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例会前企画
ODAとインドネシア
文責:高垣直尚

今年の3月下旬、鷲見一夫氏を含む「コトパンジャン・ダム被害者住民を支援する会」(以下、「支援する会」)のメンバーが現地を訪れました。この支援する会は僕の関わっているNGOジュビリー関西ネットワークと強いつながりを持っています。事の発端が、去年の三月に鷲見さんに関西で講演会をしていただいたことだからです。そのためジュビリー関西内でも関心を持つ人は多く、僕も例外ではありません。
現在このダム問題は大きな局面を迎えています。この5月から日本における裁判が始まるためです。また、この裁判に先手を打つ形でJBICは約30名のダム調査団を派遣し、調査および、住民への賠償を行おうとしています。では、ダム問題についてこれまでの経緯を追っていきましょう。

 (注:)これから話すことは、日本および欧米で流れている情報を元にしているた
め、偏っている可能性があります。

1 日本のODAについて
・ ODA(Official Development Assistance)
:政府開発援助
・ 政府から政府へなされる援助であること
・ 途上国の暮らしを豊かにすることを目的とする
・ お金の援助はあげるか、貸すにしても途上国にとって重荷にならないようにすること
・ 日本政府は「日本のODA額は世界一であり、世界最大の援助大国である」ことを自慢げに言うが、その実、日本のODAは不正に使われていることが多く、現在つよく批判されているが、それでもあまり改善されていない。

2 コトパンジャン・ダム問題とは何か
(メモ)インドネシアについて
人口2億人、面積190平方km、首都はジャカルタ(ジャワ島)
スマトラ島・・・面積42(日本は37)、コトパンジャン・ダムはスマトラ島のほぼ中央・赤道直下に位置する
100インドネシア・ルピア=1.45円('02年3月現在)
2−1 ダムの建設目的
建前:インドネシアが発展のために必要としている
本音:スハルト・ファミリーが華僑グループと結託したゴム園・パーム園・大豆農園のための加工用電力の確保がねらいか。

  79年     東電設計の初プロファイが行われる
  82〜84年  第1回ダム建設(可能性調査)  
  87〜88年  第2回ダム建設(詳細設計)  11億円
  91〜99年  第3回ダム建設(工事開始)  第1期分125億円
                                                            第2期分 175億円
プロジェクト名  コタパンジャン水力E/S-IIコンストラクションステージ
プロジェクト英名 Kotapanjang Hydro Power Development(38MW×3)
クライアント    インドネシア国営電力公社
                    Perusahaan Umum Listrik Negara(PLN)
国際協力事業団 Japan International Cooperation Agency(JICA)

2−2 数万人の強制移住(開発難民)・・・・23000人+α
・ 住民の強い反対を弾圧
・ 農村の指導者たちを買収、移転・補償同意書をねつ造
・ 日本政府の融資3条件
    1.すべての世帯主が個別に移転に同意する
    2.移転の保証金の評価額決定に住民が参加する
    3.すべての野生生物、特に象を絶滅させない  
  →ホゴに。日本政府は「条件」から「要請」だと言いつくろった。

2−3 「人権・環境に配慮したモデルケース」といわれたが・・・
・ ダム貯水池の樹木を放置・・・樹木の腐敗による水質汚濁。魚の大量死、マラリア発生の懸念。
・ スマトラ象の移転・・・36頭中11頭は溺れた。(WWFインドネシアによる)
・ 熱帯動植物の宝庫・・・スマトラ象、バク、熊、猿など
・ ムアラ・タスク寺院・・・国からの保護を受けているが、既に一度水没した。

2−4 「ゆっくりとした殺人」
・ きわめて定額の保証さえ受けていない住民が多数
・ 一戸あたり2ヘクタールのゴム園の提供・・・ゴムの木が植えられていない
・ 飲めない井戸・・・水をためておくことしか出来ない
・ 移住先の住居・・・地面がむき出し、トイレなし
・ ミナン・カバウ民族の地域社会を破壊・・・共有地制度が機能しなくなった

3 支援する会のこれまでとこれから
3―1 カレンダー
2001年5月 現地訪問
     7月 現地住民3人の全国キャンペーンツアー
          (東京上智大学、大 阪、名古屋、神戸、徳島木頭村、沖縄)
        日本で「支援する会」を結成
     10月 現地でBP RKDKP(コトパンジャン・ダム被害住民闘争
                    協議会)を結成
2002年3月 現地訪問
     5月 村井さん大阪講演会

3−2 現地団体について
タラタク協会・・・90年から10年以上にわたってダム建設反対、住民支援活動を行ってきた
     ダム建設後は住民の生活自立支援(チリ栽培奨励)活動に従事
     1998年補償打切り発表後は住民の裁判闘争支援
     創始者の一人がイエニーさん(『月刊オルタ』2001年1月号にインタビュー掲載)
法律支援事務所…1998年の住民による裁判提訴の準備以来、法廷闘争を支援

3−3 講演会
題名:今、インドネシアから日本のODAを撃つ
日時:5月18日(土) 午後2時〜午後5時
場所:エル大阪
連絡先: naohisa.takagaki@k5.dion.ne.jp   (高垣)

4 参考資料
http://www.jbic.go.jp/japanese/index.php     国際協力銀行
http://www.jica.go.jp/                国際協力事業団
http://www.tepsco.co.jp/                東電設計(私企業)
http://www.hazama.co.jp/               ハザマ(私企業)
http://www.jca.apc.org/           JCA−NET(市民活動 系団体)
http://webclub.kcom.ne.jp/ma/n-saeki/ インドネシア民主化支援ネット ワーク 
    (インドネシ アの情勢を逐一報告してくれる)
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/jubilee-kansai/ ジュビリー関西ネットワーク(NGO)
http://www.ecolink.sf21npo.gr.jp/jubilee/rightmiddle.htm 途上国の債務と貧困ネットワーク(NGO)
http://www.f5.dion.ne.jp/~kukulu/top.html     KuKuLu
Streams独立系インターネットTV
・ コトパンジャン・ダム現地調査ツアー報告会資料、ジュビリー関西学習会資料

5 学習会後感想
 5月16日に村井吉敬さんが来阪され、コトパンジャン・ダムについて語られますが、今回の学習会はこの事前学習会のつもりで行いました。 当日は、京都精華大学からインドネシアの留学生にきてもらい、僕の足りない部分を補ってもらいました。
ノフィーさん、テリマカシー(インドネシア語で「ありがとう」)!!彼女の最後の質問は「貴方は何のためにこの学習会を行っているのですか?」というものでした。この質問はみんなの心にしっかりと響いたのではないでしょうか?

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Last Updated: 2003.02.17

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