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航空自衛隊の「即時撤退」を求めます(2006年12月2日自衛隊イラク派兵差止訴訟の会)

航空自衛隊小牧基地司令 浮須 一郎様

航空自衛隊の「即時撤退」を求めます

 私たちは、イラク及びその周辺地域への自衛隊の「派兵差止」と、その行為が憲法・法律に反するとの「違憲確認」等を求めて、2004年2月に名古屋地方裁判所に提訴した原告です。全国各地から3,267名の原告が集まり、今もなお控訴審で係争中です。

 私たちは、愛知県の小牧空港をイラクでの米軍支援の目的で使用してほしくない、という思いから、この小牧基地から飛び立ちイラクで活動を続ける航空自衛隊の「即時撤退」を要請します。
 今年7月に撤退した陸上自衛隊は、迫撃砲・ミサイルによる宿営地攻撃やサマワ市中で危険な場面に何度も遭遇しつつも、応戦に至らずに無事帰国しました。しかし、正当防衛は戦争状態では成立しませんので、極度の緊張からか、帰国後、自殺を選んだ隊員が何人も出ました。

 ところが、その後も航空自衛隊は、バスラ、タリルなどに加えてさらにバグダッド、アルビルなどの幾つかの飛行場へ、輸送、補給活動の拡大継続をしています。
 食糧などの補給でさえ兵站活動(=国際法上の参戦)であるのに、実際には航空自衛隊は、政府答弁でも部分的に認めているように、米英軍の兵員、武器弾薬を輸送しております。これは「武力行使と一体化」であり、「集団的自衛権行使」です。

 ことにバクダッドは、11月下旬から、占領軍への抵抗のみならず宗派間の抗争が拡大して、イラク国民と米軍の死者は急増し最悪非常事態になっています。モスルは危険な町になり、アルビルも安心できません。そういう戦争状態が継続しているところへ「安全確保支援」「復興人道支援」の名の下に自衛隊が活動を続けることは、憲法はもちろん、イラク特別措置法にも違反しますし、「専守防衛」の国是や政府答弁の枠からも逸脱することになります。

 こういう事態を黙認して、「これまで同様これからも自衛隊の輸送機は攻撃されない」、「アメリカへの協力は断れないので、危険回避の努力しかない」と思考停止すれば、歯止めがなくなるどころか、さらに大きな危険を増大させることになります。米英軍同様に、もし自衛隊の輸送機が攻撃されたら想像を超える悲惨な事態が生じます。
中東、アラブ・イスラム社会だけでなく、アジアも含めて日本を警戒する動きが出てきます。日本に対する逆風が吹く前に、まず戦争地域から完全撤退しなければなりません。

「政府が決めたことだ」「国会が決めた法律で動いている」と言われても、攻撃に直面したら、一挙に逸脱が予想されます。航空自衛隊の活動の実態は、防衛庁に提出した情報公開に対して黒塗りの報告書が返ってくることでも分かるように、情報は遮断されています。シビリアンコントロールが機能しているかどうか国会も国民もこれでは正確な判断ができません。戦前と同じ徹を踏むことになります。「我が国の安全を害するおそれ」(05/12/12)を情報不開示理由とすると、内容が知られたら、隊員のみならず国民にも被害が生ずるおそれのある航空自衛隊の活動を暗示します。そもそも「イラク特別措置法」による「実施要項」の全容すら国会に報告されてない状態です。
航空自衛隊幹部には権限がないと考えるのではなく、活動全体を見直すために、まず、小牧基地で討議を開始して、「イラク特別措置法」の延長反対の意見具申を政府にして下さるようお願い申し上げます。

2006年12月2日
自衛隊イラク派兵差止訴訟の会


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