チェチェン総合情報

チェチェンニュース
Vol.01 No.13 2001.08.01

■チェチェンからモスクワへ 平和のための行進がスタート

●記事について

欧米のNGOのネットワークから,チェチェン-モスクワ間の平和行進の知らせが入りました.絶望したチェチェンの人々が,自らの意思で平和行進を行い,モスクワ,さらにはストラスブールに向かうという,驚くべきニュースです.

新たな行進がこうして公にされたことで,ロシア連邦軍や警察,その他の機関の実力行使など,大きな危険がともないます.モスクワ-チェチェン間の平和行進は,第一次チェチェン戦争の際にも実行されました.その際には,日本人のジャーナリスト,イギリス人のNGOワーカーなどの外国人が同行しました.現在の情報ではそのような外国人はいない模様です.この行進によって惨劇がおこらないために,世界の人々による監視が必要です.

平和行進は今日,スレプツォフスカヤを出発します.チェチェンニュースでも,この行進に関する情報が入りしだいお送りします.(編集室)

■ノーヴァヤ・ガゼータ,7/19(アンナ・ポリトコフスカヤ,ジャーナリスト)

8月1日,グロズヌイので家を失った人々や難民たちなど,絶望の淵に追いやられた人々がモスクワへむけて平和行進を開始する.その日朝早く,200人ほどの人々が,チェチェン-イングーシ国境の村オルジョニキッゼフスカヤから徒歩で出発し,ウラジカフカス,ミンヴォデイ,ロストフナダヌー,ヴォロネジ,リャザンを通過していく.

人々はチェチェンでの軍の無法を停止し,撤退させ,プーチンとマスハードフ両大統領の和平交渉を開始することを求めるプラカードを掲げ,モスクワまで行き着いたら,クレムリンの城壁のもとでハンガーストライキのキャンプを設置し,要求を突きつけ続ける決心である.政府がもし耳を貸さないならば,行進はさらに進み,欧州評議会のあるストラスブールまで行って,6月に難民キャンプで始まったハンガーストライキを終了するつもりである.行進参加者は彼らの仲間であり,人権運動家で,出版人であるアレクサンドル・リュボスラフスキーを,平和行進組織委員長としてモスクワに送っている.

■「グロズヌイ-モスクワ平和行進」のための呼びかけ文

        アレクサンドル・リュボスラフスキー        「グロズヌイ-モスクワ平和行進」組織委員長        「人権と自由擁護」編集長

尊敬する世界のみなさん!

2001年8月1日10時に,70名以上のチェチェン難民が無期限のハンガーストライキを行っている,チェチェン共和国国境のオルジョニキッゼフスカヤ(スレプツオフスカヤ)村のテント村から,グロズヌイ-モスクワ平和行進が出発します.その行程は2000キロメートルです.モスクワまでは70日間かかります.最初の日は女性,老人子供たちを含め70名が参加します.

グロズヌイからスレプツオフスカヤ村までは,チェチェンの市民が命の危険を冒さないために,横断幕は持たずに出発します.予定の時間にこの行進を行うということは,戦争を停止し,チェチェン共和国に平和を取り戻すことを要求しているハンガーストライキの参加者たちが決定しました.この行動はチェチェン民族救済委員会,ロシア-チェチェン友好協会,地域の調停機関「戦争のこだま」その他が支持しています.

94年の第一次チェチェン戦争から数えて7年間のロシア-チェチェン戦争で,数万人の命が失われ,いくつもの町,村が破壊されました.人々は射殺され,略奪され,死ぬほど脅しつけられ,絶滅の淵にたたされています.チェチェンの人々はチェチェン共和国内にも,その外でも居場所がありません.彼らは実質的に,政治的,社会的,国際的な保護のいっさいを奪われているのです.彼らに残された唯一の権利はハンガーストライキで死ぬことか,クレムリンの城壁のもとでの平和行進で死ぬ事だけです.チェチェン難民のハンガーストライキ参加者は,この権利を徹底的に行使することにしたのです.

この通信で,私はハンガーストライキの参加者として,グロズヌイ-モスクワ平和行進組織委員会の代表として,世界の市民のみなさん,ロシアの調停機関,国際世論に,チェチェン共和国での平和と,市民の安全を保障することに協力していただくよう訴えます.われわれの長く困難な行進にみなさんが積極的に参加し,行進参加者の要求を支持してくださることを期待しております.そしてみなさんがわれわれの隊列に加わってくださることを歓迎いたします.チェチェンの悲劇がわれわれとみなさんを,戦争と暴力反対の戦い,平和,自由,人権を求める戦いにおいて永遠に団結させてくれますように.

もうひとつお願いしたいことがあります.平和のためのこの行進の参加者たちは,チェチェンからの難民です.人々は何も持っておらず,飢え死にしかかっています.そのことについても,友人のみなさまのご親切と協力を期待しております.

尊敬と 協力への期待を込めてアレクサンドル・リュボスラフスキー(Aleksandr Ljuboslavskii)

グロズヌイ-モスクワ平和行進をモスクワで代表している諸団体の連絡先:

モスクワヘルシンキグループBoljshoi Golovin pereulok,22, str1tel: 207-60-69 MescheryakovDaniil Aleksandrovich

全ロシア行動「人権のために」Obscherossiiskor dvizhenie “Zaschita prava cheloveka”Malyi Kislovskii pereulok 22 str.1tel 291-62-33 Ponomarev LevAleksandrovich

ロシア雑誌「人権と自由擁護」”Zaschita prav I svobod cheloveka”Nizhegorodskaja ul. 21a, tel: 271-07-59 Bashinova Ljubovj Afrikanovna