■不戦へのネットワーク 有事法制反対ピースアクション

空自第11期イラク派兵と基地機能強化の中止を求める要請書(2006年12月2日人権平和浜松、NO!AWACSの会)

防衛庁長官様 小牧基地司令様 浜松基地司令様
2006年12月2日 人権平和浜松、NO!AWACSの会

 2006年11月6日、浜松基地で第11期イラク派兵前段要員3人の見送り式がおこなわれ、11月8日にはこの3人を含む約100人が小牧基地からイラクへと派兵されました。浜松基地からはすでに20次の派兵となります。わたしたちはこの派兵に強く抗議し、12月に予定されている第11期後段要員の派兵をすぐに中止することを求めます。

 浜松基地へと11月14日に帰ってきた第10期イラク派遣隊員が「バグダッドへの初運行が一番印象に残っている」と発言しているように、イラクでの空自の活動は米軍を後方支援する前線・戦闘地への派兵となっています。それは憲法のみならずイラク特措法にも反するものです。空自の運んだ兵員・物資によって多くのイラク人が死を強いられることになり、空自の米軍支援は侵略戦争への明らかな加担です。アメリカ・ブッシュ政権はアメリカ民衆のイラク反戦運動の声におされて選挙で大敗しました。イラクへの派兵を繰り返し体験している自衛隊員も数多くいます。日本でも自衛官やその家族の中にこそ早く派兵をやめるべきという声が高まっています。市民団体のイラク撤退の声に答えて手を振る家族もいます。

 イラクのフセイン政権が大量破壊兵器や「テロリスト」と関係がなかったことをアメリカ政府が認めました。逆にアメリカの攻撃こそ大量破壊をもたらし、「テロ」の温床となりました。このようなアメリカの戦争を支持し後方支援することはまちがいです。戦争支援も軍拡も中止すべきなのに、日本政府は米軍とともに戦争をおこなうための軍拡をすすめています。

 とくに小牧基地は米軍支援の中心基地として大きく変貌しようとしています。すでに11期、2000人を越えるイラクへの空自部隊の派兵がおこなわれ、2006年10月には「空飛ぶ衛生隊」といわれる「機動衛生隊」が配備され、さらに2007年2月には空中給油輸送機の配備がおこなわれようとしています。配備前から米軍給油機を使って空中給油訓練が繰り返されてきました。またC130に代わる新型輸送機の開発が岐阜でおこなわれ、岐阜にはPAC3も配備される予定です。浜松基地のAWACSはすでにイラク戦争開戦時から朝鮮監視飛行をはじめ、浜松基地にもPAC3の配備が計画されています。

 このように基地機能の強化がすすめられ、AWACSや空中給油輸送機、新型輸送機、PAC3、戦闘機を組み合わせれば、この中部の小牧・浜松・岐阜・小松の航空自衛隊群は海外派兵をおこなう部隊へと強化・再編されてきているのです。そして政府は防衛庁を防衛省にすることで海外派兵を恒常化しようとしています。しかし、このような動きは日本国憲法に反するものであり、国家暴力の強化をすすめることになります。わたしたちはこのような基地機能の強化をすべて中止することを求めます。

 2006年10月29日、浜松基地へとイラク派兵とブルーインパルスの飛行に抗議して要請をおこないました。そのとき、浜松基地警衛隊は、要請団が集まったバス停近くまでやってきて情報を収集、基地正門前での要請に対し戦闘服や迷彩服の警衛隊10人ほどが安全確保を語って基地正門から外に出て要請団を囲むように過剰警備するなど、請願権を侵害する威圧を加えました。抗議によって担当官は警衛隊を基地内へと戻しましたが、その責任の追及に対し警衛責任者は姿を見せませんでした。

 2004年秋の空自総合訓練ではつぎのような想定で治安訓練がおこなわれました。それは浜松基地前で反戦団体が「浜松を戦場にするな」「自衛隊は憲法を守れ」「基地司令にあわせろ」と押しかけてシュプレヒコールが響く中で対峙する、ゲートの隙間から侵入するメンバーを逮捕する、人質をとって侵入を企てるものをも逮捕する、小銃を「つれ銃」「控え銃」から銃口を下に向けて携行して訓練するというものでした。憲法を守ることを訴えて戦争に反対する市民団体を犯罪集団とみなし、銃の使用をも想定しての訓練が堂々とおこなわれてきたのです。このような教育を受けてきたからこそ、今回のような行動を警衛担当の自衛隊員がとったのでしょう。このような意識を刷り込んできた防衛庁長官・自衛隊基地司令の教育の責任は重大です。わたしたちはこのような市民団体を敵視する訓練の中止を求め、請願権の侵害に抗議し、その謝罪と再発防止を求めます。

 自衛隊員のみなさん、憲法9条があるからこそ、みなさんは米軍とともに銃を取ってアジア民衆に直接銃口を向けることができないのです。その意義をぜひ考えてください。最近は民族主義団体が「自衛隊員がんばれ」と声援を送りますが、その声援は皆さんを海外の戦場に送り込むものです。民族は違ってもイラクをはじめアジアの民衆は人間であり、みなさんの兄弟姉妹です。人間を撃つな!殺戮への加担をするな!自衛隊員に反戦平和を呼びかける民衆を犯罪者とみなすな!アジアの兄弟姉妹を撃つな!民衆に銃口を向けてはいけないのです。

 いまこそ、「戦争」を戦争と語らず、「人道復興支援」という美辞麗句で自衛隊員の生命を軽視するものたちの嘘を見抜こうではありませんか。派兵は拒否できるのです。皆さんが派兵されると聞いた2003年冬から、わたしたちはみなさんにこの戦争と派兵の嘘・誤りを語りかけてきました。派兵されてきたみなさんであるからこそ、この戦争の嘘・誤りを実感できると思います。基地司令であるからこそ、早期の撤退を望んでいるのではないでしょうか。アメリカ軍の指揮官の中からも心ある人々がこの戦争の中止を発言しています。

 基地司令も撤退にむけての発言をぜひおこなってください。以上、要請します。


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