不戦へのネットワーク 有事法制反対ピースアクション

空中給油機3号機配備の中止と1,2号機の飛行停止を求める申し入れ(2009年2月14日)
  不戦へのネットワーク:くるな「欠陥」給油機2.14大行進参加者一同

小牧基地司令 石野 次男 様

 空中給油機が小牧基地に配備されて丸一年が経過しました。KC767給油機導入は小牧基地のあり方を根本から覆すことになると私たちは訴えてきました。

 このことを証明する事件が昨年12月に起こりました。日本海上空で空中給油の試験中に給油ブームが格納できなくなり、岐阜基地に緊急着陸したのです。着陸時に火災も発生しました。

 KC767が給油も出来る輸送機という防衛省、航空自衛隊の説明が地元自治体を誤魔化すためのものにすぎないことを今回の事故は示しました。

 KC767の試験飛行とは給油機能の確認と小松基地所属の戦闘機との給油訓練であったことが明らかになったのです。
防衛省はKC767が飛行中にトラブルを起こしたときには岐阜基地に緊急着陸するということを名古屋空港の設置管理者である愛知県に事前に通知していたことも判明しました。民間機が離着陸する名古屋空港ではなく緊急事態に対処しやすく、機密維持をしやすい岐阜基地を予定していたのは、KC767の安全性への危惧を防衛省自身当初からもっていたことを示しています。

 1号機も配備直後に整備上のミスで損傷し多額の費用と時間をかけ部品をとりよせ修理をしなければなりませんでした。その後も空調設備の不調が明らかになりました。公表された問題は給油機能ではありません。航空自衛隊は浜松基地のAWACSで同じ機体の整備には熟知しているはずです。民間では767型機はすでに大量に運用されています。もし公表されたことが事実だったらこのような初歩的でお粗末なミスをする航空自衛隊にKC767を飛ばす能力はないことになります。隠している問題があるのではないかという疑念が生じるのは当然です。

 一昨年配備予定が三度も延期されたのはKC767に根本的な技術的問題が生じていたからではないでしょうか。特に今回事故をおこした給油ブームは従来のものを大幅に改良したシステムでありながら、当初の納入予定のわずか一ヶ月前、2007年1月24日に空中給油試験がはじめて行われたのです。

 今回の事故は給油ブームに接着してあった配線が剥がれ、破断したのが原因と防衛省は発表しました。開発遅延による強度などの検証が不十分だったのではないでしょうか。さらに安全性の検証が不十分な箇所が存在するのではないでしょうか。

KC767空中給油機は「欠陥」機としかいいようがありません。

 KC767の選定は日米一体化した軍産複合体の癒着と守屋事件どころではない利権の構造によるものです。三菱重工、川崎重工をはじめとした日本の航空産業はいまやボーイングと一体化しています。767型機の30パーセントは日本が生産しています。新型機ではその割合はさらに高まっています。日本にはボーイング以外に選択する自由を失っているのです。

 アメリカではボーイングと空軍高官の癒着問題などでKC767は採用されませんでした。
「欠陥」を承知でKC767を買い続け、何十億円も修理費を費やす行為は、未曾有の「経済危機」で職や住居を奪われたり、明日の生活への不安をつのらせている納税者への背信行為です。究極の税金の無駄遣いです。

 私たちは小牧基地が海外派兵の空の拠点として強化されることに反対してきました。さらに安全性の問題でも空中給油機3号機の配備を中止するよう申し入れます。安全性に不安がある1,2号機の飛行も停止するよう申し入れます。

 あわせて事故や故障があいつでいるC130輸送機の徹底した安全確保と滑走路逸脱事故にみられるような危険な軍事訓練を即刻中止するよう求めます。

 C130輸送機のイラク派遣は名古屋高裁で憲法違反の行為であるという判決がだされました。アメリカ軍と一体となった海外への派兵基地に小牧基地がなることは司法の判断でも許されないことなのです。

 小牧基地は「輸送と教育」という地元自治体との合意によって存在できているのです。この合意はせめて直接戦争にかかわらないでほしい、前線基地にならないでほしいという地元住民の最低限の願いなのです。地元住民の願いを踏みにじるような海外派兵の前線基地化や空中給油機配備による基地機能の戦略的な強化は認めることはできません。住民の日常生活の安全を脅かすような給油機の飛行や配備はただちに中止すべきです。

2009年2月14日


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