不戦へのネットワーク 有事法制反対ピースアクション

【不戦ネット会報47号/2007年9月27日発行】
(巻頭言)  テロ特措法、イラク特措法反対から米軍再編反対へ

 ある日を境にしてすべてのことが変わってしまえば、それは革命といえます。

 参議員選挙の民主党の大勝を境にすべてが変わってしまったように思われます。今日(23日)、安倍首相の後継とするべく自民党総裁に福田さんが選出されました。福田さんは、テロ特措法に代わる新法を民主党と相談をする、北朝鮮とは対話をする、障害者自立支援法も見直す、などと言っています。これを見れば、グローバリゼーションというアメリカ型の資本主義が作りだした格差・貧困社会、テロとの戦いなどに一気にNOがつきつけられたかのような様相です。まさに革命的な変化です。しかし、革命の主体はあえて言えば「民意」というどう動くか得体の知れないものです。たしかに民主党は、中央と地方の格差などを争点とし、手厚い農業対策などを訴えて、「民意」をつくりあげたのだと思います。でも、偉そうに言ってしまえば、それは選挙戦術として巧みだったのであって、それは確固とした流れなのだろうか。だれがどのように何を怒っているのか、まだはっきりとは見えない。それは感じとる力がないからと言われればそうかも知れませんが、少なくとも僕はそう感じます。とはいえ、「革命」を望む状況は確かにあります。これははっきりと認めないと何事も始まらない。

 自民党としては、福田総裁の選出は路線変更ではなく、このままでは選挙に勝てないという「目先」のところから出ていることは明らかなので、今の事態は、予防的なリセット作戦ということなのでしょう。自民党にとってのリセットを越えて、どこまで戻させることができれば、「革命」的と言えるのでしょうか。

 その指標をどこにもとめていくべきでしょうか。 安倍以前なのか、小泉以前なのか。9・11以前なのか、冷戦終結直後の時代なのか。

 たとえ錯綜はしても、世界の流れが、結局は国内情勢を決定するんだという古くからの教えにしたがって考えると、問題は、世界がどう動いているかです。つまり、アメリカ帝国主義、ブッシュがどういう状態にあるのかということです。それがすべてを決定しているのだと、考えてみます。

 アメリカは、9・11以後(9・11が謀略かどうかは別にしても)、自ら望んで、「テロとの戦争」路線(イスラムとの戦争?)を選んだと言えると思います。たぶん、それは長期的な路線です。そしてアメリカ帝国主義は、イラク、アフガニスタンでの「つまずき」は、おおきな流れのなかでの小さな問題と思いたいのでしょうが、事態は深刻だと思います。明らかに全体の路線をゆるがす「大誤算」です。それで、アメリカは少しだけのリセットをめざしています。少しのリセットと言っても北朝鮮への対応の変化などは劇的です。

 9・11以前に戻させるのか、それとも小さなリセットにとどめておくのかは、アメリカそして世界にとって、翻っては、日本にとっても決定的ということになると思います。それを私たちの課題としてとらえれば、テロ特措法、イラク特措法の廃案です。でも、これは、憲法と言う視点で見て、違憲としてかたづけられれば大勝利ですが、「国連」とか、「国際社会」を持ち出せば、なにかと「妥協」を許すスキがあるように思います。なので、決定的に重要な指標は、「米軍再編を止める」だと思います。米軍再編こそが、アメリカの長期にわたる「テロとの戦い路線」の中身だと言えます。 沖縄、岩国! これが、アメリカ、そして自民の小さなリセットを越えて、「革命」を前進させるためのスローガン! と言えそうです。(表現がだんだんとおおげさになってきていますが、)

 現在の日本の政治状況を、自民か民主かを決める過程での二重権力状態とみるのか、あらたな政治再編への過程とみていくのか。いずれにしても、私たちの小さな市民運動としては、実際のところやることはそんなには変わることはありません。でも「民意」を実体あるものにしていくための気概を持ちたい。今の政治状況を前に進めたい。「二重権力状態」であれ、「政治再編」であれ、「革命」は前に進めたい。後戻りしたくない。この数年間後退を強いられてきた私たちにとっては、切実な願いであり、まぎれもないチャンスです。

イラク特措法を廃案へ!
テロ特措法を廃案へ!
沖縄・辺野古で新基地をつくらせない!
岩国への空母艦載機移転をさせない!

 代わり映えしないスローガンです。が、意味するものは重い! 混沌としていますが、まだ何事も変わってはいないのです。

この文章を読み返すと安倍、福田などという名前がならぶ(ブッシュも)。今はいったいいつの時代なのかと思ってしまいます。

9月23日
(八木)


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