有事法制反対ピースアクション 不戦へのネットワーク

航空自衛隊のイラクからの撤退を求める申し入れ書(2007年11月24日)

航空自衛隊小牧基地司令  浮須一郎様
隊員の皆様

 11月1日、テロ特措法が期限切れになり、インド洋に派遣されていた海上自衛隊の護衛艦「きりさめ」が22日に、佐世保基地に帰港しました。横須賀基地から派遣されていた「きりさめ」と補給艦「ときわ」は23日、東京晴海埠頭に帰還しました。新聞報道で見た帰還の知らせを受けた自衛官の表情は満面の笑みを浮かべ、うれしさを隠せない表情でした。6年にわたる洋上での活動は、その間の交代で派遣される自衛官にとっては過酷であり、負担の大きいものであったと想像されます。それにもまして、自分たちの活動が政府のいう、アフガニスタンの治安の安定と平和に寄与するためのものであるのかどうか、という不安があったのではないかと想像されます。その表れが、任務を終えた喜びとなって現れたのではないでしょうか。

 その想いは、イラク特措法により派遣されている航空自衛隊員の皆さんも同じではないか、と思います。2003年、米英のイラク攻撃開始から4年9ヶ月、航空自衛隊が派遣されてからまもなく4年目を迎えようとしています。政府は公式には明らかにしていませんが、皆さんの活動が、「武装勢力の掃討作戦」を担う物資や米兵の輸送が中心であることは衆知の事実です。アメリカが、「大量破壊兵器の存在」や「アルカイダとの関係」を理由にはじめた先制攻撃=侵略戦争により、多くのイラクの人たちが殺され、傷つき、そして家や故郷や国を追われています。イギリスのNGOイラク・ボディ・カウントによれば、死者数は77,213人(11月15日)。近隣のシリアやヨルダンなどに400万人以上が難民としての生活を余儀なくさせられ、イラク国内での避難民も220万人以上いるといわれています。米兵の死者数も、今年はじめから11月までに854人と過去最高になり、総数は3800人以上にもなっています。アメリカはイラクに殺戮と破壊、混迷をもたらしています。2003年夏から約1年間、駐留米軍の司令官を務めたリカド・サンチェス元陸軍中将さえも、「米国が出口の見えない悪夢の中にいることは疑いない」とブッシュ政権のイラク政策を批判しています。私たちの申し入れで何度も指摘したように、皆さんの活動は、残念ながらアメリカの見えない悪夢を助けるためのものです。

 今、参議院では民主党が提出した「イラク特措法廃止法案」の審議が始まっています。私たちはこの4年あまり、陸上自衛隊も含め、イラクで自衛隊はどんな活動をしているのか、イラクの実態はどうなっているのか、憲法との整合性はどうなのかなど、真実を明らかにし、審議を尽くしてほしいと切に願っています。シビリアンコントロールで、命令があれば任務を遂行しなければならない立場の自衛官の皆さんこそがそのことを一番切実に感じているのではないか、と思います。国会での論議を尽くすためにも、自衛官の皆さんが実態について語り、ぜひ意見具申をする時であると思います。

 10月31日、三菱重工で整備点検をしたF2支援戦闘機がテスト飛行中に墜落炎上するという事故が起こりました。整備を担当した三菱重工に一義的な責任があるとはいえ、県営空港と滑走路を共用する小牧基地では、空中給油機や機動衛生隊の導入など基地機能の強化が図られる中、同様の事故の可能性があります。事故原因の一端しか明らかになっていない状況で、早々と飛行が再開されたことに対し、強い不安と憤りを感じます。徹底的な原因究明と再発防止の措置がなされるまで飛行を中止することを合わせて申し入れをします。

2007年11月24日

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