チェチェン総合情報

チェチェンニュース Vol.03 No.40 2003.11.01

発行部数:997部

■チェチェンのための一票 <第1回>

第2回:http://www9.ocn.ne.jp/~kafkas/chn/0341.htm
(2002.11.01 大富亮/チェチェンニュース)

●チェチェンをテーマに投票しよう

言うまでもなく、11月9日は衆院総選挙。僕はどの政党の支持者でもあり ませんが、どの党に投票するのが、チェチェンのためになるのかを考えてみま した。チェチェン問題を国会のまな板にのせてみましょう。ちなみに今、チェ チェンニュースの読者は1000通ほど。これは「圧力団体」として多いか、 それとも少ないか?

ところで、ご存知ない方のためにご説明。チェチェン紛争とは、ロシアの事 実上の植民地だったチェチェンが91年に独立宣言をした後、ロシア政府が軍 事介入し、今日までチェチェンの抵抗勢力との戦闘が続いている問題です。も う10万から20万人の市民がロシア軍に殺害されていて、止めないともっと ひどいことになるでしょう。では各党の見解を見ていきます。

●小沢一郎の場合(民主党、当時自由党)

昨年10月、モスクワ劇場占拠事件後の党首討論での小沢発言。「チェチェ ンを、チェチェン人の自治に任せるべきだという考え方に立つならば、ロシア 軍は撤退すべきだ、そしてチェチェン人の自由な意思によって独立するか、ロ シアに今まで通り従属しているのか決めるべきだと、首相自身がロシアに向かっ て主張しなければならない。パレスチナ問題も同様だ。小泉首相はどうお考え か」(2002.11.06)

●小泉純一郎の場合(自民党)

小沢発言への答。「いろいろ見方があり、今、一概に言える問題ではないと 思う。日本としてふさわしい国際社会での活躍の場はどうあればいいのかとい う点も見れば、私はロシアとチェチェンの問題に深入りして発言した方がいい のかということについては、一定の距離を置きながら考えていくべきだと思う」

小泉首相の発言どおりとすると、とりあえず自民党は問題外。自民党サイト のフォームから「チェチェン問題に関して見解を教えてください」と書いてお きましたが、なしのつぶて。次回は直接問い合わせてみましょう。

●共産党の場合:喧嘩両成敗

民族自決の原則をふまえつつ、「本来、チェチェンの独立問題は長い歴史的 な背景を持ったものであり、武装勢力が武力で一気に分離独立を達成しようと いうことも、ロシアがそれを武力で抑えこもうとするのも正しくありません。 あくまでも平和的に解決すべきです」(2003.09.19同党中央委員会)

こういう「どっちも悪い」式は、批判する自分だけは正しいと「呼びかけて いる」ようなもので、これも一種の無関心と言えそうです。第一次戦争での論 説などはなかなかいいのですが・・・。 ( http://www9.ocn.ne.jp/~kafkas/activity/kenkaikyosan01.htm#941216 )

共産党とのメールのやり取り: http://www9.ocn.ne.jp/~kafkas/activity/kenkaikyosan01.htm

●公明党の場合:早期解決を願っております

公明党の答は簡単。「ご質問のチェチェン問題につきましては、ロシア国内 の問題としてより平和的で早期解決を願っております。今後とも、公明党への ご意見、ご要望をお寄せくださいますよう・・・」

つまり、平和的解決は「願う」けれど、かかわり合いにはなりたくない。 「ひとごと」なのです。人権問題が発生している場合に国際社会が介入するの は、現代では常識ですから、チェチェン問題を考えるかぎり、まちがっても公 明党には投票できないということです。

●政治の舞台でできること

チェチェン問題に関しては、まず政府の見解から変える必要があります。 今の見解では、「一定の距離をおきながら考える」といいながら、いつまでたっ ても考えた結果が示されない。これはちょっとというか、かなり間の抜けた話 です。

たとえば、「チェチェンでは大規模な人権侵害が起こっていると言われてい る。ロシア政府がこの疑いを否定するなら、国際機関と、報道機関の自由なチェチェン入りを認め、疑問を払拭するべきだ」という見解を日本政府が打ち出せば、世界の世論にかなり大きな影響を与えるでしょう。

今回の衆院選にはいろいろなテーマがあり、それぞれに政党の選び方、要望の仕方は違ってきます。その選び方の一つとして、チェチェンのために行動する政党には、 みんなで投票し、応援しましょう。次回は、民主党(まだ返事がありません) と社民党の返事に、乞うご期待。今回取り上げた各党からの反論も受けつけま す。つづく。