チェチェン総合情報

16 Mar 2009
チェチェンニュース No.282 個展のご案内
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■大富亮 個展のご案内

 いままであまり宣伝しなかったのですが、チェチェンニュースその他の活動
と並行して描いてきた絵を皆さまのお目にかけたいと思い、今週末にささやか
な展覧会を開きます。来ていただけると嬉しく思います。


 「結合子」 大富 亮個展
  Otomi Akira Art Exhibition "Combinator"
   3月20日(金)ー22日(日)11:00-19:00

  会場:ギャラリー[1号室|2号室]
  http://d.hatena.ne.jp/galleryroom12/
  東京都千代田区神田神保町1-14 2F
  交通:地下鉄 三田線・新宿線・半蔵門線 「神保町駅」 A5出口より徒歩2分
  地図:
http://d.hatena.ne.jp/galleryroom12/searchdiary?word=%2a%5b%c3%cf%bf%de%5d


 このチェチェンニュースを始める少し前、私は画学生でした。それがなぜ
か、慣れない外国語と格闘してニュースを翻訳したり、学校の外を知らないこ
とも顧みないで国際情勢の解説を試み、時には不審者として警官に拘束されそ
うになるという、少し刺激的な生活をすることになりました。

 そんなふうに関わってきたものが、紛争や民族浄化ではなく、もっと楽しく
て、すぐに人の生活を彩るようなものであれば、それまでやりたかった芸術と
も、つなげやすかったかもしれません。

 チェチェンからは毎日のように、大勢の人が死んで行くニュースが伝えられ
てきて、それを受け止め、日本の人々に伝えるのは、いつも少数の人たちでし
た。とつぜん忙しさを増した生活からは、絵や、音楽や、小説といったものの
意味が吹き飛んでしまったような気がしました。絵なんか描いている時ではな
い! それが1999年の、第二次チェチェン戦争が始まったときの心境でした。

 それは今もそうなのだと思います。チェチェンの戦争が終息しても、ロシア
では民主派が力づくで弾圧され、ジャーナリストは殺されます。ガザでは封鎖
と爆撃、虐殺があり、これからも占領は続きます。

 「さみだれ」「さざなみ」という美しい名前の日本の軍艦が、海賊退治にア
フリカに向かいました。そういえば、彼らはいったいどうして「海賊」になっ
たのか?アフリカから奪うだけ奪っておいて、彼らがカラシニコフを手にわず
かな金品を奪い返そうとすれば「治安」の維持のために鞭を食らわす「先進
国」・・・。

 私たちの住む場所がひどいところだとしても、それでも私には描くほかにで
きることが思いつきませんでした。絵は私が満足することのできる数少ない仕
事で、ときどきは糧にもつながり、人に気持ちを理解してもらうための依頼状
のようなものであることもあります。それが私にとっては切実でも、すべては
富む国のおこぼれを食む画家の画業かと思うと、切なくはなりますが。

 芸術は人の心を開くものだと思います。心の外の世界で起こっていることを
感じ取ることも、それをキャンバスの上に描き出そうとすることも、心の風通
しをよくしなければできないことだと思います。

 そこには「こうあるべきだ」という思い込みをいったん壊してはじめてでき
るものがあります。私にとって絵は、いつもの場所からいったん離れ、離れた
ところからもう一度世界を見回すための別荘のような場所です。政治も絵も、
そのアウトラインを一言に言えば、より多くの人が幸福に暮すための手段です
から、見える風景は同じ空気の中にあります。見る角度と描き方を変えること
が大切なのでしょう。

 世界を見る絵というファインダーを通じて、言葉だけでなく、もっといろい
ろなやり方で、見る人とつながっていければ仕合せです。会場では、油絵と、
ついこの間まで編集に参加していた『チェチェン民族学序説』の挿絵を展示し
ます。どうぞお越しください。(大富亮)


  『チェチェン民族学序説−その倫理、規範、文化、宗教=ウェズデンゲル』
  ムサー・アフマードフ 著 今西 昌幸 訳 林 克明 特別寄稿 大富 亮編・挿画
  高文研刊 2,500円(税別) ギャラリーでも販売します。


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■イベント


 4/18 大崎:ユーラシア研究所20周年記念シンポジウム
   「よみがえるユーラシアーその光と影」

  亀山郁夫「黙過-ドストエフスキーと現代」、
  月出皎司「露呈したメドベージェフ・プーチン「タンデム」政権の弱点」
  前田弘毅「グルジア問題(仮)」

    http://www.t3.rim.or.jp/~yuken/


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■映画・写真展など


  ●大阪:『チェチェンへ アレクサンドラの旅』

    孫へのまなざし 平和への祈り ロシアの見たチェチェン

    http://www.chechen.jp/


  ● 『★CHEチェ 28歳の革命 39歳別れの手紙』

    カストロとともにキューバ革命を成功に導いた、
    チェ・ゲバラの生涯をソダーバーグ監督が映画化

    http://che.gyao.jp/


  ● 『シリアの花嫁』

    もう二度と帰れない。それでも私はこの境界を越えるーー
    イスラエル占領下のゴラン高原。
    若き娘モナがシリア側に嫁いでゆく、一日の物語。

    http://www.bitters.co.jp/hanayome/


 ●『ビリン・闘いの村』

    パレスチナ暫定自治区、ヨルダン川西岸のビリン村。
    若者たちは非暴力の闘いに立ち上がった。

    http://www.hamsafilms.com/bilin/


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  発行部数:1577 発行人:大富亮
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