうか? むしろ、毎年軍事演習を行い、威圧してきたことが、今回の「事件」の遠因とも言えます。軍事演習中の「偶発的な事件」が戦争のきっかけになるということは十分ありうることです。黄海・西海での米、韓、日の軍事演習をただちに中止されることを望みます。おそらく、今、関係各国の軍隊が極度の緊張状態にあり、臨戦態勢にあることと想像されます。あまりにも危険な状態です。

 また、いたずらに「敵意」を煽り、「在日」の人たちに不安をあたえることもあってはなりません。その意味で、合理的な理由なしで、朝鮮高校への無償化の中止が検討されているように思われますが、それも憂慮されることです。「国民感情への配慮」という言い方で、敵意を煽っていけません。冷静な対応が重要です。

 「話し合い」の場をつくることが戦争回避の道であることに議論の余地はありません。しかし、不幸なことに、この東アジア地域は米国、中国、台湾、日本、ロシア、韓国、北朝鮮がぶつかる「火薬庫」と化してきています。話し合いの枠組みが必要となっているのです。11月28日に中国が提案した「六カ国協議」も、実現に至っていません。日本政府は主導的に話し合いの場をつくる努力をしてください。

 戦争の危機を全力で回避してください。

1、米・韓の軍事演習を中止するよう米国、韓国に要請すること。
2、日、米での軍事演習を中止すること。
3、朝鮮高校への無償化の動きをすすめること。
4、関係各国の話し合いの場をつくる努力をすること。

2010年11月30日    不戦へのネットワーク


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