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米第7艦隊旗艦ブルーリッジの名古屋港入港に対する港湾管理者への抗議と要請

名古屋港管理組合
管理者:愛知県知事    神田真秋様

 私たち、不戦へのネットワークはあらゆる戦争に反対し、軍事力を否定する立場で「地域でできる戦争非協力」を掲げて平和運動に取り組んでいる市民グループです。
今日3月12日から15日まで横須賀を母港とする米第7艦隊の旗艦ブルーリッジが名古屋港の金城埠頭に入港します。周辺事態法が成立して以来、名古屋港には01年のカナダ艦船「バンクーバー」同年8月の米誘導ミサイルフリゲート艦「ゲーリー」と艦船の入港が相次いでいます。ブルーリッジの入港を許可された貴職に判断に対し失望を禁じえず、強く抗議するものです。
名古屋港は言うまでもなく商業港であり、名古屋港管理組合規約では、「第一条 この組合は、名古屋港の開発発展と利用の促進を図り、管理運営を確立し、もつて国際的重要港湾となすことを目的とする。」となっています。米艦船の入港がこの目的と一致するとは到底考えられません。名古屋港だけでなく相次ぐ全国の商業港への米艦船の入港は「地域の人々に我々の姿を目に見える形で示すことは、前進配備任務の重要な一部である」(空母キティーホークスポークスマン発言)にあるように、日本のどこの港でも米軍の基地として使えるようにする、つまり「商業港」の「軍港化」を意図しています。
おそらく管理者は、「港湾法第13条に基づいて、たとえどのような船舶であろうと不平等な取り扱いはできない」の条文を根拠に入港を認めたと思いますが、本来港湾法のこの項目は、歴史的経緯から、民間の経済活動に対する公権力の不当な介入を防ぐという意味であって「どのような船舶でもよい」という拡大解釈は認められません。なぜなら、軍艦は「戦争をする」ことを目的とした船舶であって、その入航自体が「軍事行動」につながるからです。商業港への軍艦が横行することは平和的な商業活動への障害であり、一般市民にとっては「脅威」以外のなにものでもありません。
 日米地位協定第5条による「事前通告」は港湾管理者が無条件で入港を認めることを意味しません。むしろ港湾管理者は、管理者としてその港湾の使用目的の判断をするという責務を自覚し、一般住民及び滞在者の平和と安全を守るために、毅然として港湾管理権を行使すべきです。港は世界に向かって開かれた海の玄関です。そこは貿易や交流の場であり、釣りをしたり、観光船で周遊したり、海を眺めたりと人々が楽しむ場所です。軍艦はもっとも不釣合いなものです。自然公物としての港湾は、平和利用されてこそ、その働きが生かされます。
 また、米艦船は常に「核」の問題があります。ご存知のように、神戸港は「非核神戸方式」によって核搭載の証明がない艦船の入港を拒否しています。今回の入港でも貴職は当然日本政府・米国政府に「核搭載の有無」を確認されたかと思います。おそらく日本政府は「事前協議の申し入れがない以上核の持込はない」との返答だと推察します。しかし、このような公式的な返答で実際ブルーリッジに核が搭載されているかどうか確認できるでしょうか。米国政府も日本政府も常に印で押したような中身にない回答を繰り返しています。これこそ非核三原則の空洞化に通じる道であり、自治体の港湾管理権の喪失だと言わざるを得ません。

 愛知県は、航空自衛隊小牧基地や陸上自衛隊第10師団、三菱重工をはじめ多くの軍需工場を抱えています。小牧からはイラクへC130輸送機と兵員が派兵されています。周辺事態法やテロ対策特別法、さらに有事諸法の成立もなされようとしています。これらの法律の成立で地域の軍事化がますます進むことに私たちは大きな危惧を持っています。
 自治体の最大の任務は住民の生命・財産を守ることです。この基本的な姿勢に立った判断をされることを要請するとともに、米艦船の入港を認めたことに対し、強い抗議を表明します。
以上
2004年3月12日
不戦へのネットワーク
代表世話人:水田洋(名古屋大学名誉教授)
連絡先:名古屋市昭和区白金1−13−10 電話・ファックス −881−3573


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