チェチェン総合情報

チェチェンニュース
Vol.01 No.30 2001.11.22

■メドゥサン・デュ・モンド/チェチェンレポート日本語訳、公開される

http://www.geocities.com/kafkasclub/che/mdm/

11月8日、フランスに本部を置く医療/人権NGO、メドゥサン・デュ・モンド(世界の医療団)が発行した「チェチェンレポート2000・絶望するチェチェンの人々」が、日本カフカスクラブの翻訳によって公開された。チェチェンの人々の声を伝える貴重な資料。メドゥサン・デュ・モンドは、日本でもチェチェンのための募金活動を行っている。以下に一部を紹介。

<証言より:O医師(内科)>「近くの軍事基地で電気による拷問を受けたという男たちさえいました。頭や他の個所に電気を流すのです。すでにこれは当たり前のようになっていて、我々はもう驚きもしません。舌を抜くときには、もっと手の込んだ方法もあります。舌をペンチで挟み、つぶされた舌を熱い物といっしょに犠牲者本人に無理やり食べさせるのです。それがどんなに恐ろしく苦痛であるか、想像できるでしょう」

<地雷で脚を失った少年M(13歳)>「僕たちはお父さんと地面を掘っていて、地雷を見つけた。線を引きちぎっていって、最後に一本だけ残ったんだ。レンガがいくつかあって、お父さんは僕に地雷をはじっこのレンガの上に乗せるように言ったんだけど、僕は三つ目のレンガの上で足を滑らせて転んじゃった。その時に地雷を踏んで、爆発した。僕は自分の足が吹き飛ばされたなんてぜんぜん思わなかった。レンガが吹き飛んだと思ったんだ。僕は走り出そうとして転んでしまった。その時初めて、自分が吹き飛ばされたって分かったんだ。僕はアスファルトに向かって這って行って、ようやくたどり着いて、叫んだよ。みんなが僕の周りに集まった。みんなはロープを見つけてきて、腿を縛った。僕は脚をなくしてしまった。ここでは新しい脚をつけてくれるんだって。僕は脚が欲しい。ここに来てからもう3週間、待ってるんだ」

メドゥサン・デュ・モンド ジャポンのWebサイト:

http://medecinsdumonde.org/japan/【チェチェンおよびその他のプロジェクトへの支援方法】 郵便振替 口座名:メドゥサン・デュ・モンド ジャポン口座番号:00110−8−172839

■来春、ロシア軍大部分撤退か? ロシア軍司令官発言/11/12、AP

11月12日、ロシア軍のゲンナジー・トローシェフ司令官は、来春にもチェチェン駐留のロシア軍の大部分を撤退させる意向を明らかにした。同将軍がインターファックス通信に語ったところでは、今回の撤退はチェチェンでの兵力展開の見直しによるものだという。ロシア軍の撤退については、今年はじめにも類似の方針が発表されたが、実現には至っていない。トローシェフ将軍によると、チェチェンには常駐の兵力を置き、それ以外は撤退する。常駐兵力は、陸軍の第42自動車化ライフル部隊および、内務省軍の第46旅団となる見通し。

■チェチェン側野戦司令官、ダゲスタンで起訴/11/16、AP

11月16日、チェチェン独立派の野戦司令官、サルマン・ラドゥーエフ氏に対する裁判の被告人弁論が、チェチェンの東隣のダゲスタン共和国で行われた。同氏の容疑はテロ、山賊行為、営利誘拐、組織的殺人、武装反乱。裁判はチェチェンとの国境に近い首都マハチカラで13日から行われ、ほかに3人が起訴されている。ラドゥーエフ氏は、1996年に、南ロシアのキズリャルで病院を占拠し、100人以上の人質をとって立てこもった事件によって名をあげた。事件後、キズリャルからの帰国途上でロシア軍と8日間にわたって戦闘し、ロシア軍、警察、一般市民など78名がその犠牲となったという。

16日の弁論はこのキズリャル事件をめぐって行われ、ラドゥーエフ氏は「キズリャルでの行動は、当時のドゥダーエフ大統領が立案したPRだった。世界の目をチェチェンに向ける必要があったのだ」と答えるとともに、同氏自身は、「その指示をドゥダーエフ大統領から直接受け取った。作戦は一種の広報キャンペーンであり、私はその役者だった」と答えた。

■チェチェン国立大学構内でピケ/11/18、プラハ・ウォッチドッグ

11月13日、チェチェン国立大学の複数の学生と教員が、校舎の入口でピケを張った。前日に大学でロシア軍による身分証のチェックが行われ、6人の学生が拘束されたことに対して、釈放を求める抗議行動。その後4人は釈放されたが、2人はいまだ拘束中。

■モスクワの人権団体が共同声明/11/18、プラハ・ウォッチドッグ

11月15日、モスクワの複数の人権団体(メモリアル、ヘルシンキ・グループなど)は、チェチェンとロシアの和平交渉と難民への支援を求める共同声明を発表した。

■チェチェン・ロシア代表者会談、モスクワ空港にて行われる/11/18、インターファックス通信

11月18日、ロシアとチェチェンの両代表による会談が、モスクワのシェレメチボ-2空港で、午後1時30分から行われた。ロシア側はロシア連邦南部管区のヴィクトル・カザンツェフ大統領全権代表、チェチェン側は独立派のアフマド・ザカーエフ副首相がそれぞれ出席し、2時間にわたって会談が行われた。

ロシア側のマクシム・フェドレンコ顧問は、「ミーティングは建設的な方向で行われ、チェチェン和平を追求できる雰囲気だった」と語った。同時に、この会談が、9月24日のプーチン大統領による、チェチェン側の武装解除の声明をもとに行われたことを確認した。

■和平交渉に「新しいページが開かれた」/ザカーエフ発言/11/19、AFP

11月19日、チェチェン独立派政府のアフメド・ザカーエフ副首相は、「昨日行われた交渉は、2年にわたるチェチェン戦争に新しいページが開かれることを意味している。双方にとって実りがあることを信じている」と語った。

同副首相はロシア側のビクトル・カザンツェフ大統領全権代表との2時間の会談を終え、すぐにイスタンブールに戻った。会談の内容は明らかにされていないが、双方は今後も話し合いを続けることで同意したという。今回のロシア訪問には、トルコ自由民主党のベシム・ティブク党首が同行したが、会談に参加したかどうかは明らかにされていない。

■戦闘状況/11/21グラスノスチ財団

11月19日、ロシア軍のヘリコプターが南部の町ヴェデノとイトゥム−カレ、ノジ−ユルトの独立派レジスタンスの拠点を攻撃し、拠点3箇所以上を破壊した。チェチェン側によると、シェルコブスコエ、ヴェデノ、ノジ−ユルトにおいてロシア軍に攻撃を行い、ロシア側の兵士20人と武装警察官5人が死亡。

■イングーシ共和国の難民状況/11/21グラスノスチ財団

チェチェンの隣国イングーシ共和国のルスラン・アウシェフ大統領は、同共和国に流入している15万人前後のチェチェン難民の状況について「彼らのテントは、厳しい冬に対して無防備だ」とコメントした。同大統領による難民救援のためのモスクワへの要求はこれまでのところすべて失敗に終わっており、ただ国連高等難民弁務官事務所(UNHCR)が300張りの冬用テントの用意を約束している他には、よいニュースはない。

■今週の概況

和平交渉の動きについて。水面下のものを除けば、99年のチェチェン進攻開始以来初の和平の試みである。9月24日、ロシアのプーチン大統領が、「武装勢力の72時間以内の武装解除」を通告した。この発言の背景には、米英のアフガニスタン攻撃などによって、中央アジアでの緊張が高まり、ロシアとしてもこの方面に政治力(場合によっては兵力)を割く必要性が生じたことがある。

つまりチェチェン戦争をできるだけ早く収拾したいという、一種の焦りからの通告であったが、チェチェン側はこれを武装解除ではなく、和平交渉の機会と捉え、今回の会談につなげた。しかし独立派が希望する和平への行程は明らかではない。会談は2時間とわずかなので、今後の話し合いの枠組みが話し合われた程度と思われる。(発行人)