チェチェン総合情報

チェチェンニュース Vol.23 No.03(#527) 2023.01.19

記事について

 新年そうそうにロイター通信が発表した調査報道です。ドイツではウクライナ反戦を訴えたり、 軍事支援に反対する主張をする人々がいますが、その中心にいるインフルエンサーが、 実はロシアの元情報機関員や、プーチンに忠誠を誓うコサックであるという驚きの内容です。

 日本語圏でも、平和運動圏の一部の人々が今回の戦争について「どっちもどっち」であるとか、 「アメリカ・NATOとロシアの代理戦争」だといった主張をしていますが、 そう考えるに至った場合、そもそもの情報源は誰なのか、あるいはどのような機関か、 きちんと確認する必要があるのは言うまでもありません。(大富亮/チェチェンニュース)

ロイター特別レポート
「エージェント・オブ・インフルーエンス」
親プーチン工作員が、ドイツ政府をウクライナに敵対させようとしている

https://www.reuters.com/investigates/special-report/ukraine-crisis-germany-influencers/

 ドイツでは、ウクライナ政策の方針転換(軍事的支援の中止)を求める声があるが、そのキャンペーンの主要人物はロシア政府または極右と関係があることがロイターの調査で判明した。

ロイター通信 ポリーナ・ニコルスカヤ、サイトウ・マリ、マリア・ツヴェトコワ、アントン・ズベーレフ

2023年1月3日 ケルン、ドイツ

 ケルンのゴシック様式の大聖堂の尖塔の下にある広場で、9月に約2,000人の抗議者が集まり、ドイツ政府に対してウクライナを支持する西側と決別し、ロシアと和平を結ぶよう求めた。ドイツの右派政治家、マルクス・ベイシヒト氏は、トラックの荷台の仮設ステージから、「私たちはアメリカの属国であってはならない」と語った。 群衆は拍手し、ロシアとドイツの旗を振った。

 荷台の幌に隠れて、迷彩柄のズボンをはいた細身の男性がステージの横にいた。数メートル離れたところで、黒いサングラスをかけたたくましい男が見張りに立っていた。集会の主催者は質問をあまり歓迎していなかった。ロイターの記者が近づいたとき、ほとんどの人は話すことを断り、ある抗議者は、記者をウクライナのスパイとして逮捕するよう警察官を説得しようとした。

 この集会は、ドイツ政府にウクライナへの支援を再考を求める活動の一つだった。路上だけでなく、オンラインでもその主張が広められている。ドイツには数百万人のロシア語話者が住んでいるなど、関係は深い。また共産主義時代のソ連と東ドイツとのつながりや、ロシアの天然ガスへの依存を、このキャンペーンは利用している。

caption: エレナ・コルバスニコワ(中央)は反戦運動の公の顔だ。

 もし、ヨーロッパ連合で最大の経済大国であるドイツがウクライナへの支援を中止すれば、今回の戦争をめぐる欧州の団結は崩壊するだろう。ロイター通信は、インタビューや、ソーシャルメディアの投稿などの公開情報の調査を通じて、ウクライナ戦争以降、ドイツ国内で親ロシアの主張を拡散した主要な人物の身元を突き止めた。

 その中には、ケルンの集会のステージの近くにいた2人の男性も含まれる。痩せた男はロシアの元空軍将校。当初は Rostislav Teslyuk と名乗っていたが、10年前にドイツに定住した後、名前をマックス・シュルンドに変えた。ここ数カ月、彼はロシア支配下のウクライナ東部を訪問していた。また、モスクワで開かれるプーチン大統領が講演する会議のために、ロシア連邦文化科学協力庁(Rossotrudnichestvo)は彼の航空券代金を負担した。同庁はロシアの宣伝ネットワークを運営しているとして、EUの制裁を受けている。

 ステージ近くにいたシュルンドのたくましい隣人、アンドレイ・ハリコフスキーと呼ばれる男が忠誠を誓う対象は、ロシアの作戦を支援するコサックの集団だ。シュルンドは、ワッツアップを経由したロイターの質問に、こう答えた。「失せな。ロシアに栄光あれ!」取材では、これらの人々は別名を使用しており、ロシアや、制裁下にあるロシアの団体、または極右組織との非公開のつながりを持っていることが判明した。

caption: ドイツの右翼政治家マルクス・バイシヒトは、昨年ケルンで行われた反戦デモに姿を見せた。

 ロイターが特定した人物の1人について、ドイツ当局は極右イデオロギーの持ち主と認識している。その支持者の一部は、国家転覆を企てたとして昨年12月に警察から告発された。彼は「プーチンファンクラブ」と呼ばれるドイツ語のソーシャルメディアチャンネルを運営しており、昨年初めにソーシャルメディアでドイツ議会への襲撃を呼びかけてている。

 もう1人は、ベルリンの建設会社の幹部で、ロシア軍事情報部GRUの将校だった。彼は、2014年にウクライナ上空でマレーシアの旅客機を撃墜したミサイルの供給を支援したとして、最近オランダの裁判所によって有罪判決を受けたロシア人男性とも知りあいである。

 2人目の男性はオートバイ愛好家で、ウクライナ軍による残虐行為を主張するオンライン投稿を行い、プーチンの戦争を支援したとして米国とEUの制裁対象となっているロシアのバイカー集団のために資金を調達した。

 ドイツ政府はこれまで、ウクライナと近隣諸国への人道支援に10億ユーロ以上を支出しており、さらに高度な防空システムを含む軍事装備も用意している。ドイツ人の大多数はウクライナを支持しているが、エネルギーコストが急上昇した後の世論調査では、軍事支援の拡大に熱心な人は少ない。

 ドイツ政府は、この記事に関する詳細な質問には回答していないが、内務省は、特に「ウクライナに対するロシアの侵略戦争の文脈において」、外国または個人が影響力を行使しようとする試みを「非常に真剣に」受け止めていると述べた。ロシア政府はロイターの質問に答えなかった。ケルンの集会で演説した政治家のバイシヒト氏はロイターに対し、抗議の主催者と緊密に協力してきたと語っている。

 ドイツとロシアの関係は何世紀も前にさかのぼる。18世紀のロシアの女帝エカテリーナはドイツ出身で、同胞のドイツ人にロシアへの移住を勧めた。1992年から2002年の間に、これら入植者の子孫のうち約150万人が、ドイツの市民権を獲得して戻った。政府の調査によると、このコミュニティは他のグループよりも極右のオルタナティブ・フュア・ドイツ(AfD)に多くの票を投じている。AfDは移民管理を強化し、ドイツにおけるイスラム教の影響力を制限したいと考えている。

二重のアイデンティティ

 冒頭のケルンでの抗議行動の公の顔は、もともとウクライナ出身で現在ドイツに住んでいる、シュルンドのパートナーであるエレーナ・コルバスニコーワだった。彼女は群衆とともに「平和、自由、自己決定!」というスローガンを叫んだ。彼女とシュルンドは、チラシとソーシャルメディアを使用して、そのデモをはじめとする一連の親ロシアのイベントを組織した。

 コルバスニコーワは昨年、「ロシア恐怖症」のためにドイツで看護職をクビになったと述べた後、ドイツのいくつかの反体制サークルで有名になったが、取材ではこの事実は確認できなかった。演説では、ロシアの侵略を明確に支持するのではなく、暖房費の上昇の懸念など、ドイツ人へのウクライナ紛争の悪影響に焦点を当てている。

 シュルンドのSNSのプロフィールによると、彼は、ロシアの宇宙飛行士の訓練で最もよく知られているジューコフスキー陸軍士官学校で学んだという。コルバスニコーワが投稿した写真では、彼は軍服を着ている。コルバスニコーワの兄はロイターに対し、シュルンドはロシア空軍の上級中尉を務めていたと語った。 ロイターはこれらの詳細は確認できなかった。

Caption: コルバスニコーワとシュルンドが親戚のInstagramに登場

 雇用記録によると、2007年頃からシュルンドは民間の警備会社で働いていた。警察の記録では、モスクワの裁判所は2010年、名前と生年月日が同じ人物に暴行を加えたとして、執行猶予1年の判決を言い渡した。彼を知る人物によれば、シュルンドは2012年に、ドイツ系ロシア人の当時の妻とともにドイツに移住した。その後、二人は別れた。ロシアの不動産登記簿によると、シュルンドは2022年初頭に、モスクワでアパートを購入した。

 ウクライナに住んでいるコルバスニコーワの兄弟は、戦争に対する彼女の親ロシア的な姿勢が、家族の亀裂を深めたと、ロイター通信に対して語った。

 その夏、シュルンドとコルバスニコーワはテレグラムでメッセージを発信し、6月にデュッセルドルフで開催される音楽、食事、スポーツの日に「志を同じくする人々」を招待した。会場は宴会場で、チェチェンの指導者でプーチンに忠誠を誓うラムザン・カディロフの旗が飾られていた。カディロフ政権のアフメド・ドゥダエフ情報相は、テレグラムにこのイベントの写真を投稿し、コルバスニコーワとシュルンドを「真実の側に立つ親善大使」として称賛した。

 また、2022年に二人は、ロシアが支配するウクライナ東部ドンバスに旅行した。親ロシアの報道機関「ツァーグラード」は、この旅行でシュルンドとコルバスニコーワが親ロシア派の軍隊にテント、ヒーターなどの援助物資を配布しているYouTube動画を投稿した。二人は、その旅行が「人民戦線」と呼ばれる組織の援助によるものであることを認めている。人民戦線は、ロシアの市民社会グループの連合であり、組織のウェブサイトによると、そのリーダーはプーチン自身。この組織のソーシャルメディアにも、旅行のビデオが投稿されている。

 シュルンド、コルバスニコーワとその支持者たちが、12月初旬のある日曜日に再びケルンの通りを行進したときは、カウンターの市民と警察が騒がしく出迎えた。その直後、彼らは、ロシア政府が共催したモスクワでの市民社会活動家のためのフォーラムへの参加を計画したが、結局、コルバスニコーワは支持者に、飛行機に乗り遅れたと語った。オンラインチャットルームへの投稿で、彼女は飛行機のチケットのスポンサーはロシア文化科学協力庁の文化振興団体であるロシアの家(Russky Dom)だと述べた。

 ロシアの家のベルリンの事務所はロイターに対し、同組織はモスクワのイベントに参加するための2人分のチケットを手配したが、搭乗者の名前は明かさなかった。ロシア文化科学協力庁は声明の中で、シュルンドら夫婦との「財政的および組織的な関係は何もない」と述べた。

 シュルンドとコルバスニコーワはロイターの取材を拒否した。ワッツアップでのやりとりで、シュルンドは記者にこう書いた。「畜生が。失せやがれ」。

Caption: Schlund、Kolbasnikova、および支持者は、12月初旬にケルンで行進しました。

Caption: 行進は警察によって厳重に警備され、反対デモに直面しました。

コサック・コネクション

 取材班はソーシャルメディアの写真を利用して、ケルンの抗議活動に参加した3人の見張り役を特定した。彼ら全員がドイツでの複数のコサック集会に参加している。帝政ロシアの時代、コサックはツァーリに忠誠を誓っていた。現在、主要なロシアのコサック組織はプーチンに忠実であり、ロシア軍と共にウクライナで戦っている。

 クレムリンによって承認された主要なコサック組織は、ロシアと海外のコサック戦士連合であり、資金源は明らかでないものの、ロシアと海外に数十の支部がある。ドイツでは、ロシア大使館主催のイベントで連合に所属するコサックが赤軍兵士の墓に花輪を捧げ、その警備も行っていた。

 ケルンの集会のステージのたくましい男、ハリコフスキーは、シベリアのトムスク地域出身だった。ハリコフスキーのソーシャルメディアアカウントへの投稿によると、彼は現在、ケルンの南東にあるトロイスドルフに住み、小規模なトラック運送事業を営んでいる。彼は、集会でしばしばコサックの軍服を着ている。彼の腕には、ロシアやその他の国で極右が採用している八角形のシンボルのタトゥーが入っている。

 ほかに2人のハリコフスキーの仲間も、コサックの会議に出席した。武道愛好家のウラジミール・フェルクと、セルゲイ・シュナイダーと自称する男性である。フェルクの投稿によれば、彼は警備員として働き、物流会社を経営していた。

 ハリコフスキーが投稿した年次集会の写真では、3人の男性に、グリゴリー・クレイマーと呼ばれる警備員兼ナイトクラブの用心棒が加わっている。クレイマーは、ロシアおよび海外のコサック戦士連合の代表だ。長年連合の長を務めたヴィクトル・ヴォドラツキーは、ウクライナでのロシアの行動を支持したとして、EU と米国の制裁を受けている。

 ロシア正教会がウェブサイトで公開したイベントの説明によると、ハノーバーでの2022年の集会では、ハンブルグの領事館からロシアの外交官が参加し、歓迎された。兵士の募集と、ウクライナでのロシアの軍事行動に関与しているコサック組織、ドン軍の指導者代理から挨拶が読み上げられた。ハリコフスキーがソーシャルメディアで共有した写真には、参加者たちがドン軍の旗の前に立っている様子が写っている。

 ハリコフスキー氏は取材を拒否し、電話を切った。その後のメッセージングアプリでのやり取りで、彼はシュルンドとコルバスニコーワが組織した抗議行動で警備を担ったことを認めたが、それ以上は答えなかった。クレイマーもインタビューを断った。フェルク、シュナイダー、ドン軍、コサック戦士連合もコメントを控えた。

ロシアの軍事情報

 ドイツ共産党が8月末にベルリンで開催した「平和と連帯」の祭典では、「ロシアとの平和」と題するパネルディスカッションが行われた。パネリストには、「ウクライナの若者がロシアを憎むように教えられている」と主張するロシア系ドイツ人のビジネスマン、オレグ・エレメンコがいた。エレメンコは、ロシア系ドイツ人コミュニティで長い間活動してきた。彼はベルリンで建設業を営んでいる。そのウェブサイトにリストされているクライアントには、ベルリンのロシア正教会が含まれている。教会側はそれを否定した。

 1981年までソビエト共産党中央委員会のメンバーだった戦争の英雄を祖父に持つエレメンコは、元ロシア軍人で構成される「Desant」と呼ばれる組織の理事を務めている。彼は、ドイツに埋葬されたソ連の戦没者を追悼するためのイベントにロシアの外交官と並んで出席し、マヌエラ・シュヴェージクなどのドイツの政治家と一緒に写真を撮った。2020年、エレメンコは、駐ドイツ大使からロシアへの奉仕を理由に表彰を受けた。彼の過去ははっきりしていない。

 エレメンコは2016年の写真で、ウクライナ上空でのマレーシア航空機撃墜に関与したとして、オランダの裁判所によって欠席裁判で有罪判決を受けたロシアの元情報将校であるイゴール・ガーキンの隣でポーズをとっている。イゴール・ストレルコフとしても知られるガーキンは、撃墜への関与を否定している。

caption:キャプション: 2016 年に、ストレルコフの組織が運営する VKontakte ソーシャル メディア アカウントで撮影されたエレメンコ (左) とイゴール ガーキン (ストレルコフ)

 6年前、エレメンコは「結婚しよう」というロシアのテレビ番組に出演した。色とりどりの花で飾られたテーブルに座って、エレメンコは「素敵なスラブの女の子」と結婚して子どもをもうけたいと話した。親友のガーキンもステージに登場した。

 エレメンコはロイターの取材に対し、過去に軍事情報機関GRUで働いていたことを認めた。「私は、今はドイツの市民です」という。仕事はロシア当局との協力のもとでのロシア文化の普及と、第二次大戦の死者の追悼事業だ。エレメンコ氏は、2014年〜15年にドンバス地域の人々に人道支援物資を届けた際にガーキン氏と知り合ったと語った。ドイツ当局がロシアの活動家を厳しい監視下に置いているという理由で、これ以上の取材は拒否した。

caption: ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、当時のイタリアのマリオ・ドラギ首相、ドイツのオラフ・ショルツ首相、ルーマニアのクラウス・イオハニス大統領が6月にキエフで会談した。 ロイター経由のルドビク・マリン/プール

プーチンファンクラブ

 親ロシア派の活動家の中には、クレムリンのメッセージをドイツ語圏の人々にオンラインで広めている人もいる。取材班がドイツ語のテレグラムチャンネルを分析したところ、少なくとも27のチャンネルが、親クレムリンのメッセージを一貫して拡散し、約150万人の加入者を合わせた視聴者に宣伝していた。

caption:プーチン・ファンクラブの電報チャンネルのスクリーンショット

 「プーチンファンクラブ」はそのアカウントの1つだ。36,000人の購読者に向けて、プーチン大統領の動画や写真、スピーチのドイツ語訳を投稿している。10月26日の投稿では、核戦争に関するプーチン大統領の警告を真剣に受け止めるようドイツ国民に呼びかけている。

 テレグラムアカウントを取材班が分析したところ、バイエルン州に住んでいるヴィアチェスラフ・ゼーヴァルトという名の男性にたどり着いた。同氏はロイターに対し、チャンネルの管理人の一人であることを認めた。

 ゼーヴァルトは、YouTubeで積極的に姿を見せている。2011年、彼は「スラブ・アーリア人種」に基づく信仰の創始者であるアレクサンドル・ヒニエヴィチと一緒の写真を投稿した。2013年の動画で、ゼーヴァルトはすべての鍵十字がナチスのシンボルだという理由で禁止されるのは間違いだと主張した。そのシンボルはナチズムよりも何世紀も前からあるもので、第三帝国とは何の関係もないからという理由だった。

 ゼーヴァルトは、極右のAfD党へのシンパシーについてオンラインで書いている。2017年、彼はビョルン・ヘッケとのセルフィーを投稿した。ヘッケはAfDの政治家であり、ドイツの裁判所が3月に違憲と判決した党内極右派閥のリーダーだった。グループの目標には、ドイツ人の民族的一体性を保護し、「外国人」を締め出すことが含まれていた。

 ロシアがウクライナに侵攻してから3日後のテレグラムへの投稿で、ゼーヴァルトは「国会議事堂をもう一度取り戻す必要がある」と書き、ドイツ当局に警戒された。過激派の監視を任務とするバイエルン州憲法保護局の2021年の報告書によると、ゼーヴァルト氏は反ユダヤ主義の陰謀論を公に支持しており、民主主義を脅かす過激派に影響を与えているという。

caption: ビデオのスクリーングラブ Göttlich leben, aber wie? (神聖な方法で生きる方法) Wjatscheslaw Seewald、YouTube 経由

 報告書はまた、極右ライヒスビュルガー運動のメンバーがパンデミック中に活動をオンラインに移行した例として、ゼーヴァルトを挙げた。この運動は、現代のドイツを正当な国家として認めない。一部の支持者は、ドイツは軍事占領下にあると信じており、ナチスの思想を支持している者もいる。ドイツ当局は12月に、国家転覆を企てたとして、ロシア人を含む数十人を拘束した。捜査官は、一部の個人が議会を襲撃する具体的な計画を持っていたのではないかと疑っている。

夜のオオカミ

 ドイツ国内のいくつかのグループは「ウクライナ軍がドンバスの民間人を攻撃したことによる人道的危機」に注意を向けている。彼らの主張はロシア政府の宣伝と同一で、ウクライナと西欧諸国が否定している内容だ。

caption: ドネツクのオートバイ愛好家ヤン リーデル。 リーデルのグループ「German-Russian Souls」の Facebook チャンネルからの写真

 東ドイツ出身のオートバイ愛好家であるヤン・リーデルは、「ドイツ・ロシアの魂」と呼ばれるグループの代表だ。ドイツでの親ロシアイベントに参加し、ロシアの外交官と一緒に赤軍兵士の墓に花輪を捧げている。彼のグループは、ほぼ毎日、ドンバス地域のアパートや民間インフラに対するウクライナ軍の砲撃の結果をSNSに画像を投稿している。また、「ノヴォロシアの愛国者」と呼ばれる親ロシア派の組織とも提携している。ノヴォロシアとは、ロシア政府とその支持者がロシアの一部と主張しているウクライナ南部と東部の地域の呼び名だ。

 このグループのイベントでは、リーデルはノヴォロシアの旗と「1423」という番号を飾った革のオートバイのジャケットを着ている。この番号は、ロシア軍がウクライナのクリミア地域を占領するのを支援し、分離主義者の戦闘員を募集したとして米国の制裁下にあるロシアのバイカークラブである「夜の狼」を意味している。

 リーデルは2019年に数回ドンバスを訪問した。彼のグループのSNSでは、夜の狼のドンバス支部に対して、10,000ルーブル(165ドル) の寄付が発表された。資金はドイツでの募金活動から得たものだという。支部の責任者はロイターに対し、寄付の受取を認めたが、一度限りの寄付であり、支部とリーデルの組織は協力関係にないと述べた.


▼ご意見や情報をお寄せください。 ootomi@mist.ocn.ne.jp

▼チェチェンニュースは、ロシアによる対チェチェン軍事侵攻と占領に反対し、
平和的解決を求める立場から発行している無料のメルマガです。2001年から発行 しています。

▼チェチェンニュースへのカンパをおねがいします。少額でもかまいません。

 〈郵便振替口座番号 00130-8-742287 チェチェンニュース編集室〉
 〈ゆうちょ銀行 019店 当座 0742287 チェチェンニュースヘンシュウシツ〉

▼転送・転載は自由です。

▼新規購読/購読解除はこちらから:
https://list.jca.apc.org/manage/listinfo/chechennews

▼発行部数:1251部 ▼発行人:大富亮

チェチェン総合情報
http://www.jca.apc.org/tlessoor/chechennews/