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チェチェンニュース
Vol.03 No.08 2003.02.26

■ロシア軍によるチェチェンの女性の「誘拐」が増加


軍に誘拐されたAnzhela Shakhmurzaevaさん。ロシアの人権団体prima-newsより

ロシア軍によるチェチェン女性の誘拐は、最近とみに頻繁になっている。最近起こった事件ととしては、1月14日に発生した、アンゼラ・シャフムラサエヴァさんがロシア兵に連れて行かれた事件がある。装甲兵員輸送車数台と、ウラル型トラック2台がグロズヌイの中央広場に近い23ブロックのアパートの前に止まった。

兵士たちは建物を取り囲み、略奪を始めた。1階の倉庫スペースからものを運び出したあと、兵士たちはアパートのドアを蹴破り、3人の若者、アスラン・バイスルタノフ、アスラン・ムザーエフ、ハサン・ウステルハノフに、表通りに出るように命令した。

ウステルハノフの妻が夫を助けようとして外に出ると、兵士は彼女を殴った。物音と叫び声を聞いて、アンゼラさん(二児の母親)が外に出て、男たちが連れ去られるのを止めようとしたところ、兵士たちは男たちだけでなく、アンゼラさんも一緒に連行した。

その後2日間、住民たちは抗議のために声をあげてグロズヌイの街を歩いた。15日、デモをしていた数人の人々が政府庁舎に着いたが、例によって入れてはもらえなかった。門が閉じられた後、数人の女性が中に入ることを許された。

政府の役人の一人、モフサル・ハミードフが女性たちを迎えて、誘拐された人々を捜索する、前向きな仕事について話し始めた。だが彼が解決を請合うといういくつかの事件を見なおしてみても、誘拐された人々が釈放されていないどころか、いまだに、どこかにいるかさえわかっていない始末だった。

2日前にも、ルイーザ・ツツアーエヴァさん(31歳)が、ウルスマルタンに近いある検問所で捕まった。昨年12月まで、彼女は3人の子どもと一緒にイングーシの難民キャンプに暮らしていて、2週間前にチェチェンに戻ってきたばかりだった。

また、1月28日、兵士たちはウルスマルタンに住むセバ・クリコーヴァさん(25歳)を、自宅から誘拐した。隣人たちによれば、30人以上の連邦軍の兵士が彼女の家を包囲していた。兵士たちはいつもとどおり、逮捕の理由を説明する気などなかった。兵士たちは彼女を装甲兵員輸送車に乗せ、いずこかに去っていった。同じ日、セバの親族たちは地方の役所と軍の事務所に行ったが、(行政の)人々は彼女の逮捕についての説明を拒んだ。セバがどこにいるのか、結局わからずじまいだった。

誘拐という災難は、人によって違うものになる。幸運な人は、親族に無事見つかり、身代金を(ロシア軍に)支払ったあと、家に帰ることができる。そうでない人々は・・・

2月6日、ノーヴィエ村で誘拐されて5ヶ月が経過していた女性、アターガ・アバエーヴァさんの遺体が入った袋が発見された。彼女の夫、エミン・アダーエフの首と一緒に。彼女の遺体の発見者によると、彼女は最近殺されたばかりで、遺体はまだ新しかった。エミンの身体は見つけることができなかった。

大量の遺体が埋められ、首が切り取られ、行方不明になった人々の多くは足取りがつかめずにいるにもかかわらず、チェチェンでは人々を憲法制定のための住民投票(3月23日に予定されている)に参加させるための努力が続いている。住民投票が成功するなどと思う者はいない、なぜなら先に実施された国勢調査も、チェチェン人のほとんどが参加せず、無意味なものになったからだ。「国勢調査は単なる座興。住民投票も、だいぶ笑わせてもらえそうだね」チェチェン人たちはそう言うのだ。

2003.02.13 レイラ・リリエーヴァ/ロシア人権ニュースPRIMA-NEWS 文中の括弧は訳注
http://www.prima-news.ru/eng/news/articles/2003/2/13/23030.html