チェチェン総合情報

チェチェンニュース
Vol.02 No.05 2002.04.02

【チェチェンイベント情報】

■チェチェンの子どもに学校を!難民への教育支援報告会

チェチェンの隣国イングーシ共和国では、15万人ともいわれる人々がテントや列車車両を改造した難民キャンプで3度目の冬を送っています。「チェチェンの子どもを支援する会」では、この難民キャンプで読み書きを知らないまま成長していく子どもたちの将来を危惧する母親たちの要請に応じて、小さな小学校を設立しました。設立に立ち会った2人のボランティアが現地の様子を報告します。スライド、ビデオ上映あり。

名称:チェチェン難民支援報告会日時:4月6日(土) 午後3時30分から5時30分会場:早稲田奉仕園101会議室 03-3205-5411交通:JR山手線・高田馬場駅より早大正門前行バス「西早稲田」下車2分 /地下鉄東西線・早稲田駅下車2分地図:http://www.hoshien.or.jp/map.html参加費:1000円主催:チェチェンの子どもを支援する会(chechne@gray.plala.or.jp)/チェチェンニュース編集室 (044-930-7860 ootomi@mist.ocn.ne.jp)*会終了後、同一会場にて懇親会を行います。情報交換や、ボランティアへの激励をかねてぜひご参加ください。

【人権】

■チェチェン各地で掃討作戦が激化 3/23

3月22日から23日にかけ、チェチェンの町シャリ、ヴェデノ、グデルメス、ノジ-ユルトなどでロシア軍による掃討作戦が行われ、これによって120人以上の人々が拘束された(ラジオ・リバティー,3/25)。

掃討作戦とは、ロシア軍部隊が町や村落を包囲した上で住民の検査を行い、十代後半から70歳にいたる男性全員を拘束し、フィルターラーゲリ(ゲリラかどうかの選別収容所)で尋問、拷問をするというもの。ニューヨークに本部を置くアメリカの人権団体Human Rights Watchは、今月に入って続いている掃討作戦についての緊急リリースを発行した。

「スタール・アタギでの掃討作戦により、少なくとも10人が行方不明になった。

うち9人は焼死体となって発見されており、違法な処刑が行われた可能性は非常に高い。今のところ、3月6日にロシア軍に拘束された26歳のイムラン・クンタエフの遺体だけが、本人のものと確認できている。クンタエフは逮捕された翌日に家屋の中で焼死体となっているのを発見された。

目撃者がHRWの調査員に語ったところでは、3月6日に、正規の軍服を着ていない兵士たちがクンタエフの家に現われ、彼を逮捕した。翌日、ロシア軍が接収していたナゴルナイア通りの廃屋で火事が起こり、判別しがたい状態の遺体が4体発見された。クンタエフの遺体が確認できたのは、かろうじて遺族が彼の金歯の本数を知っていたからだった」(3/23,HRW)

HRWによれば、この他にも40人におよぶ目撃者からの聞き取りにより、多数の事件の発生が明らかになっているという。スタール・アタギ以外にも、「首都グロズヌイ市は現在、ロシアの治安部隊に部分的に封鎖され、この数日、特殊作戦が行われている。ロシア統合軍参謀本部からの報告によれば11個以上の大規模な特殊作戦が共和国内の各地で平行して展開されている」(ラジオ・リバティー,3/30)という。

一方、ロシア軍のウラジーミル・モルテンスコイ中将は、チェチェン駐留のロシア軍最大の基地であるハンカラで、チェチェンの各村落で特殊作戦を実施する際の規則を発表した。いわゆる「掃討作戦」実施の際の人権擁護策強化とともに、特殊作戦に参加する軍人の具体的な義務が規定されるという内容である。

これによると「各村落で大規模な「掃討作戦」を行う際には、検察庁、地元民警と行政の代表の立ち会いを必要とする。チェチェンの住民たちの意見としては、「この命令は尊敬に値するが、遵守されるかどうかは軍人の良心次第だ」というのが一般的である(ラジオ・リバティー,3/30)」という。

【チェチェンからのレポート】

■首都グロズヌイで大規模掃討作戦/www.watchdog.cz, 3/25

ルスラン・イサーエフ/3月21日より、チェチェンの首都グロズヌイはロシア軍による包囲を受け、チェチェンゲリラに対する大規模な掃討作戦が行われている。市内への交通は徒歩も含めて禁じられ、新たな検問所も設けられている。今のところ、60人の市民が拘束され、ハンカラのロシア軍基地にあるフィルターラーゲリに送られている。グロズヌイの市民によると、ロシア軍は14歳から70歳の男性を連行するだけでなく、まだ国内パスポートも受け取っていない児童さえ同様の扱いを受けている。

この掃討作戦は、チェチェンにおける親ロシア政権の内務大臣の家族が、ゲリラの攻撃で死亡したことをきっかけに開始された。夜間に複数の家々に対して捜索が行われたことで、市民は恐慌に陥った。

■チェチェン人の子ども、ロシア軍に殺害される/www.watchdog.cz

ルスラン・イサーエフ/ふたたび悲劇の知らせがもたらされた。チェチェンの首都グロズヌイのスタロプロミスロフスキー地区で、10歳のチェチェン人の少年が、ロシア兵に殺害された。この地区の住民によると、子供たちはたびたび検問所に行き、兵士たちとタバコや食べ物を交換するなどしていた。

事件の発生時、子どもたちは検問所の近くで遊んでいた。そこに突然銃撃がされ、一人の少年が倒れた。 そのすぐ後、少年の家族を含むチェチェン人たちが駆けつけ、遺体を取り戻した。検問所で何が起こったかの説明を求めたが、兵士たちは酔っており、検問所に近寄らせなかった。さらに、兵士の一人は「子どもが石を投げてきたから、罰したのは当然だ」と息巻いた。

その後、チェチェン人たちは子どもの遺体を埋葬した。彼らは「罪もない人々がいつでも酔っ払いの兵士の生きた標的になる。ロシア兵はこれだけの仕打ちをしておいて野放しだ」と口々に嘆いた。

(ルスラン・イサーエフ/チェチェン人ジャーナリスト。現在もチェチェン国内にとどまり、取材を続けている。過去の記事はwww.watchdog.czに掲載)

【チェチェン報道について】

■バラーエフの亡霊・チェチェン人6人が裁判に 3/25

「ジャマート」なる武装組織の構成員とされる6人のチェチェン人の裁判が、ピャチゴルスクの法廷で始まった。彼らの容疑は、昨年6月にアルハン-カラで死亡した野戦司令官アルビ・バラーエフのもとで殺人、強姦などの犯罪をくりかえしていたというもの(グラスノスチ財団,3/25)。

ここで名前のあがったバラーエフ司令官は、ロシア軍との激しい戦闘の末戦死したと報道されたが、実際にはロシア側と通じた「チェチェン人の裏切り者」だったという評判が一般的である。どのような行き違いでバラーエフがロシア側からも裏切られたかは不明だが、チェチェン人をコントロールするために確保したバラーエフはすでにおらず、今、その部下とされるチェチェン人が訴追されるという事態になっている。

こうして見ると、ロシア側のチェチェンへの干渉策は自己否定の繰り返しであるとも言える。1999年のモスクワ、ヴォルゴドンスクなどでのアパート連続爆破事件についても同様の裁判が行われたが、うやむやに終わっている。

チェチェン人が悪辣な犯罪者たちであるというイメージ作りはこのようにして進行していくが、こうした宣伝には必ずしも結論がともなう必要はない。チェチェン人が逮捕された、あるいは裁判にかけられた、という情報だけでも、十分に憎悪または警戒心を作り出すことができる。そのことを意識してチェチェンについての報道を見る必要があるのは言うまでもない。

【チェチェン人の動き】

■チェチェン国立劇団、ロンドン公演を果たす/チェチェンプレス、3/27

3月26日から27日にかけ、チェチェン国立劇団が、ロンドンで公演を行った。演目は「血塗られた結婚」、演出はルスラン・ハキシエフによる。チェチェン共和国人民芸術家の女優、ビーラント・ラムザエーヴァを始めとする俳優たちがチェチェンの民族舞踊を披露した。チェチェンのザカエフ副首相兼文化相もこの公演に出席。

俳優たちを始めとするチェチェンの芸術家たちは、それぞれグルジア、トルコ、ロシアなどで難民として生活していた。国際自由俳優委員会(InternationalCommittee for Liberty of Actors)などがこの公演を企画し、西ヨーロッパにおける公演をサポートしており、有名な女優ヴァネッサ・レッドグレーヴも支援を表明している。

■チェチェン代表者会議、パリで開かれる

3月23日から24日の二日間にかけ、パリにおいて、チェチェン共和国の政府、NGOの代表者たちの会議が開かれた。出席はアフメド・ザカエフ副首相、イリアス・アフマドフ外務大臣、アヒヤド・ウドゥーゴフ議会外交委員長など、チェチェンを代表して外交活動にあたるメンバー。会議の場では今後の各代表の行動の調整が図られたとみられる。この他に、ロシアのNGO「メモリアル」、ロシア兵士の母親委員会サンクトペテルスブルグ支部などが参加したと伝えられる。

【日本国内の動きから】

■国境なき医師団、チェチェン問題についての詳細なレポートを発行/3/24

フランスに本部を置くNGO、「国境なき医師団」は、チェチェン難民の悲惨な状況についての報告書を、2002年2月2日付けで公開。「特集:チェチェン/イングーシ—援助を拒まれ弱い立場に置かれた難民たち—」は次のURLに。

http://www.japan.msf.org/special/chechnya01.html

■チェチェン難民支援のための自主上映会開催される/3/24

チェチェンを舞台にした映画「金色の雲は宿った」(アナトーリー・プリスタフキン原作脚本/スランベック・マミーロフ監督、1989年)が、川崎市麻生区の日本映画学校で公開された。この上映会は、チェチェンの子どもたちへの教育支援活動の中心となっている「チェチェンの子どもを支援する会」が主催した。

当日は、川崎市民など60名が映画を鑑賞し、「チェチェン人に対する差別の過酷さにショックを受るとともに、「民族共生」へのメッセージが痛切に感じられた」「子供の可愛らしさが素晴らしく、それが悲惨さをきわだたせていて、とても気が重くなった。もっと多くの人達にこの実態を知ってもらいたい」といった感想が聞かれた。

支援する会の代表鍋元トミヨさんは「この映画をきっかけに、チェチェンに対する理解を深めてほしい」と話す。主催者は会場があれば、ぜひ今後も上映をしていきたいとしている。

■「ユーラシア紛争地フォーラム」実施される/3/10

3月9日、早稲田大学小野講堂において、「第一回ユーラシア紛争地特別フォーラム」が開催され、120人以上の参加者が、アフガン、チェチェンを専門とするジャーナリスト、写真家など各方面からの多様な報告に聞き入った。チェチェンニュース発行人も、この場でチェチェン問題について報告。