第2部 ODAの諸問題:ODAにおける環境アセスメント

4.日本における環境配慮の歴史


(この章は日本弁護士連合会公害対策、環境保全委員会編『日本の公害輸出と環境破壊:東南アジアにおける企業進出とODA』を参考にしています。)

1環境庁開発援助環境保全検討会

 1979年、85年のOECDの理事会勧告を受け、日本でも89年9月環境庁の委嘱で上記の検討会が発足し、87年8月に「開発援助における環境配慮の基本的方向について」という報告書がまとめられました。

 この中では環境保全に配慮していくことは開発援助そのものの長期的な効果を担保するための有力な手段であるとし、可能な限り早い段階から環境への配慮が計画の一環として行なわれるべきとしています。また、環境への配慮は、開発途上国の主権に配慮し、開発途上国の主体性を尊重しつつ実施していくことが基本であるとの基本認識も示しています。

 しかし、反面、この報告書は環境への配慮の具体的な内容を示していません。また、被援助国の「主権に配慮」「主体性を尊重」などの文言を用いることにより、被援助国側に環境への配慮の責任を押しつける余地を残しています(責任を相手国に負わせることの問題点については後述)。

なお、この報告書はODAには今のところ適用されていないようです。

2.JICAの分野別研究会報告

 1988年12月JICAの分野別(環境)援助研究会が環境配慮に関する報告書をまとめました。

 この報告書は環境庁の報告書と基本的立場においては変わりませんが、NGOの活用、JICAとOECFの連携などが述べられています。

 しかし、相変わらず「環境配慮」の内容が抽象的、相手国に環境配慮責任を負わせうるものでした。

3.その後

 その後OECFから『環境配慮のためのガイドライン』、JICAも分野別の環境配慮ガイドラインを出しています。その内容・問題点を以下に述べていきたいと思います。

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3.日本でガイドラインが作られるようになったきっかけ 5.日本における環境配慮手続

 

 

第1部 ODAの基礎知識
.[1.ODAとは] [2.歴史] [3.現状] [4.批判] [5.改革に向けて]

第2部 ODAの諸問題
[医療分野のODA] [情報公開] [ODAにおける環境アセスメント]

1997年11月祭研究発表 「ODA研究発表」のページへ