■不戦へのネットワーク 有事法制反対ピースアクション

憲法16条に基づき、申し入れ請願致します。(2006年12月2日)

小牧基地司令 浮須一郎  殿

2006年12月2日
自衛隊イラク派兵費用差し止め関西本人訴訟原告団代表
全日本建設運輸連帯労働組合近畿地方本部副執行委員長 川村賢市

 憲法16条に基づき、申し入れ請願致します。
 イラク復興支援活動に派遣した全自衛隊員の撤退を申し入れます。

 現在行われている航空自衛隊による米軍輸送支援は、集団的自衛権に基づく軍事行動そのものであります。したがって、平和のうちに生存する国民の権利を保障する日本国憲法、そのもとにある国内法に違反します。さらに、戦争を放棄することを国際社会に向かって宣言したポツダム宣言と日本国憲法を踏みにじり、日本国民と世界の人々に戦禍をもたらすことを日本政府が宣言する行為でもあります。

 私たちは、戦場に自衛隊を派兵するという国の明らかな違憲・違法行為に対し、司法の判断を求め、2004年7月大阪地裁に提訴しました。2年に及ぶ裁判の中で、被告である国は何と自らの行為を弁明したか。

 国の答弁は、「平和的生存権は具体的権利ではない」「(テロは国の責任ではないから、イラクというテロの戦場に自衛隊を送っていることに)国が責任を問われるいわれはない」「自衛隊のイラク派兵とは『不快感』『不安感』つまりは、感情の問題であるから、裁判所が判断することではない」というものです。司法判断を受けるべき国が裁判所に指示している答弁のあり方も許されるものではありませんが、あまりに無責任な国のあり方に私たちは、戦争に向かう国の恐るべき変貌、現実性を見ます。国民の福利、平和的生存権の保障など国は簡単に奪ってしまう、そのような国に変貌しようとしています。戦場のイラクに自衛官を派遣することをもって、それをやろうとしている。安部内閣は、この無責任な戦争への道をあたりまえの政府のあり方でもあるかのようにふるまっています。野党欠席のまま衆議院で「愛国心の涵養」を盛り込んだ教育基本法改正案を通過させました。「北朝鮮の核の脅威」を叫ぶことで、アジアと世界から孤立し、戦争への道を加速させています。

 このような政府のあり方を憂慮し、自衛官の戦場への派遣、米軍の軍事行動への参加をただちに中止することを申し入れます。

 自衛隊員の皆さん、私は元自衛官として皆さんに訴えます。皆さんは誰のために戦場へ行くのですか?自分のため?家族のため?それともアメリカ・ブッシュのためですか?よく考えてもらいたいと思います、陸上自衛隊は一人の犠牲者も出すことなく撤退しました。しかし皆さんの行っているイラクは活動範囲が拡大されいつ攻撃されてもおかしくない状態です。私は皆さんの先輩として命を大事にしてほしいと思っています。戦場、軍事作戦への派遣命令は憲法に違反し、自衛隊の本来の任務を大きく逸脱するものです。自衛官は入隊するときに宣誓をします。

 宣誓 「私は、我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、技能を磨き、政治的活動に関与せず、強い責任感を持って専心職務の遂行に当たり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め、もつて国民の負託にこたえることを誓います」
 このように宣誓は我が国の平和と独立を守るとあります。どこをみても海外へ武装して行くとは言っていません、まさに宣誓違反でもあります。違法、不当な「業務命令」は拒否出来ます。

 実際、アメリカ軍の中でもイラク派兵を拒否して起ちあがった兵士が、アメリカ国民の強い支持をうけ、イラク反戦の大きな動きを巻き起こしています。日本の地においても、ともに反戦の行動を起こしていきましょう。
 エレン・ワタダアメリカ合衆国陸軍中尉の声明から(2006年6月7日)
「私の道徳と法的義務は、憲法に対するものであり、無法な命令を下すものに対して負うものではありません。米国軍隊の将校として、イラク戦争は道義的に過ちであるばかりでなく、合衆国の法をも手荒く侵害する行為であるという結論に達しました。私は抗議のために退役しようと試みましたが、にもかかわらずこの明白に違法な戦争に加わることを強制されています。違法行為に参加するようにという命令は、間違いなくそれ自身が違法です。私は、名誉と品性を重んじる将校として、この命令を拒否しなければなりません。
 私は、将校に就任するとき、アメリカの法と民衆を守ることを宣誓しました。違法な戦争に参加せよとの違法な命令を拒むことにより、私はその宣誓に従います」

 こうした動きの中でアメリカ国内からも反戦のうねりが高揚し世界中に拡大する中、イギリスのブレア首相は一年以内に退陣を表明し、アメリカは中間選挙において敗北しイラク政策は大きく変わろうとしています。国内においても5000名を超えるイラク派兵反対の訴訟団が存在しています。

 このように自衛隊の海外派兵は憲法はじめ関係法令にも違反しています。繰りかしますが全自衛隊のイラクからの即時撤退を強く申し入れいたします。

以 上


■不戦へのネットワーク 有事法制反対ピースアクション