8月22日(水) 暴風雨のち晴れ
台風一家の通った後はペンペン草も生えない、じゃなかった、台風一過のあとは吹っ切れたような青空がのぞく、筈だった。
なんか蒸し暑くて全然清々しくない。はっきりしない台風だった。(東京に)来るぞ来るぞ、と散々脅しておいて、え天気が良くなっていっちゃうよ、と気を揉んでたら、どっか(千葉方面)に行っちゃったという。
台風の被害は甚大だ。今回も何人も亡くなっている。来なければそれに越したことはない。秘書が子供だった頃は今より頻繁に台風が来ていたような気がする。
子供の目に台風は大きな驚異だ。大人が現実の心配に忙殺されている間、子供は外をうかがい見て追い立てられるように流れる雲を背にした大木の梢がもっと大きく揺らげと願い、大粒の雨の弾けるような雨音に暗示をかけられて夢想に耽り、あるいは増水した河の大蛇ののたうつような激流に吸い寄せられて淵に近付いて親から大目玉を食らったり、それでも氾濫した河に流された畑を見に行ったり、普段は人の通る道を魚が泳いで行くのを追いかけたり、日常と非日常がごちゃ混ぜになった発熱しそうな時間だった。
台風が来なくなったと思うのは、成長するにつれ雑多な悩みごとを抱えるようになって心が飽和して驚異がはいる隙間がなくなったからかもしれない。今日も今日とて片付かない事務所を眺めて秘書の苦悩は大きい。盛大に事務所開きをやるそうだが、果たして準備が間に合うんだろうか。
8月21日(火) 暴風雨
秘書は8月生まれ。誇り高き獅子座のもと偉大なる太陽の祝福を受けてこの世に遣わされた栄光の子である。それにしてはいつも貧乏だな、とか横から槍が入るが、高貴さと富とは必ずしも正比例するものではないのだ。そのへんをきちんと理解してからモノを言うように。おほん。
さてお誕生日プレゼントに台風がきた。さすがこの豪勢な生まれを称えるにふさわしい。秘書感激して滂沱の涙を流す、なんてこと、ケツが裂けても言わないぞ。れれっ、ケツじゃなかった、口が裂けてもだ。
実はケツが割れた。さる個室でちょっと頑張り過ぎたらイテッ、菊印が生きたまま死後硬直を起こした。足がつる、のケツバージョンと思って欲しい。一瞬身動き出来ないほどの痛みが全身を貫いた。ぬるま湯でよーく暖めて何とか軟膏をチューブ4分の1ほどだして、そのなんだなにをあれして(耄碌語録みたいだ)、ようやく人心地がついたが、とんだ災難だった。
何を秘書は書いてるんだ、と自分でも嫌になる。これじゃまるで下ネタ好きのミーハーだ。違うか、なんて横から口挟むまないように。誰かさんと違って秘書は人格高潔なのである。
同居人がプレゼントをくれた。秘書は最近使用済みのペットボトル(クーの可愛いやつ)をきれいに洗ってお家で入れた紅茶を入れて持ち歩いている。それを入れる可愛いのがあったよ、と黄緑色のカエルのボトルカバーをくれた。確かに可愛いけれど、同居人の目には秘書は幼稚園児に映っているらしい・・・肩から斜め掛けして持って行けって言うんか。
8月18日(土) 曇り晴れ
ひと頃の猛暑の記憶が薄れそうなくらい、ここしばらく涼しい。その涼しいを通り越して今日は寒い。今日秘書はうふふのふ、でお出かけだ。行き先は赤坂のホテル。ホテル併設の美術館で芸術鑑賞のあと、ホテルの1室でむふふのふ。ふっふっふっ。
秘書はリンボウ先生のファンなのだ。リンボウ先生が誰だか判るあなたはこの先の話が判るであろう(知らない人は・・・まあ適当に)。ホテルの1室にこもって直にお話を聞く。明治の文豪のような容貌に謡いもするという美声で愛しい人との語らいもかくやとばかりに語りかける。うっとりと至福の時を過ごしたが、裏腹に秘書は冷えきってしまった。冷房が効き過ぎだった。パンフを団扇がわりにパタパタやってる人がいたがよほど体内に脂肪を貯えているのだろう。終わった後サイン会があったが、秘書は暖まりたい一心でとっとと外に出てしまった。
講演して講演料もらってついでにサイン会開いて本売りつけて・・・儲かるだろうな。今度編集長にやらせよう。
8月17日(金) 曇り晴れ
我が輩は夏バテである。まだ寝込んではいない。真水に放り込まれたクラゲよろしくヘロヘロと社内を漂っている。寄るな移る、と夏痩せした営業部長が邪険にする。優しくしてくれないと、コーヒーに目薬入れてやるぞ。
夏が命さ、みたいな編集長もだらだらしてる。社内は相変わらずモノが産卵していてじゃなかった散乱していて(だけど産卵しているみたいにモノが増殖している。なんでだ)、危なくって裸足じゃ歩けない(勤務中に靴を脱ぐんじゃないと罵声を飛ばされたって、ここは亜熱帯だ)。すぐ向うに行くにもあちこち身をよじってすり抜けて行く。ワープの反対だ。亜空間ていうらしい。
8月13〜15日(お盆) 曇り晴れ
巷はどこでもお盆休みだ。こんな日に働いているのは亡者だ。あーやだやだ。
8月9日(木) 曇り晴れ
はっきりしない天気が続く。気温はさほどないのに蒸し暑く、降りそうで降らない。こんな時は気分も晴れない。
社内は少しづつ片付いてはいるが、見た目は相変わらず自爆テロの現場みたいだ。ほそぼそと営業はしているが、社長室はまだ物置き状態だ。当然社長は出社してこない。なら秘書も用がない。では夏休みを豪勢に取らせていただきましょう。ちょっと別荘へ・・・くらいしてもいいじゃないか。なんで毎日毎日スモーキーマウンテンでゴミの分別なんだ。何度も言うが秘書は社長秘書だ。編集長付きではないぞ。
8月7日(火) 曇り晴れ
寒いよう・・・と縮こまっていたら、暦は秋になっていた。
この寒いのに、クーラーをがんがんに利かせたがる、秘書に言わせれば、アホ、が世の中一杯だ。生鮮食品の店ならいざ知らず、書店など底冷えするのは、立ち読みせんでさっさと買って帰らんかい、という意味だろうか。
健康にはよくないぞ(とテレビで言ってた)。
8月2日(木) 晴れ
マーフィーさんを御存じだろうか。秘書は良く知らないが、著明な法律家らしい。人々が何かに付けて口にするような条文をたくさん作った人・・・ えっ、違うって。法律じゃなくて法則だって。似たようなもんじゃないか。
ともかく、“失敗する可能性のあるものは失敗する”、とかいう、そりゃそうだけど・・・という法則を集大成した人だ。
今朝秘書は法則の一つを身を持って体験した。余りに有名な、トーストはバターを塗った面を下にして落ちる、というあれだ。塗ったのは、ピーナツクリームとマーマレード(編集長流にいうと、擦潰し南京豆砂糖味と柑橘類皮ごと砂糖煮だ。味音痴みたいな組み合わせだ)。べちょと床に貼り付いたのを剥がしたときの衝撃はなんと表現してよいのやら。
トーストはいつでもバターを塗った面を下に落ちるのではないと思う。幸いバター面が上だったら、ぺっぺと払ってすまして食してしまうからどうということもなく、従って記憶にも残りにくい。
が逆だったら・・・普通の人はまず食べまい。その上汚れた床の後始末がある。高価な絨毯だったらえらいことだ。のちのちの悪夢の種で忘れ難い。よって、いつもバターを塗った面が下に落ちるような印象が残る。
と偉そうに考察していたら、ちゃんとそのことについての法則があった。すなわち、トーストがバターを塗った面を下にして落ちる確率は絨毯の値段に比例する。
ところで編集長は議論好きらしいが、秘書とするのはいつも馬鹿話だ。このおじさんのどこが知性的じゃい、と思っていたら、マーフィーの法則に曰く、“バカと議論するな。はた目には、どっちがバカだかわからない。” ・・・
8月1日(水) 晴れ
今日から8月さあ夏本番、なんて白々しくて叫べない。7月に散々焙られてしまった。気分はもうほとんどフライパンの中の煎り豆。あぢぢあぢぢ あ゛ーぢぢ・・・だったけど、ここんところ寒い。前日と15度も違えば本当に寒い。
で、本題。昨日で引っ越し済んで日は暮れたけど、社内は爆破事件の現場のようで足の踏み場がない。もう何日も開けっ放しのブラインドを閉めたいが、途中に段ボール製の天下の険が聳えたち遭難しそうで近付けない。(誰だ後のこと考えずに積み上げた奴は。誓って秘書じゃないぞ。)
社長以下諸部長がお見えになったが、ちらと見るなり、まだじゃのう、と言い残して引き上げてしまった。コミセン(コミュニティセンター=昔の公民館)の一室を会議と称して借りていて、実は囲碁将棋を持ち込んでいるらしい。いい身分だな。おめーらまとめて首にしてやる。
とわめいていたら、まあまあと営業部長になだめられた。社長は社員の首切れるけどその逆は駄目なんだから、だって。ふん、ここは普通の会社じゃないやい。
そんなこんなで社内はやる気のなさが充満している。自転車で机運ぶという曲芸のような荒技をやってのけて編集長もぼーっと上を向いてほーっと溜め息ついている。きけば腰がぎっく・・・気味らしい。秘書もでれりんことお茶を入れぷぁりんばぁりんと気の抜けた音させておせんべを齧る。すべて世はこともなし・・・