不戦へのネットワーク 有事法制反対ピースアクション

 小牧基地でのブルーインパルス飛行中止を求める要請書(2009年7月6日/不戦へのネットワーク)

愛知県知事
神田 真秋様

 私たち、不戦へのネットワークは、この間、空中給油輸送機導入や、小牧基地からの自衛隊機派兵に対して反対の意思表示をしてきました。

 報道によると、今秋予定されている小牧基地航空祭において、ブルーインパルス展示飛行を行うという動きが活発化しています。

 この春、新たに着任した谷井基地司令は「精強な空自の象徴を見てほしい」「今後、地域との共存共栄を目指していきたい。地域の方への感謝の気持ち、地域とともに発展する基地の決意をブルーインパルスにこめて表したい。」と開催への強い意向を示しています。3月から4月にかけて、春日井市・小牧市・豊山町の各区長への働き掛けが行われ、基地協力会は「飛行を希望する」嘆願書を約1500人の署名とともに提出するなど、飛行実施に向けての動きがあります。

 私たちは、以下の理由により、小牧基地航空祭でのブルーインパルス飛行の中止を求めます。

1.ブルーインパルス飛行は危険
航空自衛隊小牧基地は、県営名古屋空港の滑走路を使っています。民間機が離発着する合間をぬってのアクロバット飛行は非常に危険です。更に、住宅街の真ん中にあり、万が一、事故が起こった場合、その被害は甚大なものなります。過去のブルーインパルス飛行では、1982年航空自衛隊浜松基地で墜落、パイロット1名が死亡し、住民が負傷するという事故や、91年と2000年には訓練中に墜落事故が起き、パイロットが死亡するという事故が起きています。更に、小牧基地では、昨年には、C130輸送機の事故が4回、空中給油輸送機の事故が3回も起き、三菱重工での整備中にF2戦闘機が墜落炎上するという事故も起きています。整備をどれだけ完璧にしても事故はなくなることはありません。危険で騒音を巻き散らすブルーインパルス飛行に反対します。

2.小牧基地の基地強化につながる
 小牧基地は、空の輸送部隊として、カンボジアPKO以来、海外派兵の任務を担ってきました。とりわけ、2003年末から行われた、イラクへの派兵では、米軍の物資・人員を輸送するという後方支援を担い、その活動は、昨年4月に名古屋高裁で憲法9条1項違反と断罪されました。更に、空中給油輸送機の導入で、小牧基地の輸送部隊としての機能も一段と強力になっています。輸送機能だけでなく、空中給油輸送機は、戦闘機部隊への給油が主目的であり、実際での戦闘に出動する可能性も十分考えられます。「KCの導入で戦闘機を核として国防のありようは、自衛隊発足以降、第2ステージに進んだ」(空自幹部 09年5月31日中日新聞記事)とし、小牧基地の役割が従来より増していることを示唆しています。また、同記事では「自衛隊は米軍から、今まで以上に後方支援業務を求められることになる。空自で後方支援といえばC130とKC。いずれの機体を有する小牧基地しか将来の日米同盟は担えない」と、現在進められている日米軍事再編の中での小牧基地の役割の重要性を認めています。
 小牧基地でのブルーインパルス飛行の実施は、派兵拠点として機能をしてきた小牧基地の「精強な空自」を誇示し、今後さらに空の派兵拠点としての役割を内外に示そうとするものであり、この意味からもブルーインパルス飛行は容認できません。

3.周辺住民の理解は得られない
 ブルーインパルス飛行について、「春日井市飛行場周辺対策市民協議会」は事故発生や基地機能強化の懸念などから「容認できない」とする文書を5月1日に同基地に提出し、反対の意向を明確にしています。また、今年2月には春日井・小牧・豊山の三自治体が、防衛省に対し、航空自衛隊の構成に基づく航空支援集団及び航空教育集団として行う、航空輸送及び航空教育を中心とする業務を変えないこと、自衛隊機の騒音影響を最小限に抑えるよう、飛行回数・飛行コース・高度・時間帯などについて見直すこと、基地所属の自衛隊機による業務以外による利用及び米軍機の飛来などがないようにすること、などを盛り込んだ要望書を提出しています。地元住民をはじめ自治体の理解は得られておらず、ブルーインパルス飛行は、地元にとって騒音や事故の危険、基地機能の拡大などにつながる百害あって一利なしの行事です。谷井基地司令が言う、「地域との共存共栄を目指し、地域の方への感謝の気持ち、地域とともに発展する基地の決意」とは全くかけ離れた計画であるといわざるを得ません。

 私たちは、県民の生命・財産を守るために県行政に励んでおられる愛知県知事はじめ関係職員の皆さんには、ブルーインパルス飛行が、これまでになってきた海外派兵の拠点としての基地を誇示し、今後さらに基地機能を強化する布石にしたいという基地側の意向を十分勘案し、また非常に危険な飛行であることを十分に理解され、自衛隊・防衛省に対し、飛行の中止を主体的に要請されることを強く求めます。更に、愛知県は、これまで私たちの何度かの交渉の中で、小牧基地の運営については地元市・町の意向を尊重する旨を繰り返し発言してこられました。その見地からも、地元住民・自治体が反対の意向を示していることを十分の汲み取り、反対の意見表明をされることを強く要請します。

不戦へのネットワーク  2009年7月6日


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