チェチェン総合情報

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チェチェンイベント情報 2006.11.10

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■教育基本法強行採決に反対の声を届けてください!

(大富亮/チェチェンニュース)

チェチェン関係のイベント情報をお送りします。といっても今回の号で重点的にお知らせしたいのは、国会で進んでいる教育基本法「改正」の動きについてだったりします。それから、間近に迫っているチェチェンの外科医ハッサン・バイエフさんの日本でのスピーキングツアーと、チェチェンの子どもを支援する会が予定しているスタディーツアーのお知らせです。

●教育基本法「改正」とは?

共謀罪と並行して、教育基本法の「改正」が、ついに採決されようとしています。この「改正」の目的を一言に言うと、子どもたちに「愛国心」を強い、少数のエリートと/そうでない子どもを切り離して教育したうえ、教育に対して政府の介入を正当化するというものです。

チェチェンのことを書くこのニュースにも、やはり国内の問題を書かなければならない時があるようです。その理由はあとで書くとして、この「改正」がどうして危ないのか、そのことをできるだけかいつまんで説明したいと思います。

教育基本法は、読めば10分くらいの短い法律です。A4判なら1ページにも満たない長さなので、この機会にぜひ読んでみて下さい。解説なしではむつかしい部分もありますが、その内容は今でも達成されていない高度で、清新なものを含んでいます。(教育基本法: http://list.room.ne.jp/~lawtext/1947L025.html )

そのひとつが、第一条の「教育の目的」です。

「教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたっとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に満ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない」

私のようなしろうとには、少し抽象的な感じもするのですが、たとえば子どもをどんな風に育てるか、という方向から読んでみるとわかりそうです。まず、子どもは平和的な国や社会を<形成=作る>一人に育てられなければならない。その子どもの愛するであろう対象は、国ではなく、「真理と正義」です。つまり筋道を通し、平和的な社会の一員だけに、他人をいたずらに傷つけることをしない子どもということでしょう。

正直なところ、私個人は、自分がそういう子どもであった自信があまりありません。場面によっては、今も人を傷つけ続けていると思います。最近もいじめを苦にした自殺が続いたところを見れば、いまだに第一条の目標は達成できていません。それだけ高い理想、いや、自殺に追い込まれた子どもにとってみれば死活的に必要な考え方が、この第一条に含まれています。

●愛国心の強制

それなのに、第一条では真理と正義、個人の価値といった言葉が、全て削除され、第二条以下の道徳項目の中に埋もれてしまっています。そして、「我が国と郷土を愛する」態度を養うという項目が現れました。(政府の教育基本法案(「改正」案): http://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/06042712/003.pdf )

●憲法・基本法は、国民ではなく国を規制するもの

第三条、教育の機会均等。第四条、義務教育。中学の先生に、こう言われたことがあります。

「君たちは義務でここにいるんじゃない。<教育を受けさせろ>と言う権利があって、ここに来ているんだ」と。社会全体にとっては、子どもに普通教育を受けさせる「義務」があるわけですが、子ども自身から見ると、憲法第二十六条にあるとおり、「ひとしく教育を受ける権利」を持っています。

どうしてこのことを書くかというと、全体として教育基本法や憲法が何かを「しろ」と言うとき、その対象の多くは国です。国は、憲法によってさまざまな責任を負わされる存在だということを、私はこの問題を勉強している間に知りました。(本当は私が得意だった公民の時間に学んでいたはずなのですが、恥ずかしいことにすっかり忘れていました)

でも、これはかなり大事なことなのです。国の根幹にある憲法と基本法は、国が何をしなければならないか、国が何をしてはならないかを細かく定めています。今度の場合に重要になってくるのは、教育基本法第十条です。

「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである」(第一項)

教育基本法では、不当に支配しようとするのが誰かというと、国です。その時々の多数決による政治的判断(それは往々にして誤るし、国を戦争に導きもする)を、子どもに「正しいこと」として教え、場合によってはそのために命をも捨てるような子どもを作ることは間違っていますし、教育とは言えない、それは自明だと思います。国は教育の内容を決めるのではなく、第一条のような目的を実行するための条件整備をするという役割を割りふられているんです。

●法律の意味が逆転してしまう!

全面改正なので、ここでは書ききれないほど問題があるのですが、もう一つ、「教育は、不当な支配に服することなく」と書かれた第十条(政府案では第十六条)に関する問題を書きます。

政府案では、「教育は、不当な支配に服することなく、」の部分は元のままなのですが、こう続きます。「この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、」と。そしてその主体になるのは、国と地方公共団体なのです。

つまり、国による不当な支配に服する事のないようにつくられたこの教育基本法は、まったく逆に、国と自治体の支配のもとで教育が行われるように、書き換えられてしまうのです。このままでは、子どもやその両親の声が圧殺される構造ができあがってしまいます。教育基本法の「改正」は、権力者を縛る規範を、国民を縛る規範に変えようとしているわけです。

政府の教育基本法案は、14日か16日にも強行採決されようとしています。

すでにそうなっているように、日本が格差社会に舵を切ったことに疑問を抱き、その動きに反対する人々に対する弾圧の手段としての共謀罪と、教育を通して、未来における批判や抵抗の芽を摘もうとする教育基本法「改正」が同時に出てきたことには、偶然以上の何かがあるような気がします。

●私たちにできること

私たちには行動する時間と、その方法がまだあります。チェチェンニュースに教育基本法の問題が載るのはあまりないことですし、ほとんど事情を知らない人も大勢いると思います。率直に言って、本を何度か読み返さないと分からないような、難しい問題でもあります。

けれど、これだけ重要な法律が、そんな状態のままで「改正」されようとしている現実自体が、問題だと思います。いつも私は泥縄式にこう言うことを勉強するのですが、考えてみれば数年後には生まれるかもしれない私自身の子どもが、「愛国心」教育にのみこまれ、たぶん「才能のないそのた大勢」としておざなりな教育を受けることになります。

荒廃する社会の先に描かれているのは、共謀罪に代表される、監視警察国家です。でも街頭に林立する監視カメラなんか、結局社会を良くする力にはなりえません。もっと必要なのは、社会を良くするために自分で考えることができる子どもたちのはずです。「国を愛する」ことを強制された子どもたちではなく。

なにより、私たち自身と、子どもたちの自由と人権が守れないなら、チェチェンの人々のそれを守ることはできないのではないでしょうか。

ぜひ、下記のイベントに参加したり、与党議員・マスコミへのファックスやメールによる働きかけをお願いします。社民・民主を中心に、共闘体制ができ上がりつつあるようです。野党議員には激励のファックスとメールを。事情をよく知っている人もそうでない人も、この法律が強行採決されることへの懸念は共有できるのではないかと思います。その思いを、送り届けてください。決して無駄にはなりません。私たちは共謀罪も、すさまじい修羅場を乗り越えて、いつも撃退してきたのですから。

▼イベント:「教育基本法の改悪をとめよう!11・12全国集会」
http://www.kyokiren.net/_action/1112

▼憲法・教育基本法改悪反対! 抗議・要請メールサイト: http://www.hyogo-kokyoso.com/webmail/kyoikukihonho1.shtml

▼電話・FAXでの抗議行動を! 教育基本法に関する特別委員会 委員名簿 です。電話・FAXでの訴えかけをお願いします
http://www.kyokiren.net/_misc/tokubetui

▼みんなで山場を乗り切って、自由の平野を見に行きましょう!(千葉大教員の三宅晶子さんのよびかけです) http://kyokiren.seesaa.net/article/26813809.html

▼共謀罪と教育基本法の国会情勢は、社民党の保坂展人議員のブログがもっとも情報が早いです。毎日必見!
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/

▼資料:「教育基本法『改正』−私たちは何を選択するのか−」西原博史著 岩波ブックレットNo.615  http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/00/0/0093150.html
(手早く読めてわかりやすいです)

▼なぜ変える?教育基本法 辻井喬・藤田英典・喜多明人編 岩波書店 http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/img/moreinfo.gif (とくに逐条批判の記事が参考になります)

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■戦場の医師ハッサン・バイエフ来日講演「チェチェンの現在を語る」

7月から延期になっていたハッサン・バイエフ氏の来日予定が決定しました。いまのところ無事に招聘手続きが進み、11月16日から30日まで、東京、水戸、横浜、札幌、長崎、広島、京都、弘前で講演が行われることになっています。ぜひ各地でのイベントにご参加ください。

資金がまだ不足しています。どうか招聘を支えるための募金をお願いします。郵便振替口座 加入者名:チェチェン連絡会議 口座番号:00180-6-261048 (通信欄に「バイエフ」とご明記ください)

10月31日現在での各地のイベント情報(決定分)はこちら。お問い合わせは、バイエフを呼ぶ会共同代表の岡田一男さん(電話: 03-4500-8535/FAX: 03-3811-4576/Email: baiev@zau.att.ne.jp)までお願いします。

11/17(金) 水戸[チェチェンの戦火を生きたひとりの外科医 ハッサン・バイエフ講演会] 18:30-20:30(18:00開場) あむねす みと2F http://www.net1.jway.ne.jp/abeusr1/ 参加費:無料 交通:JR「水戸」駅南口徒歩1分 主催:アムネスティ水戸・つくば 連絡先:0299-48-2695(徐)

11/18(土) 横浜[地球市民ひろば(第4回) 戦場の医師ハッサン・バイエフ〜戦争・平和・人権〜] 13:30-16:00(13:00開場) あーすぷらざ1階会議室 参加費:無料 定員30名(※但し、会場のスペースが許す限り受付け) 交通:JR京浜東北根岸線「本郷台」駅改札出て左手すぐ 主催:神奈川県立地球市民かながわプラザ 指定管理者(財)神奈川県国際交流協会 連絡先:045-896-2899(学習サービス課)

11/19(日) 札幌[誓い—戦場のチェチェン人外科医ハッサン・バイエフ講演会] 14:00-16:00(13:30開場) 札幌市民会館2階1号会議室 参加費:500円 交通:地下鉄「大通」駅徒歩3分 主催:アムネスティ札幌28・ノルテ・北広島 連絡先:011-622-5453(高見)

11/21(火) 長崎[チェチェンから長崎へ −戦火を生きた外科医の報告−] 18:00-20:30 長崎県教育文化会館2階大会議室 参加費:1,000円(学生500円) 主催:ハッサン・バイエフ講演会実行委員会(ワールドピースナウ・ナガサキ+個人) 連絡先:090-2519-2066(崎山)

11/23(木) 広島[チェチェンの戦火を生きた医師の声を聴く] 18:30- 広島市まちづくり市民交流プラザ北棟5階研修室C 参加費:1,000円(カンパとして) 交通:市電/広電・広島バス「袋町」徒歩3分 主催:アムネスティひろしま 連絡先:090-3177-7336(野間)

11/25(土) 京都①[ロシア・チェチェン戦争と子どもたち](映像と講演) 16:00-18:00 同志社大学今出川校地寒梅館地下A会議室 参加費:無料 交通:地下鉄「今出川」駅徒歩1分 主催:同志社大学バイエフ講演会実行委員会 連絡先:090-9869-8497/dsf0202@mail2.doshisha.ac.jp(岩間),080-5365-0672/la-ilahillallah@ezweb.ne.jp(栗林)

11/25(土) 京都②[チェチェン人のイスラーム信仰とロシア・チェチェン戦争下での私の体験](講演と質疑応答) 18:00-20:00 同上

11/26(日) 弘前[ハッサン・バイエフ講演会「チェチェンの医療危機と子どもたち 戦場外科医の報告」] 14:30-16:30(14:00開場) 弘前市民会館(管理棟)大会議室 参加費:無料 交通:JR「弘前」駅またはイトーヨーカドーバスターミナルから約15分「市役所前公園入口」 主催:バイエフを呼ぶ会 協力:弘前大学国際医療研究会 連絡先:03-4500-8535/baiev@zau.att.ne.jp(岡田)

11/28(火) 東京①[戦場の医師ハッサン・バイエフ来日講演 −チェチェンの現在(いま)を語る−] 18:45-20:45(18:15開場) 東京ウィメンズプラザホール 参加費:1,000円 交通:JR山手線・東急東横線・京王井の頭線:「渋谷」駅徒歩12分/地下鉄銀座線・半蔵門線・千代田線:表参道駅徒歩7分 主催:バイエフを呼ぶ会 共催:チェチェン連絡会議 連絡先:03-4500-8535/baiev@zau.att.ne.jp(岡田)

11/29(水) 東京②[バイエフ医師報告会&送別会 −日本縦断講演を終えて−] 18:00-20:30 文京区民センター3F会議室C 参加費:2,000円(飲食物の持込・カンパ歓迎) 主催:バイエフを呼ぶ会 共催:チェチェン連絡会議 連絡先:03-4500-8535/baiev@zau.att.ne.jp(岡田)

※11/3 現在の情報です。時刻・参加費などが変更される場合があります。主催者にお尋ねください。

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■チェチェンの子どもを支援する会 スタディ・ツアー2006年
—アゼルバイジャンに暮らすチェチェン難民の子どもたちに会いに行きませんか?—

チェチェンの子どもを支援する会が、アゼルバイジャン共和国の首都バクーへのスタディ・ツアーを行います。募集人数にまだ若干空きがあるので、参加を希望される方は、チェチェンの子どもを支援する会までぜひお問い合わせください。

○概要
実施時期:12月1日−10日
訪問地 :アゼルバイジャンの首都バクー
費用:22万円(利用エアラインによっては費用が若干変わることもあります※)
募集人員:6名(あと2名ほど空きがあります)
申込〆切:11月25日
ロシア語通訳が同行します。
※現在トルコ経由アゼルバイジャン行きで航空券の予約などを開始しています。

○訪問先
(1) チェチェン難民学校訪問・交流
(2) 郊外地区 スンガイット・メルダキャンに住む難民訪問・交流
(3) 支援団体 NRC(ノルウェー難民評議会)WRC(難民女性センター)訪問
(4) アゼルバイジャン名所旧跡訪問

○その他
生粋のチェチェン料理を味わおう!(チェチェン難民との交流会なども行います)
難民の生活を知ろう!(難民の生活状況などを理解するため難民の家にも訪問予定です)

○スタディ・ツアーの目的
当会がこれまで支援してきたチェチェン難民学校を訪問し、交流を深める。今後支援を開始する予定の郊外地区を訪問し、交流を深める。チェチェン難民学校支援をしているNRCを訪問し、今後の協力の方向性を探る。

○補足
事前学習の一環としてチェチェンをもっと知るための学習会をひらく予定です。また子どもたちとのコミュニケーションに必要な簡単ロシア語会話教室も計画しています。

○詳細、お申し込み
http://www7.plala.or.jp/deti-chechni/studytour2.html

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