チェチェン総合情報

27 Dec 2010
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チェチェンニュース #355 『暗殺国家ロシア』(書籍紹介)

 強烈なタイトルですが、かなりいい本でした。冬休みにぜひお読みください。
とくに、今年4月に来日したエレナ・ミラシナさんを知る人は、即、買う価値が
あると思います。


  『暗殺国家ロシア─消されたジャーナリストを追う─』
   福田ますみ/著 1,680円(定価) 	
   http://www.shinchosha.co.jp/book/303672/
   http://www.bk1.jp/product/03358983

〈書評〉

 ドムニコフ、シュチェコチーヒン、ポリトコフスカヤ、マルケロフ、バブーロ
バ、エステミロワ。この10年間にロシアで殺されたジャーナリスト達だ。この全
員が、独立系新聞社「ノーバヤ・ガゼータ」の記者だった。

 ノーバヤに所属する多くのジャーナリストに直接取材した本書は、ロシアの
メディアの自由、あるいは不自由そのものについての警告になっている。今ま
で、この新聞社それ自体を取材の対象にした本はない。

 犯罪専門のテレビジャーナリストにして、ノーバヤの契約記者であるカーネ
フが遭遇した強盗事件、そして、チェチェンの隣、イングーシ共和国で起こっ
た、政治活動家エブロエフの暗殺事件の二つの衝撃から、著者は語り始める。モ
スクワでの腐敗、そして、北コーカサスの辺境での、人々への理不尽な弾圧。現
代のロシアは、常にこの二つの軸によって動いていると言っても、過言ではな
い。

 大手紙「コムソモーリスカヤプラウダ」の記者たちのうち50人が飛び出して
創刊されたのが、「ノーバヤ・ガゼータ(新しい新聞)」だ。1993年のこと。
しかし経営となると何も知らない記者たちは、10万部印刷した創刊号を前に、新
聞をどこに持っていけば売れるのかを知らないことに気がついて呆然とする。し
かたなく記者たちは自ら街頭に立って新聞を売ったり、ポスティングを始めるの
だった。

 休刊の危機、度重なる給料の遅配に失望して去ってゆく記者たち。それでも
ノーバヤが続いてきたのは、不偏不党のクオリティペーパーを作るという意気
込みのためだった。今、ノーバヤは週に2回、27万部を発行している。小規模で
はあるが、日本には比較できるような媒体はあるだろうか。この本は、報道に
携わっている人々に、そして、新しく何かを作り出そうとしている人々に、ぜひ
読んでほしいと思う。

 ノーバヤが創刊された93年は、エリツィンが、議会勢力の立てこもるホワイト
ハウスを砲撃した年だった。報道の自由は翳りを見せていたが、ジャーナリス
トはまだまだ花形職業だった。この時代をジャーナリズムを学ぶ学生として過ご
し、のちに同紙の記者になったのが、エレナ・ミラシナだった。

 アンナ・ポリトコフスカヤが暗殺されたあと、その後を継ぐ形でチェチェン
報道を続けるミラシナ。本書の後半は、彼女が取材しつづけてきたベスラン学
校占拠人質事件に焦点が当てられる。子どもを含む、300人もの人々が犠牲に
なったあの惨事は、なぜ起こったのか。「テロリスト」に対峙したロシア治安部
隊がどんな危険なやり方で学校に突入したのか。その重要なディティールが、ミ
ラシナの記事をもとに構成される。

 著者は、「自分の命を賭けてまで、言論の自由を守ろうとする人々を知ってほ
しい」と言う。そして、日本の記者に、それだけの勇気があるかどうかを問う
ている。ロシアの危機的状況、そして権力の腐敗と戦う人々がいることを、改
めて思い起こさずにはいられない。(大富亮)


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 ■イベント情報
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 ★ 12/26-29 江東:YAKINIKU-アーティスト・アクションin 枝川

    http://artistaction.mods.jp/
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 ★ 1/15 御茶ノ水:板垣雄三講演会
     「イスラエル国家の将来像 漂流する日本から見る」

    http://chikyuza.net/n/archives/4596
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 ★ 1/22 茗荷谷:「武器と市民社会」連続セミナー最終回:
    「ロボット戦争」はどこに向かうのか? 

    http://aacs.blog44.fc2.com/blog-entry-40.html
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 ★ 1/29,30 新橋:アムネスティ・フィルム・フェスティバル

    http://tinyurl.com/2esexgd

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 ■映画・連続講座
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 ★ 『ビルマVJ 消された革命』

  僧侶は、そしてビルマ市民たちはどう立ち上がったのか。
  VJ(ビデオ・ジャーナリスト)たちが死を賭して伝えた未完の革命
    http://www.burmavj.jp/

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 ★ 『アメリカ帰還兵(IVAW)イラクに誓う』

  許しを請うのではなく──
  イラク帰還兵士が、自らの意志で再びイラクを訪れ、誓った。
  この戦争と占領を終わらせるために、
  イラクや世界の人々とともに歩みつづける。
    http://www.peacetv.jp/movie.html

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 ★『沈黙を破る』

    考えるのをやめたとき、僕は怪物になったーー
    「祖国への裏切り」と非難されながらも加害行為を告白する、
    若いイスラエル兵士たちがいた。
    http://www.cine.co.jp/chinmoku/

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 ★『ビリン・闘いの村』

  パレスチナ暫定自治区、ヨルダン川西岸のビリン村。
  若者たちは非暴力の闘いに立ち上がった。
   http://www.hamsafilms.com/bilin/


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