秘書の小部屋 2003.3

2003年3月31日(月)晴れざんす

3月はお終いになります。イラク戦争は続いています。世界は週末に向かっています。

・・・?

失礼しました、終末に向かっています。毎日がやり切れない日々です。世界中がこれだけ反対しても、聞く耳持たぬアメリカ帝国。そろそろ核が出て来ても・・・と嫌なことを考えてしまいます。

イラクで爆弾が破裂するごとに我が社の編集長も爆発して、血圧やボルテージやアドレナリン分泌や怪気炎、おだ、メートルなどなど上げられるものは全て上げまくっております。上がらないのは秘書の給料くらいです。

上がりつめて沸騰すると、新聞社、放送局、自衛隊、外務省その他関係部署に電話しては、なんとかせい!と檄を飛ばし、埒があかないとなると、こうせい!、と指示し・・・

関係部署の皆様、編集長は真剣でございます。声がでかすぎるとは思いますが、営業マニュアル慇懃無礼マジノ線を突破するには止むを得ません。もちっと真面目にお考えくだされ。

戦争反対を唱える我が社なのに、社内は臨戦体勢に入っておりまして、世間様が花見に浮かれる昨日も、秘書はめでたく休日出勤と相成りました。当分秘書に平穏は訪れそうにありません。不幸だ・・・

2003年3月22日(土)どんより雲り

・・・・・・・

お久し振りでございます。無断欠勤10日以上の廉で、とうとうクビになりました。よって、お別れの御挨拶を・・・ 

ゴチッ。

イテテ。悪のりするんじゃない、と小突かれました。人手不足のこの折り、クビにしたくとも代わりがいないそうです。(ところで「廉」は「とが」と読みます。意味が分からない人は辞書をひきましょう。)

とうとう、始まってしまいました。世界中がこれだけ反対しているのに、今世紀の愚行記録に残るであろうイラク攻撃が。

世界中が、アホでマヌケなアメリカ大統領に憤っているこの時期に、ミミズのたわごとのような秘書のアホ日記をチマチマ書く気になれません。

若いアメリカ女性レイチェル・コリーさんが、イスラエル軍のブルドーザーに轢き殺されました。我が社の編集長でさえ、いえ日頃非武装無抵抗を主張している編集長だからこそ、その死を悼んで涙ぐんでいる時に、蚊トンボのような秘書が駅前の階段を降りかけた時に春一番関係の突風にあおられ転がりかけた話など、蛙の屁ほどの意味もありません。

編集長が取材を受けたテレビ番組の放送が11日にありました。戦争と報道操作・・編集長のテーマの一つです。今回も報道操作が行われているようです。イラクが「油田放火」と英米・・と今日の新聞の見出しにありました。編集長が異議を唱えて火を吹いています。

言いたいこと知らせたいことが山のようにある編集長は、連日通信を発します。後始末係りの秘書が、ひいふう言いながらホームページの記事に加工して送り込んでいます。

勢いづいてビデオの編集まで始めてしまったので、お陰で秘書はエンコーディングソフトを求めてインターネット空間をさまよい、ようやくMac用のRealProducerBasicを探し出して英文と格闘しながらインストールし、しかしOSXではカメラが作動せずOS9にインストールし直してエンコーディング、どこが悪いのか音声と映像が同期せず、と試行錯誤を繰り返し、ようやく亜空間放送局に送り込んだ頃には一日が終わってたりします。

その上さらに内職もせにゃならん、同居人はフリーペーパー作ってて、秘書を歩くマニュアル替わりに使いたがるし、ああ・・・と愚痴をこぼしている場合ではありません。

戦争は嫌です。反対です。

2003年3月9日(日)晴れ

貴重な日曜日だというのに、朝もはよから起き出して、今日はめでたい休日出勤です。ともかく午後にはテレビの取材班が来ちゃうので、ここは日頃の利害の対立は棚上げして我が社の恥を全国放送されないようにしなくてはなりません。

編集長室の、資料と称するスモーキーマウンテンを片付け、無秩序に置かれた書籍の向きくらい揃え、縦横斜め気ままなファイルも背が見えるよう並べ、フロッピーやMOは引き出しに入れて・・・結局、都合の悪いものは全て隣の部屋に放り込みました。これぞ究極の片づけわざ、とか自慢している場合ではありません。これに懲りて日頃からちゃんとせいよ、と秘書思わず説教を垂れてしまいました。

取材には秘書も付き合ってしまいました。約3時間、まあよく喋ること。日頃秘書が封じているお喋りの虫がはい出してきたようです。(そう言えば5日が啓蟄でした)。記者さん、よくぞ耐えて下さいました。撮影のスタッフの方、狭い室内でご苦労様でした。テレビの取材って賑やかなものかと思っておりましたが、とても静かでした。皆さんが引き上げた後の編集長のお喋りがとてもうるさく感じました。

2003年3月8日(土)晴れ

週休二日の御時世に逆らって今日も働く秘書。勘違いしないでください。秘書は、我が社に巣食うあの仕事中毒の同類ではありません。あっちは、平日と週末祝祭日の区別のつかない野暮天。こっちはお得意様のご意向のままに仕事をさせていただく荒野のサボテン、たまさかのお仕事は旱天の慈雨です。

と阿呆なことをつぶやきながら、マウスかちゃかちゃやっておりましたら、かの御仁、鼻歌まじりで大荷物をこしらえておりました。家出でもするんですか、と聞きましたところ、本日デモ集会に参加する、演説する、本も売ってくる、特製プラカードも提示してくる、ということで、ビラを詰め込んだリュック背負って、御存じドラム缶積んだカートと本を入れたカートにマイクスタンド、を運びだしております。念のため申し上げますが、車ではありません。駅までは自転「車」ではありますが。

お止めなさい、という秘書の制止を振り切って意気揚々と出かけて行きました。デモの後はどこぞのなんとか大学で講師をしてくる予定です。その後は打ち上げで飲んだくれるのでしょう。行き倒れにならないことを祈るのみです。

夕方ようやく仕事を終えた秘書は、お家に帰ってくつろいでテレビを見ながら晩御飯をいただいておりました。画面に合せて、あはははと大声で笑った途端、ピルルルと電話がなりまして、もしやと出てみれば、それは編集長。お早いお帰りで(ともかく行き倒れにはならなかったみたいです)、してどうかされましたか、と問えば、くたびれたので早めに帰って来たとのこと。当たり前です、あんな大荷物持って。少しは反省しなされ、と諭しましたが、いや行きも帰りも親切な人がいて手伝ってくれたから大したことことはない、と懲りた様子がありません。全くこのお×ぢはどこまで・・・

では、おやすみなさい、とさっさと電話を切って楽しいテレビの続きを見ようとしましたら、編集長あわてて用件を切り出しました。

実は明日テレビ局の取材が入るのだ。

入るってどこへ、と予感に打ち震えながら秘書は聞きました。

我が社だ。

ええっ、と秘書飛び上がりました。あの取り散らかった編集長室へですか。いきなり汚宅訪問、じゃあるまいし、そんなっ。我が社の恥を晒すのは断固許しませんっ。なに考えてるんですかっ。

2003年3月7日(金)雨、寒い

昨日のセミナーで貰ってきた資料で早速お勉強を、と思いましたら、内職の声が掛かりました。お金になる仕事があるというのは有り難いことなのですが、近頃罰当たりな秘書は、賃仕事をするのが嫌になってきました。人様の書いた面白くもなんともない原稿をせっせとキーボード叩いて入力して1文字なんぼ、というのは精神衛生には考えものです。

世の皆様、原稿はちゃんとデジタルデータで入稿しましょう。その方が間違いも少ないです。間違えても自分の責任なので、諦めもつくでしょう。他人の間違いに激怒する人ほど、自分のミスは「まあいいか」で済ませられるものです。

とは言っても浮き世の身過ぎにはお足が必要です。金がないのは首がないのと同じ、ともいいます。貧乏すると、身体部品が一つづつ欠けていって、やがて丸ごとこの世から消滅しかねません。ちゃんと地に足のついた生活は人生の基本、何ごとも辛抱、辛抱・・・ 

2003年3月6日(木)曇りから雨、寒い

さて、入学試験はすってんころりんしましたが、向学心溢れる秘書はやはり勉学の志止み難く、本日はセミナーに参加いたしました。所は東京コンファレンスセンター、ホテルの直ぐそばの立派な建物の立派な会場です。コンパニオンみたいなお姉さん達が丁重にお出迎えしてくださいます。椅子はひじ掛け付きのふわふわ、前後の席との間隔もゆったりとってあり、移動も楽々、ちょいとしたVIP気分です。

近頃よく行くナントカ会会場の大学の教室は、椅子が後ろの机と合体してせせこましく、トイレに行くときなど、近くの席の人間をみな立たせにゃなりませんでして、遠慮深い秘書にはちと辛いものがあります。

高いセミナー会費を払って参加した甲斐がありました・・・ と嘘言っちゃいけません。この秘書が差し迫っていないお金を払うはずがございません。だいたい、この間の試験だって、月謝がかからない学校だから、場合によっては通学手当も出るらしいから、受けたんです。同じようなことを考える人がたんとおりまして、凄い倍率になりまして、軽く考えていた秘書は、弾き出されてしまったのでした。

今回はソフトメーカーの無料セミナーでした。秘書は分不相応にそのメーカーの編集やイラストや画像やWEB用のソフトを一揃持っておりまして顧客登録もしておりますので、メールで御親切にもお知らせをいただいて、渡りに船、帰りは亀、と出かけたのでございました。とってもためになるお話を聞かせて頂きまして、この次もぜひ連絡を頂きたい、とアンケートに書いてまいりました。

久し振りの都心は気分よかったです。会場案内地図を読み違えて、最寄り駅から3分の会場へ一つ手前の駅から15分かけてたどりつきましたが、なに自宅から最寄りの駅まで20分歩いている身にはさほどのことではございません。むしろ帰り道、最寄りの駅から電車に乗ろうとして、一つ手前なら290円ですんだのに、こちらからでは380円で90円も高い、と気づいた時、一瞬引き返したくなりました。

電車の中でぼーっと立っておりましたら、少し離れた所にいる青年の声がよく通る声なのか、会話が丸聞こえです。ダイエットを話題にしております。寄生虫をお腹に入れておくと栄養を食べてくれるから太らない。(国民総栄養失調の)昔は害があったが、現在では好ましいダイエットである。寄生虫を駆除してしまったせいで免疫力が低下して、と、この辺で話が花粉症に及んできます。藤田紘一郎博士の「笑う寄生虫」あたりの受け売りですな。編集長が聞いたら、大笑いするか、はたまた沸騰するか、そんなことどっちでもいいんですけど、この青年の話し相手は、同じ年頃の男です。女でなくてよかった、と他人事ながら思ったのは次の瞬間です。そうだ、と青年が言いました。

「今度目黒の寄生虫館に一緒に行こうよ」

嫌です、そんなの。

2003年3月5日(水)晴れ

来月は一斉地方選挙だそうです。そこいらじゅうの壁にぺたぺたポスターが貼られ、宣伝カーは名前を連呼して走り回っています。気分はもう激選区、です。選挙運動の弊害が叫ばれて、色々と制度をいじくり回して変えた筈なのに、現実はどんどん歪んでいくようです。教育制度の成りゆきと似てます。

東京都立高校の入試に例を取ると、確か昔、全都一区だったもので、人によっては直ぐ近くの高校を素通りして都内を横断して遥か彼方の高校に通うような事もあったそうで、これは教育上ナントカカントカ、で学区制度ができ学校群ができグループ選抜ができ、そうこうして行きたい学校に行けない不満もでき、都立高校がすっかり地盤沈下して、こりゃいかん、というのでまた全都一区に戻して独自入試問題も作って・・・

最初の改革時点での問題は棚上げです。要するに、何が問題かは気分の問題、悪いと思わなければ悪くない、と言ってるようなもんですな。遠くの学校に通う生徒の溜め息と、旧帝大進学者数が三桁でなくなったことを嘆く高校の校長先生の溜め息と、2つ足して2で割る訳にはいかないし・・・

編集長も選挙モードに入っています。秘書の見る限り、どの陣営の味方かわかりません。全部まとめて腐している気がします。

2003年3月4日(火)晴れ

ほかほかと暖かった後の寒の戻りはこたえます。足先がジンジンして、霜焼けになっちゃいそうです。以前お医者さんに行った時、この暖かい東京で霜焼けになる特異体質、とか呆れられましたが、先生、そりゃ東京は樺太よりか暖かいですけどね、セントラルヒーティング完備の先生のお家と暖房代ケチってる秘書んちとでは、ハワイとシベリア位違うんです。世の中ブルジョアばっかりじゃありません。ふんっ。

と、つい余計なことを思い出してしまいました。

今日も寒いですが、試験の日も寒かったです。
(試験の結果を聞きたいでしょ。落ちましたよ、ご期待通りに。ふん、学校が何さ、秘書にはもっと大きな希望があるわさ・・・)

身も心も冷える毎日が続いたので、てきめん唇が荒れて端っこがプクっと膨れて切れました。この手の傷は疼いて痛いうえに治りにくくて、いつまでも血が滲んでいます。お陰で何食べても飲んでも血の味がして不味いです。こんなものに舌鼓を打つなんて、吸血鬼ってひどい味音痴に違いない、と秘書は大口あけるたびに傷が開いて血が出てくるのをティッシュで押さえながら思いました。

2003年3月3日(月)雨

気がつけば梅の花が満開です。カレンダー見れば、3月3日は耳の日・・・とは書いてはありません。桃の節句です。秘書んちのお雛様は今年も日の目を見ませんでした。押し入れの天袋の箱の中で、タンスのゴンと戯れていることでしょう。いつか大きい家に引っ越すようなことがあったら盛大に飾って差し上げますから、それまでは耐えて下さいまし。

巷は春一番が吹き荒れておりました。社内は二番煎じの親父ギャグが飛び交っております。三時のおやつは文明堂の一口羊羹でした。

日本は平和です。世界に何があっても対岸の火事です。おなじ島国でもイギリスは大変です。国民があんなに首相に逆らっちゃって・・・

2003年3月2日(日)雨?

記憶がプッツンしております・・・

2003年3月1日(土)晴れ

社内のお片付けをしていたら、洗面所の隅っこに、タオルのお煮染めがあるのを発見しました。全く誰がこんなものを製造するのでしょう。ぷんぷん怒って割り箸でつまんでバケツに突っ込んで塩素漂白剤をぶちまけました。塩素臭くてたまらない、とどなたかが言っておりましたが、断固無視しました。秘書はきれい好きです。我が社に御来訪の皆様、社内をうろつく真っ黒黒助や黴玉埃玉は秘書が飼育しているのではございませんので、お間違えになりませんように・・・