雑誌『憎まれ愚痴』1寸の虫の5分の毒針

怪し気「院内」戦争被害調査会法

「実際には何もしていない人の議論で、
逆に実態調査を遅れさせる」

(1999.2.12)

 以下、急な動きなので、とりあえずmailを再録します。

 1999.2.11.発。「議員連盟」発足の件。

 木村愛二です。

 先日、下記(その3)mailに接して、「浜なんとか議員らの動きと聞くが、参加議員名を知りたい」とmailしたのですが、それへの回答はありませんでした。

 ところが、その後、有志の会合で、順序が逆となりますが、下記(その1)(その2)mailがあったことが分かりました。(その1)mailには、その時点での参加議員の名簿が入っていました。なぜか、取り紛れて見逃していたので、失礼しました。

 有志が今後の議論のために作成した「略年表」によると、この動きは、最初、1994年(平6)春、参議院・本岡昭次議員(元社会党、日教組出身で、当時は労組の「連合」を背景とする民主改革連合)らが「戦後50年問題調査法案」を作ったことに始まるのだそうですが、以後、民主党、公明党が、前面に立つようになったとのことです。

 とりあえず、まずは、めぼしい市民運動関係者の意見を紹介します。

 湾岸戦争以来の平和訴訟の仲間で「不戦兵士の会」などの活動で知られる元関東軍の輸送部隊の軍曹、元山俊美さんの場合、象徴的な経歴だけに、731部隊や日本軍の毒ガス使用問題などでは常に代表格に位置付けられてきましたし、旧満州への調査旅行にも率先参加していますが、「この調査会からは何度もラヴコールを受けたが断った」と言います。理由は、「実際には何もしていない人の議論で、逆に実態調査を遅れさせる。その間に体験者が次々に死んでしまう」からです。ご本人も心臓にペースメーカーを付けたりしていますから、この意見には実感が籠っています。

『ピースネットニュース』発行人の青山さんは、特に参加呼び掛けを受けていないとのことでした。これも不思議なことですが、青山さんは、私が投げ掛けた疑惑に対しては、「そういう動きではないのではないか」と言いながらも、やはり、「実際の調査活動には役立たないのではないか」と言います。

 政党に関しては、政権に与した前歴のある政党を除くと、日本共産党しか残らないのですが、下記(その1)の「議員連盟」副会長の吉岡吉典の秘書に聞くと、一応、公明党筋の怪しさは意識しており、それを警戒する意味もあって参加していると言います。しかし、日本共産党には、私の出身の民間放送では言論の自由をめぐる最近の大事件だった「テレビ朝日椿発言」事件と「TBS坂本弁護士テープ」の双方で、国家権力による統制をむしろ推進する姿勢を露骨に示した前歴があります。

 私が、直接の関心を抱く「ホロコースト見直し論」の関係では、フランスの言論弾圧法、通称「ゲーソ・ファビウス法」を提案したゲーソは、共産党の実力者とのことで、現政権では運輸大臣になっています。ソ連共産党、中国共産党の歴史を見ても、共産党と名の付く組織に関しては、夢々、言論の自由の守り手だと思ってはならないのです。この点については、現在、本誌連載中の「元日本共産党『二重秘密党員』の遺言」でも、いずれ詳しい事実に基づく指摘をする予定ですが、とりあえずの警告を記して置きます。

 少なくとも、「院内」の不確かな「雲の上の動き」には、警戒の目を向けて置くべきでしょう。日本の近代史での決定的転機となる「大政翼賛会」の結成も、最初に雪だるまを作り始めた有志の思惑を大きく超えて、最早、誰の力でも押し止められない勢いで、恐るべき転落の坂道を転げ落ちる結果を招いたのです。

 一番大事なことは、国会とか大学とか図書館とかではなくて、自分の手で、自分の目で、自分の育った国の歴史を調べ上げる市民を増やすことです。私は、歴史の真実を実際に自分の手で調べ上げる努力をせずに、権威の力に頼ろうとする愚かな傾向こそが、過去の「戦争被害」を恐るべきものにしてしまったのであり、現在と未来の危険も同じ基礎を持つと考えています。

 以下、問題提起のために、mailを再録します。重複部分や議論には不必要と思われる部分は省略しましたが、加賀谷さんのmailには、全文が確認できるように、JCA-NETのホームページのURLを追記して置きました。

 [aml 10933] Re:戦争被害調査会:「自民党」他?

 Sent: 1999.2.2 11:07 AM

 木村愛二です。

 加賀谷さんが、下記のmailを送られました。

 私には「自民党」が本気で戦争被害の調査をする気とは到底思えないのですが、対中国の思惑としてはあり得るとは思うものの、別途、アングラ情報を頂いていますので、参加議員の名前と、できれば事務局の構成を教えて下さい。加賀谷さんも、騙されている可能性があります。

 アングラ情報というのは、戦争被害の調査を表看板に動いて、池田大作のノーベル平和賞狙いと、国内の批判をごまかすための「いかさまナチハンター」サイモン・ウィゼンタール・センター詣での土産に、ドイツの言論弾圧法のような法律作りをめざしているのではないか。その証拠には、浜なんとか議員が呼び掛けに参加しているというものです。

 ドイツの言論弾圧法の真似の話は、言論詐欺師の本多勝一と、ドイツかぶれの借り物文化人、加藤周一が、ほぼ同時に言い出して、出版労連では秘かな議論になっています。

「秘かな」では困るのですが、なにせ、神田神保町の暗記力抜群エリートが中心ですからね。

 浜なんとかは、今、わが武蔵野市の角々にベタベタ貼られたポスターでニタニタ笑っていますが、そのニタニタが推薦している市議の赤松清は、市長の腰巾着で、汚いセクハラ野次をガナリ立てる最低の下司野郎です。あんな連中に嘘っぱちの戦争被害論議をさせるために国会の施設が使われるようなら、及ばずながら、元東京争議団共闘吹く議長としては、一発かましに乗り込もうかなどと愚考しております。

 以下、転載。

 以上で転載終わり。以上。魑魅魍魎(これ、一度も手書したことないのに、一発で変換成功!)の果てより。

(その3) [aml 10900] <市民会議>「調査会法」院内集会

 <http://www.jca.ax.apc.org/aml/9901/10900.html

 From: 加賀谷いそみ, QZF01055@nifty.ne.jp

<転載歓迎>院内集会のご案内です。ふるってご参加ください。なお、恒久平和議連のメンバーがまたお一人(自民)増えて、103名になりました。

(1999.1.29 市民会議ニュース)
=================================
「戦争被害調査会」の実現をめざす市民・国会議員の集い
=================================

 21世紀まであと2年。しかし、先の戦争を巡る論争は未だに決着がついていません。そんな中、かつてない数の国会議員が参加して、ついに「恒久平和のために真相究明法の成立を目指す国会議員連盟(恒久平和議連)」が発足しました。「恒久平和議連」は、歴史の真実を明らかにするため、立法により国会のもとに戦争被害についての調査会を設けることをめざして、活動を進めています。

 このたび、この間の「恒久平和議連」の取り組みについて報告を聞き、国会での立法化に向けた努力を応援し、あわせて市民の要望を伝えるため、「戦争被害調査会の実現をめざす市民・国会議員の集い」を開催することになりました。

 お誘い合わせのうえ、ぜひご参加ください。

■日時:2月25日(木)午後4時~6時半
■場所:衆議院第2議員会館第一会議室
 CONTENTS
 「恒久平和議連」発足の経過と現状の報告
 各国会議員の挨拶
 市民からの要望・提言 など
■お問い合わせ
戦争被害調査会法を実現する市民会議
   TEL&FAX 03-3288-2560
戦後処理の立法を求める法律家・有識者の会
   TEL 03-3265-6071
   FAX 03-3265-6076
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++
「戦争被害調査会法を実現する市民会議」
〒102-0072
東京都千代田区飯田橋2-6-1 小宮山ビル201
TEL/FAX 03-3288-2560
E-mail  (ただいま引っ越し中、失礼)
郵便振替00180-8-415625「調査会法市民会議」
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++

(その1) [aml 10302] <市民会議>恒久平和議連役職決定

 <http://www.jca.ax.apc.org/aml/9812/10302.html

 From: 加賀谷いそみ
 Date: Thu, 03 Dec 1998 21:50:07 <10302>

<オンライン版>
--------------------------------------------------------
「戦争被害調査会法を実現する市民会議」ニュ-ス 1998.12.2
--------------------------------------------------------

 「恒久平和のために真相究明法の成立を目指す議員連盟」(略称「恒久平和議連」)は、11月27日に第2回総会を開き、役職が以下のとおり決定されました。

 議員連盟の役職(敬称略)

最高顧問 土井たか子
顧問   鯨岡兵輔  武村正義
会長   浜四津敏子 鳩山由紀夫
副会長  上原康助 近江巳記夫 久保亘  中西績介
     本岡昭次 田英夫   吉岡吉典 白浜一良 鈴木恒夫
幹事長  田中甲
副幹事長 清水澄子 石井紘基
常任幹事 馳浩   円より子 大野由利子 吉川春子
     松波健四郎 大脇雅子
事務局長 藤田幸久
幹事   高橋一郎 坂上義秀 山口泰明 仲道俊哉
     若林正俊 畑恵 (自民党)
 横路孝弘 赤松広隆  岩田順介  大畠章宏  五島正規
 坂上富男 佐々木秀典 田中慶秋  土肥隆一  小沢鋭仁
 枝野幸男 海江田万理 金田誠一  樽床伸二  永井英慈
 山本孝史 家西悟   石毛ぇぃ子 岩国哲人  生方幸夫
 川内博史 北村哲男  桑原豊   近藤昭一  中川正春
 中桐伸五 葉山峻   肥田美代子 松本 惟子 山本穣司
 竹村泰子 今井澄   斉藤勁   和田洋子  山下八州夫
 梁瀬進  小川敏夫  郡司彰   小宮山洋子 高嶋良充 (民主党)
 北側一雄 東順治   石井啓一  上田勇   福島豊
 池坊保子 白保台一  中野清
 荒木清寛 山下栄一  大森礼子  加藤修一  高野博師
 海野義孝(公明党)
 木島日出夫 阿部幸代  八田ひろ子(共産党)
 北沢清功  畠山健治郎 濱田健一  中川智子 深田肇
 保坂展人  横光克彦  辻元清美
 山本正和  三重野栄子 照屋寛徳  福島瑞穂(社民党)
 中田宏   岩本荘太(無所属)
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
E-mail  taihei@tky.3web.ne.jp
<その他は(その3)と同じ。>
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

(その2) <市民会議>「調査会法」国会質問

 <http://www.jca.ax.apc.org/aml/9901/10892.html
 From: 加賀谷いそみ

<オンライン版>
--------------------------------------------------------
「戦争被害調査会法を実現する市民会議」ニュ-ス 1999.1.27
--------------------------------------------------------
==============================================
浜四津敏子議院、国会質問で調査委員会設置を主張
==============================================

 1月22日参議院において浜四津議員が、教育、安全保障・外交などについて代表質問を行いました。調査会関連部分は、『世界平和に真剣に取り組むため、日本版「平和部隊」を創設し、留学生受け入れを進め、日本の過去の戦争に関する文書などを保存、公開する平和史料館を設置する。第二次世界大戦の事実調査をする委員会を設けるべきだ。』(朝日新聞1月23日)

 質問の詳細が、公明新聞(1月23日)に載っていますので、引用します。

『三点目として、日本がアジアと世界における安全と平和の中心的役割を果たすためには、日本が自らの歴史を、正しく記録し認識することがどうしても必要であると思います。 犠牲を二度と繰り返さないためにも、事実は事実として、次の世代に伝えていかなくてはなりません。現在、欧米諸国、オセアニア諸国などをはじめ、全世界に「20世紀に人類が犯した過ち」の歴史を正確に残し、いわば「20世紀の大掃除」をして、「平和な21世紀」を築こう、との取り組みが、活発に行われております。

 それは各国の責任追求のためではなく、客観的な証拠に基づく正確な事実を記録し、正しい歴史を残すことが、未来の過ちを防ぐ真の世界の平和を築くことになるとの認識からです。

 わが国も「人類共通の歴史」を残すことに真摯に取り組むべきであると思います。そこで小渕総理に提案いたしますが、日本が過去に行ったすべての戦争に関する公文書その他の資料を保存し、公開する仮称「平和史料館」の設置をすべきであります。

 そして四点目に、現在超党派で「恒久平和のための真相究明法の成立を目指す議員連盟」を設置し、第二次世界大戦におけるわが国の行為について、客観的な事実の調査をするための委員会を設置を呼び掛けております。こういう委員会こそつくるべきであります。この委員会設置に総理にご協力をお願い致します。日本は、国内外に人道を行う民族であって初めて日本人であることを誇りに思うことができるのではないでしょうか。

 そして、そうした国にすることが、あとに続く世代に対するわれわれの責任ではないかと思います。政治がそういう精神を体現したとき初めて日本は希望あふれるたしかな再生に道を力強く歩むことができると思います。また世界の人々に対しても信頼と説得力を持つことになりましょう。以上の四点につき、総理のお考えをうかがいます。』

小渕首相の答弁は、以下の通り。

『(戦争関係の資料は)関係省庁で保存し、許される範囲で公開しているが、貴重な意見として受け止めた。』

これからも、調査会設置を要求する国会議員発言を期待しましょう。

現在、恒久平和議連の加盟議員は102名、請願紹介議員は153名です。

 なお、「戦争被害調査会法を実現する市民会議」「戦後処理の立法を求める法律家・有識者の会」では、立法により国会のもとに戦争被害についての調査会を設けることをめざして活動を進めている「恒久平和のために真相究明法の成立を目指す国会議員連盟(恒久平和議連)」との集会を、2月25日(木)に開催する予定で、準備を進めています。後ほどご案内を差し上げますので、よろしくお願いします。

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
E-mail  taihei@tk.usen.ne.jp (メールアドレス変更)
<その他は(その3)と同じ。>
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

 以上。


敗戦記念日特集

『1寸の虫の5分の毒針』
週刊『憎まれ愚痴』7号の目次に戻る