有事法制反対ピースアクション 不戦へのネットワーク

自衛隊情報保全隊によるイラク派遣反対運動への情報収集に関する共同抗議声明(2007年6月28日)

久間防衛大臣様

 自衛隊情報保全隊による、イラク派遣反対運動の調査報告書の存在が明らかになりました。
 今回、明らかになった情報収集の対象にはなんの制限もありません。市民団体、政党、ジャーナリスト、宗教団体、個人など、自衛隊のイラク派兵に疑問や異議、反対の声を「反自衛隊の活動」として調べています。
 そこにあるのは、自衛隊と違う価値観を持つものは「敵」といわんばかりの思想です。軍隊の情報活動は「敵」を攻撃するためのものです。自衛隊という軍事組織が「敵」の動向の調査が想定している先は、反自衛隊活動の鎮圧であると考えるのは至極当然ではないでしょうか。
 戦前の日本軍は憲兵隊をもって「非国民」「国賊」として反戦運動を弾圧しました。同じようなことが再現されようとしていることに強い危惧を抱きます。

 今回の情報収集にはなんらの合法性はありません。塩崎官房長官は記者会見で調査の法的根拠を、防衛省設置法4条「必要な情報の収集整理に関すること」と発言しました。しかし、これは「陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の組織、定員、編成、装備及び配置に関する」事務のことであり市民を監視することを定めたものではありません。記者の取材活動を「調査」し、個人の写真を承諾なしに撮ることができる法的根拠などありません。警察でも犯罪との関連がなければ撮影はできないのです。さらに公務員が身分を隠しながらの盗撮など許されません。公安警察の脱法的な情報収集も本来最高裁判例に違反しています。更に、情報保全隊は警務隊と異なり、司法警察権は付与されていません。従って、今回のような捜査まがいの行為は違法行為以外のなにものでもありません。憲法19条に保障された思想・信条の自由と憲法21条の表現の自由を侵害し、民主主義の根幹を揺るがす国家的犯罪です。

 今回の、情報保全隊の調査について、政府・自衛隊は一貫して正当化をする発言を繰り返しています。必要な情報収集だ。違法性はない」(守屋事務次官)「法令で決められた範囲の任務」(折木陸上幕僚長)と合法活動であると言い切っています。とりわけ、久間防衛大臣は、6日の記者会見で「派遣家族のために情報収集を行った」と発言しました。これは情報収集の対象になった団体・個人が派遣家族に危害を加えるかのように考えているということで、決して許されない発言です。撤回を求めます。更に、7日の参議院外交防衛委員会で、「憲法上も情報収集は禁止されていない。何ら抵触していない」「悪いことをしているわけではない。公開の場でやったことを報告しているだけ」「写真で盛り上がりを確認しても良いではないか。情報収集をして参考にするのは良いことだ、国民の声に耳を傾けることだ」「報道取材で写真を撮って良いのだから、自衛隊が撮っても良い。最高裁判例に照らしても構わない。特定の誰かをねらい打ちにしているわけではない。」などと、開き直り、順法意識のかけらもない発言を繰り返しています。自衛隊という国家権力とマスコミとの違いも、憲法の立憲主義もわきまえない久間防衛大臣は政治家としての資格はありません。

 5月の沖縄・辺野古沖での事前調査を威嚇するための掃海母艦「ぶんご」の派遣、今回のイラク反戦運動への「調査」とあわせてみても、これほどまでにあけすけに軍隊の本音を私たちに見せつけてくれる先には、自民党の新憲法草案がいう「自衛軍」に、「非国民」「国賊」として銃剣をつきつけられる私たちを想像します。

 今回明らかになった事態は、日本の民主主義の根幹にふれる大問題であり極めて重大な人権侵害です。防衛省のみならず安倍内閣は文書持ち出しの「犯人」探しと正当化、開き直りをするのではなく、このような違法な活動を即刻中止しすべきです。今回、明らかになった事実にふまえながら、いまだ隠されている自衛隊の情報収集の実態、推測される公安警察との連携などすべての人権侵害、蹂躙の事実をあきらかにするのが、防衛省―自衛隊がすぐに取り組むべきことです
最高指揮官安倍総理はすぐに上記の点を命令し、実施させたうえでその責任を明らかにすべきです。

 平和を求める全世界、日本中の民衆の声と運動を封殺することは絶対にできないし、私たちは人間的正義に基づいた戦争反対の声を上げ続けるということを最後に表明します。

2007年6月21日

【賛同団体】
1 有事法制反対ピースアクション
2 東海民衆センター
3 不戦へのネットワーク
4 エコアクション
5 <ノーモア南京>名古屋の会
6 愛知県平和委員会
7 東京平和委員会
8 平和・人権・環境を守る岐阜県市民の声
9 国民保護法正を考える会
10 住基ネットに反対する市民の会
11 「命どぅ宝」あいち
12 NoBASE辺野古☆名古屋
13 市民の意見30の会・東京
14 在日朝鮮人作家を読む会
15 9条の会・おおがき
16 イラク派兵違憲訴訟の会・東京
17 平和に生きる権利の確立をめざす懇談会
18 自衛隊イラク派兵差止訴訟の会
19 自主・平和・民主のための広範な国民連合愛知
20 変えよう<金沢>ネットワ−ク
21 「国民保護法は私たちをまもるの?」会・金沢
22 JCJ・日本ジャーナリスト会議東海
23 日本基督教団桑名教会
24 「憲法と平和を守る広島共同センター」
25 靖国参拝違憲「福岡判決」を活かす会
26 平和をつくる筑紫住民の会
27 新しい反安保行動をつくる実行委員会
28 郷土全協会員
29 平和の井戸端会議
30 平和省プロジェクト大阪
31 平和と公正の選択を求めるネットワーク
32 セルフ・エスティーム・リンケージ
33 NPO法人三千里鐵道
34 笹島診療所  
35 戦争をしない・戦争協力もしない三重ネットワーク
36 名古屋YWCA    
37 市議政務調査費の情報公開を求める名古屋市民の会
38 9プラス25改憲阻止市民の会・宝塚
39 大島淡紅子と歩む会
40 黙っちゃらんない・神奈川市民の会
41 核のごみキャンペーン・中部
42 旭川・生かそう憲法女性たちのつどい
43 ひきこもり九条の会
44 アジア・ボランテイア・ネットワーク東海・沖縄くらぶ
45 有事立法はイケン(違憲)広島県市民連絡会
46 関西合同労働組合・日本管検工業分会
47 市民意見広告運動
48 アジア共同行動―九州・山口実行委員会
49 戦争への道を許さない北・板橋・豊島の女たちの会
50 ほっかいどうピースネット
51 水と森と平和の声
52 憲法と平和を守る広島共同センター
53 時をみつめる会
54 有事法制「NO!」多治見市民の会
55 「市民ピースネット・山梨」
56 非戦を選ぶ演劇人の会
57 「派兵は決定的違憲市民訴訟の会・山梨」
58 関西共同行動
59 第7期反天皇制運動連絡会
60 うちなんちゅの怒りとともに!三多摩市民の会
61 立川自衛隊監視テント村
62 日本聖公会中部教区宣教部沖縄プロジェクト・教区人権担当
63 笹島人権センター
64 名古屋炊き出しの会
65 名古屋夜回わりの会
66  とめよう戦争への道!百万人署名運動千葉県連絡会 

66団体、順不動  (6月28日現在)

有事法制反対ピースアクション
名古屋市昭和区鶴舞3−8−10
労働文化センター内2階 
TEL 052−731−7517


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