有事法制反対ピースアクション 不戦へのネットワーク

申し入れ書(2008年3月22日)

航空自衛隊小牧基地司令 石野次男様   隊員の皆さま

 米英のイラク攻撃が開始されてから、3月20日で、まる五年もたってしまいました。最初に統計数字を紹介します。五年間という時間の経過のなかでは、ややもすると、聞きなれたと思ってしまいがちな数字です。世界保健機関(WHO)によると、2003年3月から今年1月までで、イラク人死者は15万人。約370万人が住まいを追われて、イラク内外で「難民」となっています。米兵死者は3千9百90人。また人権団体アムネスティー・インターナショナルによると、米軍、イラク治安部隊によって拘束されているイラク人は「10歳から80歳までの約6万人」。

 私たちは、この数字の意味するものにもう一度想いをめぐらしてみなければなりません。この数字を私たちの現実にひきよせて考えるとき、とてつもない惨状が私たちの目に浮かびます。

イラクの人たちはなぜこんな目にあわなければならないのでしょうか?

 この現実をイラクにもたらしたブッシュ大統領。「大統領」という名称には敬愛の念もこめられていると思われるので、私たちはブッシュ大統領に、「大統領」という肩書きを本当はつけたくありません。それほどの犯罪行為をおこなっていると思っています。ブッシュ大統領は3月19日に、「フセイン放逐は正しい決定だった」、「米国はこの戦いに勝たねばならない」と演説をしました。「アルカイダとフセインは関係がある」という開戦の根拠について、国防総省が先週に正式に否定したばかりだというのに、この演説です。また3月8日には、CIAなどによる「水責め」などの拷問を禁止する法案に、これは上下院を通過したものですが、ブッシュ大統領は拒否権を発動しました。つまり、「水責め拷問」を認めたということです。また、アメリカは、イラクの石油資源を多国籍企業にあけわたすものといわれる「イラク石油法」をイラク議会で決議させようとしています。これはイラク石油労組連盟などが、ストライキなどの反対行動で阻止してきたものです。

 政治的・経済的占領、そして拷問。これが、アメリカがイラクで今後も続けようとしていることです。ブッシュ大統領が公言していることなのです。アメリカの占領は終わりません。まだまだ犠牲者が増大していくでしょう。

 アメリカのイラク攻撃を支持した日本政府は、このイラクの現実に向き合っているのでしょうか? 私たちには、アメリカに、ひたすら追従しているようにしか思えません。しかし、イラクに派遣されて、「空輸」業務任務についておられる空自隊員の皆さんは、このイラクの現実にいやおうなく向きあわされておられるはずです。きびしい現実に直面されているはずです。私たちは、その心情を思い、空自のみなさんが、米軍協力という任務から解放されることを心より願っています。

昨年11月、テロ特措法が期限切れになって、インド洋上での給油が、一時停止されました。残念ながら2月21日に再開されてはしまいましたが、そのことを考えれば、航空自衛隊も必ずよびもどすことができると私たちは信じています。イラク開戦から5年目にあたる3月20日、私たちは、世界中の人たちとの同時行動としておこなわれた「イラク攻撃からもう5年! STOP THE WAR 3・20国際行動 Inなごや  イラク・アフガニスタンに平和を!」の集会に参加しました。道行く市民の人たちにむけて平和への想いをアピールしました。そして今、決意を新たにしています。私たちはアメリカのイラク占領を止めたいと思っています。それはイラクに派兵されている空自の隊員の皆さんのためでもあると思っています。

 防衛省・自衛隊は守屋前事務次官の汚職問題、海自航海日誌破棄問題、イージス艦漁船衝突事件などの事件を連続してひきおこしています。私たちは、この「不祥事」のおおもとの原因は、「米軍との一体化」による軍備増強、そしてそれにともなう軍事優先の考え方にあると思っています。自衛隊は米軍の「テロとの戦争」への協力をやめるべきです。それが防衛省正常化への道です。

 以下、石野基地司令に申し入れします。

 空自隊員を米軍協力の任務から解放するために、自衛隊をイラクからひきかえすよう上申してください。

2008年3月22日  有事法制反対ピースアクション


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