チェチェン総合情報

【転送歓迎】チェチェンイベント情報 2007.04.20

http://www.jca.apc.org/tlessoor/chechennews/chn/0710event.htm (HTML版) 発行部数:1652部

チェチェン紛争の情報+αを発信するメルマガです。 購読は無料です。バックナンバーはこちら


INDEX

25日(水)、東京・御茶ノ水で、「踊れ、グローズヌイ!」の上映会が行われます。林克明さんの解説つきで入場料は1000円。なかなかお得な感じだと思います。「踊れ、グローズヌイ!」は、5月4日(金・祝)には再び東京で、5月20日(日)には長野で、7月1日(日)には大阪でも上映会が企画されています。まだご覧になっていない方は、ぜひこの機会にお誘い合わせの上お越しください。(邦枝律/チェチェンニュース)

■「踊れ、グローズヌイ!」について。あるいは子どもたちの美しい「かけら」

「踊れ、グローズヌイ!」

(大富亮/チェチェンニュース)

破壊された建物、空を横切る軍用機。この映画で見るチェチェンの首都グローズヌイは、とても人の住むところには見えない。アパートの窓からは、ひっきりなしに銃声がとびこんでくる。「踊れ、グローズヌイ!」は、そんな荒涼とした場面を前半にすえている。

廃墟の中で、チェチェンの音楽に合わせて踊る、舞踊団「ダイモーク(わが祖国)」の子どもたち。流れるような手足の動きや、真剣なまなざしだけが、この混乱した、殺戮に満ちた世界の、わずかな湧き水のようなものに感じられる。子ども達は地味なズボンをはいているのに、ひとたび舞えばその姿は天女のような美しさだと、誰もが思うだろう。

彼らの踊る「レズギンカ」という舞踊は、チェチェンを含むコーカサス全体で演じられているもので、「求愛型舞踊」と分類されることもある。まず男が舞い、女を舞いに誘う。それに、戦闘の比喩なのか、器用な投げナイフが演じられることもある。*

「踊れ、グローズヌイ!」

彼らはグローズヌイから、ヨーロッパでの公演に出発し、戦争のない都会で、いくつもの公演をこなす。「ぼくらはテロリストではない」ことを証明するために。彼らはまだ幼いのに、「チェチェン人として見られる、そういう責任がある**」などという理不尽を受け止めなければならない。

大勢のヨーロッパ人が、チェチェンからきた少年少女舞踊団の舞いを見た。私たちも、このドキュメンタリーを通して疑似体験をすることができる。ロンドンの休日を、テムズ川を下る観光船で過ごす子ども達の姿や、移動するバスの中でのおしゃべり。「家に帰ったら、お父さんがいるっていう夢を見る」と、父を失った子は告白する。

「母さん、僕たち天国を見てきたんだ・・・」と子どもの1人が言う。

天国とは、どこだろう。たとえばチェチェン以外の世界、彼らを遠つ国の文化の使いとして愛でる人々が住まう西側のことだろうか。けれどその天国は、チェチェンの惨禍を半ば見放すことで成立している、いつわりの楽園だ。私たちの世界にはこのフィルムが、貴重な何かの「かけら」のように残されたのだし、まだ私たちは、そのひとかけらに動かされる心を持っているはずではある。

けれども観ているうち、単にそういうことではないように思い始めた。「ダイモーク」が舞うのは壮麗なヨーロッパの劇場の天井の下だが、子ども達はまったく違う天国を見ているのかも知れない。

少年はたった一人、舞台の上で汗を飛ばさんばかりにターンし、音楽が悲しいフレーズを高らかにうたうとき、静かなこの作品も佳境に向かう。集中と恍惚の入り混じった瞳で、針の先ほどの一点を見つめているように見える、その少年の見たものは何だったか。

フィルムはツアーのバスの外で、たったひとり腰掛けてもの思う少女の姿を捉えて、唐突に終わる。私たちも取り残される。

どうか「踊れ、グローズヌイ!」をご覧下さい。

*参考:コーカサスを知るための60章 北川誠一ほか 明石書店2006年

**劇中の教師ラムザンの言葉

■お詫びと訂正

前号4月12日のチェチェンイベント情報で紹介した「シンポジウム『ロシア革命90年を考える』」について、日付を誤ってお伝えしてしまっていたので、この場で訂正させていただきます。大変申し訳ありませんでした。

●4/27 東京: シンポジウム「ロシア革命90年を考える」
http://www.t3.rim.or.jp/~yuken/Kenkyu.html
ではなく、

●4/21 東京: シンポジウム「ロシア革命90年を考える」
http://www.t3.rim.or.jp/~yuken/Kenkyu.html
でした。

Sさん、ご指摘ありがとうございました。

前回のイベント情報については、さらにあと二つ訂正が。

■国民投票法案:憲法特別委で強行採決!
について、「辻本」は「辻元」の、「民主党・岡田理事が委員長のマイクを叩き落したり」は「民主党・岡本理事が委員長のマイクを叩き落したり」の間違いでした。睡眠不足の状態で国会を傍聴して記事を書いていたので、ミス(しかも人名!)が多くて本当にすみません…。国会の傍聴記録は不定期でバイナフ自由通信に掲載しているので、よろしければご覧ください。(邦枝)

[バイナフ自由通信]
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/

■イベント情報

●4/25 東京: 映画『踊れ、グローズヌイ!』上映会
http://www.amnesty.or.jp/modules/wfsection/article.php?articleid=1041

●5/4 東京: メイシネマ祭'07(『踊れ、グローズヌイ!』上映)
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20070409/1176098337

●5/20 長野: 『踊れ、グローズヌイ!』上映会
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20070409/1176098336

●7/1 大阪: 『踊れ、グローズヌイ!』上映会
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20070418/1176870879

●4/21 東京: チェルノブイリ21周年救援 講演&コンサート
http://www.tokyo-art.info/work.htm#chernovyl

●4/21 東京: シンポジウム「ロシア革命90年を考える」
http://www.t3.rim.or.jp/~yuken/Kenkyu.html

●4/21 東京: ひとり芝居「父と暮せば」
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20070418/1176870636

●4/23 東京: 共謀罪に反対するネットワーク連続学習会(第1回)「移住労働者の人権と監視社会」
http://tochoho.jca.apc.org/evx/event20070423.html

●4/27 東京: 新しいアチェを目指して—和平・アチェ行政法・地方首長選挙
http://www.nindja.com/modules/eguide/event.php?eid=2

●4/30 東京: 働くな!生きろ!自由と生存のメーデー07
http://mayday2007.nobody.jp/

●5/13 東京: 地球のなかま映画祭2007
http://momotomonet.seesaa.net/article/34594178.html

●5/13 東京: これでもか!?笑って読み解く大共謀集会
http://tochoho.jca.apc.org/evx/event20070513.html

■長期間のイベント情報

●12/1- 東京ほか: みえない雲
http://www.mienaikumo.jp/

●1/27- 東京ほか: グアンタナモ、僕達が見た真実
http://www.guantanamo.jp/

●3/10- 東京: パラダイス・ナウ
http://www.uplink.co.jp/paradisenow/

●4/18-20 東京: 写真展「核の傷跡」
http://homepage2.nifty.com/chernobyl_children/index.html

●4/21-27 東京: 映画「ナージャの村」
http://www.mmjp.or.jp/pole2/arekusei-naja.htm

●5/29-11/10 東京ほか: DAYS JAPAN フォトジャーナリズム写真展 「地球の上に生きる2007」
http://www.daysjapan.net/news/news2007/news200703_01.html


▼ チェチェンニュース/チェチェンイベント情報は、ロシア南部で続くチェチェン戦争に反対し、平和的解決を求める立場から発行しているメルマガです。

▼ チェチェンニュースはみなさまの応援によって発行されています。
通信費、事務経費の寄付をおねがいします。いくらでも結構です。
<郵便振替口座番号 00130-8-742287 チェチェンニュース編集室>

▼ 転送・転載・引用は歓迎です。なお、印刷物への転載は事前にご相談ください。
▼ ウェブサイトはこちらです: http://www.jca.apc.org/tlessoor/chechennews/ (チェチェン総合情報)
▼ 新規購読/購読停止はこちらから: http://www.jca.apc.org/tlessoor/chechennews/chn/index.htm
▼ よろしければ ootomi@mist.ocn.ne.jp までメールください。
いただいたメールは、内容により、サイトでご紹介いたします。公開を希望されない方は、 その旨お書き添えください。
▼ 編集人:邦枝律 発行人:大富亮