秘書の小部屋 2001.5

2001年5月31日(木) 雨

実質梅雨でしょう、と一人で納得。ふっと気づけば5月も終わりで、明日からは夏です。あっと言う間に時が過ぎました。人生、はかないものであります。

と、もの思いにふけっていたら大音量の街宣車が喚き立てます。○○××をよろしく、たって選挙はまだ始まってないじゃないか。やかましい。あんたにだけは絶対入れないぞ。さっさとどっか行かないと、うちの編集長を自転車に乗っけてドラム缶持たせて行かせるぞ。

(また恐ろしいことを言ってしまった。)

2001年5月30日(水) 雨

ほんとに梅雨ではないんですか、とわめきたくなります。

お気に入りの靴を濡らしたくないので、昔買ってあまり使ってない少々型の古い靴を履いて行きました。歩いている途中で何故あまり履かなかったのかを思い出しました。値段が高かったから大事にしまっていた筈でした。が、もひとつ、見てくれは非常に素晴らしいのに、立っているだけなら上品そうなのに、いざ歩き始めると、がに股になるのです。カッコ良く歩こうと見栄をはると変なところに力が入り足が痛くなります。要するに全く足と合っていないのです。

おかげで疲れ果ててしまいました。家へ帰ったらこの靴捨ててやる、と1日そればかり考えていました。人間、足元をおろそかにしてはいけません。

2001年5月29日(火) 晴れ、昼スコール、夕スコール

いつから日本は熱帯性気候になったのでしょう。突如うどんのような激しい雨が降ってはいきなり止んでのち青空。これが結構日常風景になってきました。普段から秘書は天気予報など当てにしないで、傘を持ち歩きます。日傘兼用の折り畳み傘です。子供の頃カンカン照りに傘をさす女の人たちが珍妙にみえて仕方なかったのが、お肌の角を曲がりきった今、どっかのお子様が口開けて、変な人、とジッと見つめる視線にいささかたじろぎながらもピカ天の日には傘を広げます。が、相手がうどん雨では傘がなんの役に立つでしょうか。

お昼にお外に出た秘書はスコールに直撃されて、店先で雨宿りしました。場所が悪かったです。できたてシュークリーム店頭販売の店でした。じっと見ていて我慢できなくなって、中に入り、1個下さい。1個?と怪訝そうな顔した店員、しかしさすが客商売、お持ち帰りのお時間は、とマニュアル通りお聞きになった。3秒、と秘書。直ぐ食べますから、と付け足した言葉通り、店先で雨が止むのを待ちながら食べ始めました。まねする人がいました。秘書はさしづめ看板娘です。有り難い客だと感謝して欲しいものです。

編集長も夕刻日課のプールの帰りに遭遇したそうです。怪し気な空模様に思案顔でいたら、連日の擦った揉んだの苦情ですっかり顔馴染みになった受付の女の子(これはいまや立派なセクハラ用語である)が傘を貸してくれることになり、唇の上あたりをびろんと伸ばして受け取ろうとしたら、じゃばっと罰があたったように降り始めて、しばし雨宿りしたそうな。

2001年5月28日(月) ピッカピッカ晴れ

なんで日曜が雨で月曜が晴天なんだ、とむっとします。が、世の中、秘書の気分に合わせて動いているんではない、と思い直して八つ当たり虫を引っ込めます。変わりに泣きの虫が出ます溜め息が出ます。相変わらず(秘書のリアルな勤務先の超ブラック会社の)仕事は忙しいです。

長く勤めていればそこそこ偉くなって楽ができる、だから辛い仕事も歯を食いしばって明日のために頑張ろう。と、そういうお約束ではなかったのですか、世の中は。若い頃は安い給料でこき使っておいて、中年になったら、能力主義だの成果主義だの言いおって、嫌なら辞めなさいとイワン馬鹿りに、違った、言わんばかりにもっと待遇が悪くなる。こんなことして、一体誰が得をしてるんですか。

と、これは憎まれ愚痴社のことではありません。世間一般の(リアルな超ブラック会社の)某社のことであります。秘書がバーチャルアルバイトをしている憎まれ愚痴社は、まあそのなんだ、気が楽なのだけが取り柄で、世間様とは大幅にずれている会社です。就職したい、という人がいたら、人事部長に口利きしてやってもいいですが、待遇に責任は持てません。会社案内は作成していないので請求などしないで欲しい。御社の・・とかの口調で電話して来るやつは面接不可。理由は、御、が付くほどの社ではないからであります。(ゴの字も付いて欲しくない。)

2001年5月27日(日) 雨

やっぱり梅雨ですか、と聞きたくなる雨模様。荷物整理も飽きてしまいました。一体何が楽しくて毎日お片付けなんかを・・・ 早く仮住まいの身から脱したい。どんよりした空を見上げて思います。金でも降って来ないかなあ。

2001年5月26日(土) 晴れ

暑い。連日の気候変動に振り回されてバテ気味です。でれーっとしてたら、おいでを願いたい、と編集長。この低姿勢は何の魂胆のカモフラージュでしょうか。掃除なら手は貸さないぞ、と肩ひじ張ってふんぞり返って(返りすぎて後ろにこけそうになった)魔境のドアを開けると、あれれ夏模様になっています。が机の上には電気ストーブ。

じゃなかった、ひねパソのメビウスだった。

さて、前回のパソコン指導から一週間、編集長は何をしてたかというと、メビウスの周囲でとぐろを巻いていたらしいです。そうであったか、わはは、愛松君とはだいぶ様子が違うからな。秘書はもともとウインドウズ育ちだ。マックの使い始めは編集長には大きなお世話になった。今がお礼参りのチャンスだ。いひひ。

いばりくさって上司をしごくのは快感です。昼飯は鰻丼とってもらったし、今日はいい一日でありました。

2001年5月25日(金) 晴れ

熱の後遺症で頭がくらくらする、と言ったら口の悪いのが、もともとふらふらしてる頭だろう、と茶化します。(口の悪いのは誰でしよう、言わずと知れた・・・)

降れば寒いが晴れれば暑い。今時分はやっかいです。

編集長のいまや物置き化しつつある部屋はまだ冬模様です。そろそろ半年敷いたままのホットカーペットが気にかかるのですが、下手にいじると埃が飛び散り花粉症再発?みたいな事態を招きそうですし、だいたい秘書は社長秘書であって掃除パートに雇われた覚えはありません。

しかし今日は秘書ぶっちぎれました。編集長が部屋へ持ち込んで私物化しているデジカメを社長命令で取りに行ったとき、ドアを開けたとたん、つつつ、と走り去る巨大なゴの字一匹。おのれ、編集長が飼っていたのか。許せんっ。

ぐだぐだお抜かしになる編集長とすったもんだの攻防戦の挙げ句、編集長が自分で片付けることに合意成立。ふん、頼まれたって手伝ってやらないぞ。

2001年5月24日(木) 雨

梅雨じゃありませんか、としつこく聞きたくなります。

本日熱が出て、秘書は仕事お休み。原因はなんでしょうね・・・

2001年5月23日(水) 雨

梅雨ですか、と言いたくなる雨模様。気温も下がって、しかし長袖は連日の暑さで全部しまい込んでしまって、くしゃみが連発します。寒いようストーブが欲しいよう、と心の中で叫びながら仕事に精出します。

と、そこへ閻魔大王登場。やめてください、と反射的に秘書が叫ぶと、なんで、と編集長怪訝な顔をします。なんでったって・・・(2度とあの撮影のこと思い出したくありません、なんて、気の小さい秘書に言えるでしょうか。)

ひげも大分伸びたし、そろそろ撮り直したほうがいいだろう、と編集長は能天気にもの申します。そんなに撮りたきゃセルフタイマーで撮れ、秘書は知らん、と言いたいのをぐっとこらえて、ひげが問題ならもっと伸びてからのほうがいいですよ、とやんわり話を反らしました。それもそうかな、とあっさり引き下がる編集長。その格好で社内をうろうろするな、と釘をさしておかねば。(社長室にお客さんが来ています。昨年心臓の手術をしたそうだ。)頭痛がしてきました。

2001年5月22日(火) 晴れのち曇りのち雨

秘書は政治オンチです。だから、誰が総理になっても代わり映えはしない、と思いこんでいましたが、少々違うようです。変人と言われる小泉さんは案外まともらしい。で、毎日のニュースが結構面白かったりします。外務大臣が本領発揮できないでいるようなのが気にかかりますが。

ところで小泉さんは目下独身だといいます。全女性がファーストレディになれるチャンスあり・・・ 秘書も頑張ってみようかな。首相公邸は広そうだし。

2001年5月21日(月) 晴れ

ピカピカの顔した編集長、今日は御機嫌です。昨日豪華サウナに行ってきたそうです。ふーん、そうかあ。遊び癖がついたのかな。土曜日だって、さんざん秘書をこき使っておいて、夕刻そわそわして、行ってまいりまーす、とどこぞに消えてしまいました。情報筋によると飲み会だったらしいです。仕事中毒が解毒すると遊び虫になるのでしょうか。

2001年5月20日(日) 晴れ

スーパーを3軒回りましたが丁度よい段ボール箱がなくて、本日は詰め直し作業なし。秘書の好みはペットボトルが6本入るやつです。指の入る穴が開いてて持ちやすいし、何より丈夫です。できれば、クーとかなっちゃんとかの可愛いのがいい・・・

手持ち無沙汰に部屋の中を眺め回して、いいこと考えました。同居人のベッドはデカすぎる。捨てよう。

と言ったら、えらく怒られました。あれは同居人のお父上がその昔八王子の山に分け入って求めてきた由緒あるものだと。ベッドのなる木が生えてた訳では在昌千。進駐軍や大使館などの放出品を扱う倉庫みたいな家具店があったのです。むく板のいかにもアメリカ人仕様のどでかいベッドは貧乏所帯にはおよそ不釣り合いなのですが心地は寝心地いいのです。家が広ければなんの問題もないのですが。

2001年5月19日(土) 晴れ、一時スコール

朝からガサゴソ編集長が部屋の中かき回しています。模様替えしてるんか。どうでもいいけど、ゴミを大量に出すなら、取りあえず、とか言ってこの前みたいに玄関に積み上げないで貰いたいです。潰れたんですか、とお客さんがびっくりしていました。(あのときは行方不明の編集長に替わって秘書が守衛のおじさんとひいこら言って片付けました。おじさん可哀想にしばらくゴミと同居してました。)

とそこへ、荷物到来。編集長がいそいそとお出迎えして、御馳走みつけた蟻さんみたいに、嬉しそうに自分の部屋に運んでいきます。しばし奥からガサゴソびりばりカチャカチャぶつぶつが聞こえます。そして静寂・・・

しばらくたって、にやにやしながら出て来た編集長、いいもの見せてあげるからおいで、と秘書を誘います。(誘拐の常套文句だ。)

机に電気ストーブが乗っていました。と、思ったらパソコンですと。名前はメビウス、あの輪っかのひねくれたやつと同じです。ひねくれパソコンは、窓、の一族であります。鋭家の出身らしい。見た目は、でぶ愛松君が痩せ衰えて餓死寸前、みたいです。そこ触ってみろ、このソフト入れてみろ、実行してみろ、このマウスは3つも押すところがあるぞうんぬん、なにかこき使われている気がします。編集長ひょっとして窓一族のことはよく御存じでないのでは? と秘書疑惑を抱きます。愛松君も松子さんも把輪仏九衛門爺さんもみんな林檎一族、抹苦家の出身だもんな。

結局、いろいろ接続していろいろ入れていろいろ実演して見せて、秘書は自分の仕事どころでありませんでした。指導料はきちんと払って貰いましょう。まずはお腹がすきましたぞ・・・

2001年5月18日(金) 晴れ(たかな)
  5月17日(木) 晴れ
  5月16日(水) 雨のち晴れ。傘を置き忘れてしまった。くやしい

きっと秘書は忙しかったのでしょう。3日間の記憶がございません。働いても働いてもちっとも減らない仕事にうなされていたような気がします・・・

2001年5月15日(火) 晴れ、暑い、空気が燃えている

ひそひそ社長と経理部長が顔を寄せ合っています。眉根も寄せ合っています。社長のがハの字で部長のは八の字です。深刻な話らしいです。秘書は耳をそばだてます。耳がぐいぐい大きくなってスパイ象に変身・・・は無理です。

背中に巨大な耳を生やした鼠の写真を見たことがあります。一個の細胞があらゆる臓器に分化する、ほれこの通り、と鼠に植え付けてしまったような話でした。問題は、耳が人間様仕様だったことです。ほぼ身長ぐらいの耳が背中に付いていたら、可愛くないし重いし耳掃除が大変です。

さて、漏れ聞こえた細切れ耳情報をつなぐと、編集長にお金をせびられたらしいです。額はン十万円。さっき編集長が浮き浮きとどこぞへすっ飛んで行ったのは、まんまとせしめたからですか。何を買う積もりでしょう。あのモノだらけの編集長室にさらにモノを増やそうというのですか。入らなくなった、とか言って秘書室(そんな部屋ありません。秘書の机の回りのこと)に持ってきたって受け取り拒否しますぞ。

身構えていたのに、帰ってきた編集長、ぶら下げていたのは小さな包みです。そんなに高価な品物ではなさそうです。差額はどうしました。領収書不要の使いっきり経費ですか。そういう話なら秘書ものせて欲しい(なんてこと清廉潔白な秘書は口にしません。手が勝手に咽の奥から出てるだけです)。

2001年5月14日(月) 本日も良い天気

黒ごま煎餅をかじっていたらポロッと欠け落ちて机の下に転がっていきました。拾って食べよう、という積もりはありませんが、落としたままなのは気がひけます。よっこらしょ、と椅子をどかして覗き込みました。すると、ススス、と黒ごま煎餅が移動します。はて、面妖な。

ぐっ。

ごま煎餅じゃない。ゴの字だ。(フルネームで言うと、呼んだ?、とか言って、ごっそり出て来そうで恐い。)

おのれ、ぼろ事務所の北極並みの寒さにもめげず生き残っておったのか。二度とツラを見たくない、成敗してくれる。

と手にした紙で叩き潰そうとバシッと振り降ろしました。当たりぃ~、コントロールは抜群です。一巻の終わりよ、へへへ・・・とその笑いの下から、黒い物体がツツツッと走り去ります。おのれ待たんか(待ったら恐い)。こけつまろびつ右に左にビシバシ丸めた紙を振りおろしつつコケにされてる気がしないでもなく攻防戦の果て、敵はドアの下の僅かな隙間から奥の部屋に滑り込みました。秘書も滑り込みかけてはっと気がつき勢い良くドアを開けました。

出て来い!

すると大きな机の下でごそごそ大きな音がして、黒い物体が初日の出のごとく上がってきます。

げっ、巨大化した。

秘書半泣きになりました。ゴの字に食われて一生を終えるなんて嫌だぁ。

うるさい、いったい何の用だ。

と足掻くようにしてはい出して来たのは編集長でした。よかった、出来の悪いホラー映画みたいな展開にならなくて。でも、これはホントに編集長でしょうか。符牒が合い過ぎてませんか。なんか口の周りにお煎餅のかけらみたいな粉が貼り付いているし、ひげが嫌にピンとしてるし・・・

何してたんですか、と問うてみました。そっちこそ何してる、と怒られるかと思ったら、探し物、とちゃんと答えました。ますます怪しい。そういえばこの所編集長の性格が変わったような気がします。花粉の呪縛から解き放たれたのだ、とか言ってましたけど。

疑念を抱きつつ取りあえず秘書は退散しました。

席へ戻ると、社長が呼んでたよ、と営業部長が囁きます。むぐっ、と胸のつかえを呑み込んで出頭すると、書類の清書はまだかね、と口調はのんびりだが、さっさとやりなさいとの催促です。

秘書思わず右手を見る。丸めて握りしめたこれは・・・

2001年5月13日(日) 実に良い天気

捨てる技術、という本があります。ベストセラーであるらしいです。
引っ越し前秘書は当然目を通して、わんさかモノを捨ててきました。
一段落して図書館に行ったら、捨てる決心、という本がありました。技術だけでは捨てられない、と本の腰巻き(でしたっけ?)に書いてありました。これも目を通しました。

かくして、捨てる勢いがついてしまった秘書、今日はピカピカの絶好の天気だというのに、家から一歩も出ないで段ボール箱を開けてはせっせと詰め直しました。やる度に不要品の山を築く自分は一体どの程度の間抜けなのでしょう、と自己嫌悪が少々混じりますが、実はモノを捨てるのが快感になってきました。貧乏人にあるまじき快楽、でりまする。
(ひょっとしたら、これを契機に貧乏から立ち直れるのかもしれない。)

2001年5月12日(土) 晴れ

ぴかぴかの良い天気。過ぎ去った黄金の日々を思うと溜め息がでます。この一週間(リアルの超ブラック会社の)仕事がつらかったです。くたびれはてて家に帰ってもぐったりぼけっとしています。

これではいかん、栄養補給して楽しい週末に備えなくては、とホウレン草を大量に買い入れて来て早速大鍋にお湯を沸かして茹でることにします。ホウレン草が元気の源、とは子供のときポパイに叩き込まれました。あんなマッチョになりたい訳ではありませんが。塩を多めにぶち込んでお湯が沸くまでテレビでも見てよっと・・・

なんだったか思い出せないような番組をぼーっと口開けて見てしまいました。すると、ぱちっぱちっと弾ける音がします。なんの音?、と頭をひねくりまわしているうちに音が激しくなります。しまった!

台所にすっ飛んで行くと、鍋の水が全部蒸発して、鍋底に塩田が出来ていました。あ~あ。ホウレン草入れてなくてよかった。でももう一度お湯沸かしてホウレン草茹でるのと、ホウレン草入れたのを忘れて茹で倒してくたくたなってしかも焦げ付いたのを我慢して食べるのとどっちがより幸せでしょうか、とお腹をすかせ切った秘書は呆然と考えます。
そして結論。今日はレタスにしとこう。

でいそいそと冷蔵庫からレタスを取り出しました。冷水につけてぱりぱりにしてドレッシングをたっぷりかけたら、ああたまらない、と舌舐めずりしながらばりばりとはがしにかかります。しゃきしゃきして生きのいいレタスだ。つんつんしてぴくぴく・・・え?

次の瞬間ぎゃあと叫んだ秘書は次の間突き抜けてスリッパ履いたまま奥座敷に逃亡していました。あ、あ、青虫なんてもんじゃない、巨大な芋虫がレタスの間で首を振っていました。

2001年5月11日(金) 曇り

いかにお金をかけないで連休を楽しんだかを営業部長と楽しく語らっていましたら、かけるお金が無かったのでありましょう、と余計な一言を挟むのは編集長。事実だから反論はできませんが、なにか秘書に恨みでもお有りですか、といいたくなります。

金持ちはやっぱり金をかけて遊ぶんだそうです。つい先日も25億円の観光旅行をした御仁がおりまして、アメリカ人だがロシアに頼み込んで大名旅行宇宙版をやったところ、アメリカがえらくおかんむりで、遊びで乗り込まれて研究を邪魔されたから損害賠償を要求するとか。この御仁がアメリカに25億円払っていれば文句はでなかったんじゃなかろうか。25億円ねぇ。桁が違い過ぎて、きっと大金なのだろうな、くらいしか思い浮かびません。もし秘書に25億円くれたらこの御仁のことは子々孫々語り継いでやりましょう。100分の1でもいい・・・(その方が実感がわきます)

2001年5月10日(木) 曇り

小学校の先生が校長先生を車ではねて捕まった、という話を営業部長が教えてくれました。学校の中で生徒が見ている前で大喧嘩しててプッツンしちゃったらしいが、何があったのでしょう。

捕まったのはヌリカベ先生。ん? じゃ、はねられた校長先生はアカナメですか。教頭先生は小豆洗いで学年主任は油すましですか。保健室の先生は砂かけ婆で用務員のおじさんはのっぺらぼうで家庭科の先生は一反木綿。生徒は座敷童子で級長は鬼太郎、父母会もしくは保護者会の会長が目玉の親父で校医は子泣き爺ですか。妖怪小学校だぁ。

これはけったいな、と早速、仕事に飽きて社内をふらふらしてた編集長をつかまえて、見て来たような脚色を加えて教えて差し上げました。すると、ぶわっはっは、と吹き出すかと思った編集長、にこりともせず(憐れみをこめて)じろりと睨みます。

よく事実関係を調べてから吹聴しなさい、との有り難いお言葉(お説教)をいただいて秘書仕方なく昨日の新聞をひっくり返しました。む、壁を塗る、ではなくて、壁を渡る、だった。(なんと読むのでしょう。留置所の壁にへばりついてはいないでしょうね。)

2001年5月9日(水) 曇り一時雨

はっきりしない天気だな、と思ってましたら、いきなりじゃばーっと掃除バケツを蹴飛ばしたように降り始めました。午後の睡魔がお出でになる頃のこと。思わずほーっと見とれてしまいました。浮き世のちりあくたを瞬く間に洗い流して通り過ぎてゆくその様は正義の味方みたいです。

とそこへ玄関をがたがたさせて編集長が帰ってきました。その姿は言わずと知れた鼠の一種。ものの見事に出合い頭に正面衝突、みたいに降り込められたらしいです。タオルはどこだ、と湯沸かし室の戸棚をがたがたかき回すので、後で片付けるのは大変、とあわててすっ飛んでいって、そろそろ雑巾にしようと思っていたのを3枚差し出しました。

あー酷い目に会った、と頭を拭き拭き編集長がこぼしました。害毒が洗い流されてさっぱりしたんじゃありません?、と口にでかかったのを我慢して、スコールみたいでしたね、と秘書は応えます。最近世渡りがうまくなった気がします。熱いお茶でもいれましょうか、なんて言葉まででてきます。

それはあり難い、とニコニコしてた編集長、ホントは秘書が何考えていたかわかりますかな。

編集長が濡れて帰って冷えて風邪を引く。すると鼻がぐずぐずになる咳がでるくしゃみをする。くしゃみをすれば風邪の菌が飛び散る。すると孫悟空の抜け毛のように編集長菌はたちまちミクロ編集長に変じてその辺を飛び回っては引っ掻きまわす。すると繊細な秘書は気分が悪くなる熱が出る・・・

2001年5月8日(火) 雨

黄金の日々が過ぎ去った途端にいい天気。人生こんなもんよ、どうせ・・・など悪態ついたのがばれたのかしらん、土砂降りです。天も迂回改組にして漏らさず・・・? 一遍に変換しようとしたら、政治情勢みたいになってしまいました。

天も迂回、とは、お天道様も避けて通るくらい汚れ切手いや汚れきっているのだな日本の社会は。そこで総理を特価得ていや取っ変えてまともな国にしようと試みたのだけれど、都知事みたいなのが網にひっかかっちまったでよ。ま、どうにもならんでな。(アホ)

2001年5月7日(月) 晴れ、とってもいい天気

おや、お珍しい。この前お会いしたのは、はて何年前のことでしたか。お元気でなにより・・・・とでも言いたくなるよな顔して、編集長がぽけっとお茶飲んでいます。

連休いかがでしたかと(聞いたってムダだよな、なんて決めつけたりせずに)秘書が問うと、仕事、と短くお答え遊ばしました。(多分恐らくきっとこうなるであろうと思っていたが、やはりまさしく案の定そうでありました。)

やる仕事そんなにあったんか、と口には出さなかったが顔に出てしまいました。正直者はこれで損をします。

いや僕の分はとっくに終わったんだけどね、ほらもう一人分が・・・と、言い訳する人の常で編集長饒舌です。全部聞いてると明日になってしまうので、適当な所で話をちょん切りました。休み明けは秘書だって仕事がたまって忙しいです。

ともかく昨日の夜までかかりましたが、請負仕事は完敗、じゃなかった完走でもなかった完なんとかしました。もうお一人は徹夜で突貫します、との悲痛な決意を表明してどこぞに隠ったらしいです。これで奥の部屋から漏れ聞こえる、時には断末魔のような呻き声を聞かなくて済みます。やれやれ。

2001年5月6日(日) 晴れ

黄金週間最後の日はほおーっと息をつきたくなる程良い天気です。鳥は歌い風は薫り緑はしたたり若葉が目にしみます。明日は仕事の切なさも身にしみますが、明日の事は明日思い悩みましょう。

ふらふらとお散歩に出ました。近所をてくてく歩けば、多摩湖につながる遊歩道にでます。車も来ないし、大木が風に揺られてゆっさゆっさ、太古の恐竜であった頃の記憶がよみがえります。

あれは良く晴れた日のことであった。柔らかな新芽が一杯でているのを見つけたグルメな秘書竜は我を忘れて食べまくっていた。そろそろお腹がパンパンというとき、凶暴な貪欲竜が背後から襲いかかり華奢な秘書竜はあえない最後を遂げた。今際の際に目にしたのはジョーズみたいな口の周りにひょろひょろ生えた縮れヒゲだった・・・

馬鹿話はさておき、連休はそれなりに楽しかったです。金かけて遠くに行くばかりがバカンスではないのです。負け惜しみ、だなんていう人はほっておきましょう。

ひとつ、むかっとしたのは、秘書が短い足ながらもてくてく一所懸命歩いていると、自転車が遠慮もなし我が物顔で飛ばして歩行者を邪魔物扱いすることです。自転車は歩道を通ってもいいのであって、本来は車道を走るものなのです。歩行者がひやひやする程飛ばすんなら、車道でやれっ、ダンプと競争してみぃ。

2001年5月5日(土・子供の日) 晴れ

一昨日3日は憲法記念日、昨日4日は国民の休日であったことに今日気がつきました。要するに秘書の場合休めるなら口実は何でもいいのです。こういうのを新手の非国民というらしい。選挙には行かない成人の日の式典はすっぽかす駅前の署名は除けて通る赤い羽根はダサイからやだ税金は源泉徴収されちゃうから仕方ないけど・・・なんてこと真に受けないで下さい。秘書は真っ当な市民です。

さて昨日温泉に入れなかったおかげで本日は全身が泥絵の具を塗りたくったような筋肉痛です。寝返りうってもトイレで座っても全身がみしみしします。押し入れの段ボールを引っ張り出したら腰が海老の姿焼きになりました。ほとんど殉教者の気分でガムテープを剥がし憲法の日の続きで要らないモノを選り分けます。今日も出るわ出るわチューリップが狂い咲きです。

苦難を耐え忍び義務を果たす姿は美しい、とやけっぱちの果ての自虐気分に浸っていると、もっそり起きてきた同居人、今日は友人宅でパーティだ、とかのたもうて、あっさり秘書を見捨てて出かけてしまいました。(ぐっ、手伝えとは言わんから、敬意くらい払ってけ。)

子供の日にやるパーティって、柏餅の大食いでもするのでしょうか。

2001年5月4日(金) 晴れ

うふふのふ、であります、本日は。

お天気も良し、早起きしておべんと作ってリュックに詰めて、酔い止め薬も飲んで、さあおでかけ。目指すは奥多摩、電車とバスに揺られて着いてみれば、お空がきれい空気がうまい。深呼吸すれば、フィトンチッドが香しく体内を満たす。香ばしい匂いも口一杯に拡がる。香ばしい? 振り向けば、石焼きイモのライトバンに人が群がっています。

本日は、デート、なのであります。むふふぐふふ。奥多摩湖の回りを散策し新緑を楽しむのであります。さて、と案内図を見れば、おや温泉があるではありませんか。歩き疲れたらのんびりお湯に使ってさっぱりして帰りの電車に揺られる、最高のハイキングです。

ぺっちゃくっちゃと喋りながら歩き出しました。湖を渡る風が快い。きてよかった。

と、そう順調に事が運べば人生になんの文句もありません。

少し歩くと歩道がなくなりました。車道の脇を一列になって(つまり並んで歩けないのです)、ひっきりなしに通る車に時にはクラクション鳴らされ(歩行者を脅かすのは不当行為ですぞ)排気ガス浴びせられ、ついにトンネルにさしかかりこんなとこ車に遠慮しいしい歩きたくない、と脇の旧道に入りました。

まっすぐトンネル抜ければ1分もかからぬところを崩れかかった山道を30分かけて辿り着きます。先人の苦労がしのばれましたが、登山気分が満喫できました。しかし3回もやればいい加減くたびれます。案内図によれば出た所がその名も床しき鶴の湯温泉であります。

タオル持ってこなかったが借りればいい、と勇んでゆくと、あれれ何もありません。おかしい、と二人して案内図を眺めまわしあたりを見回せば、鶴の湯温泉源泉の看板の下につくばいみたいなのがあり、ちょろちょろと竹樋から硫黄臭い水が流れ出しています。そばのバス停見れば、女の湯、の表示。案内図の女の湯は女湯の意味ではなく、バス停なのです。ああ、アホくさ。

一遍に疲れがでてバスで帰ろう、と柵によりかかって待っていると、鶴の湯温泉、と大書きしたタンク車がきました。運転してた人の良さそうなおにいさんに聞けば、鶴の湯温泉は昔下の方にあったが、ダム建設で湖底に沈み、今は地底から汲み上げてここでタンクに詰めて温泉宿に配っているのだそうです。ごついパイプからどうやってタンクに入れるのか見たかったが、おにいさんがゆったりのんびり拭き掃除してる間にバスが来てしまいました。

ところで、奥多摩湖は小河内ダムというのだそうです。知らんかった。どう言う場合が奥多摩湖でどういう場合が小河内ダムなのでしょう。

2001年5月3日(木) 雨

朝起きてカーテンを開けると今日も雨でした。

雨が降ります雨が降る遊びに行きたし傘は無し・・・赤い鼻緒の下駄のその鼻緒も切れている、とか続く不運の二重奏みたいな歌がありました。きっと金も無いんでしょうな。土砂降りの不幸です。

ともかく××寒くて腹が立つ鳥肌が立つ。

じゃあ、と渋々荷物の整理を始めました。引っ越し前、運んで行ってから捨てるこれ最悪、とか言いつつ荷造りしてましたが、やっぱりいろいろ捨てるはめになりました。

開封禁止と書いた段ボールのガムテープを剥がしてみればあるあるなんでこんなものをひいこら運んだのかと他人事みたいに罵倒したくなる数々が。

小さくなった(んじゃなく中身の方がでかくなってしまった)スカート、ズボン、セーターにシャツ、上着。いつか痩せたら、と持ち続けること十余年にしてようやく悟りました。人類とは年とともに膨脹してゆく生物であります。

その他本人がみても恥ずかしい過去の日記、自分とは思えない不細工な写りの写真、伸びてるかもしれないカセットテープ(3,800円もしてたりする)、図書館で借りればすむ一度読んだきりの本、はるか昔の学生時代のプリント(なんの役にもたたん)、差出人に心当たりのない封書(中から写真が出てきました。確かに自分が写っているのですが)。

いい加減にせい、ホントにもう。

2001年5月2日(水) 雨

寒い、寒い寒い、寒いっ。

季節度外視したみたいに寒い。こんな日は仕事してても(こんな日に仕事しているから)全身が縮こまります。

すると肩が凝る腰が固まるおケツがもといお尻が痛い。こんな日は情けなくて涙目になります。こんな日は連休だっていうんでこんな日にお外にくり出して遊んでいる優雅な方々にやっかみ込めて、ざまあみろ、と言う気にもなれません。

縮こまって背中丸めて椅子に正座して熱いお茶入れた湯呑みを両手で抱えてズズズーッとやってると、ひいおばあちゃんのことを思い出します。おせんべをお茶で湿らせてふやかして食べてたっけ。まねしたら、まずかった。

ほーっと溜め息ついていたら、人事部長に肩を叩かれました。ぎょっ、と振り返ると、大分凝ってるねどれ、と揉みほぐして下さる。ご好意は涙が出る程ありがたいが、部下の肩叩きなんぞしないで下され。首が落ち着きません。

肩をこきこき首をごりごりしながら1日が過ぎてゆきます。こんな日は温泉が恋しい。

2001年5月1日(火) 晴れ

爽やかな5月の筈が、すーすー背中が寒い。懐も寒い。

遊び呆ける世間様を横目に秘書は本日御出勤であります。連休の谷間は気分も大きく落ち込んで、ねたみさん・そねみさん姉妹を呼び寄せそうになっていけません。秘書は貧しくとも心清く正しいのです。精神は化膿しないぞ。

近くの商店もシャッターを降ろした店が多く閑散としています。(閉店した店も混じっていますが)。

こんな日は仕事してても欠伸が止めどなく出てきます。

ふわぁーあー、と親玉のようなのが出て、ん?と思った瞬間、顎がこきっといいました。ぐっ。大口開けたまま洗面所にすっ飛んでいって、前後左右上下に動かすこと10分、やっと普通の顔面に戻って、眠気も吹っ飛んで、席に戻ったら、「社長が呼んでたよ」と営業部長。げっ。

あわてて行ったら、おやつに、と柏餅をくれました。用はそれだけでした。

ゴミ箱を蹴飛ばして中身を盛大にぶちまけてまで焦って行った秘書はいったいなんなのだ。

箒とちり取りで掃き集めてゴミ箱に戻してそのゴミ箱抱えてゴミ袋に移しながらちり取りから直接ゴミ袋に入れた方が良かったかな、とか考えている秘書はさらになんなのだ。(アホだ)

やれやれ、と顎に手をやりながら溜め息ついていると、勿体ぶった足取りで編集長がやってきました。こういう時は碌なことがないのは経験上十分承知はしていますが、いいものあげよう、といわれるとつい反射的に手が出ます。

ほれ、と差し出したのは小冊子。なんだ、食べられないものか、と少々落胆しますが、そこは礼儀正しい秘書、有り難そうな顔して受け取ります。

題して、秘書の心得10箇条。副題、どこに出しても恥ずかしくない秘書になるために。

むっ、失礼な。この秘書は、どこに出しても恥ずかし・・・いかも知れない。インスタント秘書であることは自覚があります。

ともかくお茶入れて柏餅の葉っぱを剥がして頬張りながら目を通しました。

第1に秘書たるもの、言葉使いに注意すること。(上司の事を、オヤジだのオジンだの差別用語をもって表現しないように)。

第2に秘書たるもの、来客の手みやげの取り扱いは誠意を持って行なうこと。(人数分ないからと言って一人占めしないように)。

へ?

第3に秘書たるもの、上司が気持ち良く職務に専念できるよう気を配ること。(原稿の仕上げに入っている時に、湯沸かし室で餅に醤油付けて網焼きして社内中に焦げた匂いを漂わせたりしないように)。

ほ? 

なんだこれ? どこの発行だ? 奥付はどこだ。編集・発行/憎まれ愚痴編集部?

ざけんじゃねぇっ、編集長の基礎をたたきなおす、ての作ってやるぞっ。